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関連審決 不服2017-12510
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事件 平成 30年 (行ケ) 10132号 審決取消請求事件

原告 株式会社ドクター中松創研
被告特許庁長官
同 指定代理人村井友和 近藤幸浩 小松徹三 野崎大進 板谷玲子
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2019/03/07
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2017-12510号事件について平成30年7月24日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,特許出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,進歩性の有無である。
1 特許庁における手続の経緯 原告は,名称を「ローコスト多用ソーラーパネル」とする発明につき,平成26年9月3日,特許出願(特願2014-178792号。請求項の数1。以下「本願」という。甲4)をし,平成28年5月6日,特許請求の範囲を補正する手続補正をした(請求項の数1。甲7)が,平成29年4月24日付けで拒絶査定を受けた(甲9)。そこで,原告は,平成29年8月23日,拒絶査定不服審判請求(不服2017-12510号)をするとともに(甲10),発明の名称を「ローコスト化とそれによるデメリットをメリット化するソーラーシステム方法」に補正し,特許請求の範囲請求項1を補正する手続補正をした(以下「本件補正」という。請求項の数1。甲11)。
特許庁は,平成30年7月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年8月13日,原告に送達された。
2 本願発明 (1) 平成28年5月6日の手続補正後本件補正前の本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりのものである(甲7)。
【請求項1】 ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって,切断せずに組み合わされ,その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得ることを特徴とするソーラーシステム。
(2) 本件補正後の本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,次のとおりのものである(甲11)。
【請求項1】 ソーラーセル素子をノーカットで使用する事によるローコスト化の条件とノーカットにより生じた隙間部分を活用して日光を通して水加熱野菜栽培をする条件の2つの条件を必須要件とした事を特徴とするローコスト化とそれによるデメリ ットをメリット化するソーラーシステム方法。
3 審決の理由の要点 (1) 本件補正について 本件補正を却下する。
本件補正は,特許法17条の2第5項に違反する。
(2) 進歩性について ア 甲1(特開2001-7376号公報)には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「建物や施設等の屋根材,外壁材若しくは窓材として使用しえ,且該建物や施設の電力を補給することの可能な太陽電池パネル材であって, 表面及び裏面がガラス板材で且少なくともその表面には透明ガラス板材が用いられるとともに,その中間には扁平で適宜形状の太陽電池セルの適宜数を所要の展開面積及び展開形状に接続してなる太陽電池モジュールを,その受光面が表面側となるように配したうえ,透明アクリル樹脂嫌気性接着剤により形成される透明接着層で全体が一体的に強固且密封状に積層接着されてなり, 建物や施設の屋根材や窓材の如く彩光や透視性が要求される場合には,裏面2Aに使用する素材は表面2の素材と同様の透明ガラス板材やアクリル樹脂板材が使用され, 太陽電池セル30の形状と該太陽電池セル30相互の接続如何で極めて多様な意匠模様を創出しえるものであり,例えば円形状の太陽電池セル30の3枚をユニットとして接続することにより模様を現出せしむることが可能となる,太陽電池パネル材。」 イ 一致点 本願発明と甲1発明は,次の点で一致する。
「ソーラーパネルを構成するセル素子が円形の状態であって,組み合わされ,その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を 成し得ることを特徴とするソーラーシステム。」 ウ 相違点 本願発明と甲1発明とは,次の点で相違する。
本願発明においては,「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって,切断せずに組み合わされ」たものであるのに対して,甲1発明においては, 「ソーラーパネルを構成するセル素子が円形の状態であって,組み合わされ」たものであるものの,セル素子の「円形」が「ウエハのまま」にかかる「状態であ」るとともに,それらを「切断せずに組み合わされ」た構成までは備えない点。
エ 相違点についての判断 一般に,太陽電池モジュールを構成するに際して,略円形状の半導体ウェハをそのまま用いた太陽電池セルを用いることで,材料ロスを少なくし,低コストのものとすることは,甲2(特開2001-148500号公報)及び甲3(特開2009-76607号公報)にも記載されているように,周知の技術である。
そして,甲1発明に係る「太陽電池パネル材」においても,低コストのものとすることは,実用上,当然に要求される課題であるから,甲1発明において,前記周知の技術を適用して, 「円形状の太陽電池セル30」を略円形状の半導体ウェハをそのまま用いた太陽電池セルとすることで,切断せずに組み合わせ,相違点に係る構成を備えたものとすることは,当業者が適宜になし得たことである。
よって,本願発明は,周知技術を勘案して,甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項により,特許を受けることができず,本願は拒絶すべきものである。
原告主張の審決取消事由(本願発明と甲1発明の一致点の認定の誤り)
1 本願発明の「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」とは, 「流体を加熱する手段」及び「野菜を栽培する手段」といったそれぞれを構成要素として備えることを前提として,各手段をそれぞれ実施可能である,といった意味である。
また,本願発明は,@ソーラーパネルを「天窓,縦窓」に用いて採光のために有効利用した発明,Aソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して流体加熱を可能とする発明,Bソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して野菜の栽培を可能とする発明の全てを包含するものであり, 「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培」は,それぞれが発明の必須の構成要素である。
甲 1 には,ソーラーパネルについて,少なくとも流体加熱や野菜の栽培に関する構成や利用形態は,記載も示唆もされていないから,本願発明がソーラーパネルを「天窓,縦窓」で有効利用したことをもって,甲1発明の構成と一致するとの判断は誤りである。
「流体加熱」や「野菜の栽培」の構成は,本願発明と甲1発明の相違点として認定されるべきであり,相違点の認定も誤りとなるから,相違点の判断も誤りであり,本件審決の結論も誤りである。
2(1)ア 本願発明の「天窓,縦窓を成し得る」という記載は,発明の詳細な説明等の記載によると,ウエハ間の隙間を透過した日光を有効利用するという課題を解決するために,ソーラーパネルを天窓や縦窓に用いるという解釈になる。
ただし, 「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」という記載は,ソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して流体加熱や野菜の栽培を可能とすることを意味している。
したがって, 「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」について,本願の明細書を参酌して「ソーラーパネルを屋根に使用する」ことまで解釈を拡げるのは適切ではない。
イ 前記1のAは本質的にはソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して「流体加熱」を可能とすることであり,同Bは本質的にはソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して「野菜の栽培」を可能とすることであるから, 「ウエハ間の空白部分から日光を透過させ」る構成を備える本願発明と甲1発明とは,上記構成において異なる。
(2) 屋根に用いた太陽光パネルにより発電する構成と,屋根に用いた温水パネ ルにより流水を加熱する構成とを一体化するシステム構成は,乙1,2に開示されているものの,甲1に一切記載されていないことまでも包含する「周知」の技術と判断することには無理がある。
前記システム構成が周知であることを理由に,甲1発明に接した当業者が,ウエハ間の隙間を透過した日光を用いて「流水加熱が可能であることが理解できた」とすることや,そのことが甲1に記載されているに等しいとすることは誤りである。
(3) 甲1には,太陽電池パネル材を,野外暴露という過酷な条件(基準)が課される屋根材として用いる場合が記載されており,例外として基準が緩和される場合の一例として農業施設のことが記載されているにすぎない。
そのため,甲1において,農業施設の屋根に太陽電池パネル材を用いることは示唆されているとしても,ウエハ間の隙間を透過した日光を利用して「野菜の栽培」を可能とすることまで示唆されているとはいえない。
したがって, 「野菜の栽培を成し得る」ことが甲1に記載されているに等しいとはいえない。
(4) 被告は,仮に本願発明の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」を選択的構成でないと仮定しても,本願発明は,甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであると主張するが,進歩性の判断の前提となる本願発明と甲1発明の一致点の認定に誤りがある以上,進歩性の判断にも誤りがある。
被告の主張
1 本願発明に係る請求項1の「天窓,縦窓」を「成し得る」ソーラーシステムという記載は,日本語として不自然であり, 「流体加熱, 同 野菜の栽培を成し得る」ソーラーシステムがどのような構成であるのか判然としない。
本願の明細書及び図面(【0002】〜【0011】【図3】〜【図6】 , 。甲4)の記載によると,上記の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」という記載は,ウエハ間の隙間を透過した日光を有効利用するという課題を解決するために,ソーラーパネルを天窓に用いること,ソーラーパネルを縦窓に用いること,ソ ーラーパネルを(屋根に用いて)流体加熱が可能となること,又は, (温室の屋根に用いて)野菜の栽培が可能となることを意味していると解するのが自然である。
そうすると,本願発明は, 「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培」のいずれかで透過した日光を有効利用する発明を包含するものであり,ソーラーパネルを「天窓,縦窓」に用いて採光のため有効利用した発明,ソーラーパネルを屋根に用いて「流体加熱」で有効利用した発明,ソーラーパネルを温室の屋根に用いて「野菜の栽培」で有効利用した発明のいずれであってもよく,本願発明は,これら複数の発明を包含した包括的概念と解されるべきである。
2(1) 原告の主張は, 「流体を加熱する手段」及び「野菜を栽培する手段」といった特許請求の範囲に記載されていない構成要素の存在を前提としており,本願の特許請求の範囲の記載に基づかないものである。
本件審決は, 「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」が,ウエハ間の隙間を透過した日光を「天窓,縦窓」として用いて採光で有効利用したこと,ソーラーパネルを屋根に用いて「流体加熱」で有効利用したこと,ソーラーパネルを温室の屋根に用いて「野菜の栽培」で有効利用したことを包含する包括的概念と解し,当該包括的概念に含まれるソーラーパネルを「天窓,縦窓」で有効利用した点で,甲1発明の構成要素と一致すると判断したものであり,本件審決の一致点及び相違点の認定に誤りはない。
(2) 従来から一般住宅の屋根において,屋根の上に太陽電池パネルを設置して太陽光発電に利用することと同様に,屋根の上に温水パネルを設置して流水加熱に利用することは,よく行われていたことであって,両者はいずれも太陽光エネルギー利用システム(ソーラーシステム)と呼ばれてきた。また,両者を一体化するシステム構成も周知であった。そして,甲1には,屋根の上に太陽電池パネルを設置する構成に代えて,建物外観の改善および載置固定のコスト低減のため,太陽電池パネルからなるソーラーシステムを屋根材と一体構成とする旨の記載があり,甲1に接した当業者は,透光性を有する甲1発明のソーラーシステムを一般住宅等の屋 根材に用いることでウエハ間の隙間を透過した日光を用いて流水加熱も可能となることが理解できたといえる。
さらに,甲1には,屋根材や壁材に透光性を有する農業施設(温室)の屋根材や壁材として甲1発明のソーラーパネルを用いることが示唆されているから,当該農業施設(温室)で野菜の栽培が可能となることも,当業者にとって明らかであるといえる。
したがって, 「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」ことも,甲1に記載されているに等しい事項といえ,本件審決において当該事項を一致点としたことも,誤りとはいえない。
(3)ア 一般的に,本願発明に包含される複数の発明のうち一つでも進歩性を欠くときは,出願全体が特許性を欠くことになる。
本願発明は複数の発明を包含するものであり,当該複数の発明のうち,ウエハ間の隙間を透過した日光を「天窓,縦窓」として有効利用する発明について,本件審決は,進歩性を欠くと判断し,本件審判請求は成り立たないとしたものであるから,本件審決の結論に誤りはない。
イ 本願出願前の時点で,太陽電池パネルと太陽熱温水器を一体化する構成は,周知であったといえる(乙1:特開2013-2709号公報の【0042】,【図1】〜【図4】,乙2:特開2004-176982号公報の【0032】【図 ,1】〜【図3】。
) また,本願出願前の時点で,農業施設である栽培室(温室)の採光部(屋根)に透過性を有する太陽電池パネルを用いることは周知であったといえる(乙3:国際公開第2012/128244号の【0042】【図1】 , ,乙4:国際公開第2012/043381号の【0059】【0061】【図6】 , , ,乙5:特開2012-216609号公報の【0019】【0020】【図3】。
, , ) そして,甲1には,従来の太陽電池モジュールは一般住宅等の建物の屋根の上に設置されるものであり,建物外観が損われたり,載置固定のための費用もかかると いう問題があったところ,甲1発明の透光性を有した太陽電池パネル材を屋根材として用いることで,これらの問題が解決されることが開示されている【0001】 ( ,【0006】【0007】【0010】。太陽熱温水器(ソーラー温水パネル)も, , , )太陽電池モジュールと同様に一般住宅等の建物の屋根の上に設置されるものであり,建物外観が損われたり,載置固定のための費用もかかるという問題を同様に有している。また,本願出願前の時点で,太陽電池パネルと太陽熱温水器を一体化する構成は周知であったから,甲1発明においても,本願出願前周知の太陽電池パネルと太陽熱温水器を一体化する構成を採用して,甲1発明の透光性太陽電池パネルを屋根材として用いることで透過した光を水流加熱(流体加熱)可能であることは当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 甲1には,甲1発明の透光性太陽電池パネルを,農業用施設等の屋根材や窓材あるいは外壁材として使用可能なことが記載されている 【0001】 ( , 【0010】。ここで,透光性を有する屋根材や外壁材を備えた農業用施設に,温室が含 )まれることは当業者にとって自明である。
したがって,温室等の農業施設の屋根材や外壁材として甲1発明の透光性太陽電池パネルを用いることで,野菜栽培が可能であることは当業者が容易に想到し得たことである。
(4) 仮に,本願発明の「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」を選択的構成でないと仮定しても,前記(3)イ,ウによると,本願発明は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。
当裁判所の判断
1 本願発明 本願発明は,前記第2の2(1)記載のとおりであるところ,平成28年5月6日の手続補正後,本件補正前の本願の明細書及び図面(甲4。以下,これらを併せて「本願明細書」という。 には, ) 本願発明について,次のとおりの記載がある(甲4,7,11)。
「【技術分野】 【0001】 本発明はソーラーパネルの製造法に関する。
【背景技術】 【0002】 公知のソーラーパネルは,ディスク状のものをほぼ四角形にカットし,つなぎ合わせたものである。この方法では,コストダウンが行き詰まり,もはやこれ以上下がらない。
【0003】 図1はこのような光電変換素子作成の工程を示す図である。1は光電変換素子がくまなく配置されたウエハである。この光電変換素子としては,例えば単結晶シリコン,多結晶シリコン,アモルファスシリコン等が用いられる。
【0004】 (a)に示すウエハは,b) ( に示すように所定の大きさの矩形2に切り取られる。
ウエハ1から矩形の光電変換部2が切り取られた残りの部分(ハッチング領域)は廃棄処分される。最終的には, (c)に示す矩形のユニットを集合させて矩形パネル3を製作する。3aは光電変換ユニットを構成する1つ一つの光電変換素子である。
発明の概要】【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上述した公知のソーラーパネルでは,ウエハに無駄を生じ,カットのコストもかかり,しかも太陽光を透過することができないため,ソーラーパネルの有効利用が限定される。コストダウン競争ではもはやこれ以上下げることができない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって,ソーラーパネルを合理的にこれ以上ローコストにし,且つ同時に利用範囲を拡げられないので,マーケットが拡がるソーラーパネルを提供することを目的としている。
【発明を解決するための手段】 【0006】 本発明は,ウエハをそのまま光電変換ユニットとして使用する。つまり,図2に示すようにウエハ1をそのまま敷き詰めてそのままソーラーパネルとした。この結果,カットのコストが不要となり,またパネル面でソーラーパネル内の納期早め製造のコストダウンと利便性の向上を同時に行える。また,ウエハをカットしないので,その分,大きなコストダウンができる。この結果,透明な領域5が形成される。
図では1個しかハッチング領域5を示していないが,他の領域も全く同一である。
ソーラーパネル内納期早め製造のコストダウンと利便性の向上を同時に行える。
ウエハをカットしないのみならず,その分大きなコストダウンができる。
【発明の効果】 【0007】 ソーラーパネルに照射した日光の一部9は透明領域5を突きぬけて,図3の9に示すようにソーラーパネルを突き抜ける。1は光電変換素子部分である。縦と天窓が図4に示すように縦窓に使用でき,発電と採光が同時にできる。また図5に示すように屋根に設ければ,図3に示すようにソーラーパネルの裏側でこの透過した日光を利用して温水化,野菜の栽培等を行うことができ,ソーラーパネル加工がローコストで製造でき,製造時間も短縮できる上,ソーラーパネルの有効利用を図ることができる。」【図面の簡単な説明】 【0008】 【図1】公知のソーラーパネルの作成工程の説明図。
【図2】本発明の実施例1である。
【図3】本発明ソーラーパネルの効果で説明図で天窓として日光がソーラーパネルを通過する様子を示す本発明実施例2である。
【図4】本発明の実施例2を示す窓。
【図5】本発明の実施例3を示す屋根。
【図6】本発明の実施例4を示す温室。
【図7】公知のソーラーパネルの横断面図 【図8】本発明実施例5を示す図。
【図9】本発明の実施例6を示す図。
【発明を実施するための形態】 【0009】 以下,図面を参照してその他の本発明の実施例を詳細に説明する。図5は本発明の実施例3の説明図である。ソーラーパネル4の下には水を循環させるための部分7が配置されている。ソーラーパネル4には,図2の5に示すような透明部が開けられている。ソーラーパネル4の下へ流入された水8はパネル下7を通過する間に熱せられて温水になる。なお,光電素子1は冷やされると光電変換特性が向上することが知られているので,一石二鳥を得ることができる。加熱により温水となった水は※ダクト10を介して下向きに流れ貯留槽11に溜める。この貯留槽11に溜め込んだ温水は,例えば床暖房や,キッチン用の温水として用いることができる。
【0010】 図6は本発明の実施例4の説明図である。図1と同一のものは,同一の符号を付して示す。図において,12は地面である。この地面12には野菜13が栽培されている。この野菜面には,ソーラーパネル1の透明部5を通過した日光9が入射される。日光が十分でない状況下でも十分に生育できる野菜は存在するので,ソーラーパネルの発電の収益と採光による野菜の収益が加算される。
【0011】 また,ソーラーパネルの下にLED14を設け,ソーラーパネル4の発電と発光させれば,発電が促進される。また,日光が十分でない状況下でも十分に生育できる野菜は存在するので,これら野菜を栽培することができる。この種の野菜としては,例えばアスパラガス,イチゴ,ウド,エンドウ,ホウレンソウ等が適当である。
図7は公知のソーラーパネルの横断面を示し,表面がガラス15,カットされた光電ウエハ3a,バックシート16,枠18からなる。
【0012】 図8は本発明ソーラーパネルの実施例5の横断面を示し,透明ガラスのバック板の上に円形光電ウエハ1を載せたものであり,光を通し,バックシート16もなく,枠18もないので,ローコストで製造も速く,且つ軽量であるので,屋根に載せるのに適している。前記透明ガラスバック板19は,ポリカーボネートであれば軽量化できる。
【0013】 図9は本発明ソーラーパネルの実施例6の横断面図で,表面ガラス15の下に円形光電ウエハ1を設け,その下に透明なバックシート透明バックシート17を設けて光を透過させる構造にしたものである。
【符号の説明】 【0014】・・・4 ソーラーパネル」「【図1】 【図2】【図3】【図4】 【図5】【図6】【図7】【図8】【図9】 」 2 甲1発明 (1) 甲1(特開2001-7376号公報)には,次の事項が記載されている。
ア 特許請求の範囲「【請求項1】 表面及び裏面がガラス板材で且少なくともその表面には透明ガラス板材が用いられるとともに,その中間には扁平で適宜形状の太陽電池セルの適宜数を所要の展開面積及び展開形状に接続してなる太陽電池モジュールを,その受光面が表面側となるように配したうえ,透明アクリル樹脂嫌気性接着剤により形成される透明接着層で全体が一体的に強固且密封状に積層接着されてなることを特徴とする太陽電池パネル材。」 イ 発明の詳細な説明「【0001】【産業上の利用分野】本発明は建物や施設等の屋根材,外壁材若しくは窓材として使用しえ,且該建物や施設の電力を補給することの可能な太陽電池パネル材に関する。
・・・【0007】 ・・・本発明は建物や施設等の屋根材,壁材或いは窓材として直接使用のうえ電力生産ができ,且多様な意匠模様を現出しえる太陽電池パネル材を提供することにある。
・・・【0010】【実施例】以下に本発明実施例を図に基づき詳細に説明すれば, ・・・本発明太陽電池パネル材1の表面2を形成する素材としては,本発明を建物や施設等の屋根材や 窓材或いは外壁材等苛酷な屋外曝露条件下において,長期に亘り劣化の無い建築材としての性能適性と且太陽光線の受光による光起電力効果を維持させるための透光性を保持させるうえから,通常においては透明ガラス板材が使用されるものであるが,農業用施設や仮設建物等緩和な基準が適用されるものでは透明アクリル樹脂板材も軽量であること等より採用される。
【0011】他方裏面2Aに使用する素材も使用目的により多少異るもので,建物や施設の屋根材や窓材の如く彩光や透視性が要求される場合には表面2の素材と同様の透明ガラス板材やアクリル樹脂板材が使用されるが,外壁材への使用では特段彩光や透視性も要求されぬため透明或いは不透明のガラス板材やアクリル樹脂板材等が使用される。・・・【0012】そして本発明太陽電池パネル材1の形成方法についての簡単な説明が図2に示されてなるもので,予め表面2の素材として所要の厚さで且所要の面積に切断されてなる透明ガラス板材若しくはアクリル樹脂板材と,該表面2の素材と厚さ及び面積が等しく且ガラス板材若しくはアクリル樹脂板材からなる裏面2Aの素材を用意する。而して裏面2Aの素材の外周縁2Bには,表面2の素材で閉着されることにより形成される内部の中間中空部20に,太陽電池モジュール3が挾入され且該太陽電池モジュール3を挾着させながら表面2及び裏面2Aとの素材とを一体的に積層接着させる透明接着層4が所要の厚さで形成されるようスペーサー兼シール材2Cが添着されてなるもので,該スペーサー兼シール材2Cの添着に際してはその適宜外周縁2Bの部位に,透明アクリル樹脂嫌気性接着剤4Aを注入させる注入口2Dが形成させておく。・・・【0013】そして裏面2Aのガラス板材若しくはアクリル樹脂板材の外周縁2Bに所要の幅及び厚さのスペーサー兼シール材2Cが添着されて形成される中間中空部20内に挾入される太陽電池モジュール3は,図3に示す如く所要の素材を用いて所要の光起電力効果を創出するように形成された太陽電池セル30の適宜数を所要の展開面積と展開形状にそれぞれの接続線30Bを直列,並列若しくは直並列に 接続して形成されるもので,本発明に使用する太陽電池セル30としては薄肉扁平状に形成されるものであれば特段の制約はなく,単結晶シリコン,多結晶シリコン,アモルファスシリコン等のシリコン太陽電池を初めII-VI族化合物半導体太陽電池或いはIII-V族化合物半導体太陽電池等も利用できる。
【0014】更に本発明では太陽電池セル30の形状と該太陽電池セル30相互の接続如何で極めて多様な意匠模様を創出しえるもので,例えば円形状の太陽電池セル30の3枚をユニットとして接続することにより図5に示す如き模様を現出せしむることが可能となり,屋根材や窓材に使用する場合の彩光や透視性が要請される場合には,太陽電池セル30全体に略1乃至3mm程度の光線透過孔を均等に形成させたものを使用すれば良い。
・・・【0019】【発明の効果】本発明は以上に述べたように,薄肉扁平で且脆弱な太陽電池セルを適宜数所要の展開面積及び展開形状に接続させた太陽電池モジュールを表面及び裏面の素材がガラス板材若しくはアクリル樹脂板材からなり,且少なくともその表面が透明ガラス板材若しくは透明アクリル樹脂板材からなる中間に透明アクリル樹脂嫌気性接着剤を用いて重合固化させてなる透明接着層により,その受光面が表面側となるよう挾着させ,而も表面及び裏面の素材と一体的に強固且密封状に積層接着されたものであるから,太陽電池セル若しくは太陽電池モジュールが損傷することなく強固且密封状に接着されるとともに,積層接着に伴い耐衝撃性や曲げ強力が著しく増大し而も優れた遮音性や断熱性が付与せしめられるとともに水分や湿度も浸入もなく,従って苛酷な屋外曝露の条件下はもとより衝撃や外力の付加される条件下においても十分に耐久使用でき,且光起電力効果も保持される。加えて本発明は建物や施設等の屋根材,窓材或いは外壁材として直接使用ができるため,付帯工事や構築物も不要となり設置コストが著しく削減化される。更に本発明では太陽電池セルに光線透過孔を設けることにより彩光や透視性が高まるとともに,太陽電池セ ルの形状及びその展開形状の組合せて多様な意匠模様を現出せしめられるばかりか,表面及び裏面の素材を湾曲形状とすることにより太陽光線の受光時間が長くなり電力生産が高められる等,極めて特長の多い太陽電池パネル材と言える。」 (2) 前記(1)の甲1の記載によると,甲1には,本件審決が認定したとおり,次の内容の甲1発明が記載されていると認められる。
「建物や施設等の屋根材,外壁材若しくは窓材として使用しえ,且該建物や施設の電力を補給することの可能な太陽電池パネル材であって, 表面及び裏面がガラス板材で且少なくともその表面には透明ガラス板材が用いられるとともに,その中間には扁平で適宜形状の太陽電池セルの適宜数を所要の展開面積及び展開形状に接続してなる太陽電池モジュールを,その受光面が表面側となるように配したうえ,透明アクリル樹脂嫌気性接着剤により形成される透明接着層で全体が一体的に強固且密封状に積層接着されてなり, 建物や施設の屋根材や窓材の如く彩光や透視性が要求される場合には,裏面2Aに使用する素材は表面2の素材と同様の透明ガラス板材やアクリル樹脂板材が使用され, 太陽電池セル30の形状と該太陽電池セル30相互の接続如何で極めて多様な意匠模様を創出しえるものであり,例えば円形状の太陽電池セル30の3枚をユニットとして接続することにより模様を現出せしむることが可能となる,太陽電池パネル材。」 3 対比 (1)ア 本願発明における「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」という構成要件につき,その文言上,「を成し得る」という記載は,「天窓」「縦窓」 , ,「流体加熱」及び「野菜の栽培」のそれぞれに係るものと解される。
また, 「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培」という部分につき, 「及び」又は「又は」などの4者の関係性を示す文言は存在しないから,一つの構成において「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培」の全てを「成し得る」ものを指すのか,そのどれか を「成し得る」各構成を総称しているのか,また,特定の事項を「成し得る」構成とは,特定の事項が可能である構成を指すのか,特定の事項を達成する具体的な手段を含む構成を指すのかは,必ずしも明確ではない。
イ 本願明細書の記載を参酌すると,前記1のとおり,本願発明は, 「ソーラーパネルを合理的にこれ以上ローコストにし,且つ同時に利用範囲を拡げられないので,マーケットが拡がるソーラーパネルを提供すること」【0005】 ( )を目的とするものであり, 「ウエハをそのまま光電変換ユニットとして使用する。つまり,図2に示すようにウエハ1をそのまま敷き詰めてそのままソーラーパネルとした。」(【0006】)ことにより, 「カットのコストが不要となり,またパネル面でソーラーパネル内の納期早め製造のコストダウンと利便性の向上を同時に行える。また,ウエハをカットしないので,その分,大きなコストダウンができる。この結果,透明な領域5が形成される。 ( 」【0006】)ものである。
本願発明は,このような構成を採用することによって, 「ソーラーパネルに照射した日光の一部9は透明領域5を突きぬけて,図3の9に示すようにソーラーパネルを突き抜ける。1は光電変換素子部分である。縦と天窓が図4に示すように縦窓に使用でき,発電と採光が同時にできる。また図5に示すように屋根に設ければ,図3に示すようにソーラーパネルの裏側でこの透過した日光を利用して温水化,野菜の栽培等を行うことができ,ソーラーパネル加工がローコストで製造でき,製造時間も短縮できる上,ソーラーパネルの有効利用を図ることができる。 【0007】 」 ( )という効果が得られるものである。
このような本願明細書の記載を参酌すると,本願発明に係る請求項1の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」ことは,@ウエハ1をそのまま敷き詰めてそのままソーラーパネルとし,この結果,透明な領域5が形成されるようにしたこと,A上記@によって,ソーラーパネルに照射した日光の一部9は透明領域5を突き抜けて,ソーラーパネルを突き抜けるようになること,Bこのソーラーパネルを天窓や縦窓に用いることで発電と採光が同時にできるようになること,Cこのソ ーラーパネルを屋根として用いることで,流体加熱(温水化)や野菜の栽培が可能になることと理解することができる。したがって,本願発明は,ソーラーパネルの用途についての可能性を記載したものであって,その用途についての「手段」 「形 や態」を含まないものである。
そうすると,本願発明に係る請求項1の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」という部分は, 「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって,切断せずに組み合わされ,その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ」るとの一つの構成において,「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培」の全てを可能にするものを指すものと解される。
ウ この点,原告は,本願発明の「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」とは,「流体を加熱する手段」及び「野菜を栽培する手段」といったそれぞれを構成要素として備えることを前提として,各手段をそれぞれ実施可能であるといった意味であり,本願発明は,@ソーラーパネルを「天窓,縦窓」に用いて採光のために有効利用した発明,Aソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して流体加熱を可能とする発明,Bソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して野菜の栽培を可能とする発明の全てを包含するものであり,流体加熱や野菜の栽培に関する構成を含むものである旨主張する。
しかし, 「天窓,縦窓」と「流体加熱,野菜の栽培」は,本願発明に係る請求項1において並列的に挙げられているのに, 「流体加熱,野菜の栽培」についてのみ, 「流体を加熱する手段」「野菜を栽培する手段」をそれぞれ備えるものを意味すると解 ,することは,文言解釈として,不自然である。前記イのとおり,上記の解釈は採用できない。
前記1のとおり,本願明細書には,実施例3として,ソーラーパネル4の下に水を循環させるための部分7が配置されたシステム(【0009】【図5】 , )や,実施例4として,地面12に野菜13が栽培され,この野菜面には,ソーラーパネル1の透明部5を通過した日光9が入射されるシステム(【0010】【0011】【図 , , 6】)が記載されているが,これらは,本願発明を実施するための具体例として示されたものであることは明らかであるから,本願発明は「流体を加熱する手段」「野 ,菜を栽培する手段」を構成要件として備えるものではない旨の前記イの認定を左右するものではない。
また,原告は, 「流体加熱,野菜の栽培を成し得る」について,本願明細書を参酌して「ソーラーパネルを屋根に使用する」ことまで解釈を拡げるのは適切ではない旨主張するが,前記イのとおり,本願発明に係る請求項1の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」という部分は, 「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって,切断せずに組み合わされ,その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ」るとの一つの構成において, 「天窓,縦窓,流体加熱,野菜栽培」の全てを可能にするものを指すと解されるのであるから,そのようなものであれば,屋根に使用するものも含まれると解され,原告の上記主張は理由がない。
(2) そうすると,本願発明と甲 1 発明の対比は,次のとおりとなる。
ア 甲1発明の「太陽電池パネル材であって,「扁平で適宜形状の太陽電池 」セルの適宜数を所要の展開面積及び展開形状に接続してなる太陽電池モジュール」について, 「例えば円形状の太陽電池セル30の3枚をユニットとして接続」したものは,本願発明の「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって,切断せずに組み合わされ」ているものと, 「ソーラーパネルを構成するセル素子が円形の状態であって,組み合わされ」ている点で共通している。
イ 甲1発明は,「表面及び裏面がガラス板材で且少なくともその表面には透明ガラス板材が用いられ」「建物や施設の屋根材や窓材の如く彩光や透視性が要 ,求される場合には,裏面2Aに使用する素材は表面2の素材と同様の透明ガラス板材やアクリル樹脂板材が使用され」るものであるから, 「例えば円形状の太陽電池セル30の3枚をユニットとして接続することにより模様を現出せし」めた場合において,太陽電池パネル材の太陽電池セル30が設けられた部分以外の部分(空白部 分)は,光を透過させるものである。
また,甲1発明は,建物や施設等の屋根材, 「 外壁材若しくは窓材として使用しえ」る,すなわち屋外にて建物や施設の一部として使用し得るものであるところ,上記のとおり,光を透過させるものであるから,「日光を透過させ」ることができる。
そうすると,甲1発明の, 「表面及び裏面がガラス板材で且少なくともその表面には透明ガラス板材が用いられ」「建物や施設の屋根材や窓材の如く彩光や透視性が ,要求される場合には,裏面2Aに使用する素材は表面2の素材と同様の透明ガラス板材やアクリル樹脂板材が使用され」「例えば円形状の太陽電池セル30の3枚を ,ユニットとして接続することにより模様を現出せし」めたことは,本願発明の「その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ」ることに相当するとともに,窓材や屋根材として使用し得るものであるから,本願発明の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得ること」が前記(1)イのとおり解されることを踏まえると,これに相当するものといえる。
ウ 甲1発明の「太陽電池パネル材」は, 「建物や施設等の屋根材,外壁材若しくは窓材として使用しえ,且該建物や施設の電力を補給することの可能な」もの,すなわち,太陽光発電のシステムを構成するものであるから,本願発明の「ソーラーシステム」に相当する。
エ そうすると,本願発明と甲1発明とは,本件審決が認定したとおり,以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点> ソーラーパネルを構成するセル素子が円形の状態であって,組み合わされ,その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得ることを特徴とするソーラーシステム。
<相違点> 本願発明においては,「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって,切断せずに組み合わされ」たものであるのに対して,甲1発明 においては, 「ソーラーパネルを構成するセル素子が円形の状態であって,組み合わされ」たものであるものの,セル素子の「円形」が「ウエハのまま」にかかる「状態であ」るとともに,それらを「切断せずに組み合わされ」た構成までは備えない点。
4 相違点の判断 (1)ア 甲2(特開2001-148500号公報)には, 「太陽電池モジュール」に関し,次の記載がある。
「【0044】(第二の実施の形態)本発明の第二の実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略平面図を図7に示す。
・・・【0046】 ・・・太陽電池セル用の基板として単結晶Si等の結晶系の半導体基板を用いる場合,斯かる結晶系の半導体基板は略円形状の半導体ウエハーとして供給される。そして従来は,斯かる略円形の形状を有するウエハーから略正方形状の基板が切出されて太陽電池用の基板として使用されており,切落とされた部分は無駄になっていた。例えば,従来直径約14cmの略円形のウエハーから一片約10.4cmの略正方形状の基板が切出されて太陽電池セルとして使用されていたが,この場合元々のウエハーの約70%しか太陽電池セルとして使用されず,残りの30%もの部分が無駄になっていた。
【0047】そこで,本実施形態にあっては略円形状の半導体ウエハーをそのまま基板として用いて作製された略円形状の太陽電池セルを用いている。従って,本実施形態に係る太陽電池モジュールによれば,従来切落とすことによって無駄になっていた半導体ウエハーも有効に利用することが可能となるので,さらに低コストで且つ出力特性の優れた太陽電池モジュールを提供することができる。」 イ 甲3(特開2009-76607号公報)には,「太陽電池モジュール」に関し,次の記載がある。
「【0047】・・・図12に示す他の例の太陽電池モジュール1Cのように,太陽 電池パネルとして,円形の太陽電池セル20Aを縦横にマトリクス状に配置し,これら太陽電池セル20A間に形成される略十字型の隙間21Aに発光体30が配置されるような構成としてもよい。太陽電池セル20Aを円形とすることで,太陽電池セル20Aの作製上,材料のインゴットからの切り出しに際して材料ロスを大幅に少なくすることができ,また,マトリクス状に配置したとき発光体30を配置させる隙間21Aも良好に形成することができる。なお,太陽電池セルは,このような円形や四角形の四隅を切り欠いた形状のものに限らず,その他の種々の形状としてもよい。」 (2) 以上の(1)ア,イから明らかなように,太陽電池モジュールを構成するに際して,略円形状の半導体ウエハを切断せずにそのまま用いた太陽電池セルを用いることで,材料ロスを少なくし,低コストのものとすることは,本願出願前において周知の技術であると認められる。
太陽電池パネルにおいて低コスト化を図ることは,一般的な課題といえるのであって,甲1発明に係る「太陽電池パネル材」においても,低コストのものとすることは,当然に要求されるものであるところ,甲1発明の「円形状の太陽電池セル30」を得るにあたり,同じ形状を持つ太陽電池セルである,略円形状の半導体ウエハを切断せずにそのまま用いた上記周知技術の太陽電池セルを採用することは,当業者が容易に想到し得ることである。
したがって,本願発明は,甲1発明及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件審決の判断は,誤りがないから,原告の主張する取消事由には理由がない。
5 原告の主張について 原告は,@本願発明は,ソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して流体加熱を可能とする発明は,本質的には,流体加熱を可能とすることであり,ソーラーパネルのウエハ間の隙間を透過した日光を利用して野菜の栽培を可能とする発明は,本質的には,野菜の栽培を可能とすることであるから,ウエハ間の空白 部分から日光を透過させる構成を備える本願発明と甲1発明とは,上記構成において異なる,A屋根に用いた太陽光パネルにより発電する構成と,屋根に用いた温水パネルにより流水を加熱する構成とを一体化するシステム構成を,周知技術と判断することには無理があるから,上記システム構成が周知技術であることを理由に,当該事項が甲1に記載されているに等しい事項であるとすることは誤りである,B甲1において,農業施設の屋根に太陽電池パネル材を用いることは示唆されているとしても,ウエハ間の隙間を透過した日光を利用して「野菜の栽培」を可能とすることまで示唆されているとはいえない旨主張する。
しかし,本願発明の「天窓,縦窓,流体加熱,野菜の栽培を成し得る」の解釈は,前記3(1)イのとおりであるところ,甲1発明においても太陽電池パネル材を流体加熱や野菜の栽培の用途に用いることが可能であるから,この点において本願発明と相違していない。
なお,乙1(特開2013-2709号公報)には,光透過性を有するソーラー発電パネルとソーラー温水パネルを組み合わせたソーラーシステムが,乙2(特開2004-176982号公報)には,太陽電池パネルの裏面側に通水管を備えた太陽電池組込み集熱ハイブリッドモジュールが,それぞれ開示されているから,当業者は,甲1から,甲1発明に係る太陽電池パネル材を使用した建物において,流水加熱も行い得ることを認識することができ,このことは,甲1発明が,太陽電池パネル材を流体加熱に用いることが可能である点において,本願発明と相違していないとの上記認定を裏付けるものであるといえる。
また,甲1には,農業用施設についての記載(【0010】)がある上,乙3(国際公開第2012/128244号公報) 乙4 , (国際公開第2012/043381号公報)及び乙5(特開2012-216609号公報)には,それぞれ,屋根に太陽光を施設内に導入し得る太陽電池パネルを設けた施設内で,植物を栽培することが記載されているから,これらのことは,甲1発明が,太陽電池パネル材を野菜の栽培に用いることが可能である点において,本願発明と相違していないとの上 記認定を裏付けるものであるといえる。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
結論
以上の次第で,原告の主張する取消事由には理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 森岡礼子
裁判官 古庄研
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