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関連審決 異議1998-75758
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成16ワ26728特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成14行ケ366特許取消決定取消請求事件 判例 特許
平成17ワ 785特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成17ワ12207特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成18行ケ10498審決取消請求事件 判例 特許
関連ワード 発明者 /  改良発明 /  製造方法 /  新規性 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  相違点の判断 /  周知技術 /  技術的範囲 /  技術常識 /  優先権 /  国内優先権 /  優先日 /  技術的意義 /  容易に想到(容易想到性) /  不存在 /  特許発明 /  実施 /  加工 /  構成要件 /  既判力 /  設定登録 /  請求の範囲 /  取消決定 /  判決の拘束力 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 365号 特許取消決定取消請求事件
原告 三菱レイヨン株式会社
原告 三菱化学株式会社
原告ら訴訟代理人弁護士 上谷清
同 宇井正一
同 笹本摂
同 山口健司
同 弁理士 吉田維夫
被告 特許庁長官今井康夫
同指定代理人 江藤保子
同 城所宏
同 一色 由美子
同 涌井幸一
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/04/27
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が平成10年異議第75758号事件について、平成14年6月5日にした異議の決定を取り消す。
事案の概要
1 争いのない事実 (1) 原告らは、発明の名称を「トナー用樹脂及びその製造方法」とする特許第2760499号(昭和62年10月26日特許出願、特願昭62-270000号、平成10年3月20日設定登録、以下「本件特許」という。なお、本件特許の国内優先権主張日である昭和61年11月5日を、「本件優先日」という。)の特許権者である。
その後、訴外三井化学株式会社外8名から、本件特許に対し、特許異議の申立てがなされた。
特許庁は、上記申立てを平成10年異議第75758号事件として審理し、平成11年10月18日、「特許第2760499号の特許請求の範囲第1項ないし第3項に記載された発明についての特許を取り消す。同特許請求の範囲第4項ないし第6項に記載された発明についての特許を維持する。」との特許異議の申立てについての決定(以下「前決定」という。)をしたが、平成13年7月17日、東京高等裁判所が、「特許庁が平成10年異議第75758号事件について、
平成11年10月18日にした決定の主文第1項部分を取り消す。」との判決(平成11年(行ケ)第403号、以下「前判決」という。)をしたので、再度審理し、平成14年6月5日、「特許第2760499号の請求項1に係る特許を取り消す。」との異議の決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は、同月22日、原告らに送達された。
(2) 本件特許の請求項1に記載された発明(以下「本件発明」という。)の要旨は、本件決定に記載された以下のとおりである。
【請求項1】スチレン及び/又はその誘導体、(メタ)アクリル酸エステルを主要な構成単位とし、残存モノマーが200ppm以下であることを特徴とするトナー用樹脂。
(3) 本件決定は、別紙異議の決定書写し記載のとおり、本件発明が、特開昭55-155362号公報(甲3、以下「引用例1」という。)、特開昭61-179202号公報(甲4、以下「引用例3」という。)、特開昭61-176604号公報(甲5、以下「引用例4」という。)、特開昭60-243664号公報(甲6、以下「引用例5」という。)、特開昭60-44505号公報(甲7、以下「引用例6」という。)及び特開昭61-72258号公報(甲8、以下「引用例8」という。)に記載された発明(以下「引用発明1」、「引用発明3」ないし「引用発明6」及び「引用発明8」という。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることできたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。
2 原告ら主張の本件決定の取消事由の要点 本件決定は、引用例5について、前判決の拘束力に違反した認定を行う(取消事由1)とともに、本件発明と引用発明3及び4との相違点の判断において、引用例1、3ないし5に基づく周知の技術課題の認定を誤り(取消事由2)、組合せ阻害事由があるにもかかわらず、引用発明6を引用発明3及び4に容易に適応し得ると誤って判断し(取消事由3)、本件発明の有する顕著な作用効果も看過した(取消事由4)ものであるから、違法として取り消されるべきである。
(1) 前判決の拘束力違反(取消事由1) 本件決定は、前判決によって取り消された前決定の差戻し後の判断であるにもかかわらず、該判決の理由中の判断に反した認定をしている。
すなわち、本件決定は、引用例5を本件発明の進歩性を判断する資料として引用するが、同引用例が本件発明の進歩性判断の資料となし得ないことについては、前判決中で明示されている。したがって、判決の拘束力に違背する明確な法律違反がある本件決定は、取り消されるべきである。
(2) 周知技術課題の誤認(取消事由2) 本件決定が、「トナー用樹脂中の残存モノマーが多いと、溶融時と定着時の不快な臭気の発生ばかりでなく、トナーの性能の低下につながることは、刊行物3及び刊行物4ばかりでなく、刊行物1及び5にも記載されている」(12頁)と判断したことは、以下に述べるとおり、誤りである。
ア 引用例1について 本件決定は、引用例1(甲3)に基づいて、「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、不快な臭気発生を防ぐとともに、トナー性能を向上させることは、本件出願前から周知の技術課題である」(12頁、以下「本件優先日当時、
トナーの技術分野において、トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、不快な臭気発生を防ぐとともに、トナー性能を向上させるという技術課題」を「本件周知技術課題」という。)と認定するが、誤りである。
すなわち、同引用例には、満足するべきトナー性能を発現するためには、「溶媒もしくは単量体の何れか」を0.1重量%未満にすればよいということが記載されていることから明らかなとおり、トナー性能の発現との関係において「単量体」のみを捉えているわけではなく、しかも、単量体の含有量が「多量の場合」であっても満足するべきトナー性能(オフセット防止性)を発現する樹脂も記載されており、さらに、単量体含有量についての低減方法及び定着用樹脂の「臭気」に関する記載は一切ない。
したがって、引用例1の記載内容から、当業者が、本件周知技術課題についての知見を得ることは不可能である。
イ 引用例5について 本件決定が、引用例5(甲6)に基づいて、本件周知技術課題を認定したことも誤りである。
すなわち、本件決定が、同引用例について摘示する「単量体残留率が高いと分散剤除去時の凝集化、トナーになってからの臭い、帯電性不安定、軟化温度のばらつきの原因となる」(10頁)との記載は、懸濁液中の単量体の残留率であり、本件で問題とされているトナー用樹脂中の単量体の残留率とは無関係である。
この点については、前判決の理由中でも正しく認定されており、本件決定は、先に指摘したように、前判決の拘束力違背という違法を犯すとともに、実体的にも誤った認定をしている。
ウ 引用例3及び4について @ 引用例3(甲4)及び4(甲5)の示唆する知見 本件決定は、引用例3及び4についても、本件周知技術課題が記載されていると認定し、さらに、引用例3について、「刊行物3記載のアルカリ・溶剤処理方法では、処理時間を長くすればするほど、残存単量体(モノマー)の合計量が少なくなり、それに伴って、不快臭気が少なくなる」(12〜13頁)ことが記載されていると認定したことも誤りである。
すなわち、引用例3には、「単量体(モノマー)の合計量が少なくなるに従って不快臭気が少なくなる」という記載ないし示唆はなされておらず、引用発明3及び4は、トナー用樹脂の「不快臭気の改善」及び「電気的性質の改善」の2点を解決課題とするものであり、「不快臭気の改善」のみを課題とするものではない。
また、両発明は、不快臭気の原因を「不純物」とするが、その不純物として、「単量体」のみならず、「単量体を重合して得られる樹脂に一般に残存する未反応の単量体、原料より持ち込まれた不純物、重合中に生成、特に重合開始剤の分解により生成した不純物などが考えられる」、「単量体を重合して得られる樹脂に一般に残存する未反応の単量体、原料より持ち込まれた不純物、重合中に副反応により生成する不純物」等の単量体以外の各種の不純物を挙げており、引用発明3におけるこれら不純物の除去方法を検討すると、残存「単量体」の除去よりはむしろ、「主として酸性不純物」の除去が意図されている。
しかも、引用例4の全実施例を残存単量体の量の少ない順に並べた添付別表3と、同全実施例を酸価の値の少ない順に並べた添付別表4とを比べてみると、「残存単量体の量」と「臭気改善効果」の間には全く相関関係が見られず(残存モノマー量が340〜350ppmと300ppmとを比較しても、臭気に関する効果は完全に飽和状態にあり、残存モノマー量を低減させることにより臭気が改善されることは何ら開示されていない。)、全般的には、「酸価の値」の方が「臭気改善効果」に対してより関連性があることが示されている。また、引用例3の全実施例を残存単量体の量の少ない順に並べた添付別表1と、同全実施例を酸価の値の少ない順に並べた添付別表2とを比べてみると、酸価の量と残存単量体の量が同期して減少しているため、臭気改善効果との関連において大きな傾向の差は見られない(なお、引用例3及び4によると、残存モノマー量を300ppm以下にすることによりオフセット防止性が著しく低下することが明らかである。)。
これらのデータも含めて考えると、当業者は、引用発明3及び4からは、残存単量体ではなく、むしろ「酸価の値」を制御することが「臭気改善」に影響を与えるとの示唆を受けることが明らかであり、「単量体」の含量を、「不快臭気」の改善のために制御するとの示唆を受けるものではない。
A 引用発明3が示唆する単量体の適正量 本件決定は、引用例3の表-9の樹脂R-66(残存単量体270ppm)及び樹脂R-67(残存単量体240ppm、以下「R-66、67」という。)が臭気を含む各項目の評価が◎であることを指摘し、「残存単量体濃度を300ppm未満にすることにより不快臭気が改善されることが理解される。したがって、特許権者の「当業者は、残存単量体濃度をオフセットの観点から300ppm以上にとどめておくべきであり、臭気改善についてもこれで充分であるとの示唆を受ける」という主張は、上記の表-9及びそれに関する記載と相反するものであって、根拠がないものである」(15〜16頁)と判断するが、同引用例において、トナーが凝集する等の問題を発生することなく、最も優れた評価がトナー性能及び不快臭気の改善の両方に与えられた樹脂は、いずれも残存単量体濃度が「300〜370ppm」の樹脂であるから、誤りである。
すなわち、R-66、67は、臭気を含む各項目の評価が◎であるが、いずれも「凝集」に問題があり、当業者がR-66、67を適切な樹脂として採用するであろうとの認定は、「凝集」というトナー性能上の重大な特性に欠けるという点を看過した、当業者の技術常識に反する不合理な認定である。また、引用発明3が提案する電気的性質と臭気改善の2つの作用効果を満足すべきトナー用樹脂を考慮する通常の当業者であれば、酸価の値を考慮するとともに、残留単量体濃度については、添付別表1からも明らかなように、「310〜370ppm」の範囲にするべきであるとの示唆を受けると考えるのが極めて自然である。
さらに、R-66、67は、原告らが最優良の樹脂として指摘する残留単量体濃度が300ppm以上の樹脂と比較して、臭気改善の点の評価は同じ◎であって、300ppm未満のものがそれ以上のものと比較して臭気の点で改善されている事実はないから、この点からも、臭気改善には残存単量体濃度を300ppm以上にとどめれば十分であるとの示唆を受けるのが自然である。
B 引用発明4が示唆する単量体の適正量 本件決定は、引用例4の表-5のR-32と26、表-7のR-56と60とをそれぞれ比較した原告らの主張に対しても、「これらの記載から、表-5の樹脂R-32(Tgが46℃)のトナー性能が悪くなっているのは、Tgの低下によるものであることが理解される。したがって、特許権者の「表-5の樹脂R-32のトナー性能が悪くなっているのは残存単量体濃度の減少による」との主張は、根拠のないものである。」(16〜17頁)、「これらの記載から、表-7の樹脂R-56(スチレン含量0部)のトナー性能が悪くなっているのは、スチレン含量の低下(0部)によるものであることが理解される。したがって、特許権者の「表-7の樹脂R-56(270ppm)のトナーの性能が悪くなっているのは残存単量体濃度の減少による」とする主張も、根拠のないものである。」(17頁)と認定判断するが、誤りである。
まず、特許権者である原告らは、R-32(250ppm)、R-56(270ppm)の樹脂のトナー性能が悪いと主張しているのであって、その原因について「残存単量体の含量が原因である」との主張はしていないから、本件決定の判断は、特許権者の主張を曲解している。
そして、「当業者は、残存単量体濃度をオフセットの観点から300ppm以上にとどめておくべきであり、臭気改善についてもこれで充分であるとの示唆を受ける」との原告らの主張の正しさについては、添付別表3から明らかである。すなわち、同表から、残存単量体含量が250〜300ppmの樹脂の性能が、残存単量体含量310〜390ppmのそれと比較して劣っていることは明白であり、当業者であれば、引用発明4から、臭気改善には残存単量体濃度を300ppm以上にとどめれば十分であるとの示唆を受けるのがごく自然である。
C プロセス面・コスト面での不利益について 一般に残存単量体を低減することは、当業者にとってプロセスの付加を意味し、コスト面の不利益を想定するのが通常である。したがって、あえて残存単量体を更に減少させようとする動機を与えるには、残存単量体200ppm以下という極端な少量の構成を取ることについての、明瞭かつ顕著な利点を想起させる実証データや示唆が必要である。しかし、引用発明3及び4には、更なる単量体の低減方法は一切提案されておらず、むしろ、両発明が開示するデータによれば、単量体含量を300ppm以下とすることの不利益性が明示されているのであるから、残存単量体を200ppm以下とすることへの示唆を含むものとはいえない。
それにもかかわらず、引用例3及び4から、本件発明に容易に想到することができるとした本件決定の判断は、上記引用例に記載のない「残存単量体は無限に低減させるべきことが明らかである」という観点に基づくものであり、本件発明によって残存単量体200ppm以下で有用なトナー用樹脂が実現可能となった後のいわば後知恵による判断である。
(3) 組合せ阻害事由の看過(取消事由3) 本件決定が、「刊行物6にトナー用樹脂として用いることの開示はなくとも、刊行物6記載の発明を、刊行物3及び4に記載された発明に適応して、残存モノマー量を200ppm以下とする程度のことは、当業者であれば容易になしうることである」(13頁)と判断したことは誤りである。
ア 引用発明6の方法を引用発明3及び4に適用する動機づけの不存在 本件決定は、引用発明3及び4に本件周知技術課題が開示されていることを前提として、引用発明6を引用発明3及び4に適応させることが、当業者にとって容易になし得ると判断するが、前述したように、引用発明3及び4に本件周知技術課題の開示はなく、「残存単量体を300ppm半ばくらいまで低減させれば臭気改善は充分なされるのであり、それ以上に低減させても臭気は改善されるものではなく、むしろオフセット性のようなトナー性能を悪化させるだけである」との示唆がなされているにすぎない。また、引用例1及び5にも、本件周知技術課題の開示はなされていない。
したがって、当業者において、引用発明3及び4の方法に引用発明6の方法を適用し、それ以上に残存単量体の量を減少させねばならないという動機づけ自体が存在しない。
イ さらに、以下に述べるように、引用発明6の方法を引用発明3及び4の方法に組み合わせること自体、技術的に極めて困難である。
@ 引用発明6の樹脂はトナー用樹脂ではないこと 引用例6の実施例2に記載された、残存単量体の含量が43ppmのスチレンとアクリル酸ブチルからなるポリマーのビーズは、組成自体は本件発明のトナー用樹脂と同等の組成を有するが、あくまで「成形材料としての樹脂」であって、トナー用樹脂ではない。トナー用樹脂は、「成形材料としての樹脂」とは異なり、特殊な用途の樹脂というべきものである。
A 引用発明6の方法がトナー性能を阻害すること 引用発明6の残存単量体低減方法は、重合後の樹脂、つまり一旦製造されたポリマービーズに事後に非イオン界面活性剤を大量に添加して蒸留する方法であるが、トナー製造時に使用する界面活性剤が、トナーの耐湿性や帯電性を低下させる原因となることは周知であり(甲13、15、16、20〜28)、当業者が引用発明6をトナー用樹脂に適用することはあり得ない。
この点については、前決定は、引用例6について、「非イオン界面活性剤またはポリプロピレングリコールあるいはその誘導体を用いてモノマー残存量を低減させた樹脂は、樹脂中に非イオン界面活性剤またはポリプロピレングリコールあるいはその誘導体が残留してしまい、帯電特性や高湿環境での複写特性などにおいてトナーとしての適性がないものとなってしまうことは充分予想されることであるから、刊行物5に記載された残存モノマー低減方法を、トナー用樹脂に適用する動機付けが存在しない」と記載しており、同じ特許庁が、同じ特許の成否の判断において、前後矛盾する判断をしている。
B 引用発明6における界面活性剤除去の困難性 本件決定は、前記引用例6の実施例2のビーズが、濾別及び洗浄の工程を経て得られるので、界面活性剤や分散安定剤は除去され、これらがポリマー粒子中に含まれることはないとし、「特許権者の「刊行物6に記載された樹脂は、非イオン界面活性剤またはポリプロピレングリコールあるいはその誘導体を必須成分として含むものである」という主張は、採用することができない」(17頁)と判断するが、誤りである。
なぜなら、特開昭56-154738号公報(甲13)に記載されるように、ポリマー粒子(樹脂)の濾別及び洗浄を十分に行ったとしても、界面活性剤や分散安定剤を完全に除去することが極めて困難であったことは周知である(甲20〜28)。また、前記引用例6の実施例2のどこにも、ポリマー粒子(樹脂)を濾別及び洗浄したという記載はない。
(4) 顕著な作用効果の看過(取消事由4) 本件決定は、本件発明の「耐塩ビ可塑剤性」について、引用例8を摘示して「本件発明は、トナーに要求される公知の該特性を単に確認したにすぎない」(13頁)と判断するが、誤りである。
すなわち、同引用例には、トナーの性能の1つとして、耐塩ビ可塑剤性が要求されるという事実が記載されているにすぎず、残存モノマー量と耐塩ビ可塑剤性とがどのような関係を有するかといった事柄については、一切記載がない。
本件特許の出願当時、残存モノマー量がトナーの耐塩ビ可塑剤性に影響を与えることは、何人も予期し得なかった効果であり、引用例8のみならず、引用発明1、3ないし6のいずれにも当該効果についての記載や示唆はないから、この点においても本件発明の進歩性がある。
3 被告の反論の要点 本件決定の認定・判断は正当であり、原告ら主張の取消事由は、いずれも理由がない。
(1) 取消事由1について 前判決の理由中の判断における引用例5に関する認定部分は、「なお、」から始まる傍論として記載されたものであり、判決の既判力の対象にならないものであることが明らかである。
したがって、本件決定が、同引用例を進歩性判断の証拠として引用した点に違法性はない。
(2) 取消事由2について ア 引用例1について 本件決定が摘示した引用例1の記載(1g)(5頁)によれば、該記載中の低分子量物質に「溶媒」及び「単量体」が含まれることは明らかで、少なくともトナー性能を低下させる原因の1つとして残存モノマーが記載されていることは明らかである。
また、引用例1に、単量体の含有量を低減する方法の記載がないことは認めるが、本件発明はトナー用樹脂そのものに係る発明であり、該樹脂の製造方法に係る発明ではない。本件決定が、引用例1を引用した趣旨は、トナー性能の低下を防ぐ目的からも、単量体(残存モノマー)をできるだけ少なくすることが、既に公知であったことを明らかにするものであるから、同引用例に単量体低減方法が記載されているか否かは問題ではない。なお、同引用例に、臭気に関する記載がないことは認める。
イ 引用例5について 原告らは、引用例5の「残留単量体濃度」がトナー製造時の懸濁液中の濃度を意味すると主張するが、トナーは、懸濁液を懸濁重合させた後、得られた重合体について、酸洗浄及び水洗を行い、それを乾燥させてトナーとするものであるから、懸濁液は完全に取り除かれ、トナーには残留していないのである。
したがって、同引用例の「トナーになってからの臭い、帯電性不安定、
軟化温度のばらつき」が、懸濁液中に残留する単量体が原因となって生ずるはずはなく、トナーとなった後の重合体中、すなわち、トナー用樹脂中に残留する単量体が原因となって生ずるものであることは明白である。
ウ 引用例3及び4について @ 引用例3及び4の示唆する知見 本件決定は、引用例3及び4に、残存モノマーの量のみを制御して臭気を改善することが記載されているとしているのではなく、残存モノマーが臭気の原因となること、及び残存モノマーを減少させることが記載されているとした上で、引用例3では残存モノマーを210ppmまで減少させた例が、引用例4では残存モノマーを260ppmまで減少させた例が記載されているとしたものである。
仮に、原告らが添付別表4を示して主張するように、不快臭気の原因が「残存単量体」による影響よりも「酸価(あるいは酸性不純物)」による影響がより大きいとしても、不快臭気及び電気的性質の低下を防止するには、「残存単量体」の含量を減少させることが必要であることが示唆されていることは明らかである。
A 引用発明3が示唆する単量体の適正量 引用例3のR-66、67は、表-9の備考欄に「実施例」と明示されていることからみて、いずれも引用発明3の実施例である。また、同引用例のいずれにも、「300〜370ppm」の範囲がよい旨の記載はない。
原告ら作成の添付別表1は、引用発明3の特徴である、不純物除去方法や使用する樹脂を無視して、「残存モノマー量」に従って並べ替えたものにすぎない。同引用例において、アルカリ及び/又は有機溶剤の処理条件が異なる以外はすべて同じ条件で製造した、樹脂R-1ないし19及びR-56ないし58の結果を、残存単量体の少ない順から並べた添付表Aによれば、残存モノマー量と臭気の間に相関があることが理解される。
本件決定が摘示した引用例3の記載(3h)(6頁)及び(3j)(7頁)によれば、引用発明3のアルカリ・溶剤処理方法では、処理時間を長くするほど残存単量体の合計量が少なくなり、それに伴って不快臭気が少なくなるが、時間を長くすればするほど樹脂が加水分解するために、トナーとしての電気的性質及び加熱ローラー定着方式におけるオフセット性が低下するという、技術的な限界があることが理解できるのであって、300ppm以上にとどめておくべきであるというものではない。
B 引用発明4が示唆する単量体の適正量 引用例4のどこにも「310〜390ppm」の範囲がよいとの記載はなく、300ppm以下の樹脂であるR-19、33、54、56のいずれも、
引用発明4の実施例である。
原告ら作成の添付別表3は、引用発明4の特徴である不純物除去方法や使用する樹脂を無視して、「残存モノマー量」に従って並べ替えたものにすぎない。同引用例における有機溶剤の処理条件が異なる以外は、すべて同じ条件で製造した樹脂R-1ないし10及びR-17ないし20の評価結果を、残存単量体の少ない方から順に並べた、被告作成の添付表Bによれば、残存モノマー量と臭気との間に相関があることが理解される。
C プロセス面・コスト面での不利益について 以上のとおり、引用例3及び4の方法によれば、残存単量体を210ppm、260ppmまで減少できることが開示されている。一方、トナー用樹脂において、残存単量体をできるだけ少なくすることが、本件優先日当時、既に公知であったことも、前記のとおりである。
したがって、引用例3及び4には、更なる残存単量体の低減方法に関する記載はないものの、200ppm以下のものが引用例6に記載され、しかも、
同引用例を適用する阻害要因はないのであるから、残存単量体を引用例3及び4に記載された210ppm、260ppmより更にできるだけ少なくする点に困難性は見出せない。
また、残存単量体の低減方法は、引用発明3、4及び6のいずれも重合が実質的に終了した後の工程として行う点で差異はなく、引用発明3及び4が特定の「アルカリ・溶剤処理」あるいは特定の「溶剤処理」であるのに対して、引用発明6は、特定条件下での「蒸留」である点で相違するにすぎないから、引用発明6の方法が、引用発明3及び4と比較して、プロセス・コスト面での格別な不利益があるものでもない。
(3) 取消事由3について ア 引用発明6の方法を引用発明3及び4に適用する動機づけの不存在 トナー用樹脂において、残存単量体をできるだけ少なくすることが本件優先日当時、すでに公知であった以上、当業者であれば、更なる単量体の低減を目指すことは当然であり、動機づけが存在しないということはない。
イ@ 引用発明6の樹脂はトナー用樹脂ではないこと 引用例6には、用途を成形材料に限定する記載はない。また、特開昭49-115144号公報(乙3)には、トナー用樹脂の原料として、ペレット状にした樹脂を用いることが記載されている。
したがって、引用例6に「ペレット」なる記載があることをもって、
トナー用樹脂としての用途を排除するものとはいえない。
A 引用発明6の方法がトナー性能を阻害すること 引用例8には、「ここで、洗浄することは、粒子に付着した乳化剤を完全に除くうえで好ましく、これにより、上記塩析と共に、帯電安定性、ブロッキング性を改善することができる。洗浄は、40〜60℃の温水で行なうのが好ましい。」と記載されており、これと同様の記載は、甲15、16号証にも存在する。
これらの記載を考慮すれば、本件優先日当時、トナー製造時には、少なすぎることも多すぎることもなく、適量の界面活性剤(乳化剤)を使用すべきこと、及び製造時に適量使用された界面活性剤は、トナーの特性に悪影響を及ぼさない程度まで完全に取り除くことができることが技術水準であったといえる。
なお、前決定は、本件特許の請求項4〜6に記載された発明(以下「本件第2発明」という。)が、引用発明6に基づいて容易に発明をすることができたものではないとする根拠を記載したものであるが、正しくは、「本件第2発明は、残存モノマーを200ppm以下とするトナー用樹脂の製造法に係る発明であって、水蒸気として溜去する水の量を「重合終了時の水量に対して5〜50重量%」とする点を構成要件の1つとするものである。これに対し、引用発明6は「蒸留する」というだけで、溜去する水の量を特定する記載がないばかりでなく、同発明では「懸濁分散剤、および非イオン界面活性剤またはポリプロピレングリコールあるいはそれらの誘導体の存在」をその構成要件としているのに対し、本件第2発明では、これらの存在を構成要件としていない点で両者は異なっており、引用発明6からでは、溜去する水の量を「5〜50重量%」とする本件第2発明の構成を導き出すことはできない」と記載すべきであった。
本件発明は、トナー用樹脂の製造法ではなく、トナー用樹脂自体の発明であるので、上記容易でないとする根拠が採用できないことは自明である。
B 引用発明6における界面活性剤除去の困難性 引用例6の実施例1には、「ジャケットに蒸気を通じながらコンデンサーを通じてスラリーの蒸留を行ない、攪拌を行ないながら6.2kgの留出水が得られたところで冷却し、ポリマー粒子を濾別し、洗浄、乾燥して平均粒径0.42mmのポリマー粒子を得た。この粒子中の残存モノマーはメタクリル酸メチル0.012%、アクリル酸メチル0.003%で、蒸留操作により大巾に減少していることがわかった。」と記載されている。また、同実施例2には、「4.9kgの水を留出せしめたところで冷却し、製品ビーズを得た。」と記載されるのみであるが、ビーズのスラリーから一部の水を留出後、冷却したのみでは、未だ水分が残っており、直ちに製品ビーズが得られることはないから、実施例2においても実施例1と同様に、冷却後、濾別し、洗浄、乾燥して製品ビーズとしていることは自明である。
また、引用例8の前記「ここで、洗浄することは、粒子に付着した乳化剤を完全に除くうえで好ましく」との記載(甲15、16も同様)によれば、本件優先日当時、製造時に用いた界面活性剤は、トナーの特性に悪影響を及ぼさない程度まで完全に取り除けるというのが技術水準である。
そうすると、引用発明6の実施例2で得られたポリマー粒子に、仮に界面活性剤が残留していたとしても、トナー用樹脂を製造する際にそのような界面活性剤を除去することは当然になすことである。なお、本件発明は、トナー用樹脂に係る発明であって、方法に係る発明ではないから、残存モノマーが200ppm以下であれば、引用発明6の方法で残存モノマーを低減させた樹脂をも包含するものである。
(4) 取消事由4について 本件決定が摘示した引用例8の記載(11頁)及び引用発明8の「耐塩ビ汚染性」が、本件発明の「耐塩ビ可塑剤性」に該当することから、スチレン、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等を主要成分とするトナーにおいて、「耐塩ビ汚染性(耐塩ビ可塑剤性)」がトナーとして要求される特性であることは、本件優先日当時、既に公知であったことは明らかである。
また、同引用例の発明の効果に関する、「特に、クリーニング性、帯電安定性、ブロッキング性に優れ、さらに耐塩ビ汚染性及び安定性にも優れた乾式現像に適した電子写真用トナーを得ることができる。」との記載及び実施例と比較例のトナー特性を評価する表-2からみて、同引用例には、「耐塩ビ汚染性」と残存モノマーの関係についての直接的記載はないものの、重合性単量体がトナー中に残留すると、トナー特性を悪くすることが記載されていることも明らかである。
なお、本件発明が、不快臭気及び耐ブロッキング性のみならず、耐塩ビ可塑剤性の観点から「200ppm以下である」という構成を見出したものであっても、その構成自体が、前述のとおり容易である場合、容易想到性の根拠となった引用例に、「耐塩ビ可塑剤性」と「残存モノマー」の関係について記載されていないというだけで、本件発明の特許性が正当化されることがあってはならない。
当裁判所の判断
1 前判決の拘束力違反(取消事由1)について (1) 原告らは、本件決定が、本件発明の進歩性を判断する資料として引用する引用例5について、同引用例が本件発明の進歩性判断の資料となし得ないことについては、前判決中で明示されているから、判決の拘束力に違背する明確な法律違反がある本件決定は、取り消されるべきであると主張する。
確かに、前決定を取り消した前判決(甲12)においては、「(2) なお、
甲第7号証(注、本訴甲6)によれば・・ここでいう単量体の残留は懸濁液中における残留であることは明らかである。したがって、刊行物1(注、本訴引用例5)の実施例1に記載されている残留単量体量も、重合が行われた懸濁液中に残留する単量体の量を意味しているのであって、得られたトナー中に残留する単量体の量を意味しているものではないと解される。(3) したがって、刊行物1の実施例1には、残留モノマー量が50ppmである静電荷像現像用トナーが記載されているとした決定の認定は誤りであり」(22頁)と判示されており、この部分に関して行政事件訴訟法33条1項所定のいわゆる拘束力が働くものと認められるから、本件決定において上記判示に反する認定判断を行うことは許されない。
この点について被告は、上記判示が、「なお、」から始まる傍論として記載されたものであり、判決の既判力(拘束力の誤りであると解される。)の対象にならない旨主張するところ、前判決は、取消事由2として引用例5の記載内容の解釈の誤りを判断する部分において、上記判示をしており、結論として、引用例5の実施例1に残留モノマー量が50ppmである静電荷像現像用トナーが記載されているとした前決定の認定は誤りであるとするものであるから、当該判示は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであって、拘束力を有することが明らかであり(最高裁平成4年4月28第3小法廷判決・民集46巻4号245頁参照)、被告の上記主張は、採用することができない。
ただし、本件決定は、「トナー用樹脂中の残存モノマーが多いと、溶融時と定着時の不快な臭気の発生ばかりでなく、トナーの性能の低下につながること」(12頁)が、引用例3及び4ばかりでなく、引用例1及び5にも記載されていると判断した上、引用例1及び5の記載を引用し、これらの引用例に基づいて、「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、不快な臭気発生を防ぐとともに、トナー性能を向上させることは、本件出願前から周知の技術課題である」(同頁)として本件周知技術課題を認定するものであるから、トナー用樹脂中の残存モノマー量が50ppmであることを開示するものではない引用例5を除外しても、他の引用例等により本件周知技術課題が認定できるとすれば、本件周知技術課題を前提とした本件決定の判断に誤りはないこととなる(引用例5が、本件決定の他の判断に用いられていないことは明らかである。)。
したがって、本件周知技術課題の認定に誤りがあるか否か(取消事由2)を、以下に検討することとする。
2 周知技術課題の誤認(取消事由2)について (1) 引用例1について ア 原告らは、本件決定が、引用例1(甲3)に基づいて、本件周知技術課題を認定したことが誤りであると主張する。
同引用例には、「樹脂中に含まれる樹脂合成用の溶媒や単量体が0.1重量%未満にすることが、本発明の達成に不可欠であることを見い出したのである。この様な樹脂を用いれば、加熱ローラー表面にシリコンオイルを供給しなくてもオフセットが防止でき、合わせて定着性、保存性、流動性、耐刷性に優れた磁性トナーを得ることができる。」(2頁左下欄)と記載されており、実施例5のA-5には、溶媒であるメチルエチルケトンが0.0重量%、単量体の合計が0.55重量%のトナー樹脂が、定着性や耐刷性に優れたものであることが開示されているが、トナー樹脂中の単量体の低減方法や合成されたトナー樹脂の臭気に関する記載は見受けられない。
上記の記載等によれば、引用発明1には、トナー樹脂中の溶媒か単量体のいずれかを0.1重量%未満、すなわち、1000ppm未満とすることにより、オフセット防止性、定着性、保存性、流動性及び耐刷性などのトナー性能に優れたトナー用樹脂を得ることができることが開示されていると認められるが、被告も認めるように、臭気改善の面から単量体含量を低減させることは開示されていないから、引用発明1に基づいて、本件周知技術課題のうち、「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、トナー性能を向上させること」は、本件優先日前から周知の技術課題であると認められるが、「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、不快な臭気発生を防ぐ」ことは認めることができない。したがって、原告らの上記主張は、この限度において理由がある。
イ なお、原告らは、引用例1には、満足するべきトナー性能を発現するために、「溶媒もしくは単量体の何れか」を0.1重量%未満にすればよいということが記載されていること、上記実施例5のように単量体の含有量が「多量の場合」であっても満足するべきトナー性能を発現する樹脂も記載されていること、単量体含有量についての低減方法に関する記載はないことを理由に、上記周知技術課題の認定が誤りであると主張する。
しかしながら、前示のとおり、引用例1に、トナー樹脂中の溶媒か単量体のいずれか一方を0.1重量%未満とすれば、トナー性能に優れたトナー用樹脂を得られることが記載されている以上、「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、トナー性能を向上させること」が開示されていると認定できることは明らかである。また、このような引用発明1において、単量体の含有量が多量であっても溶媒が0.0重量%である実施例が、トナー性能に優れた面を有することは当然のことであり、当該実施例が上記の周知技術課題を否定する根拠となり得ないことも明らかである。さらに、「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させることによりトナー性能を向上させる」という技術課題を認定する際に、その残留モノマーの低減方法が常に具体的に開示される必要がないことはいうまでもない。したがって、
原告らの上記主張を採用する余地はない。
(2) 引用例3及び4について ア 引用例3及び4の示唆する知見 (a) 原告は、本件決定が、引用例3及び4について、本件周知技術課題が記載されていると認定したことが誤りであると主張する。
そこで、検討するに、引用例3及び4は、いずれも原告三菱レイヨン株式会社の特許出願に係る特許公開公報であり、引用発明3は、引用発明4の後願に係るいわゆる改良発明に属するものと解されるが、引用例3(甲4)には、「本発明は・・・トナーの結着剤として溶融時の不快な臭気が少なく、かつ電気的性質が優れたトナー用樹脂の製造法に関する。」(1頁右下欄)、「本発明者らは溶融時の不快臭気とトナーの電気的性質を低下させる原因について調査したところ、・・・樹脂中に含まれる不純物が原因であることが分った。この不純物には、
単量体を重合して得られる樹脂に一般に残存する未反応の単量体、原料より持ち込まれた不純物、重合中に生成、特に重合開始剤の分解により生成した不純物などが考えられる。」(2頁右下欄)、「本発明で最も重要なことは、重合が実質的に終了した後、アルカリ金属の水酸化物とSP値が11ないし15の有機溶剤を重合系に添加し、得られる樹脂のTg以上の温度で、樹脂が加水分解しない範囲のアルカリ・溶剤処理をすることにより溶融時の不快臭気となり、またトナーの電気的性質に悪影響を及ぼす不純物を除去することにある。」(5頁左上欄)、「本発明においては主として酸性不純物を除去するアルカリ処理と酸性不純物はもちろんのこと酸性でない不純物、たとえば残存単量体を除去する溶剤処理を組合わせ、両者の効果を複合することにより悪影響を及ぼす不純物を十分に除去することに特徴がある。」(6頁右上欄)と記載されている。また、引用例4(甲5)にも、上記1頁右下欄、2頁右下欄及び5頁左上欄とほぼ同様の記載がある。
上記の各記載並びに引用例3及び4の実施例等によれば、引用発明3及び4は、トナー用結着樹脂の溶融時と定着時の不快臭気と電気的性質低下の原因が不純物であることを開示し、当該不純物として、単量体重合後に残存する未反応の単量体などを指摘しており、特に、引用発明3においては、当該不純物である酸性不純物を除去する方法としてアルカリ処理が、残存単量体を除去する方法として溶剤処理がそれぞれ提案され、両方法を組み合わせることにより、当該不純物を除去する点に特徴があるものと認められる。
そうすると、引用発明3及び4には、本件決定が認定したように「トナー用樹脂中の残存モノマーが多いと、溶融時と定着時の不快な臭気の発生ばかりでなく、トナーの性能の低下につながること」(12頁)が開示されており、この開示に基づいて本件周知技術課題が認定できることは明らかであるから、これに反する原告らの上記主張は、採用することができない。
(b) 原告らは、引用例3には、「単量体(モノマー)の合計量が少なくなるに従って不快臭気が少なくなる」という記載ないし示唆はなされておらず、引用発明3及び4は、トナー用樹脂の「不快臭気の改善」及び「電気的性質の改善」の2点を解決課題とするものであり、「不快臭気の改善」のみを課題とするものではないと主張する。
しかしながら、単量体の合計量が少なくなるに従って不快臭気が少なくなることまでが具体的に明記されていないとしても、単量体の存在が不快臭気の原因となりそれを除去すべきことが明示されている以上、本件周知技術課題が認定できることはいうまでもない。また、引用発明3及び4が、トナー用樹脂の「不快臭気の改善」及び「電気的性質の改善」の2点を解決課題とするものである以上、本件周知技術課題が認定できることは当然であり、原告の主張は失当というほかない。
(c) また、原告らは、引用発明3及び4が、残存「単量体」の除去よりはむしろ、「主として酸性不純物」の除去を意図していると主張する。
しかしながら、引用例3及び4においては、前示のとおり、不純物として、まず、「単量体を重合して得られる樹脂に一般に残存する未反応の単量体」を筆頭に明記しており、酸性不純物の除去に重点を置いた記載は認められず、しかも、引用発明3が、酸性不純物の除去のためのアルカリ処理と残存単量体の除去のための溶剤処理との組合わせに発明の特徴があるとされていることなどからみても、両発明が、客観的に残存単量体の除去より酸性不純物の除去を意図しているとは、到底、認めることができず、原告らの上記主張は、あまりにも独自の見解であって、これを採用する余地はない。
(d) さらに、原告らは、引用例4に関する添付別表3と添付別表4とを比較し、「残存単量体の量」と「臭気改善効果」の間には全く相関関係が見られず、全般的には、「酸価の値」の方が「臭気改善効果」に対してより関連性があることが示されており、引用例3に関する添付別表1と添付別表2とを比較してみても、酸価の量と残存単量体の量が同期して減少しているため、臭気改善効果との関連において大きな傾向の差は見られないと主張する。
ところで、上記添付別表1ないし4は、引用発明3及び4の各表に掲げられたすべての実施例及び比較例(引用発明3では54例、引用発明4では42例)を、残存単量体の量又は酸価の値のみを基準として整序させた一覧表であるところ、これらの各表は、アルカリ・溶剤処理の有無、温度、時間及びそのための添加剤組成等並びに単量体組成割合がそれぞれ異なるものであるから、各々の表が独立して技術的意義を有するものである。そうすると、それらをすべて無視し、残存単量体の量又は酸価の値のみを基準として一覧表化してみても、当該基準以外のトナー樹脂の性能に影響を及ぼし得る技術的要因が異なる以上、当該基準についてトナー樹脂の性能に関する一定の傾向を導き出すことは困難であるといわざるを得ない。例えば、単量体組成が異なれば、不快臭気の一因とされている各単量体の配合量が、重合反応開始前から相違しているのであるから、反応終了後、洗浄等の工程を経た樹脂においても、残存単量体の組成と残存量及び副反応で生成する臭気原因物質の種類や量等が相違するのは当然であり、それらを無視して、残存単量体の量又は酸価の値のみを基準として製造されたトナー樹脂の性能を比較してみても、技術的に意義のある結論を正確に導き出すことは困難である。
そして、各表に記載された結果は、不純物である残存単量体や酸性不純物を除去するため、アルカリ処理や溶剤処理を行うことにより、溶融時等の不快臭気と電気的性質低下という技術課題の改善が実現されたことをそれぞれ裏づけるものであり、これらの各表の結果を総合的に考察すれば、「単量体の合計量が少なくなるに従って不快臭気が少なくなる」という傾向を把握することができるものである。例えば、引用例3及び4の表-5は、単量体組成割合が異なる6つのものについて、アルカリ・溶剤処理の有無による変化を調査したものであるが、6つの異なる成分すべてについて、アルカリ・溶剤処理を施した場合の方が、処理なしのものよりも残存単量体の合計の数値が低く、不快臭気についても、処理なしのものはすべて×で比較例とされているのに対して、処理ありのものはすべて◎であって、実施例とされており、アルカリ・溶剤処理によって、残存単量体の合計の数値が低くなるとともに、不快臭気とトナー性能についても技術課題を解決していることが認められる。
したがって、添付別表1ないし4に基づき、引用発明3及び4では残存単量体の量と臭気改善効果の間には相関関係が見られないなどとする原告らの主張は、採用することができない。
イ 引用発明3が示唆する単量体の適正量 原告らは、引用発明3が提案する電気的性質と臭気改善の2つの作用効果を満足すべきトナー用樹脂を考慮する通常の当業者であれば、酸価の値を考慮するとともに、残留単量体濃度については、添付別表1からも明らかなように、「310〜370ppm」の範囲にするべきであるとの示唆を受けると主張する。
しかしながら、添付別表1は、前示のとおり、アルカリ・溶剤処理の有無、温度、時間及びそのための添加剤組成等並びに単量体組成割合の相違を無視して、残存単量体の量のみを基準として一覧表としたものであり、このような添付別表1によって、一定の技術的傾向を導き出すことは困難である。仮に、残存単量体の量を基準として、その最適範囲を求めようとするのであれば、当該基準以外にトナー樹脂の性能に影響を及ぼすべき他の技術的要因はできるだけ同一とした上で、
その検討を行わなければならないことは、当然の技術常識であり、このように構成されたものでない添付別表1から有意義な技術的結論を導き出せないことは明らかである。さらに、引用発明3においては、前示のとおり、残存単量体を除去すべきことが開示されているのみであり、最適な残存単量体濃度が「310〜370ppm」の範囲であるような記載は皆無である。
したがって、原告らの上記主張は、到底、採用することができない。
また、原告らは、残留単量体濃度が300ppm未満のR-66、67が、原告らが最優良の樹脂として指摘する残留単量体濃度が300ppm以上の樹脂と比較して、臭気改善の点の評価は同じ◎であって、臭気の点で改善されている事実はないから、この点からも、臭気改善には残存単量体濃度を300ppm以上にとどめれば十分であるとの示唆を受けると主張する。
確かに、引用発明3において、残存単量体濃度が300ppm未満であってもそれ以上であっても、臭気改善の点の評価は同じであるが、添付別表1に基づいて、残存単量体濃度が300ppm以上とすべきであるとの結論が見出せないことは、前示のとおりである。そもそも、引用発明3は、臭気改善のために残存単量体を除去すべきことを明示するものではあるが、残存単量体の濃度をどのようにすべきであるかは問題とされておらず、まして、その濃度を300ppm以上とすべきであることなどが明細書中に全く記載されていないことは、引用例3に係る特許発明の出願人である原告三菱レイヨン株式会社は熟知しているところといわなければならない。原告らは、残存単量体濃度が300ppm未満のR-66、67が、凝集の点で問題があるから、当業者は、同濃度を300ppm以上とすべきであるとの示唆を受けるとも主張するが、これらの実施例にトナー樹脂として若干の問題があるとしても、それが残存単量体濃度を300ppm未満としたことに基づくものであるとの開示がなされていない以上、同濃度を一定の範囲にとどめるとの結論は論理的根拠を欠くものである。
以上のとおり、原告らの主張を採用する余地はない。
ウ 引用発明4が示唆する単量体の適正量 原告らは、添付別表3に基づいて、残存単量体含量が250〜300ppmの樹脂の性能が、残存単量体含量310〜390ppmのそれと比較して劣っていることは明白であり、当業者であれば、引用発明4から、臭気改善には残存単量体濃度を300ppm以上にとどめれば十分であるとの示唆を受けると主張するが、この主張を採用することができないことも、上記説示と同様である。
エ プロセス面・コスト面での不利益について 原告らは、引用発明3及び4に更なる単量体の低減方法は提案されておらず、両発明が開示するデータによれば、単量体含量を300ppm以下とすることの不利益性が明示されているから、更に残存単量体を200ppm以下とすることの示唆はないと主張するが、上記の説示に照らして、この主張を採用することができないことは明らかである。
したがって、また、引用発明3及び4に接した当業者にとって、プロセス面・コスト面での不利益からあえて残存単量体を更に減少させようとする動機がないとの原告の主張も、採用することができない。
(3) 以上のとおり、引用発明3及び4に基づいて本件周知技術課題を認定することができ、引用発明1からも「トナー用樹脂中の残存モノマーを低減させて、トナー性能を向上させること」が本件優先日前からの周知の技術課題と認められる以上、引用例5に基づいて本件周知技術課題を認定することが困難であるとしても、
このことは、本件決定を取り消すべき事由とならないというべきである。
3 組合せ阻害事由の看過(取消事由3)について (1) 引用発明6の方法を引用発明3及び4に適用する動機づけの不存在 原告らは、引用発明1及び3ないし5に本件周知技術課題の開示はないから、当業者において、引用発明3及び4の方法に引用発明6の方法を適用し、残存単量体の量を200ppm以下とするという動機づけが存在しないと主張するが、
少なくとも引用発明3及び4に本件周知技術課題が開示されていることは、前示のとおりであるから、上記主張は、その前提において誤りがあり、これを採用することはできない。
(2) 組合せの技術的困難性について ア 引用発明6の樹脂がトナー用樹脂ではないことについて 原告らは、引用例6の実施例2に記載された、残存単量体の含量が43ppmのスチレンとアクリル酸ブチルからなるポリマーのビーズが、「成形材料としての樹脂」であって、トナー用樹脂ではないことを理由に、引用発明6の方法を引用発明3及び4の方法に組み合わせることが技術的に困難であると主張する。
しかしながら、引用発明6の樹脂の組成自体が、本件発明と同等の組成であることは、当事者間に争いがないところ、引用例6(甲7)には、「残存モノマーが存在すると溶融混練加工の場合やポリマー溶液の調製時に臭気が発生する問題につながることから、できるだけ減少させることが望まれる。」(1頁右下欄)と記載され、その実施例2においては、残存モノマーとしてスチレン0.0025%、アクリル酸ブチル0.0018%で合計0.0043%、すなわち43ppmであったことが記載されている。
これらの記載等によれば、引用発明6は、本件発明に係るトナー用樹脂と同等の組成の樹脂が溶融時に発生する臭気の問題を、残存モノマー量を、例えば43ppmまで低減することにより解決したことが開示されているものと認められる。
そうであれば、引用発明3及び4や本件発明のようなトナー用樹脂においても、トナーの定着時等に樹脂が溶融することにより発生する臭気の問題を、引用発明6に開示された残存モノマー量の程度にまで低減して解決しようとすることは、当業者であれば容易に想到し得る事項と認められ、引用発明3及び4に引用発明6の方法を組み合わせることに技術的困難性がないことは明らかであるから、原告らの上記主張は、採用することができない。
イ 引用発明6の方法がトナー性能を阻害することについて 原告らは、引用発明6の残存単量体低減方法が、ポリマービーズに非イオン界面活性剤を添加して蒸留する方法であるところ、トナー製造時に使用する界面活性剤が、トナーの耐湿性や帯電性を低下させる原因となることは周知であり(甲20〜28)、当業者が引用発明6をトナー用樹脂に適用することはあり得ないと主張する。
しかしながら、引用例6自体において、非イオン界面活性剤について、
「使用量はポリマー100重量部に対し0.001〜1重量部の範囲が好ましい。・・・1重量部超えて用いても効果は増進せず、不経済であるうえ、ポリマー中に界面活性剤等が取り込まれ、汚染されるおそれがあるために好ましくない。」(2頁右下欄)と記載されており、引用発明6は、経済性や汚染防止の観点からみて、非イオン界面活性剤をごく微量に残存させることが好ましいことを前提としているものと認められる。しかも、特開昭60-73545号公報(乙4)には、非イオン活性剤、すなわち非イオン界面活性剤を添加した静電荷像現像用トナーが開示されており、また、特公昭60-30939号公報(乙5)には、オフセット防止性能に優れたトナーとするために、引用例6に開示された非イオン界面活性剤の1つである「ソルビタンモノステアレート」(甲7、2頁左下欄)を意図的に添加したトナーが開示されている(乙5、5頁9欄)。
そうすると、当業者は、引用発明6が、ごく微量の非イオン界面活性剤を添加し残存させているからといって、同発明に開示された技術を、トナー用樹脂へ適用することが困難であると認識するものではなく、原告らの上記主張を採用することはできない。
なお、原告らは、被告が、前決定における引用例6の認定と本件決定における同引用例の認定において、前後矛盾する判断をしていると主張するが、仮にそのような判断の相違があったとしても、当裁判所の上記判断が左右されるものでないことはいうまでもないから、上記主張を採用する余地はない。
ウ 引用発明6における界面活性剤除去の困難性 原告らは、本件決定が、引用例6の実施例2のビーズについて、濾別及び洗浄の工程を経て得られるので、界面活性剤や分散安定剤は除去され、これらがポリマー粒子中に含まれることはないと判断した(17頁)ことが誤りであると主張する。
確かに、引用発明6が、経済性や汚染防止の観点から、非イオン界面活性剤をごく微量に残存させることが好ましいことを前提としていることは、前示のとおりであり、原告らの主張は、その限度で理由がある。しかしながら、引用発明6が、ごく微量の非イオン界面活性剤を添加し残存させているからといって、同発明に開示された技術を、トナー用樹脂へ適用するに困難性が認められないことも、
前示のとおりであるから、当業者にとって、引用発明6の方法を引用発明3及び4に組み合わせることは、容易なことといわなければならない(なお、引用発明6の方法により残存モノマー量を200ppm以下に低減させたトナー用樹脂において、微量の界面活性剤を完全に除去することなく残存させていたとしても、本件発明の技術的範囲に属することに留意すべきである。)。
4 顕著な作用効果の看過(取消事由4)について 原告らは、引用例8には、トナーの性能の1つとして、耐塩ビ可塑剤性が要求されるという事実が記載されているにすぎず、残存モノマー量と耐塩ビ可塑剤性とがどのような関係を有するかについては記載がなく、残存モノマー量がトナーの耐塩ビ可塑剤性に影響を与えるという知見に基づく本件発明の有する効果は、引用例8のみならず、引用発明1、3ないし6のいずれにも記載や示唆のないものであり、この点においても本件発明の進歩性があると主張する。
この点について、引用例8(甲8)には、「発明が解決しようとする問題点」として、「一方、最近、トナーによって顕像、複写された紙を塩化ビニル樹脂のシートにはさんで保存する方法が盛んに用いられるが、該樹脂には必然的に可塑剤が含まれているため、従来からよく知られているトナー、例えば、ポリスチレン、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等を主要樹脂成分とするトナーが軟化し、紙に定着された画像が、上記シートに移行してしまうという問題があることがわかった。・・・本発明は、以上のような問題点を解決するものである。すなわち、従来のトナーの製造法における問題点を解決して、画像濃度、解像性、階調性が優れると共に、特に、クリーニング性、帯電安定性、ブロッキング性に優れた乾式現像に適した電子写真用トナーを製造でき、かつ、得られたトナーが、耐塩ビ汚染性に優れたものであるトナーの製造方法を提供するものである。」(2頁左下欄〜右下欄)と記載され、「問題点を解決するための手段」として、「この乳化重合は、重合率が99重量%以上になるまで進められるのが好ましく、特に99.9重量%以上になるまで進められるのが好ましい。重合率が小さく、残存モノマーが多くなるとトナーの特性、特に保存安定性が劣る傾向がある。」(3頁左下欄)、
「重合開始剤が少なすぎると重合性単量体が完全に重合せず、トナー中に残り、トナーの特性を悪くする。」(5頁左下欄)、「発明の効果」として、「特に、クリーニング性、帯電安定性、ブロッキング性に優れ、さらに耐塩ビ汚染性及び定着性にも優れた乾式現像に適した電子写真用トナーを得ることができる。」(12頁右下欄)と記載されており、引用例8に係る発明の実施例及び比較例のトナーの特性を対比した一覧表である表1及び2には、その最下段に、「耐塩ビ汚染性」の項目が設けられている。
上記記載等によれば、引用発明8では、本件発明の「耐塩ビ可塑剤性」に相当する「耐塩ビ汚染性」(この点は当事者間に争いがない。)が、トナー特性の1つとして明記され、残存モノマーが多くなると、「耐塩ビ汚染性」が劣る傾向があることを明示し、発明の効果として「耐塩ビ汚染性」に優れたものが得られることを開示しているものと認められるから、残存モノマーが少ないほど、「耐塩ビ汚染性」すなわち「耐塩ビ可塑剤性」も優れたものとなることを示唆することは明らかである(そもそも、特許を受けようとする発明において、異なる課題・用途から、
同一の構成が容易に想到できる場合は十分にあり得ることであるから、当該課題・用途自体が新規性を有するいわゆる「用途発明」などでない限り、容易に想到できる根拠とされた発明自体に当該課題・用途が明示されていないからといって、その構成が容易に想到される発明についてまで特許が認められるべき筋合いではない。
本件発明が、トナーの不快臭気及び電気的性質の改善のために、残存単量体の量を「200ppm以下」とする構成を採用したことが、当業者にとって容易に想到できることは、前示のとおりであるから、仮に、トナーの公知の1性質である耐塩ビ可塑剤性の改善が各引用発明に明示されていないとしても、そのことによって、本件発明の進歩性が裏づけられるものではない。)。
したがって、いずれにしても原告らの上記主張は採用することができない。
5 結論 以上のとおり、原告ら主張の取消事由にはいずれも理由がなく、本件発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、
これと同旨の本件決定には誤りがなく、その他本件決定にこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、原告らの本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 北山元章
裁判官 清水節
裁判官 上田卓哉