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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成29ネ10038 損害賠償請求控訴事件 判例 特許
平成29ネ10089 虚偽事実の告知・流布差止等請求,特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成29ワ393 損害賠償請求事件 判例 特許
平成29ネ10072 損害賠償請求控訴事件 判例 特許
平成27ワ8736 特許権侵害行為差止等請求事件 判例 特許
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事件 平成 29年 (ワ) 10742号 特許権侵害差止等請求事件
5原告アイリスオーヤマ株式会社
同 訴訟代理人弁護士生田哲郎
同 名越秀夫
同 高橋隆二
同 佐野辰巳 10 同中所昌司
同 吉浦洋一
被告 日立アプライアンス株式会社
同 訴訟代理人弁護士古城春実
同 牧野知彦 15 同加治梓子
同 訴訟代理人弁理士井上学
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2017/12/25
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
20 事実及び理由第1 請求1 被告は,別紙1被告製品目録A記載の各製品を製造し,又は販売してはならない。
2 被告は,別紙1被告製品目録A記載の各製品を廃棄せよ。
25 3 被告は,原告に対し,6億6000万円及びこれに対する平成29年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1第2 事案の概要1 本件は,発明の名称を「加熱処理システム,加熱調理器および換気ファン装置」とする特許第3797900号(以下「本件特許1」といい,その願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書等1」という。)に係る特許権(以下「本5 件特許権1」という。)及び発明の名称を「加熱調理器」とする特許第3797904号(以下「本件特許2」といい,その願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書等2」という。)に係る特許権(以下「本件特許権2」といい,本件特許権1と併せて「本件各特許権」という。)並びに本件各特許権に基づく被告に対する一切の請求権の譲渡を受けたと主張する原告が,被告が製造し,販売する別10 紙1被告製品目録A記載の各製品(以下,併せて「被告製品A」という。)及び被告が過去に製造し,販売していた別紙2被告製品目録B記載の各製品(以下,併せて「被告製品B」といい,被告製品Aと併せて「被告各製品」という。)につき,@被告各製品は,本件明細書等1の特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本件発明1−1」といい,本件特許1のうち本件発明1−1についての特許を「本件15 発明1−1についての特許」という。)又は同5記載の発明(以下「本件発明1−2」といい,本件特許1のうち本件発明1−2についての特許を「本件発明1−2についての特許」という。)の技術的範囲に含まれる物の生産にのみ用いる物であるから,被告が被告各製品を製造し,販売する行為は本件特許権1を侵害するものとみなされる行為である(特許法101条1号),A被告各製品は,本件発明1−20 1又は同1−2の技術的範囲に含まれる物の生産に用いる物であってこれらの発明の課題の解決に不可欠なものであるから,被告が本件発明1−1及び同1−2が特許発明であることを知りながら被告各製品を製造し,販売する行為は本件特許権1を侵害するものとみなされる行為である(特許法101条2号),B被告各製品と別紙3被告製品目録C記載の各レンジフードファン(以下「対応レンジフードファ25 ン」という。)とを併せた加熱調理システムは,本件発明1−1又は同1−2の技術的範囲に属するから,被告各製品と対応レンジフードファンを併せて販売する行2為は本件特許権1を侵害する行為である,C被告各製品は,本件明細書等2の特許請求の範囲の請求項2記載の発明(以下「本件発明2−1」といい,本件特許2のうち本件発明2−1についての特許を「本件発明2−1についての特許」という。)又は同4記載の発明(以下「本件発明2−2」といい,本件特許2のうち本件発明5 2−2についての特許を「本件発明2−2についての特許」という。)の技術的範囲に属するから,被告が被告各製品を製造し,販売する行為は本件特許権2を侵害する行為である,と主張して,特許法100条1項に基づき被告製品Aの製造及び販売の差止めを求め,同条2項に基づき被告製品Aの廃棄を求めると共に,特許権侵害不法行為による損害賠償請求権(対象期間は,平成19年1月1日から平成10 28年12月31日までである。また,本件特許権1の侵害を原因とする損害賠償請求と,本件特許権2の侵害を原因とする損害賠償請求とは,選択的併合の関係にある。)に基づき,損害賠償金6億6000万円(逸失利益8億8500万円の一部である6億円及び弁護士費用6000万円)及びこれに対する不法行為後の日である平成29年4月12日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損15 害金の支払を求めた事案である。
2 前提事実等(当事者間に争いがないか,後掲の証拠〔この判決において,特に断りのない限り,証拠番号のうち枝番号の標記は省略する。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)? 当事者20 原告は,電磁調理器等の各種家電,LED照明,各種日用品等の製造販売業務を営むことを目的とする株式会社である。
被告は,家庭用電気機械器具の設計,製造及び販売等の業務を営むことを目的とする株式会社である。
? 本件各特許権25 ア 株式会社東芝(以下「東芝」という。)は,次の内容の本件特許権1の特許権者であったが,本件特許権1については,平成27年9月28日を受付日として,3特定承継による本権の移転を原因として,原告を特許権者とする特許権移転登録がされた。
登 録 番 号 特許第3797900号登 録 日 平成18年4月28日5 出 願 番 号 特願2001−270514出 願 日 平成13年9月6日(以下「本件出願日1」という。)発 明 の 名 称 加熱調理システム,加熱調理器および換気ファン装置特許請求の範囲 別紙4のとおり(以上につき,甲1,2)10 イ 東芝,東芝がその後吸収合併した東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社(商号変更前の名称は東芝コンシューママーケティング株式会社)及び東芝ライフスタイル株式会社(商号変更前の名称は東芝家電製造株式会社ないし東芝ホームアプライアンス株式会社。以下,東芝及び東芝ライフスタイル株式会社を併せて「東芝ら」という。)は,次の内容の本件特許権2の特許権者で15 あったが,本件特許権2については,平成27年9月28日を受付日として,特定承継による本権の移転を原因として,原告を特許権者とする特許権移転登録がされた。
登 録 番 号 特許第3797904号登 録 日 平成18年4月28日20 出 願 番 号 特願2001−306494出 願 日 平成13年10月2日(以下「本件出願日2」という。)発 明 の 名 称 加熱調理器特許請求の範囲 別紙5のとおり(以上につき,甲3,4,弁論の全趣旨)25 ? 本件発明1−1,同1−2,同2−1及び同2−2ア 本件発明1−1(本件特許1の請求項1記載の発明)は,次のとおり分説す4ることができる(以下,分説に係る各構成要件を符号に対応して「構成要件A1」などという。)。
A1:被加熱媒体を載置するためのトッププレートと,B1:このトッププレートに覆設された電気駆動式の加熱手段と,5 C1:火力設定手段により設定された火力に基づいて前記加熱手段への通電制御を行う通電制御手段と,D1:所定の駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する送信手段とを備えた加熱調理器と,E1:この加熱調理器の周囲に設置された換気ファンと,前記駆動信号を受信10 する受信手段と,この受信手段にて受信した前記駆動信号に基づいて換気ファンの駆動制御を行う駆動制御手段とを備えた換気ファン装置とにより構成され,F1:前記トッププレートは前記赤外線の波長が透過する性質を有する耐熱ガラス製で構成され,15 G1:前記送信手段は前記トッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容され,前記トッププレートを介して前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信することH1:を特徴とする加熱調理システム。
イ 本件発明1−2(本件特許1の請求項5記載の発明)のうち請求項1を引用20 する態様は,構成要件A1,同B1,同C1,同D1,同E1,同F1,同G1及び同H1と,次の構成要件I1に分説することができる。
I1:送信手段は,加熱調理器に複数設けられていることウ 本件発明2−1(本件特許2の請求項2記載の発明)は,次のとおり分説することができる。
25 A2:鍋などの調理容器が載置されるトッププレートと,B2:このトッププレートの下方に配設された調理用の加熱手段と,5C2:この加熱手段を制御する通電制御手段と,D2:前記トッププレートの下方に配設され,当該トッププレートを通して光信号を上方に向けて発する通信用投光部とを具備し,E2:前記通電制御手段は,前記通信用投光部を介して,前記トッププレート5 の上方に配設される換気装置を制御する機能を有し,F2:前記トッププレートを,前記光信号の波長が透過する光透過性を有する耐熱強化ガラスから構成したことG2:前記トッププレートの下方に,前記加熱手段の火力を表示する表示手段を備え,前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置したこと10 H2:を特徴とする加熱調理器。
エ 本件発明2−2(本件特許2の請求項4記載の発明)のうち請求項2を引用する態様は,構成要件A2,同B2,同C2,同D2,同E2,同F2,同G2及び同H2と,次の構成要件I2に分説することができる。
I2:前記通信用投光部は,前記トッププレートの下方に複数個配設されてい15 ること? 被告の行為被告は,業として,被告製品Aを製造し,販売している(甲7,8,弁論の全趣旨)。
被告製品Aは,構成要件A1,B1,C1,E1,F1,H1及びI1を充足し,20 また,構成要件A2,B2,C2,D2,F2,H2及びI2を充足する(甲7ないし9,弁論の全趣旨。原告は,被告製品Aの構成につき別紙6のとおり主張しているところ,被告は,別紙7に反しない限度でこれを認めており,上記各構成要件と対比すべき部分については争いがない。そして,被告は,上記各構成要件の充足性について争っていない。)。
25 3 争点? 被告製品Aと,これに組み合わせられるレンジフードファンからなる加熱調6理システム(以下「被告システム」という。)は,本件発明1−1又は同1−2の技術的範囲に含まれるか(争点1)ア 被告システムは構成要件D1を充足するか(争点1−1)イ 被告システムは構成要件G1を充足するか(争点1−2)5 ? 被告製品Aは,本件発明1−1又は同1−2の実施品の生産にのみ用いる物に当たるか(争点2)? 被告製品Aは,本件発明1−1又は同1−2の実施品の生産に用いる物であってこれらの発明による課題の解決に不可欠なものに当たるか。また,被告は,本件発明1−1又は同1−2が特許発明であること及び被告製品Aがこれらの発明の10 実施に用いられることを知っていたか(争点3)? 被告製品Aは,本件発明2−1又は同2−2の技術的範囲に含まれるか(争点4)ア 被告製品Aは構成要件E2を充足するか(争点4−1)イ 被告製品Aは構成要件G2を充足するか(争点4−2)15 ? 本件発明1−1についての特許及び本件発明1−2についての特許は,無効理由1(乙第4号証を主引例とする進歩性欠如)をもって特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点5)? 本件発明2−1についての特許及び本件発明2−2についての特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点6)20 ア 無効理由2−1(明確性要件違反)は認められるか(争点6−1)イ 無効理由2−2(サポート要件違反)は認められるか(争点6−2)ウ 無効理由2−3(補正要件違反)は認められるか(争点6−3)エ 無効理由2−4(乙第4号証を主引例とする進歩性欠如)は認められるか(争点6−4)25 ? 東芝ら及び原告が受けた損害の額(争点7)4 争点に対する当事者の主張7? 争点1−1(被告システムは構成要件D1を充足するか)について【原告の主張】ア 「所定の駆動信号」の意義本件発明1−1及び同1−2は,加熱調理システムにおいて煮汁による汚れや物5 が当たることによる故障など物理的な障害から信号出力部を保護してワイヤレス通信の信頼性を向上させることを目的とするものであるから(本件明細書等1の段落【0002】ないし同【0008】),構成要件D1の「所定の駆動信号」を,特定の内容の信号に限定して解釈する必要はなく,「ヒータへの通電開始時に連動して換気ファンの駆動を開始させ,ヒータの通電停止に連動して換気ファンの駆動を10 停止させるための赤外線信号」であれば足りる(同【0070】)。
イ 被告システムが構成要件D1を充足すること被告システムでは,調理システムのヒータ等への通電・切電があったタイミングでレンジフードファンに対して赤外線発信器から赤外線信号を発信し,受信した赤外線信号に基づいてレンジフードファンの駆動を制御するから,被告システムは構15 成要件D1を充足する。
【被告の主張】ア 「所定の駆動信号」の意義構成要件D1は,所定の駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する送信手段」「と規定し,特許請求の範囲の文言上,「駆動信号」は,これに基づいて「換気ファ20 ンの駆動制御を行う」(構成要件E1)とされるが,「駆動信号」との語の意義は一義的ではなく,信号の内容やこれによる制御の内容も明らかではないから,本件明細書等1の記載を参酌して技術的範囲を定める必要がある。
しかるところ,本件明細書等1に開示されたいずれの実施例においても,「駆動信号」の語は,「換気ファンを所定の回転数で駆動させるための指令」を含んだ信25 号(設定された火力,風量に応じて回転数を指示する信号や,通電がオフになった際に回転数を下げていく信号)についてのみ用いられており(本件明細書等1の段8落【0042】,同【0048】ないし同【0051】,同【0054】,同【0068】),これらの信号の総称が「所定の駆動信号」を指しているものと解される。
そうすると,「所定の駆動信号」とは,単なるオン・オフ信号とは区別される,5 回転数の指令により換気ファンを駆動させる信号を意味するものと解される。
イ 被告システムが構成要件D1を充足しないこと被告システムを構成する被告製品Aにおいて,赤外線発信器が発信する赤外線信号は,レンジフードファンに対して調理システムのヒータ等への通電・切電(オン・オフ)があったタイミングでのみ送信されるものであり,レンジフードファンの10 開始・停止をさせる信号のみを含むものにすぎず,ファンの回転数の指令を含むものではないから,被告システムは構成要件D1を充足しない。
? 争点1−2(被告システムは構成要件G1を充足するか)について【原告の主張】ア 「前記送信手段は前記トッププレートに覆設される」の意義15 本件発明1−1及び同1−2は,加熱調理システムにおいて物理的な障害から信号出力部を保護してワイヤレス通信の信頼性を向上させることを目的とし(前記?【原告の主張】ア),信号出力部を硬質の耐熱ガラス製のトッププレートに覆設する構成を採用しているところ,「覆設」とは,一般に,覆って(露出するところがないように全体にかぶせて)設けることを意味するのであって,「直接」覆うこと20 を必要とするものではない。また,一般に赤外線LEDは,発光素子が封止樹脂に覆われているものが多いが,そのような場合であっても物理的な障害から保護されるべく,封止樹脂で覆われた信号出力部を更にトッププレートで覆設することにより,なお本件発明1−1及び同1−2の効果を奏することができる。
したがって,「送信手段」と「トッププレート」との間に樹脂シート等,他の部25 材が介在している場合であっても,なお構成要件G1の「前記送信手段は前記トッププレートに覆設され」ているといえる。
9イ 被告システムが構成要件G1を充足すること被告システムを構成する被告製品Aにおいて,樹脂シートに覆われた赤外線発信器は,トッププレートの下方に設置されており,トッププレートに「覆設」されているといえるから,被告システムは,構成要件G1を充足する。
5 【被告の主張】ア 「前記送信手段は前記トッププレートに覆設される」の意義構成要件G1の「覆設」という語は,広辞苑(第6版)にも掲載されていないから,本件明細書等1の記載を参酌してその技術的範囲を定める必要がある。
しかるところ,本件明細書等1の記載によれば,送信手段がトッププレートに覆10 設される技術的意義は,煮汁が付着したり物が当たることによる汚れや故障から送信手段を守るという点にあるから,「覆設」とは,単にトッププレートが送信手段を覆う位置関係にあればよいというものではなく,トッププレートが直接送信手段を覆って設けられていることを要すると解される。
イ 被告システムが構成要件G1を充足しないこと15 被告システムを構成する被告製品Aにおいて,赤外線発信器は樹脂シートに覆われており,トッププレートは同樹脂シートの上方に位置しているにすぎず,直接赤外線発信器を覆って設けられているものではないから,被告システムは構成要件G1を充足しない。
? 争点2(被告製品Aは,本件発明1−1又は同1−2の実施品の生産にのみ20 用いる物に当たるか)について【原告の主張】被告製品Aは,対応レンジフードファンなど,NECフォーマット又は家製協フォーマットを使用したレンジフードファンと組み合わせることにより,本件発明1−1及び同1−2の技術的範囲に含まれる加熱調理システムを構成するところ,被25 告製品Aには,社会通念上,当該加熱料理システムを生産する以外には経済的,商業的ないし実用的な用途はない。
10したがって,被告製品Aは,本件発明1−1又は同1−2の実施品の生産にのみ用いる物であり,被告製品Aを製造し,販売することは,本件特許権1を侵害するものとみなされる行為である(特許法101条1号)。
【被告の主張】5 被告製品Aは,対応レンジフードファン以外の他社製品と組み合わせられて販売されることも多く,組み合わせられるレンジフードファンが,被告製品Aからの赤外線信号を受信できない場合には,レンジフードファンは連動して動作しない。また,例えば既にヒータと連動しないレンジフードファンを所有している顧客が,ヒータ部分をガスヒータからIHヒータに変更しようとすれば,被告製品Aを購入す10 ることになるが,この場合も被告製品Aは本件発明1−1及び同1−2の実施品を生産する以外の用途に用いられる。
したがって,被告製品Aに,本件発明1−1及び同1−2の実施品を生産する以外の用途があることが明らかである。
? 争点3(被告製品Aは,本件発明1−1又は同1−2の実施品の生産に用い15 る物であってこれらの発明による課題の解決に不可欠なものに当たるか。また,被告は,本件発明1−1又は同1−2が特許発明であること及び被告製品Aがこれらの発明の実施に用いられることを知っていたか)について【原告の主張】被告製品Aは,本件発明1−1又は同1−2の実施品の生産に用いる物であって,20 これらの発明による課題の解決に不可欠なものであるところ,被告は,本件特許権1に係る特許公報が発行された頃には,本件発明1−1及び同1−2が特許発明であることを知り,被告製品Aがこれらの発明の実施に用いられることを知っていたものと推認できる。
仮に,被告が,特許公報が発行された頃には本件特許権1の存在を知らなかった25 としても,遅くとも原被告間で本件特許権1につき使用許諾の交渉が開始された平成27年11月13日頃には,本件特許権の存在を覚知し,被告製品Aが本件発明111−1及び同1−2の実施に用いられることも知ったというべきである。
したがって,被告が,本件特許権1に係る特許公報が発行された頃以降,又は平成27年11月13日以降に被告製品Aを製造し,販売することは,本件特許権1を侵害するものとみなされる行為である(特許法101条2号)。
5 【被告の主張】争う。
? 争点4−1(被告製品Aは構成要件E2を充足するか)について【原告の主張】ア 「前記通電制御手段は,…換気装置を制御する機能を有し」の意義10 構成要件E2の「前記通電制御手段は,…換気装置を制御する機能を有し」とは,構成要件C2と併せて,「通電制御手段」が,操作パネル等からの入力に基づいて加熱手段を制御し,かつ,通信用投光部に信号を出力し,通信用投光部から換気装置に信号を送ることにより換気装置を制御することを指すというべきであり,特許請求の範囲の文言上も,本件明細書等1の記載からしても,加熱手段の制御手段と15 換気装置の制御手段と一つのマイクロコンピュータチップで構成されていることを要するものではない。
イ 被告製品Aが構成要件E2を充足すること被告製品Aにおいて,操作パネルからインバータ制御マイコンを通じてIHヒータまでの制御回路と,この制御回路と信号接続しているトップ表示マイコンとを併20 せた一群の制御回路は,操作パネルからの入力に基づいて加熱手段であるIHヒータを制御し,かつ,通信用投光部である赤外線発光器に信号を出力し,赤外線発光器から換気装置であるレンジフードファンに信号を送ることによりレンジフードファンを制御するから,被告製品Aは構成要件E2を充足する。
【被告の主張】25 ア 「前記通電制御手段は,…換気装置を制御する機能を有し」の意義構成要件E2の「前記通電制御手段」は,構成要件C2の「通電制御手段」と同12一の「通電制御手段」であるところ,本件明細書等2には,「通電制御手段」について,加熱手段を制御する機能と,換気装置を制御する機能とを1つの制御回路にて行っていることがわかる(本件明細書等2の段落【0036】,同【0040】,【図9】)。
5 そうすると,構成要件E2において「換気装置を制御する機能」を有する「前記通電制御手段」は,加熱手段を制御する機能も有する一つの制御回路であることを要すると解すべきである。
イ 被告製品Aが構成要件E2を充足しないこと被告製品AにおいてIHヒータの通電制御を行うのはインバータ制御マイコンで10 あり,他方,赤外線発信器から赤外線信号を発信して換気装置を制御するのはトップ表示マイコンであるから,両者は異なる制御回路によるものである。
そうすると,被告製品Aにおいては,加熱手段を制御する「通電制御手段」が,換気手段を制御する機能を有してはいないから,被告製品Aは構成要件E2を充足しない。
15 ? 争点4−2(被告製品Aは構成要件G2を充足するか)について【原告の主張】ア 「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」の意義本件発明2−1及び同2−2は,通信用投光部から発せられる光信号が遮断される確率を少なくし,通信の信頼性を向上することを目的とし(本件明細書等2の段20 落【0006】),通信用投光部をトッププレート上に載置される調理容器に邪魔されない位置に配置することで,通信用投光部から発せられた光信号が,トッププレート上に載置される調理容器によって遮断される確率を低くするとの効果を奏するものである(同【0008】)。
そして,通常,加熱手段の火力を表示する表示手段の近くに調理容器を置くと,25 その表示手段の表示がわからなくなるので,表示手段の近くに調理容器が置かれることが少ないことは,使用上の常識である。
13そうすると,構成要件G2の「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」とは,調理容器が置かれると表示手段の表示が分からなくなるような,表示手段に近い位置に,通信用投光部を配置することを指し,必ずしも加熱手段と通信用投光部との間に表示手段が設けられているという位置関係を要するものではない5 というべきである。
イ 被告製品Aが構成要件G2を充足すること被告製品Aには「上面操作パネル」が設けられており,その領域内に,加熱手段の火力を表示する表示手段と,通信用投光部に相当する「送信部」が設けられている。そして,この「送信部」付近に調理容器が置かれると,表示手段の表示がわか10 らなくなるから,「送信部」は,表示手段の「近傍に配置」されているといえる。
したがって,被告製品Aは構成要件G2を充足する。
【被告の主張】ア 「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」の意義構成要件G2は,「通信用投光部」が「表示手段の近傍」に配置されているとす15 るが,具体的にいかなる位置関係を指すのかは,特許請求の範囲の文言からは明確ではない。
しかるところ,構成要件G2は,本件特許2に係る審査段階において,拒絶理由通知を受けて出願人が補正により追加した発明特定事項であり,出願人は,意見書において,【図5】を根拠として,調理時に表示手段の近くに調理容器が置かれる20 ことは少ないから,通信用投光部を表示手段の近傍とすることで,通信用投光部の光信号が調理容器などによって遮断される確率をいっそう少なくすることができるなどと説明している(乙1ないし3)。調理時に調理容器が表示手段の上や外側に置かれることは少ないこと,通信用投光部の光信号が調理容器などにより遮断されることを防ぐためには,加熱手段と通信用投光部との間に表示手段を設け,調理容25 器が表示手段を超えて通信用投光部の上に置かれることを防ぐ必要があること,補正の唯一の根拠となった【図5】の記載などからすると,「表示手段の近傍に配置」14とは,加熱手段と通信用投光部との間に表示手段が設けられているという位置関係において,通信用投光部を表示手段の近辺に配置することをいうと解すべきである。
イ 被告製品Aが構成要件G2を充足しないこと被告製品Aにおいて,通信用投光部に相当する「送信部」は,表示手段たる表示5 部の左右に,加熱手段に面して配置されており,加熱手段と「送信部」との間に表示手段が設けられているという位置関係にはないから,被告製品Aは構成要件G2を充足しない。
? 争点5(本件発明1−1についての特許及び本件発明1−2についての特許は,無効理由1〔乙第4号証を主引例とする進歩性欠如〕をもって特許無効審判に10 より無効にされるべきものと認められるか)について【被告の主張】ア 乙4発明?本件出願日1前に外国において頒布された刊行物である欧州特許公開公報第1010949号(以下「乙4公報」という。)には,調理機器と排煙装置とを有する15 機器コンビネーションに関する次の発明(以下「乙4発明?」という。)が開示されている。
「被加熱媒体を載置するための調理天板18と,この調理天板18に覆設された電気駆動式の加熱手段と,火力設定手段により設定された火力に基づいて前記加熱手段への通電制御を行う調理器具2のコントロールユニットと,所定の駆動信号を20 赤外線によりワイヤレス送信する赤外線送受信フィールド6とを備えた加熱調理器と,この加熱調理器の周囲に設置された排煙装置4のファン装置と,前記駆動信号を受信する赤外線送受信フィールド6と,この赤外線送受信フィールド6にて受信した前記駆動信号に基づいて排煙装置4のファン装置の駆動制御を行う駆動制御手段とを備えた排煙装置4とにより構成され,前記赤外線送受信フィールド6は調理25 器具2内に設けられており,前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信することを特徴とする加熱調理システム。」15イ 本件発明1−1及び同1−2と乙4発明?との対比(ア) 乙4発明?の「調理天板18」が本件発明1−1及び同1−2の「トッププレート」に,乙4発明?の「調理器具2のコントロールユニット」が本件発明1−1及び同1−2の「通電制御手段」に,乙4発明1の「赤外線送受信フィールド6」5 が本件発明1−1及び同1−2の「送信手段」に,乙4発明?の「排煙装置4のファン装置」が本件発明1−1及び同1−2の「換気ファン」に,乙4発明?の「排煙装置4」が本件発明1−1及び同1−2の「換気ファン装置」に,乙4発明?の「調理器具2」が本件発明1−1及び同1−2の「調理器本体」に,それぞれ相当する。
10 (イ) そうすると,本件発明1−1と乙4発明?とは,次の各点において形式的に相違し,その余の点において一致する。
@ 本件発明1−1の「トッププレート」は,「前記赤外線の波長が透過する性質を有する耐熱ガラス製で構成され」ているのに対し(構成要件F1),乙4発明?の調理天板18の材質は明記されていない点(以下「相違点1−@」という。)15 A 本件発明1−1において,「前記送信手段は前記トッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容され,前記トッププレートを介して…ワイヤレス送信」するのに対し(構成要件G1),乙4発明?の赤外線送受信フィールド6は,調理器具2内に設けられているものの,その詳細な場所は明記されていない点(以下「相違点1−A」という。)20 (ウ) 本件発明1−2と乙4発明?とは,上記相違点1−@及び同1−Aに加えて,次の点において形式的に相違し,その余の点において一致する。
B 本件発明1−2の「送信手段」は,「加熱調理器に複数設けられている」のに対し(構成要件I1),乙4発明?の「赤外線送受信フィールド6」が,調理器具2に設けられている個数については明記されていない点(以下「相違点1−B」25 という。)ウ 相違点の検討16(ア) 相違点1−@について電子調理器の天板を耐熱ガラスとすることは,本件出願日1当時,周知の事項であって(乙5ないし9の3),外観のきれいさが求められるある程度のグレードの製品であれば当然に採用する構成である。
5 しかるところ,乙4公報には,「視覚的にフラットなデザイン,および衛生的に特に好適な解決策を得るために,…」などの記載があり,乙4発明?につき,視覚的にフラットなデザインを採用し,重視していることがうかがわれるところ,このようなフラットなデザインを採用しようとすれば,調理天板は耐熱ガラスとする以外にあり得ない。そうすると,乙4公報には,相違点1−@に係る本件発明1−110 及び同1−2の構成が実質的に記載されているといえ,相違点1−@は実質的な相違点とはいえない。
仮に,この点が実質的な相違点であるとしても,乙4公報に接した当業者において,乙4発明?に上記周知の事項を適用して相違点1−@に係る本件発明1−1及び同1−2の構成とすることは,本件出願日1当時,容易に想到し得たことである。
15 (イ) 相違点1−Aについて乙4発明?は,「視覚的にフラットなデザイン」を志向しているのであるから,乙4発明?における「赤外線送受信フィールド6」は,当然に調理天板18に覆設されるようにして調理器本体に収容されているとみるべきである。そうすると,乙4公報には,相違点1−Aに係る本件発明1−1及び同1−2の構成が実質的に記20 載されているといえ,相違点1−Aは実質的な相違点とはいえない。
仮に,この点が実質的な相違点であるとしても,赤外線送信手段をトッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容させ,トッププレートを介してワイヤレス送信することは,本件出願日1当時,周知の構成であったから(乙5ないし7),乙4公報に接した当業者において,乙4発明?に上記周知な構成を適用して相違点25 1−Aに係る本件発明1−1及び同1−2の構成とすることは,本件出願日1当時,容易に想到し得たことである。
17(ウ) 相違点1−Bについて赤外線の送信手段を調理器具にいくつ設けるかについては,当業者が適宜設計することができる事項である。
また,本件出願日1前に外国で頒布された刊行物であるドイツ連邦共和国特許公5 開公報第1970933号(乙6。以下「乙6公報」という。)には,「機能の信頼性を高めるために,トッププレートの下側の異なる位置に,優先的に調理ゾーンの外側に配置される複数の赤外線受信器を設けることができる。」との記載があるから,乙4公報及び乙6公報に接した当業者において,乙4発明?に乙6公報に開示された構成を適用して相違点1−Bに係る本件発明1−2の構成とすることは,10 本件出願日1当時,容易に想到し得たことである。
エ 小括以上によれば,本件発明1−1及び同1−2は,本件出願日1当時,当業者が乙4発明?に周知の事項若しくは構成を適用し,又は適宜設計することにより,容易に発明をすることができたものである。
15 そうすると,本件発明1−1についての特許及び本件発明1−2についての特許は,いずれも特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号の無効理由があるから,特許無効審判により無効にされるべきものである。
したがって,原告は,被告に対し,本件特許権1を行使することができない(特許法104条の3第1項)。
20 【原告の主張】ア 相違点の認定について相違点1−Bについて,被告は,「乙4発明?の『赤外線送受信フィールド6』が,調理器具2に設けられている個数については明記されていない」と主張する。
しかし,乙4公報の段落【0017】及び【図1】の記載によれば,「赤外線送受25 信フィールド6」の個数は1個であることが明白である。
イ 相違点の検討について18(ア) 相違点1−@について被告は,乙4公報には相違点1−@に係る本件発明1−1及び同1−2の構成が実質的に記載されているとする。しかし,乙4公報の翻訳として「視覚的にフラットなデザイン」とあるのは,「視覚的に簡素なデザイン」の誤りであり,乙4公報5 は,排煙装置と調理機器との間にケーブルを用いないことをもって「視覚的に簡素なデザイン」と説明している。したがって,天板の形状がフラットであるとか,ましてや天板の材質として耐熱ガラスが使用されていることが自明とはいえない。
(イ) 相違点1−Aについて被告は,乙4公報には相違点1−Aに係る本件発明1−1及び同1−2の構成が10 実質的に記載されているとする。しかし,乙4公報の記載が,「視覚的にフラットなデザイン」ではなく「視覚的に簡素なデザイン」であることは前記(ア)のとおりであり,視覚的に簡素であることと赤外線送受信フィールド6との位置関係は関係がない。また,乙4公報には,赤外線送受信フィールド6が調理器具2「内」に設けられているとの記載はあるが,乙4公報の【図1】では,赤外線送受信フィールド15 6は実線で描かれており,その表面が露出するように調理器具2内に設けられていることが分かる。したがって,赤外線送受信フィールド6が調理天板18に覆設されるようにして調理器本体に収容され,調理天板18を介してワイヤレス送信する構成が実質的に乙4公報に記載されているということはない。
次に,被告は,乙4発明?に,乙第5ないし第7号証に開示された周知の構成を20 適用することにより,相違点1−Aに係る本件発明1−1及び同1−2の構成とすることは容易に想到し得たと主張する。しかし,乙第5ないし第7号証に開示されているのは,いずれも,加熱調理器を排煙装置側から遠隔操作するシステムであって,これらの構成を乙4発明?に組み合わせても相違点1−Aに係る本件発明1−1及び同1−2の構成には至らない。また,乙第5ないし第7号証に開示された構25 成は,調理機器の外部に操作装置を設けて調理機器を制御する発明に係るものであって,解決すべき課題が乙4発明?とは異なっているから,乙4発明?にこれらの19構成を組み合わせる動機付けも認められないというべきである。
(ウ) 相違点1−Bについて被告は,乙4発明?に乙6公報に開示された構成を適用することにより,相違点1−Bに係る本件発明1−2の構成とすることは容易に想到し得たと主張する。し5 かし,乙6公報に開示された構成は,調理器具の外部に設けられた操作装置から調理器具の運転操作を行う発明に係るものであり,解決すべき課題が乙4発明?とは異なっているから,乙4発明?に乙6公報に開示された構成を組み合わせる動機付けはないというべきである。また,乙6公報には,赤外線受信器を複数とする構成は開示されているが,赤外線送信器を複数とする構成は開示されていない。
10 ウ 小括以上によれば,本件発明1−1及び同1−2は,本件出願日1当時,当業者が乙4発明?に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。被告が主張する無効理由は成り立たない。
? 争点6−1(無効理由2−1〔明確性要件違反〕は認められるか)について15 【被告の主張】構成要件G2の「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」の意義について,特許請求の範囲の文言からは,「表示手段の近傍に配置」というのがいかなる位置関係を指すのか明確ではなく,本件明細書等2をみても,唯一,【図5】がある程度で,「通信用投光部」と「表示手段」との具体的位置関係はやはり明確20 とはいえない。
そうすると,本件発明2−1及び同2−2は不明確であるから,本件発明2−1についての特許及び本件発明2−2についての特許は,いずれも特許法(平成14年法律第24号による改正前のもの。)36条6項2号の規定に違反してされたものであり,特許法123条1項4号の無効理由があるから,特許無効審判により無25 効にされるべきものである。
したがって,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(特20許法104条の3第1項)。
【原告の主張】構成要件G2の「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」が,「調理容器が置かれると表示手段の表示が分からなくなるような,表示手段に近い位置5 に,通信用投光部を配置すること」を意味することは,前記(?【原告の主張】ア)のとおりであり,何ら不明確な点はない。被告が主張する無効理由1は成り立たない。
? 争点6−2(無効理由2−2〔サポート要件違反〕は認められるか)について10 【被告の主張】構成要件G2の「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」の意義について,原告は,「調理容器が置かれると表示手段の表示が分からなくなるような,表示手段に近い位置に,通信用投光部を配置すること」などとして,表示手段の近傍といえる場所であればどこに配置してもよいかのような主張をするが,かか15 る主張を前提とするのであれば,そのような解釈を基礎付けるような記載は本件明細書等2の発明の詳細な説明及び図面にはない。
そうすると,本件発明2−1及び同2−2は,発明の詳細な説明に記載したものではないから,本件発明2−1についての特許及び本件発明2−2についての特許は,いずれも特許法(平成14年法律第24号による改正前のもの。)36条6項20 1号の規定に違反してされたものであり,特許法123条1項4号の無効理由があるから,特許無効審判により無効にされるべきものである。
したがって,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(特許法104条の3第1項)。
【原告の主張】25 争う。被告の主張は具体的ではなく,無効理由の主張として成り立っていない。
? 争点6−3(無効理由2−3〔補正要件違反〕は認められるか)について21【被告の主張】構成要件G2は,本件特許2に係る審査段階において,出願人が補正により追加したものであるが,仮に,構成要件G2の「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」につき,原告が主張する「表示手段の近傍といえる場所であれば5 どこに配置してもよい」かのような解釈が成り立つのであれば,上記補正は,出願時の明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてされたものとはいえない。
そうすると,本件発明2−1についての特許及び本件発明2−2についての特許は,いずれも特許法(平成14年法律第24号による改正前のもの。)17条の2第3項の規定に違反してされたものであり,特許法123条1項1号の無効理由が10 あるから,特許無効審判により無効にされるべきものである。
したがって,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(特許法104条の3第1項)。
【原告の主張】争う。原告は,構成要件G2の「前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配15 置した」の意義を,「表示手段の近傍といえる場所であればどこに配置してもよい」などとは主張しておらず,被告が主張する無効理由3は,その前提を欠いているというべきである。
? 争点6−4(無効理由2−4〔乙第4号証を主引例とする進歩性欠如〕は認められるか)について20 【被告の主張】ア 乙4発明?本件出願日2前に外国において頒布された刊行物である乙4公報には,調理機器と排煙装置とを有する機器コンビネーションに関する次の発明(以下「乙4発明?」という。)が開示されている。
25 「鍋などの調理容器が載置される調理天板18と,この調理天板18の下方に配設された調理用の加熱手段と,この加熱手段を制御する調理器具2のコントロール22ユニットと,調理器具2内に設けられ,光信号を上方に向けて発する赤外線受信フィールド6とを具備し,前記調理器具2のコントロールユニットは,前記赤外線受信フィールド6を介して,前記調理天板18の上方に配設される排煙装置4を制御する機能を有することを特徴とする加熱調理器。」5 イ 本件発明2−1及び同2−2と乙4発明?との対比(ア) 乙4発明?の「調理天板18」が本件発明2−1及び同2−2の「トッププレート」に,乙4発明?の「調理器具2のコントロールユニット」が本件発明2−1及び同2−2の「通電制御手段」に,乙4発明?の「赤外線受信フィールド6」が本件発明2−1及び同2−2の「通信用投光部」に,乙4発明?の「排煙装置4」10 が本件発明2−1及び同2−2の「換気装置」に,それぞれ相当する。
(イ) そうすると,本件発明2−1と乙4発明?とは,次の各点において形式的に相違し,その余の点において一致する。
@ 本件発明2−1の「通信用投光部」 「トッププレートの下方に配設され,は,当該トッププレートを通して光信号を上方に向けて発する」のに対し(構成要件D15 2),乙4発明?の「赤外線受信フィールド6」は,光信号を上方に向けて発するものではあるが,調理天板18の下方に設けられ,この調理天板18を通して光信号を上方に発するかが明記されていない点(以下「相違点2−@」という。)A 本件発明2−1の「トッププレート」は,「前記光信号の波長が透過する光透過性を有する耐熱強化ガラスから構成」されているのに対し(構成要件F2),20 乙4発明?の調理天板の材質は明記されていない点(以下「相違点2−A」という。)B 本件発明2−1では,「前記トッププレートの下方に,前記加熱手段の火力を表示する表示手段を備え,前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置した」構成を有するのに対し(構成要件G2),乙4発明?では,加熱手段の火力を表示する表示手段を備えていることが明記されておらず,したがって,表示手段の近傍25 に赤外線受信フィールド6が配置されているか明記されていない点(以下「相違点2−B」という。)23(ウ) 本件発明2−2と乙4発明?とは,上記相違点2−@,同2−A及び同2−Bに加えて,次の点において形式的に相違し,その余の点において一致する。
C 本件発明2−2の「通信用投光部」は,「トッププレートの下方に複数個配設されている」のに対し(構成要件I2),乙4発明?の「赤外線受信フィールド5 6」が設けられている個数については明記されていない点(以下「相違点2−C」という。)ウ 相違点の検討(ア) 相違点2−@について乙4発明?は,「視覚的にフラットなデザイン」を志向しているのであるから,10 乙4発明?における「赤外線受信フィールド6」は,当然に調理天板18の下方に設けられているというべきである。そうすると,乙4公報には,相違点2−@に係る本件発明2−1及び同2−2の構成が実質的に記載されているといえ,相違点2−@は実質的な相違点とはいえない。
仮に,この点が実質的な相違点であるとしても,赤外線送信手段をトッププレー15 トの下方に設けて調理器本体に収容させ,トッププレートを通して光信号を上方に発するようにすることは,本件出願日2当時,周知の構成であったから(乙5ないし7),乙4公報に接した当業者において,乙4発明?に上記周知な構成を適用して相違点2−@に係る本件発明2−1及び同2−2の構成とすることは,本件出願日2当時,容易に想到し得たことである。
20 (イ) 相違点2−Aについて電子調理器の天板を耐熱強化ガラスとすることは,本件出願日2当時,周知の事項であって(乙5ないし9の3),外観のきれいさが求められるある程度のグレードの製品であれば当然に採用する構成である。
しかるところ,乙4公報には,「視覚的にフラットなデザイン,および衛生的に25 特に好適な解決策を得るために,…」などの記載があり,乙4発明?につき,視覚的にフラットなデザインを採用し,重視していることがうかがわれるところ,この24ようなフラットなデザインを採用しようとすれば,調理天板は耐熱強化ガラスとする以外にあり得ない。そうすると,乙4公報には,相違点2−Aに係る本件発明2−1及び同2−2の構成が実質的に記載されているといえ,相違点2−Aは実質的な相違点とはいえない。
5 仮に,この点が実質的な相違点であるとしても,乙4公報に接した当業者において,乙4発明?に上記周知の事項を適用して相違点2−Aに係る本件発明2−1及び同2−2の構成とすることは,本件出願日2当時,容易に想到し得たことである。
(ウ) 相違点2−Bについてビルトイン電気調理器において,加熱手段の火力を表示する表示手段が設けられ10 ていることは当然の構成であり,乙4公報に「排煙装置4は,図示の実施例では固有の…表示エレメントを有していない。」(段落[0017])と記載されていることの対比からしても,乙4発明?の調理器具2は,表示手段を備えていると認められる。そうすると,乙4公報には,加熱手段の火力を表示する表示手段を有する構成が実質的に記載されているといえる。
15 仮に,加熱手段の火力を表示する表示手段を有する構成が,乙4公報に実質的に記載されていないとしても,電気調理器において火力の表示装置を設けることは,本件出願日2当時の周知な構成であったところ(乙5ないし9の3),本件出願日2前に外国で頒布された刊行物である欧州特許公開公報第0578600号公報(乙7。以下「乙7公報」という。)に,「セラミックガラスの上方または下方に20 位置する赤外線センサーレシーバまたは無線機(5)」が「表示器(6)」に隣接して備え付けられている構成が開示されているように([図1]),乙4発明?に接した当業者において,乙4発明?に上記周知の構成を適用して表示手段を設け,また,赤外線受信フィールドの場所を当該表示手段の近傍に設けることは,適宜設計し得ることであって容易に想到し得たことである。
25 (エ) 相違点2−Cについて赤外線の送信手段を調理器具にいくつ設けるかについては,当業者が適宜設計し25得る事項である。
また,本件出願日2前に外国で頒布された刊行物である乙6公報には,「機能の信頼性を高めるために,トッププレートの下側の異なる位置に,優先的に調理ゾーンの外側に配置される複数の赤外線受信器を設けることができる。」との記載があ5 るから,乙4公報及び乙6公報に接した当業者において,乙4発明?に乙6公報に開示された構成を適用して相違点2−Cに係る本件発明2−2の構成とすることは,本件出願日2当時,容易に想到し得たことである。
エ 小括以上によれば,本件発明2−1及び同2−2は,本件出願日2当時,当業者が乙10 4発明?に周知の事項若しくは構成を適用し,又は適宜設計することにより,容易に発明をすることができたものである。
そうすると,本件発明2−1についての特許及び本件発明2−2についての特許は,いずれも特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号の無効理由があるから,特許無効審判により無効にされるべきものである。
15 したがって,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(特許法104条の3第1項)。
【原告の主張】ア 相違点の認定について相違点2−Cについて,被告は,「乙4発明?の『赤外線受信フィールド6』が20 設けられている個数については明記されていない」と主張する。しかし,乙4公報の段落【0017】及び【図1】の記載によれば,「赤外線受信フィールド6」の個数は1個であることが明白である。
イ 相違点の検討について(ア) 相違点2−@について25 被告は,乙4公報には相違点2−@に係る本件発明2−1及び同2−2の構成が実質的に記載されているとする。しかし,乙4公報は,「視覚的に簡素なデザイン」26と記載するにとどまり,視覚的に簡素なデザインと赤外線受信フィールド6との位置関係とは関係がないこと,及び,乙4公報において赤外線受信フィールド6は,その表面が露出するように調理器具2内に設けられていることは,既に主張したとおりであり(?【原告の主張】イ(イ)),相違点2−@に係る本件発明2−1及び同5 2−2の構成が実質的に記載されているということはない。
次に,被告は,乙4発明?に,乙第5ないし第7号証に開示された周知の構成を適用することにより,相違点2−@に係る本件発明2−1及び同2−2の構成とすることは容易に想到し得たと主張する。しかし,乙第5ないし第7号証に開示されているのは,いずれも,加熱調理器を排煙装置側から遠隔操作するシステムであっ10 て,これらの構成を乙4発明?に組み合わせても相違点2−@に係る本件発明2−1及び同2−2の構成には至らない。また,乙第5ないし第7号証に開示された構成は,調理機器の外部に操作装置を設けて調理機器を制御する発明に係るものであって,解決すべき課題が乙4発明?とは異なっているから,乙4発明?にこれらの構成を組み合わせる動機付けも認められないというべきである。
15 (イ) 相違点2−Aについて被告は,乙4公報には相違点2−Aに係る本件発明2−1及び同2−2の構成が実質的に記載されているとする。しかし,乙4公報は,排煙装置と調理機器との間にケーブルを用いないことをもって「視覚的に簡素なデザイン」と説明するにとどまり,「視覚的にフラットなデザイン」などとは記載されていない。したがって,20 天板の形状がフラットであるとか,ましてや天板の材質として耐熱強化ガラスが使用されていることが自明とはいえない。
(ウ) 相違点2−Bについて被告は,乙4発明?の調理器具2が表示手段を備えているとするが,乙4公報に表示手段の記載はない。仮に,乙4公報に表示手段が記載されているとみる余地が25 あるとしても,少なくとも表示手段の近傍に赤外線受信フィールド6が配置されている構成は,記載されていない。
27次に,被告は,電気調理器において火力の表示装置を設けることは周知の構成であり(乙5ないし9の3),さらに,乙7公報には赤外線センサーレシーバ又は無線機が表示器に隣接して備え付けられている構成が開示されているから,当業者において,乙4発明?に表示手段を設けた上,当該表示手段の近傍に赤外線受信フィ5 ールドを設けることは,適宜設計し得ることであって容易に想到し得たと主張する。
しかし,乙第5ないし第7号証に開示されたシステムでは,調理機器の操作装置が調理機器の外部にあるから,表示手段を調理機器に設ける必要はなく,この場合には,調理容器を載置することにより表示手段が見えなくなるということもないから,通信用投光部を,表示手段の近傍に配置することにより,調理容器に邪魔されない10 との技術的思想には想到し得ないというべきである。
(エ) 相違点2−Cについて被告は,乙4発明?に乙6公報に開示された構成を適用することにより,相違点2−Cに係る本件発明2−2の構成とすることは容易に想到し得たと主張する。しかし,乙6公報に開示された構成は,調理器具の外部に設けられた操作装置から調15 理器具の運転操作を行う発明に係るものであり,解決すべき課題が本件発明2−2とは異なっているから,乙4発明?に乙6公報に開示された構成を適用する動機付けはないというべきである。また,乙6公報には,赤外線受信器を複数とする構成は開示されているが,赤外線送信器を複数とする構成は開示されていない。
ウ 小括20 以上によれば,本件発明2−1及び同2−2は,本件出願日2当時,当業者が乙4発明?に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。被告が主張する無効理由4は成り立たない。
? 争点7(東芝ら及び原告が受けた損害の額)について【原告の主張】25 ア 損害賠償の対象となる取引について既に主張してきたとおり,被告が被告製品Aを製造し,販売する行為は,本件特28許権1を侵害するものとみなされる行為であり,また,本件特許権2を侵害する行為である。
また,被告製品Bは,本件発明1−1,同1−2,同2−1及び同2−2との対比においては,被告製品Aと同じ構成を有するから,被告が被告製品Bを製造し,5 販売した行為は,本件特許権1を侵害するものとみなされる行為であり,また,本件特許権2を侵害する行為である。
仮に,被告各製品の製造及び販売が,本件特許権1を侵害するとみなされる行為とはいえないとしても,被告が被告各製品を対応レンジフードファンと併せて販売する行為は,本件特許権1を侵害する行為である。
10 イ 損害の額について被告は,平成19年1月1日から平成28年12月31日までの間に,被告各製品を販売して,少なくとも885億円を売り上げた。本件特許権1又は同2の実施につき特許権者が受けるべき金銭の額は,それぞれ売上高の1パーセントを下らないので,被告の同行為により,本件特許権1の特許権者が受けた損害額の合計は,15 少なくとも8億8500万円であり,本件特許権2の特許権者が受けた損害額の合計も,少なくとも8億8500万円である。
また,被告は,平成19年1月1日から平成28年12月31日までの間に,被告各製品と対応レンジフードファンとを併せて販売して,少なくとも885億円を売り上げた。被告の同行為により本件特許権1の特許権者が受けた損害の額は,少20 なくとも8億8500万円である。
ウ 損害賠償請求権の譲渡前記前提事実(2?)のとおり,本件特許権1の特許権者は,平成27年9月28日までは東芝であり,同日以降は原告である。また,本件特許権2の特許権者は,同日までは東芝らであり,同日以降は原告である。
25 東芝らは,平成27年3月13日,本件各特許権に係る自己の持分及び第三者に対する特許権侵害を理由とする損害賠償請求権を全て原告に譲渡し,その後,被告29に対して,同債権譲渡に係る通知がされた。
したがって,東芝らが被告に対して有していた被告に対する損害賠償請求権は,全て原告が有するものである。
エ 弁護士費用5 本件の訴訟追行に要する弁護士費用として,請求額の10パーセント相当額が認められるべきである。
オ 小括よって,原告は,被告に対し,本件各特許権侵害不法行為による損害賠償請求権に基づき(本件特許権1の侵害を原因とする損害賠償請求権と,本件特許権2の10 侵害を原因とする損害賠償請求権とは,選択的併合の関係にある。),8億8500万円の一部である6億円及び弁護士費用6000万円並びにこれらに対する不法行為後の日である平成29年4月12日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
【被告の主張】15 否認し,争う。
そもそも原告は,被告製品Bが本件発明1−1,同1−2,同2−1及び同2−2の各技術的範囲に属する旨を具体的に主張,立証していない。
第3 当裁判所の判断1 本件各発明について20 ? 本件発明1−1及び同1−2についてア 特許請求の範囲の記載本件発明1−1及び同1−2に係る特許請求の範囲の記載は,前記(第2,2?ア及びイ)のとおりである。
イ 本件明細書等1の記載25 本件明細書等1には,次の記載がある(各項目末尾の【】は,発明の詳細な説明の段落番号を指す。)。
30(ア) 発明の属する技術分野「本発明は,電気駆動式の加熱手段で被加熱媒体を加熱する加熱調理器と,この加熱調理器の使用時に換気を行う換気ファン装置とを備えた加熱調理システム,並びに,これに用いられる加熱調理器及び換気ファン装置に関する。」【0001】5 (イ) 従来の技術「図6は,従来の加熱調理システム100の外観を示すものである。この図6に示すように,加熱調理システム100は,調理器本体101に収容されたヒータ102によって調理容器例えば鍋などを加熱する加熱調理器103と,この加熱調理器103の動作時に図示しない換気ファン(多翼ファン)を自動的に駆動制御する10 ことで換気を行う換気ファン装置105とを備えて構成されている。【0002】」「加熱調理器103には,赤外線LED106がトッププレート107上面部に突出する形で設けられている。この赤外線LED106は,ヒータ102への通電開始に連動して換気ファンの駆動を開始させ,ヒータ102への通電停止に連動して換気ファンの駆動を停止させるための赤外線信号をワイヤレス送信するようにな31っている。」【0003】「加熱調理器103の上方部には,換気ファン装置105が設置され,この装置本体108の側壁板底部には,前記赤外線信号を受信するための赤外線センサ109が突出する形で設けられている。この赤外線センサ109で受光した赤外線信号5 は,換気ファン装置105内部に設置された駆動制御回路(図示せず)にて検出され,この駆動制御回路により換気ファンの駆動制御が行われるようになっている。」【0004】(ウ) 発明が解決しようとする課題「従来の加熱調理システム100は,赤外線LED106がトッププレート1010 7表面に剥き出しの状態で設置されていたので,赤外線LED106に煮汁がこぼれるなどして信号出力部が汚れ,赤外線信号の送信が正常に行われなかったり,赤外線LED106に物が当たるなどして故障が発生し易いという問題があり,ワイヤレス通信の信頼性を向上させる上で改善の余地が残されていた。」【0007】「本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり,従ってその目的は,赤外線15 によるワイヤレス通信の信頼性を向上させた加熱調理システム並びに,これに用いられる加熱調理器及び換気ファン装置を提供することにある。」【0008】(エ) 課題を解決するための手段「請求項1記載の加熱調理システムは,被加熱媒体を載置するためのトッププレートと,このトッププレートに覆設された電気駆動式の加熱手段と,火力設定手段20 により設定された火力に基づいて前記加熱手段への通電制御を行う通電制御手段と,所定の駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する送信手段とを備えた加熱調理器と,この加熱調理器の周囲に設置された換気ファンと,前記駆動信号を受信する受信手段と,この受信手段にて受信した前記駆動信号に基づいて換気ファンの駆動制御を行う駆動制御手段とを備えた換気ファン装置とにより構成され,トッププレー25 トは赤外線の波長が透過する光透過特性を有する耐熱強化ガラスで構成され,送信手段はトッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容され,トッププレ32ートを介して前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信することを特徴とする。」【0009】「このような構成によれば,送信手段に煮汁が付着したり物が当たることなどを防ぐことができるので,送信手段を汚れや故障から守ることができ,赤外線による5 ワイヤレス送信の信頼性を向上させることができる。」【0010】「請求項5記載の加熱調理システムでは,送信手段は,加熱調理器に複数設けられていることを特徴とする。このような構成によれば,例えば一つの送信手段と受信手段とを結ぶ駆動信号の通信経路が汚れなどの障害物によって塞がれる事態が発生しても,他の送信手段からの駆動信号を受信手段で受信することができるので,10 ワイヤレス通信の信頼性を更に向上させることができる。」【0011】(オ) 発明の実施の形態「以下,本発明をビルトインタイプの加熱調理システムに適用した場合の第1の実施例について,図1乃至図4を参照しながら説明する。」【0020】「図2は,加熱調理システム1の外観を示すものである。この図2に示すように,15 キッチンには,所謂3口タイプの加熱調理器(以下,単に調理器と称す)2が設置されている。この調理器2は,キッチンのカウンタートップに組み込まれたヒータユニット3,キッチンの前面の扉の上部左側に配設されたロースタ4,及び,上部右側に配設された操作パネル部5を備え,調理器本体内部にヒータ7a乃至7c(後述)及びロースタ4を駆動制御するための電子回路(後述)が収容されて構成され20 ている。そして,これらヒータ7a乃至7c及びロースタ4で電気駆動式の加熱手段が構成されている。」【0021】33「ヒータユニット3は,図示しないヒータ収容室に三つのヒータ7a乃至7c…が収容され,このヒータ収容室の上部に透光性で耐熱ガラス製のトッププレート8が覆設されて構成されている。」【0022】「図3(a)は,ヒータユニットの構成を示す図である。…ヒータ収容室の奥右5 側端部及び手前左側端部には,赤外線状の駆動信号(後述)をワイヤレス送信するための赤外線LED11a及び11bが配設されている。」【0023】34「赤外線LED11a及び11bの位置に対応させて信号出力枠14a及び14bが描かれており,各赤外線LED11a及び11bから出力される駆動信号は信号出力枠14a及び14b部分を透過して送信されるようになっている。」【0024】5 「次に,図2を参照しながら換気ファン装置23について説明する。調理器2の上方部に位置する図示しない側壁面には,下部が開口した箱状のレンジフード28が設置されている。このレンジフード28内部には,モータ29…によって駆動する換気ファンが備えられており,この換気ファンは駆動制御手段たる駆動制御回路30(後述,図1参照)によって回転制御(駆動制御)が行われるようになってい10 る。」【0032】「レンジフード28背面側の側壁板底部には,赤外線LED11a及び11bから送信される駆動信号を受信するための赤外線センサ32が,その受光面が側壁板底部表面に配設されるようにして埋設されている。そして,これら換気ファン,レンジフード28,モータ29,駆動制御回路30,操作スイッチ31及び赤外線セ15 ンサ32で換気ファン装置23が構成され,調理器2及び換気ファン装置23で加熱調理システム1が構成されている。」【0033】35「図1は,調理器2及び換気ファン装置23内部に収容された電子回路の回路構成を示すものである。まず,この図1を参照しながら,調理器2の回路構成について説明する。」【0034】「通電制御回路37は,マイクロコンピュータ…を主体として構成されており,5 ROM…から調理器制御プログラムを読み出すことによって,調理器2全体の電気的な動作を制御するようになっている。また,通電制御回路37には,調理器制御プログラムによって風量設定機能47(後述)が形成されている。」【0041】「通電制御回路37には,操作パネル部5に配設された各ダイヤルや各スイッチ…,手動操作部24の各スイッチ24a乃至24e,及び,赤外線LED駆動回路10 49が接続されている。この赤外線LED駆動回路49は,通電制御回路37から出力される回転指令(換気ファンを所定の回転数で駆動させるための指令)に基づいて駆動信号を生成し,この駆動信号に基づいて赤外線LED11a及び11bを36発光させる機能を有している。」【0042】「調理器2の使用者が操作パネル部5を操作することによって火力が設定されると,風量設定機能47では前記対応テーブルに基づいて換気ファンの風量が自動的に設定され,この風量情報を含んだ回転指令が生成され,赤外線LED駆動回路45 9に出力される。赤外線LED駆動回路49では,前記回転指令が所定の通信プロトコルに従ったパルス状の駆動信号に変換され,この駆動信号に基づいて赤外線LED11a及び11bの駆動制御が行われる。赤外線LED11a及び11bからは,パルス状の赤外線に変換された駆動信号が赤外線センサ32に向かってワイヤレス送信される。」【0048】10 「送信手段50(赤外線LED11a及び11b)をトッププレート8で覆設するようにして調理器本体6に収容し,このトッププレート8を介して駆動信号を受信手段52(赤外線センサ32)にワイヤレス送信するようにしたので,赤外線LED11a及び11bに煮汁が付着したり物が当たることなどを防ぐことができ,これにより,赤外線LED11a及び11bを汚れや故障から守ることができ,ワ15 イヤレス通信の信頼性を向上させることができる。」【0056】「送信手段50(赤外線LED11a及び11b)を調理器2に複数(2個)設けたので,例えば一方の赤外線LED11aと赤外線センサ32とを結ぶ制御回路信号の通信経路が汚れなどの障害物によって塞がれる事態が発生しても,他方の赤外線LED11bからの駆動信号を赤外線センサ32で受信することができ,ワイ20 ヤレス通信の信頼性を更に向上させることができる。」【0057】(カ) 発明の効果「送信手段をトッププレートで覆設するようにして調理器本体に収容し,このトッププレートを介して駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信するようにしたので,送信手段を汚れや故障から守ることができ,ワイヤレス通信の信頼性を向上させる25 ことができる。」【0077】ウ 本件発明1−1及び同1−2の概要37特許請求の範囲の記載(前記ア)及び本件明細書等1の記載(前記イ)によれば,本件発明1−1及び同1−2の概要は,次のとおりと認められる。
(ア) 本件発明1−1及び同1−2は,電気駆動式の加熱調理器及びその使用時に換気を行う換気ファン装置並びにこれらを備えた加熱調理システムに関する。【0(5 001】)従来の加熱調理システムは,加熱調理器と,この加熱調理器の動作時に換気ファンを自動的に駆動制御することで換気を行う換気ファン装置を備えたものであり,加熱調理器のトッププレート上面部には,ヒータへの通電に連動して換気ファンの駆動を制御する赤外線をワイヤレス送信する赤外線LEDが突出する形で,剥き出10 しの状態で設置されていた。このため,赤外線LEDに煮汁がこぼれるなどして信号出力部が汚れる,赤外線LEDに物が当たるなどして故障が発生するなど,ワイヤレス通信の信頼性を向上させる上で改善の余地があった。(【0002】ないし【0004】,【0007】)(イ) 本件発明1−1及び同1−2は,このような問題点に鑑みされたものであり,15 赤外線によるワイヤレス通信の信頼性を向上させた加熱処理システムを提供することを課題とする。(【0008】)本件発明1−1は,加熱調理システムを構成する加熱調理器のトッププレートを赤外線の波長が透過する光透過特性を有する耐熱強化ガラスで構成し,駆動信号を送信する送信手段をトッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容し,20 トッププレートを介して駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する構成を採用することにより,送信手段に煮汁が付着したり物が当たることを防ぎ,赤外線によるワイヤレス通信の信頼性を向上させるようにしたものである。(【0009】,【0010】,【0022】ないし【0024】,【0056】,【0057】,【0077】)25 本件発明1−2のうち請求項1を引用する態様は,本件発明1−1の上記構成に加えて,送信手段を加熱調理器に複数設ける構成を採用することにより,一つの送38信手段と受信手段とを結ぶ通信経路が塞がれる事態が発生した場合であっても他の送信手段からの駆動信号を受信手段で受信できるようにして,ワイヤレス通信の信頼性を更に向上させるようにしたものである。(【0011】,【0057】)? 本件発明2−1及び同2−2について5 ア 特許請求の範囲の記載本件発明2−1及び同2−2に係る特許請求の範囲の記載は,前記(第2,2?ウ及びエ)のとおりである。
イ 本件明細書等2の記載本件明細書等2には,次の記載がある(各項目末尾の【】は,発明の詳細な説明10 の段落番号を指す。)。
(ア) 発明の属する技術分野「本発明は,通信用投光部を備えた加熱調理器に関する。」【0001】(イ) 発明が解決しようとする課題「加熱調理器と換気装置と組み合わせて構成される加熱調理システムとしては,15 例えば特開平10−57260号公報に示されたものが知られている。このものは図10に示すような構成となっている。すなわち,流し台のキャビネット1の上端部にワークトップ2が設けられ,このワークトップ2に,加熱調理器を構成するコンロ3が複数個設置されている。また,このコンロ3の上方に,換気装置を構成するレンジフードファン4が配設されている。このレンジフードファン4は,フード20 本体5の内部に,ファンモータ6a及びファン6bを有するファン装置6を備えていて,壁面に取り付けられている。」【0002】39「そして,上記キャビネット1の前面の上部に,通信用のリモートコントロールスイッチ7が出し入れ可能に設けられている。このリモートコントロールスイッチ7には,赤外線の光信号を発する通信用投光部7a及び操作スイッチが設けられている。一方,上記レンジフードファン4のフード本体5における前下部に,通信用5 受光部8が設けられている。」【0003】「上記構成において,リモートコントロールスイッチ7を,図に示すのように前方へ突出させた状態において,使用者が当該リモートコントロールスイッチ7の操作スイッチを操作すると,通信用投光部7aから赤外線の光信号が上方に向けて発せられる。そして,レンジフードファン4の通信用受光部8にてその光信号を受信10 すると,その信号に応じてファン装置6の運転が制御される構成となっている。」【0004】「しかしながら,上記した従来構成のものでは,次のような欠点がある。すなわち,通信用投光部7aを備えたリモートコントロールスイッチ7は,キャビネット1の前上部で,ワークトップ2の下方に配置されている。このため,使用者がリモ15 ートコントロールスイッチ7を操作する際に,通信用投光部7aから発せられる赤40外線の光信号が,使用者の手や腕,頭部などの身体の一部,或いはコンロ3にセットされる鍋などの調理容器の一部で遮断される確率が高く,通信の信頼性が低くなるという問題がある。」【0005】「本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり,その目的は,通信用投光5 部から発せられる光信号が遮断される確率を少なくでき,通信の信頼性を向上できる加熱調理器を提供するにある。」【0006】(ウ) 課題を解決するための手段「上記した目的を達成するために,請求項1の発明の加熱調理器は,鍋などの調理容器が載置されるトッププレートと,このトッププレートの下方に配設された調10 理用の加熱手段と,この加熱手段を制御する通電制御手段と,前記トッププレートの下方に配設され,当該トッププレートを通して光信号を上方に向けて発する通信用投光部とを具備し,前記通電制御手段は,前記通信用投光部を介して,前記トッププレートの上方に配設される換気装置を制御する機能を有し,前記トッププレートを,前記光信号の波長が透過する光透過性を有する耐熱強化ガラスから構成した15 ことを特徴とする。」【0007】「上記した手段によれば,通信用投光部はトッププレートの下方に配設されていて,その通信用投光部から発せられた光信号は,トッププレートを通して上方へ向けて送信される。このとき,トッププレートの上方に使用者の身体の一部が位置される確率は低く,よって,通信用投光部から発せられた光信号が使用者の身体の一20 部で遮断される確率が低くなる。また,トッププレート上に載置される調理容器は,通常,加熱手段に対応した場所に載置されるため,通信用投光部を,トッププレート上に載置される調理容器に邪魔されない位置に配置することで,通信用投光部から発せられた光信号は,トッププレート上に載置される調理容器によって遮断される確率も低くできる。従って,通信用投光部から発せられる光信号が遮断される確25 率を少なくでき,通信の信頼性を向上できるようになる。」【0008】「請求項4の発明は,通信用投光部は,トッププレートの下方に複数個配設され41ていることを特徴とする。上記した手段によれば,通信用投光部が複数個あるので,一つの通信用投光部から発せられた光信号が万一遮断されたとしても,他の通信用投光部から発せられた光信号は有効に送信される確率が高く,よって,通信の信頼性を一層向上できるようになる。また,光信号を受ける通信用受光部との相対的位5 置がずれても送信できる確率が高くなる。」【0011】「請求項2の発明は,トッププレートの下方に,加熱手段の火力を表示する表示手段を備え,通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置したことを特徴とする。」【0012】(エ) 発明の実施の形態10 「以下,本発明の一実施例について…説明する。図1には,本発明の加熱調理システムの外観図が示されている。この図1において,加熱調理システムは,台所のキャビネット11に組み込まれたビルトインタイプの加熱調理器12と,この加熱調理器12の上方に設置された換気装置としてのレンジフードファン13とから構成されている。」【0019】42「まず,加熱調理器12について説明する。加熱調理器12の本体ケース15は,図6に示すようにキャビネット11の上部に組み込まれていて,この本体ケース15の上部に上部ケース16が装着され,この上部ケース16の上面部は矩形板状をなすトッププレート17により覆われている。このトッププレート17は,9505 nmの波長の赤外線の透過率が約80%の光透過性を有する耐熱強化ガラスからなるものであり,ワークトップ14上に装着された矩形状の支持枠18に支持されている。」【0020】43「上部ケース16内において,左右の両加熱コイル20,21の前方側には,2枚のプリント基板23,24が配設されている。このうち,左側のプリント基板23には,左側の加熱コイル20の前側に位置させて多数個の表示用LED25からなる左用LED群(表示手段)26が,加熱コイル20の外周部に沿うようにして5 弧状に配設されている。また,右側のプリント基板24には,右側の加熱コイル21の前側に位置させて多数個の表示用LED25からなる右用LED群(表示手段)27が,加熱コイル21の外周部に沿うようにして弧状に配設されていると共に,中央ヒータ22の前方に位置させて多数個の表示用LED25からなる中央用LED群(表示手段)28が配設されている。」【0022】44「また,上部ケース16内において,左奥部及び右奥部にも小さな矩形状のプリント基板29,30が配設されている。そして,これら両プリント基板29,30と,前側の上記両プリント基板23,24に,それぞれ通信用投光部を構成する,赤外線の光信号を発する赤外線LED31〜34が配設されている(図5〜図7参5 照)。従って,この場合,トッププレート17の下方に4個の赤外線LED31〜34が配設されていて,このうち後部側の2個の赤外線LED31,32は,トッププレート17の前後方向の中心線C(中央部)より後方で,かつ中央ヒータ22の左側方及び右側方に配置され,また,前側の2個の赤外線LED33,34は,トッププレート17の前後方向の中心線Cより前方の左前部及び右前部に配置され10 ている。これら各赤外線LED31〜34は,例えば950nmの波長の赤外線の光信号を,トッププレート17を通して上方の,前記レンジフードファン13側の通信用受光部を構成するフォトダイオード35(図1参照) へ向けて発する構成となっている。」【0023】45「図9には,上記した加熱調理器12とレンジフードファン13の電気的構成が概略的に示されている。」【0033】「通電制御回路74には,操作パネル部50に配設された各ダイヤルや各スイッチ…及び赤外線LED駆動回路89が接続されている。赤外線LED駆動回路895 には,上記4個の赤外線LED31〜34を直列に接続した直列回路の一端が接続されている。…赤外線LED駆動回路89は,通電制御回路74から出力される指令に基づいて駆動信号を生成し,この駆動信号…に基づいて各赤外線LED31〜34を発光させる機能を有している。これにより,各赤外線LED31〜34は赤外線の光信号を発することになる。」【0040】10 「次に,上記構成の作用を説明する。…例えば左IHを使用する場合には,トッププレート17における鍋載置部39〜41のうち,加熱コイル20に対応する鍋載置部39に鍋などの調理容器97…を載置した状態で,操作パネル部50において左IH用ダイヤル52を操作する。すると,通電制御回路74は,…加熱コイル20を通電制御すると共に,左用LED群26を点灯制御する。…また,通電制御46回路74は,赤外線LED駆動回路89を介して各赤外線LED31〜34を点灯制御する。」【0042】「各赤外線LED31〜34が発光すると,各赤外線LED31〜34から赤外線の光信号が,トッププレート17を通して上方のレンジフードファン13におけ5 るフォトダイオード35に向けて発せられる。このとき,各赤外線LED31〜34は光信号をトッププレート17を通して上方に向けて発信するので,使用者が操作パネル部50のダイヤルを操作する際に,その光信号を遮断する確率は低い。また,4個の赤外線LED31〜34が,鍋載置部39〜41を避けて4か所に配置されているので,それら赤外線LED31〜34の光信号が,トッププレート1710 上に載置される調理容器97で遮断される確率も低い。」【0043】「赤外線LED31〜34から発信された光信号がフォトダイオード35にて受信されると,レンジフードファン13における制御回路96は,その受信信号に基づいてファンモータ66を駆動制御する。」【0044】「上記した実施例によれば,次のような効果を得ることができる。まず,通信用15 投光部を構成する赤外線LED31〜34はトッププレート17の下方に配設されていて,それら各赤外線LED31〜34から発せられた光信号は,トッププレート17を通して上方のフォトダイオード35に向けて送信される。このとき,トッププレート17の上方に使用者の身体の一部が位置される確率は低く,よって,赤外線LED31〜34から発せられた光信号が使用者の身体の一部で遮断される確20 率が低くなる。また,トッププレート17上に載置される調理容器97は,通常,加熱手段に対応した場所である鍋載置部39〜41に載置されるため,赤外線LED31〜34を,トッププレート17上に載置される調理容器97に邪魔されない位置に配置することで,赤外線LED31〜34から発せられた光信号は,調理容器97などによって遮断される確率も低くできる。従って,赤外線LED31〜325 4から発せられる光信号が遮断される確率を少なくでき,通信の信頼性を向上できるようになる。」【0047】47「ここで,加熱調理器12としては,トッププレート17の前側に2個の加熱コイル20,21が配設されていると共に,後側に1個の中央ヒータ22が配設された3口のものであるため,トッププレート17上に複数の調理容器が載置されることが多くなり,赤外線LED31〜34から発せられた光信号が調理容器などによ5 って遮断される確率も高くなる。」【0048】「この点,本実施例においては,赤外線LED31〜34は4個配置されているので,そのうちの一つの赤外線LEDから発せられた光信号が万一遮断されたとしても,他の赤外線LEDから発せられた光信号は有効に送信される確率が高く,よって,通信の信頼性を一層向上できるようになる。」【0049】10 「しかもこの場合,特に2個の赤外線LED31,32は,トッププレート17の中央部よりも後方で,かつ,後側の中央ヒータ22の左右両側方に配置されていて,各鍋載置部39〜41から避けた位置に配置されているので,これら2個の赤外線LED31,32から発せられる光信号が,使用者の身体や調理容器などによって遮断される確率を一層低くできる。また,赤外線LEDはトッププレート1715 の後側のみではなく,トッププレート17の前側の左右両側部にも2個の赤外線LED33,34を配置しているので,通信の信頼性を一層向上できると共に,フォトダイオード35との相対的位置がずれても送信できる確率を高くできる。」【0050】(オ) 発明の効果20 「以上の説明から明らかなように,本発明の加熱調理器によれば,通信用投光部をトッププレートの下方に配設し,その通信用投光部から発せられた光信号が,トッププレートを通して上方へ向けて送信される構成となっているので,その光信号が,使用者の身体の一部や,トッププレート上に載置される調理容器などによって遮断される確率を少なくでき,通信の信頼性を向上できるという優れた効果を得る25 ことができる。」【0056】ウ 本件発明2−1及び同2−2の概要48特許請求の範囲の記載(前記ア)及び本件明細書等2の記載(前記イ)によれば,本件発明2−1及び同2−2の概要は,次のとおりと認められる。
(ア) 本件発明2−1及び同2−2は,通信用投光部を備えた加熱調理器に関する。
(【0001】)。
5 従来の加熱調理システムに用いられる加熱調理器は,その上方に位置するレンジフードファンのファン装置の運転を制御する赤外線の光信号を発する通信用投光部が,キャビネットの前上部であってワークトップの下方に配置されていた。このため,通信用投光部から発せられる赤外線の光信号が,使用者の身体の一部や,コンロにセットされる調理容器の一部で遮断される確率が高く,通信の信頼性が低くな10 るという問題点があった。(【0002】ないし【0005】)(イ) 本件発明2−1及び同2−2は,このような問題点に鑑みされたものであり,通信用投光部から発せられる光信号が遮断される確率を低くし,通信の信頼性を向上させた加熱調理器を提供することを課題とする。(【0006】)本件発明2−1は,加熱調理器のトッププレートを光透過性を有する耐熱強化ガ15 ラスで構成し,その下方に,当該トッププレートを介して光信号を上方に向けて発する通信用投光部及び加熱手段の火力を表示する表示手段を備え,当該通信用投光部を当該表示手段の近傍に配置する構成を採用することにより,通信用投光部から上方に向けて発せられる光信号が,使用者の身体の一部や調理容器により遮断される確率を低くし,通信の信頼性を向上させるようにしたものである。【0007】( ,20 【0008】,【0012】,【0023】,【0043】,【0047】,【0050】,【0056】)本件発明2−2のうち請求項2を引用する態様は,本件発明2−1の上記構成に加えて,通信用投光部をトッププレートの下方に複数個配設する構成を採用することにより,一つの通信用投光部から発せられた光信号が遮断されたとしても,他の25 通信用投光部から発せられた光信号が有効に送信される可能性を高め,通信の信頼性を一層向上させるようにしたものである。(【0011】,【0048】ないし【049050】)2 争点5(本件発明1−1についての特許及び本件発明1−2についての特許は,無効理由1〔乙第4号証を主引例とする進歩性欠如〕をもって特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について5 事案に鑑み,争点5から判断する。
? 乙4公報の記載本件出願日1前に外国において頒布された刊行物である乙4公報には,次の記載がある(各項目末尾の[]は,説明〔Beschreibung〕の段落番号を指す。日本語訳は,「視覚的に簡素な(schlichten)デザイン」[0013]との部分は原告の主10 張により,その余の部分は被告が提出した訳文によった。)。
「本発明は,調理機器と排煙装置とを有する機器コンビネーションに関する。」[0001]「一般家庭のキッチンおよび営業レストランのキッチンには,調理機器の上に通常は排煙装置が配置されており,この排煙装置は調理の際に発生する蒸気をキッチ15 ンから排出する。この場合,排煙装置は機器使用者によって自力でスイッチオンおよびスイッチオフされなければならない。しかしながら,しばしば排煙装置のスイッチオンは,後になって初めて行われるか,または完全に忘れられる。これは,嗅覚にとって有害であり,キッチン自体に調理蒸気内に含まれる油脂の不都合な拡散をもたらし,場合によってはキッチンに隣接する居室にも拡散させることになる。
20 機器使用者が排煙装置を早めにスイッチオンすることを忘れなくても,排煙装置が相応に強くまたは弱く作業しない場合,このような事態が常に発生する。」[0002]「調理機器および排煙装置から成る今日の機器コンビネーションのその他の欠点は,排煙装置が操作および表示エレメントを有していて,この操作および表示エレ25 メントを清潔に保っておくことはしばしば困難であり,細心の注意をはらって使用した場合でも,常に衛生的で申し分なく使用できるとは限らない。このような欠点50は,…調理機器のための操作および表示エレメントが排煙装置内に組み込まれている場合でも,明らかである。」[0003]「そこで本発明の課題は,必要に応じて排煙装置の運転を可能にするような,調理機器と排煙装置とを有する機器コンビネーション…を提供することである。 [0」5 004]「請求項1に記載した機器コンビネーションは,a)調理機器,特に調理オーブン…および/または調理天板…を有しており,b)調理機器の少なくとも1つの運転状態を選択するための調理機器用の少なくとも1つの操作エレメント…を有しており,c)調理機器の運転中に発生する調理煙霧(湯気)を吸引するための排煙装10 置を有しており,d)コントロールユニットを有しており,該コントロールユニットが,調理機器のための少なくとも1つの操作エレメントおよび排煙装置に接続されていて,調理機器のための操作エレメントまたは該操作エレメントのうちの1つの少なくとも1つの所定の操作(操作員による)時,特に調理機器のスイッチオン時に,調理機器の相応の運転状態を調節するとともに,排煙装置の吸引運転も作動15 させるようになっている。」[0006]「このような形式で,本発明によれば,排煙装置の運転と調理機器の運転とを連動させることができるので,排煙装置のスイッチオンは,調理機器の運転状態のスイッチオン若しくは選択時にまたは調理機器の運転時に自動的に行われ,失念のために行われないことはない。しかも,場合によっては排煙装置の操作エレメントを20 節約することができ,これによって,操作エレメントによって破断されていない,十分に清掃することができる滑らかな面が形成される。」[0008]「特に好適な実施例によれば,調理機器(直接的に)も排煙装置(間接的に)も作動させ,かつ好適な形式で作動停止させることもできる,少なくとも1つの操作エレメントが,調理機器の外側にまたは内側に配置され,例えば調理天板の下側ま25 たは操作孔に配置されていてよい。これによって,2つの機器の操作エレメントの,コンパクトで見通しのよい配置が得られる。」[0010]51「追加的に,排煙装置が必要に応じた吸引出力で作業するように保証するために,好適な実施態様によれば,操作エレメントで調節された調理機器の運転状態に,この運転状態を考慮した排煙装置の吸引出力が割り当てられるようになっている。…しかしながら,最も簡単な実施例では,排煙装置も,調理機器がスイッチオンされ5 た状態で調理機器の運転状態とは無関係に,概ね一定の吸引出力で運転される。」[0011]「本発明の好適な実施形態では,相応に,調理機器のスイッチオフとともに排煙装置の吸引運転を作動停止させるようになっている。」[0012]「視覚的に簡素な(schlichten)デザイン,および衛生的に特に好適な解決策を10 得るために,排煙装置と調理機器または調理機器のための操作ボックスとの間で,ワイヤレスなデータおよび/または信号伝送が行われる。従って,排煙装置は,調理機器との目に見える接続を有していない。ケーブルが設けられていないことに基づいて,ケーブルを取り囲む邪魔な縁取りおよび中空スペースも省くことができ,そうでなければ,この中空スペース内に油脂飛沫等が溜まることになる。ワイヤレ15 スな伝送のために,公知のすべての伝送手段,特に赤外線−,無線−または超音波−送受信機を使用することができる。伝送は,特に双方向であってもよいので,排煙装置の運転だけが調理機器から制御可能なのではなく,排煙装置のフィードバックも調理機器に伝送され得る。」[0013]「図1は,ビルトイン電気調理器具(以下では調理器具2と呼ぶ),およびその20 上に配置された排煙装置4を示す。排煙装置4は,図示の実施例では固有の操作および表示エレメントを有していない。その代り,排煙装置4の運転は調理器具2だけによって制御される。この場合,調理器具2と排煙装置4との間のデータ交換のために,組み合わされた,赤外線技術の送受信フィールド6が調理器具2内若しくは排煙装置4内に設けられている。このような形式でデータ交換がワイヤレスで行25 われるので,排煙装置4は,視覚的に独立して配置されていて,例えば清掃時にじゃまになるケーブル接続を設ける必要がない。」[0017]52「調理器具2に設けられたボタン10を操作することによって,排煙装置4は自動的に作動される。…調理器具2のコントロールユニットは,適切な赤外線信号シーケンスの放射を制御し,この赤外線信号シーケンスは,…排煙装置4のコントロールユニットを評価し,…排煙装置4のファンモータを相応に調節する。」[005 18]「同様に排煙装置4内に配置された動作検出器16が,調理器具2周辺に所定の時間長さよりも長く動きがない,つまり調理器具2または調理天板18上に位置する調理用具の操作がないことを報告すると,…」[0019]? 引用発明110 上記?に認定した乙4公報の記載によれば,乙4公報には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「被加熱媒体を載置するための調理天板18と,この調理天板18に覆設された電気駆動式の加熱手段と,火力設定手段により設定された火力に基づいて前記加熱手段への通電制御を行う調理器具2のコントロールユニットと,所定の駆動信号を15 赤外線によりワイヤレス送信する調理器具2の送受信フィールド6とを備えた加熱調理器と,この加熱調理器の周囲に設置されたファンと,前記駆動信号を受信する53排煙装置4の送受信フィールド6と,この排煙装置4の送受信フィールド6にて受信した前記駆動信号に基づいてファンの駆動制御を行う排煙装置4のコントロールユニットとを備えた排煙装置4とにより構成され,前記調理器具2の送受信フィールド6は調理器具2本体に収容され,前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信5 することを特徴とする加熱調理システム。」なお,原告は,引用発明1における「調理器具2の送受信フィールド6」の設置態様につき,乙4公報の【図1】に実線で描かれていることから,その表面が露出されるように調理器具2内に設けられていると主張する。しかし,図面に実線で描かれているからといって,直ちに表面に露出していると認めることはできず(現に,10 本件明細書等1の【図2】において,トッププレート8の下方に覆設され表面が露出していないはずの赤外線LED11a,11bも,実線で描かれているところである。),引用発明1における「調理器具2の送受信フィールド6」の設置態様は不明というほかない。
? 本件発明1−1及び同1−2と引用発明1との対比15 ア 一致点引用発明1の「調理天板18」が本件発明1−1及び同1−2の「トッププレート」に,引用発明1の「調理器具2のコントロールユニット」が本件発明1−1及び同1−2の「通電制御手段」に,引用発明1の「調理器具2の送受信フィールド6」が本件発明1−1及び同1−2の「送信手段」に,引用発明1の「ファン」が20 本件発明1−1及び同1−2の「換気ファン」に,引用発明1の「排煙装置4の送受信フィールド6」が本件発明1−1及び同1−2の「受信手段」に,引用発明1の「排煙装置4のコントロールユニット」が本件発明1−1及び同1−2の「駆動制御手段」に,引用発明1の「排煙装置4」が本件発明1−1及び同1−2の「換気ファン装置」に,引用発明1の「調理器具2」が本件発明1−1及び同1−2の25 「調理器」に,それぞれ相当すると認められる。
したがって,本件発明1−1及び同1−2と引用発明1とは,「被加熱媒体を載54置するためのトッププレートと,このトッププレートに覆設された電気駆動式の加熱手段と,火力設定手段により設定された火力に基づいて前記加熱手段への通電制御を行う通電制御手段と,所定の駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する送信手段とを備えた加熱調理器と,この加熱調理器の周囲に設置された換気ファンと,5 前記駆動信号を受信する受信手段と,この受信手段にて受信した前記駆動信号に基づいて換気ファンの駆動制御を行う駆動制御手段とを備えた換気ファン装置とにより構成され,前記送信手段は調理器本体に収容され,前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信することを特徴とする加熱調理システム」である点において一致する。
10 イ 相違点(ア) 他方で,本件発明1−1と引用発明1とは,次の各点において形式的に相違する。
@ 本件発明1−1及び同1−2の「トッププレート」は,「前記赤外線の波長が透過する性質を有する耐熱ガラス製で構成され」ているのに対し(構成要件F1),15 引用発明1において「トッププレート」に相当する「調理天板18」の性質・材質は明記されていない点(以下「相違点1−1」という。)A 本件発明1−1及び同1−2の「送信手段」は,「前記トッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容され,前記トッププレートを介して前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する」のに対し(構成要件G1),引用発明120 において「送信手段」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」がどのような態様で調理器具2内に設けられているか,また,調理天板18を介して駆動信号をワイヤレス送信するかが不明である点(以下「相違点1−2」という。)(イ) 本件発明1−2及び引用発明1とは,上記相違点1−1及び同1−2に加えて,次の点において形式的に相違する。
25 B 本件発明1−2の「送信手段」は,「加熱調理器に複数設けられている」(構成要件I1)のに対し,引用発明1において「送信手段」に相当する「調理器具255の送受信フィールド6」は,「排煙装置4の送受信フィールド6」との関係で一対となっている点(以下「相違点1−3」という。)? 関連技術についてア 乙5公報の記載5 本件出願日1前に外国において頒布された刊行物であるドイツ連邦共和国特許公開公報第3909126号(乙5。以下「乙5公報」という。)には,次の記載がある(日本語訳は,被告が提出した訳文によった。)。
「本発明は,調理レンジ用の切換装置であって,操作ユニットと,調理レンジ内に配置され,調理領域及び/又はオーブンを切り換える出力切換部とを有する前記10 切換装置に関するものである。」「通常,調理レンジにおいては,操作ユニットが調理レンジの前側に統合されている。操作ユニットが直立した姿勢では見にくいため,操作ユニットのこの位置は,操作性を妨げるものである。…多くの場合には,操作ユニットは,調理レンジの高温となる範囲に位置している。このことは,温度に敏感な操作ユニットの電子部品15 の熱的な保護を必要とする。操作ユニットをレンジのより低温の範囲に配置することができるが,その場合,適当な結合ケーブルが必要となってしまう。」「本発明の課題は,調理レンジの高温範囲の外部の,操作のために見やすい箇所に操作ユニットが配置された,冒頭に挙げた種類の切換装置を提案することにある。」「本発明によれば,上記課題は,冒頭に挙げた種類の切換装置において,操作ユ20 ニットが,調理レンジの上方に設けられたレンジフードに配置されていること,及び操作ユニットと出力切換部の間の信号伝達が赤外線区間又は超音波区間を用いてなされることによって解決される。」「本発明の構成では,赤外線区間及び超音波区間を介して,出力切換部から操作ユニットへの信号伝達も行われ,操作ユニットが,信号伝達の遮断を表示するため,25 及び/又は実際のオンされている調理領域を表示するための検査装置を備えている。」56「本発明の発展形成では,操作ユニットに接続された赤外線送信機がレンジフードの下側に配置されているとともに,出力切換部に接続された赤外線受信機が調理領域近傍の調理レンジのガラスセラミックプレートの下方に配置されている。これにより,赤外線受信機は,ガラスセラミックプレートの穿孔を生じさせないととも5 に,その平滑な表面を阻害しない。」「本発明の別の有利な形態は,実施例の以下の説明から明らかである。図は,調理レンジの上方のレンジフードを概略的に示すものである。」「ガラスセラミック−調理プレート(1)は4つの調理領域(2)を備えており,これらの調理領域の下方には不図示の電気式のヒーターが配置されている。これら10 は,出力切換部(3)によってオン可能である。」「出力切換部(3)には赤外線受信機(4)が接続されている。この赤外線受信機は,同様に調理プレート(1)の下方に配置されている。」「調理プレート(1)の上方にはレンジフード(5)が配置されている。このレンジフードには赤外線送信機(6)が組み込まれており,この赤外線送信機は,赤15 外線受信機(4)の上方で垂直に位置している。これにより,送信機(6)と受信機(4)との間の信号伝達のために赤外線−信号伝達区間が形成されている。…受信機(4)は,調理プレート(1)のこのような箇所,例えば右後ろに配置されて57おり,鍋又はこれに類するものによってこの箇所が覆われることはできる限り起こり得ない。」「特別な場合においては,受信機(4)は例えば鍋又はその他の物体によって覆われることがあり得る。伝達区間は,これにより遮断されている。…このことをユ5 ーザに表示するために,受信機(4)に送信機を設け,送信機(6)に受信機を配置することが可能である。送信機(6)に配置された受信機が信号を受信しない場合には,このことが操作ユニット(7)に表示される。これにより,ユーザは,伝達区間の遮断についての示唆を受け取り,この遮断する物体を取り除くことができる。」10 イ 乙6公報の記載本件出願日1前に外国において頒布された刊行物である乙6公報には,次の記載がある(日本語訳は,被告が提出した訳文によった。)。
「本発明は調理器具の操作状態を調節するための方法および装置に関する。」「従来技術に基づく操作装置は調理器具に直接存在し,したがって調理器具によ15 って生成される熱の影響下にある。さらにレンジの下のその位置は操作者に対して人間工学的に不利である。すなわち,特に操作装置を低温に維持するために予防措置が講じられなければならない。」「したがって本発明は,上述の従来技術の欠点を回避するトッププレートを有する調理器具の操作状態を調節するための方法と装置を提示することに課題を置く。」20 「操作装置における操作手順に応じて調理機器の操作状態を選択するために,選択される操作状態に一義的に割り当てられる赤外線制御信号を生成する操作装置が設けられる。この赤外線制御信号を受信するために少なくとも1つの赤外線受信器が設けられ,該赤外線受信器は操作装置と反対側のトッププレートの側面に配置される。トッププレートによる赤外線制御信号の十分な透過を確保するために,トッ25 ププレートに対する材料として,赤外線制御信号の周波数スペクトルが存在する少なくとも赤外線スペクトルの部分スペクトルを透過する材料が選択される。」58「本発明に基づいて形成される調理器具のこの赤外線遠隔操作によって,操作装置は空間的に離して,かつ調理器具から全く独立して配置され,その結果,調理器具による操作装置への熱的影響を回避することができる。さらに操作装置は人間工学的に例えば眼の高さにおいて,作り付け家具内に配置することができる。…最後5 にトッププレートの下側の赤外線受信器はこぼれた調理物による損傷と汚染から保護され,かつ場所を取らずに格納することが可能である。」「機能の信頼性を高めるために,トッププレートの下側の異なる位置に,優先的に調理ゾーンの外側に配置される複数の赤外線受信器を設けることができる。赤外線受信器の1つが例えば調理器によって覆われた場合においても尚,赤外線制御信10 号は別の赤外線受信器によって受信することができる。」「特別な実施形態において,双方向赤外線伝送路を設けることができる。その場合,調理器具の運転状態を調節するための制御信号を赤外線信号として伝送するのみではなく,調理器具の状態信号または別の信号を,料理器具の現在の運転状態を表示する表示装置へ伝送することもできる。そのためにトッププレートの下側にト15 ッププレートを通して表示装置の赤外線受信器へ赤外線状態信号を送信するための赤外線送信器が配置される。」「図1において,少なくとも赤外線周波数スペクトルの部分スペクトルに透過性である調理器具のトッププレート2が示される。優先的にトッププレート2は少なくとも部分的にガラスセラミックによって構成され,該ガラスセラミックは通常約20 0.5μm〜約4.5μmの間の波長領域における電磁放射線に対して透過性(透明)である。ガラスセラミック2の互いに反対側に向いた側面に操作装置5と赤外線受信器4が配置される。」59「図3は,4つの調理ゾーン20〜23と,トッププレートのコーナーの下側に配置される赤外線受信器4A〜4Dを有するトッププレート2の実施形態を平面図で示す。複数の赤外線受信器4A,4B,4C,および4Dを設けることによって,これらの赤外線受信器4A〜4Dの3つまでが調理器または別の物体によって覆わ5 れている場合も赤外線遠隔操作は機能する。」ウ 乙7公報の記載本件出願日1前に外国において頒布された刊行物である乙7公報には,次の記載がある(日本語訳は,被告が提出した訳文によった。)。
「以下の発明は,…とりわけ誘導加熱式またはガラスセラミック型の装置を制御10 するために作られた家庭電化製品のリモート制御のためのシステムである。」「この記録において,好ましくは調理装置用に設計された家庭電化製品の機能のリモート制御のためのシステムであって,制御部が例えば調理器フードの構造体内などの誘導式またはガラスセラミック型の調理プレートから遠い場所に位置し,あ60るいはリモート制御部を使用するシステムが説明される。」「このシステムは,送信部と,赤外線レシーバまたは無線機とを有し,赤外線センサーレシーバまたはアンテナは,セラミックガラスの下方にあり,赤外線または電波は,このセラミックガラスを通過することができる。」5 「調理プレート内のヒータと同数の電力表示器が,調理器の前面またはセラミックガラスの下方に存在でき,7セグメントの表示部が,動作中の各々の抵抗器の電力の容易な表示を可能にする。」「以上の図を眺めた後で,採用された採番に従って,どのようにして誘導式またはガラスセラミック型のいずれかの調理プレート(3)のヒータ(2)のための制10 御部(1)が,センサーレシーバ(5)が,セラミックガラスの上方または下方において,赤外線または電波が通過するがゆえに,赤外線または無線によって作動させられるようなやり方で,調理器フード(4)の前面に位置するのかに,注目することができる。」? 相違点の検討61ア 相違点1−1及び同1−2について(ア) 相違点の概要相違点1−1は,本件発明1−1及び同1−2の「トッププレート」は,「前記赤外線の波長が透過する性質を有する耐熱ガラス製で構成され」ているのに対し(構5 成要件F1),引用発明1において「トッププレート」に相当する「調理天板18」の性質・材質は明記されていない点である。
相違点1−2は,本件発明1−1及び同1−2の「送信手段」は,「前記トッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容され,前記トッププレートを介して前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する」のに対し(構成要件G1),10 引用発明1において「送信手段」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」がどのような態様で調理器具2内に設けられているか,また,調理天板18を介して駆動信号をワイヤレス送信するかが不明である点である。
(イ) 実質的な相違点かについて被告は,相違点1−1及び同1−2に係る本件発明1−1及び同1−2の構成は,15 乙4公報に実質的に記載されている旨主張する。しかし,上記?に認定した乙4公報の記載によっても,これらの点が実質的に記載されているとは認め難いので,相違点1−1及び同1−2は,実質的な相違点というべきである。
(ウ) 容易想到性の検討上記?にみた乙5公報,乙6公報及び乙7公報の記載によれば,調理器具に備え20 付けられ,調理器具外に備え付けられた機器との間で赤外線を送受信する赤外線送受信器を,調理器具のトッププレートの下方に配置した上で,当該トッププレートとして,赤外線が透過する性質を有するセラミックガラスを採用し,このトッププレートを介して赤外線信号を送受信する構成は,本件出願日1当時,周知の構成であったと認められる。
25 さらに,乙6公報には,調理器具について,赤外線受信器をトッププレートの下方に設けることにより,当該赤外線受信器(なお,乙6公報には,双方向赤外線伝62送路を設ける構成として,トッププレートの下方に赤外線送信器を配置する構成も開示されている。)をこぼれた調理物による損傷と汚染から保護するという,本件発明1−1及び同1−2の解決課題と共通する課題が記載されている。
そうすると,乙4公報に接した当業者において,引用発明1に上記周知の構成を5 適用して,相違点1−1及び同1−2に係る本件発明1−1及び同1−2の構成とすることは,本件出願日1当時,容易に想到し得たことというべきである。
この点について,原告は,乙5公報,乙6公報及び乙7公報に開示されているのは,加熱調理器を排煙装置側から遠隔操作するシステムであり,これらの公報に記載された構成を引用発明に組み合わせても相違点1−1及び同1−2に係る本件発10 明1−1及び同1−2の構成には至らないと主張する。しかし,乙5公報には「受信機(4)に送信機を設け,送信機(6)に受信機を配置することが可能である。」との記載が,乙6公報には「双方向赤外線伝送路を設けることができる。その場合,…トッププレートの下側にトッププレートを通して表示装置の赤外線受信器へ赤外線状態信号を送信するための赤外線送信器が配置される」との記載がそれぞれある15 から,これらの記載と併せて,「調理器具に備え付けられ,調理器具外に備え付けられた機器との間で赤外線を送受信する赤外線送受信器を,調理器具のトッププレートの下方に配置した上で,当該トッププレートとして,赤外線が透過する性質を有するセラミックガラスを採用し,このトッププレートを介して赤外線信号を送受信する構成」が周知の構成であったと認定でき,これを引用発明1に適用すれば,20 相違点1−1及び同1−2に係る本件発明1−1及び同1−2の構成に至るというべきである。原告の主張は採用することができない。
また,原告は,乙5公報,乙6公報及び乙7公報に開示された構成は,調理機器の外部に操作装置を設けて調理機器を制御する発明に係るものであり,解決すべき課題が引用発明1とは異なっているから,引用発明1にこれらの公報に記載された25 構成を組み合わせる動機付けは認められないと主張する。しかし,乙4公報には,「視覚的に簡素な(schlichten)デザイン,および衛生的に特に好適な解決策を得63るために,」との記載があって,調理機器と排煙装置との接続をより簡素で,衛生的なものとすべき旨の課題が記載ないし示唆されていると認められる。また,上記のとおり,乙6公報には,赤外線受信器をトッププレートの下方に設けることにより,当該赤外線受信器をこぼれた調理物による損傷と汚染から保護するという課題5 解決手段が明確に記載されていることからすれば,赤外線送受信装置を備える調理機器において,赤外線送受信装置を損傷や汚染から保護することによりワイヤレス送信の信頼性を確保するという課題は,当業者にとって,本件出願日1当時,自明な課題であったということもできる。したがって,引用発明1に,上記周知の構成を適用する動機付けが認められるというべきである。原告の主張は採用することが10 できない。
イ 相違点1−3について(ア) 相違点の概要相違点1−3は,本件発明1−2の「送信手段」は,「加熱調理器に複数設けられている」(構成要件I1)のに対し,引用発明1において「送信手段」に相当す15 る「調理器具2の送受信フィールド6」は,「排煙装置4の送受信フィールド6」との関係で一対となっている点である。
(イ) 容易想到性の検討上記?イのとおり,乙6公報には,「機能の信頼性を高めるために,トッププレートの下側の異なる位置に,優先的に調理ゾーンの外側に配置される複数の赤外線20 受信器を設けることができる。赤外線受信器の1つが例えば調理器によって覆われた場合にも尚,赤外線制御信号は別の赤外線受信器によって受信することができる。」との記載,また,「双方向赤外線伝送路を設けることができる。その場合,…トッププレートの下側にトッププレートを通して表示装置の赤外線受信器へ赤外線受信信号を送信するための赤外線送信器が配置される」との記載がそれぞれあり,トッ25 ププレートの下側に配設される赤外線送信器を複数個とする構成のほか,かかる構成により通信機能の信頼性を高めるという,本件発明1−2の解決すべき課題と共64通する課題が記載されている。
そうすると,乙4公報及び乙6公報に接した当業者において,引用発明1に,乙6公報に開示された上記構成を適用して,相違点1−3に係る本件発明1−2の構成とすることは,本件出願日1当時,容易に想到し得たことというべきである。
5 この点について,原告は,乙6公報には,赤外線送信器を複数とする構成は開示されていないと主張するが,これが開示されているとみるべきことは上記のとおりである。原告の主張は採用することができない。
また,原告は,乙6公報に開示された構成は,調理機器の外部に操作装置を設けられた操作装置から調理器具の運転操作を行う発明に係るものであり,解決すべき10 課題が引用発明1とは異なるから,引用発明1に上記構成を組み合わせる動機付けは認められないと主張する。しかし,上記のとおり,乙6公報には,複数の赤外線受信器を設けることにより,その1つが調理器により覆われた場合にも,なお別の赤外線受信器によって送受信を可能にするという課題解決手段が明確に記載されていることからすれば,赤外線送受信装置を備える調理機器において,調理容器等に15 より赤外線の送受信が遮られる可能性があり,その送受信の信頼性を確保するという課題は,当業者にとって,本件出願日1当時,自明な課題であったということができ,少なくとも乙4公報及び乙6公報に接した当業者において,引用発明1における赤外線受信フィールド6を複数とする動機付けが認められるというべきである。
原告の主張は採用することができない。
20 ? 小括以上によれば,本件発明1−1及び同1−2は,いずれも,本件出願日1前に,当業者が引用発明1に上述した周知の構成又は公知の構成を適用して,容易に発明をすることができたものと認められる。そうすると,本件発明1−1についての特許及び本件発明1−2についての特許は,特許法29条2項に違反してされたもの25 であって,同法123条1項2号の無効理由があり,いずれも特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告に対し,本件特許権1を行65使することができない(同法104条の3第1項)。
3 争点6−4(無効理由2−4〔乙第4号証を主引例とする進歩性欠如〕は認められるか)について次に,事案に鑑み,争点6−4について判断する。
5 ? 引用発明2上記2?に認定した乙4公報の記載によれば,本件出願日2前に外国において頒布された刊行物である乙4公報には,次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「鍋などの調理容器が載置される調理天板18と,この調理天板18の下方に配10 設された調理用の加熱手段と,この加熱手段を制御する調理器具2のコントロールユニットと,光信号を上方に向けて発する調理器具2の送受信フィールド6とを具備し,前記調理器具2のコントロールユニットは,前記調理器具2の送受信フィールド6を介して,前記調理天板18の上方に配設される排煙装置4を制御する機能を有することを特徴とする加熱調理器。」15 なお,「調理器具2の送受信フィールド6」が,その表面が露出されるように調理器具2内に設けられているとの原告の主張を採用することができないことは,前記2?のとおりである。
? 本件発明2−1及び同2−2と引用発明2との対比ア 一致点20 引用発明2の「調理天板18」が本件発明2−1及び同2−2の「トッププレート」に,引用発明2の「調理器具2のコントロールユニット」が本件発明2−1及び同2−2の「通電制御手段」に,引用発明2の「調理器具2の送受信フィールド6」が本件発明2−1及び同2−2の「通信用投光部」に,引用発明2の「排煙装置4」が本件発明2−1及び同2−2の「換気装置」に,それぞれ相当すると認め25 られる。
したがって,本件発明2−1及び同2−2と引用発明2とは,「鍋などの調理容66器が載置されるトッププレートと,このトッププレートの下方に配設された調理用の加熱手段と,この加熱手段を制御する通電制御手段と,光信号を上方に向けて発する通信用投光部とを具備し,前記通電制御手段は,前記通信用投光部を介して,前記トッププレートの上方に配設される換気装置を制御する機能を有することを特5 徴とする加熱調理器」である点において一致する。
イ 相違点(ア) 他方で,本件発明2−1と引用発明2とは,次の各点において形式的に相違する。
@ 本件発明2−1及び同2−2の「通信用投光部」は,「前記トッププレート10 の下方に配設され,当該トッププレートを通して光信号を上方に向けて発する」のに対し(構成要件D2),引用発明2において「通信用投光部」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」がどのような態様で調理器具2内に設けられているか,また,調理天板を通して光信号を発するかが不明である点(以下「相違点2−1」という。)15 A 本件発明2−1及び同2−2の「トッププレート」は,「前記光信号の波長が透過する光透過性を有する耐熱強化ガラスから構成」されているのに対し(構成要件F2),引用発明2において「トッププレート」に相当する「調理天板18」の性質・材質は明記されていない点(以下「相違点2−2」という。)B 本件発明2−1及び同2−2は,「前記トッププレートの下方に,前記加熱20 手段の火力を表示する表示手段を備え,前記通信用投光部を,前記表示手段の近傍に配置し」ているのに対し(構成要件F2),引用発明2が「表示装置」に相当する構成を備えているか,また,「通信用投光部」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」が上記「表示装置」の近傍に配置されているかが不明である点(以下「相違点2−3」という。)25 (イ) 本件発明2−2及び引用発明2とは,上記相違点2−1,同2−2及び同2−3に加えて,次の点において形式的に相違する。
67C 本件発明2−2の「通信用投光部」は,「前記トッププレートの下方に複数個配設されている」(構成要件I2)のに対し,引用発明2において「通信用投光部」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」は,「排煙装置4の送受信フィールド6」との関係で一対となっている点(以下「相違点2−4」という。)5 ? 相違点の検討ア 相違点2−1及び同2−2について(ア) 相違点の概要相違点2−1は,本件発明2−1及び同2−2の「通信用投光部」は,「前記トッププレートの下方に配設され,当該トッププレートを通して光信号を上方に向け10 て発する」のに対し(構成要件D2),引用発明2において「通信用投光部」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」がどのような態様で調理器具2内に設けられているか,また,調理天板を通して光信号を発するかが不明である点である。
相違点2−2は,本件発明2−1及び同2−2の「トッププレート」は,「前記光信号の波長が透過する光透過性を有する耐熱強化ガラスから構成」されているの15 に対し(構成要件F2),引用発明2において「トッププレート」に相当する「調理天板18」の性質・材質は明記されていない点である。
(イ) 実質的な相違点かについて被告は,相違点2−1及び同2−2に係る本件発明2−1及び同2−2の構成は,乙4公報に実質的に記載されている旨主張する。しかし,上記2?に認定した乙420 公報の記載によっても,これらの点が実質的に記載されているとは認め難いので,相違点2−1及び同2−2は,実質的な相違点というべきである。
(ウ) 容易想到性の検討上記2?にみた乙5公報,乙6公報及び乙7公報の記載(いずれの公報も,本件出願日2前に外国において頒布された刊行物と認められる。)によれば,調理器具25 に備え付けられ,調理器具外に備え付けられた機器との間で赤外線を送受信する赤外線送受信器を,調理器具のトッププレートの下方に配置した上で,当該トッププ68レートとして,赤外線が透過する性質を有するセラミックガラスを採用し,このトッププレートを介して赤外線信号を送受信する構成は,本件出願日2当時,周知の構成であったと認められる。
さらに,乙6公報には,調理器具について,赤外線受信器をトッププレートの下5 方に設けることにより,当該赤外線受信器(なお,乙6公報には,双方向赤外線伝送路を設ける構成として,トッププレートの下方に赤外線送信器を配置する構成も開示されている。)をこぼれた調理物による損傷と汚染から保護するという課題が記載されている。
そうすると,乙4公報及び乙6公報に接した当業者において,引用発明2に上記10 周知の構成を適用して,相違点2−1及び同2−2に係る本件発明2−1及び同2−2の構成とすることは,本件出願日2当時,容易に想到し得たことというべきである。
この点について,原告は,乙5公報,乙6公報及び乙7公報に開示されているのは,加熱調理器を排煙装置側から遠隔操作するシステムであり,これらの公報に記15 載された構成を引用発明に組み合わせても相違点2−1及び同2−2に係る本件発明2−1及び同2−2の構成には至らないとか,原告は,乙5公報,乙6公報及び乙7公報に開示された構成は,調理機器の外部に操作装置を設けて調理機器を制御する発明に係るものであり,解決すべき課題が引用発明2とは異なるから,引用発明2にこれらの公報に記載された構成を組み合わせる動機付けは認められないなど20 と主張するが,本件発明1−1及び同1−2と引用発明1との相違点1−1及び同1−2について検討した前記2?アに説示したのと同様の理由により,採用することができない。
イ 相違点2−3について(ア) 相違点の概要25 相違点2−3は,本件発明2−1及び同2−2は,「前記トッププレートの下方に,前記加熱手段の火力を表示する表示手段を備え,前記通信用投光部を,前記表69示手段の近傍に配置し」ているのに対し(構成要件F2),引用発明2が「表示装置」に相当する構成を備えているか,また,「通信用投光部」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」が上記「表示装置」の近傍に配置されているかが不明である点である。
5 (イ) 容易想到性の検討乙7公報には,「調理プレート内のヒータと同数の電力表示器が,…セラミックガラスの下方に存在でき,7セグメントの表示部が,動作中の各々の抵抗器の電力の容易な表示を可能にする。」との記載があり,また,証拠(乙8,9,12)によれば,トッププレートの下方に,加熱手段の火力を表示する表示手段を備えた加10 熱調理器は,本件出願日2前に一般に販売されていたことが認められるから,加熱調理器において,「トッププレートの下方に,加熱手段の火力を表示する表示手段を備え」る構成は,本件出願日2当時の周知技術であったと認められ,同じく加熱調理に関する引用発明2に,上記周知技術を適用するのに何らの困難もないというべきである。なお,当該表示手段は,使用者に加熱手段の火力を表示するものであ15 るから,調理容器により視認することが妨げられにくい箇所に備えられるべきことは,上記各証拠からも明らかな技術常識であると認められる。
次に,乙5公報には「特別な場合においては,受信機(4)は例えば鍋又はその他の物体によって覆われることがあり得る。伝達区間は,これにより遮断されている。」との,乙6公報には「機能の信頼性を高めるために,トッププレートの下側20 の異なる位置に,優先的に調理ゾーンの外側に配置される複数の赤外線受信器を設けることができる。赤外線受信器の1つが例えば調理器によって覆われた場合においても尚,赤外線制御信号は別の赤外線受信器によって受信することができる。」との各記載があり,赤外線送受信装置を備える調理機器において,調理容器等により赤外線の送受信が遮られる可能性があり,その送受信の信頼性を確保するという25 課題は,当業者にとって,本件出願日2当時,自明な課題であったということができる。
70そして,当該自明な課題につき,乙5公報には「受信機(4)は,調理プレート(1)のこのような箇所,例えば右後ろに配置されており,鍋又はこれに類するものによってこの箇所が覆われることはできる限り起こり得ない。」との,乙6公報には「図3は,4つの調理ゾーン20〜23と,トッププレートのコーナーの下側5 に配置される赤外線受信器4A〜4Dを有するトッププレート2の実施形態を平面図で示す。複数の赤外線受信器4A,4B,4C,および4Dを設けることによって,これらの赤外線受信器4A〜4Dの3つまでが調理器または別の物体によって覆われている場合も赤外線遠隔操作は機能する。」との各記載があるから,調理容器により赤外線通信が遮断されにくい箇所に赤外線送受信器を配設する構成を採用10 することにより,上記自明な課題が解決されることも,本件出願日2当時の周知技術であったと認められる。
そうすると,乙4公報に接した当業者において,引用発明2に,加熱手段の火力を表示する表示手段に係る上記周知技術を適用して,トッププレートの下方であって,調理容器により視認することが妨げられにくい箇所に同表示手段を備えるもの15 とし,同じくトッププレートの下方に配設され,周知技術として調理容器により赤外線通信が遮断されにくい箇所に設けるべきとされる赤外線送受信器(「調理器具2の送受信フィールド6」)を,同表示手段の近傍に設けることは,調理器具の構造やデザインに応じ,適宜設計し得る事項であり,容易に想到し得たことというべきである。
20 これに対し,原告は,乙5公報,乙6公報及び乙7公報に開示されたシステムでは,調理機器の操作装置が調理機器の外部にあるから,表示手段を調理器具に設ける必要がないと主張するが,引用発明2に表示手段を設けることに何らの困難もないことは既に説示したとおりであり,このことは乙5公報,乙6公報及び乙7公報に開示されたシステムに表示手段を設ける動機付けがあるかによっては左右されな25 いから,原告の主張を採用することはできない。
ウ 相違点2−4について71(ア) 相違点の概要相違点2−4は,本件発明2−2の「通信用投光部」は,「前記トッププレートの下方に複数個配設されている」(構成要件I2)のに対し,引用発明2において「通信用投光部」に相当する「調理器具2の送受信フィールド6」は,「排煙装置5 4の送受信フィールド6」との関係で一対となっている点である。
(イ) 容易想到性の検討上記2?イのとおり,乙6公報には,「機能の信頼性を高めるために,トッププレートの下側の異なる位置に,優先的に調理ゾーンの外側に配置される複数の赤外線受信器を設けることができる。赤外線受信器の1つが例えば調理器によって覆わ10 れた場合にも尚,赤外線制御信号は別の赤外線受信器によって受信することができる。」,「双方向赤外線伝送路を設けることができる。その場合,…トッププレートの下側に…赤外線送信器が配置される」との記載がそれぞれあり,トッププレートの下側に配設される赤外線送信器を複数個とする構成のほか,かかる構成により通信機能の信頼性を高めるという,本件発明2−2の解決すべき課題と共通する課15 題が記載されている。
そうすると,乙4公報及び乙6公報に接した当業者において,引用発明2に,乙6公報に開示された上記構成を適用して,相違点2−4に係る本件発明2−2の構成とすることは,本件出願日2当時,容易に想到し得たことというべきである。
この点について,原告は,乙6公報には,赤外線送信器を複数とする構成は開示20 されていないとか,乙6公報に開示された構成は,調理機器の外部に操作装置を設けられた操作装置から調理器具の運転操作を行う発明に係るものであり,解決すべき課題が引用発明2とは異なるから,引用発明2に上記構成を組み合わせる動機付けは認められないなどと主張するが,本件発明1−2と引用発明1との相違点1−3について検討した前記2?イに説示したのと同様の理由により,採用することが25 できない。
? 小括72以上によれば,本件発明2−1及び同2−2は,いずれも,本件出願日2前に,当業者が引用発明2に上述した周知の構成ないし周知技術を適用し,又は適宜設計することにより,容易に発明をすることができたものと認められる。そうすると,本件発明2−1についての特許及び本件発明2−2についての特許は,特許法295 条2項に違反してされたものであって,同法123条1項2号の無効理由があり,いずれも特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(同法104条の3第1項)。
4 結論以上によれば,その余の争点につき検討するまでもなく,原告の請求にはすべて10 理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官15嶋 末 和 秀裁判官20天 野 研 司裁判官25西 山 芳 樹73(別紙1)被 告 製 品 目 録 A製品の名称 日立IHクッキングヒーター製品番号 ? @ HT−K100HTF5 A HT−K100XTFB HT−K200HTFC HT−K200XTFD HT−K300HTFE HT−K300XTF10 F HT−K8STFG HT−K9HTFH HT−K9XTFI HT−J100HTFJ HT−J100XTF15 K HT−J200HTFL HT−J200XTFM HT−J300HTFN HT−J300XTFO HT−J8STF20 P HT−J8SF? Q HT−K100HTWFR HT−K100XTWFS HT−K200HTWF? HT−K200XTWF25 ? HT−K300HTWF74? HT−K300XTWF? HT−K8STWF? HT−K9HTWF? HT−K9XTWF5 ? HT−J100HTWF? HT−J100XTWF? HT−J200HTWF? HT−J200XTWF? HT−J300HTWF10 ? HT−J300XTWF? HT−J8SWF? HT−J8STWF以 上75(別紙2)被 告 製 品 目 録 B製品番号 販売期間と合計販売額HT W−4DFS F 平成19年の1年間(以 上1製品) 合計3億円HT B−A9FS 平成19年〜平成21年までの3年間HT B−A9WF S 合計24億円HT B−A8WF SHT B−A8FS(以 上4製品)HT −A9TFS 平成19年〜平成22年までの4年間HT −A9TWF S 合計27億円HT −A20WF S(以 上3製品)HT −B8FS 平成19年〜平成22年までの4年間HT −B8WFS 合計54億円HT −B9TFSHT −B9TWF SHT −B10TF SHT −B10TW FS(以 上6製品)HT −C8FS 平成20年〜平成23年までの4年間HT −C8WFS 合計72億円HT −C9TFSHT −C9TWF SHT −C10TF SHT −C10TW FSHT −C20TF SHT −C20TW FS(以 下8製品)HT −D7TF 平成21年〜平成24年までの4年間HT −D7TFS 合計108億円HT −D8FSHT −D8WFSHT −D8TFSHT −D8TWF SHT −D9TFSHT −D9TWF SHT −D10TF SHT −D10TW FSHT −D20TF SHT −D20TW FS(以 上12製品)HT −E8FS 平成22年〜平成25年の4年間HT −E8WFS 合計90億円76HT −E8TFSHT −E8TWF SHT −E9TFSHT −E9TWF SHT −E10TF SHT −E10TW FSHT −E20TF SHT −E20TW FS(以 上10製品)HT −80FS 平成23年〜平成26年の4年間HT −F7TF 合計117億円HT −F7TFSHT −F8FSHT −F8TFSHT −F8TWF SHT −F8WFSHT −F9TFSHT −F9TWF SHT −F10TF SHT −F10TW FSHT −F20TF SHT −F20TW FS(以 上13製品)HT −G8FS 平成24年〜平成27年までの4年間HT −G8WFS 合計90億円HT −G8TFSHT −G8TWF SHT −G9TFSHT −G9TWF SHT −G10TF SHT −G10TW FSHT −G20TF SHT −G20TW FS(以 上10製品)HT −H100H TF 平成25年〜平成28年までの4年間HT −H100H TWF 合計144億円HT −H100X TFHT −H100X TWFHT −H200H TFHT −H200H TWFHT −H200X TFHT −H200X TWFHT −H300H TFHT −H300H TWFHT −H300X TFHT −H300X TWFHT −H8SFHT −H8STF77HT −H8STW FHT −H8SWF(以 上16製品)HT −J100H TF 平成26年〜平成28年の3年間HT −J100H TWF 合計102億円HT −J100X TFHT −J100X TWFHT −J200H TFHT −J200H TWFHT −J200X TFHT −J200X TWFHT −J300H TFHT −J300H TWFHT −J300X TFHT −J300X TWFHT −J7STFHT −J8SFHT −J8STFHT −J8STW FHT −J8SWF(以 上17製品)HT −K100H TF 平成27年,平成28年の2年間HT −K100H TWF 合計54億円HT −K100X TFHT −K100X TWFHT −K200H TFHT −K200H TWFHT −K200X TFHT −K200X TWFHT −K300H TFHT −K300H TWFHT −K300X TFHT −K300X TWFHT −K8STFHT −K8STW FHT −K9HTFHT −K9HTW FHT −K9XTFHT −K9XTW F(以 上18製品)総合 計 885億円以 上78(別紙3)被 告 製 品 目 録 C1 日立レンジ用フードファンHQ−911SS・HQ−76SS2 日立IH対応レンジフードファン型式HE−900SA5 以 上79(別紙4)特 許 請 求 の 範 囲(本件特許権1)【請求項1】被加熱媒体を載置するためのトッププレートと ,このトッププレートに覆設さ5 れた電気駆動式の加熱手段と ,火力設定手段により設定された火力に基づいて前記加熱手段への通電制御を行う通電制御手段と ,所定の駆動信号を赤外線によりワイヤレス送信する送信手段とを備えた加熱調理器と ,この加熱調理器の周囲に設置された換気ファンと ,前記駆動信号を受信する受信手段と,この受信手段にて受信した前記駆動信号に基づいて換気ファンの駆動10 制御を行う駆動制御手段とを備えた換気ファン装置とにより構成され ,前記トッププレートは前記赤外線の波長が透過する性質を有する耐熱ガラス製で構成され,前記送信手段は前記トッププレートに覆設されるようにして調理器本体に収容され,前記トッププレートを介して前記駆動信号を赤外線によりワイヤレス送15 信することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】送信手段は,前記火力設定手段の設定火力に応じて設定された回転数に基づいて駆動信号を生成しワイヤレス送信することを特徴とする請求項1記載の加熱調理システム。
20 【請求項3】加熱手段は,電磁誘導作用により前記被加熱媒体を加熱するIHヒータにより構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理システム。
【請求項4】送信手段は,前記加熱手段への通電制御が停止した時点から所定時 間が経過す25 るまで換気ファン装置を駆動させるための駆動信号を生成し送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の加熱調理システム。
80【請求項5】送信手段は,加熱調理器に複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の加熱調理システム。
【請求項6】5 加熱調理器は,換気ファンの回転数を手動で操作するための手動操作手段を備え,送信手段は,前記手動操作手段にて設定された回転数に基づいて生成した駆動信号をワイヤレス送信するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の加熱調理システム。
10 【請求項7】手動操作手段は,商用電源を受電するためのメイン電源スイッチをオンさせた場合に,操作が有効となるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の加熱調理システム。
【請求項8】15 手動操作手段は,商用電源を受電するためのメイン電源スイッチのオン・オフに関係なく,操作が有効となるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の加熱調理システム。
【請求項9】送信手段は,通電制御手段による加熱手段への通電制御中に手動操作手段によ20 る手動操作が行われた場合には,前記通電制御を停止するまで,火力設定手段による設定火力に基づいた駆動信号のワイヤレス送信を停止するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の加熱調理システム。
【請求項10】加熱手段としてロースタを備え,25 送信手段は,前記ロースタ用の火力設定手段により設定された火力に基づいて生成した駆動信号をワイヤレス送信するように構成されていることを特徴とす81る請求項1乃至9の何れかに記載の加熱調理システム。
【請求項11】送信手段は,通電制御手段による加熱手段への通電制御が停止した時点から所定期間が経過するまで,所定の駆動信号を生成してワイヤレス送信するように構5 成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の加熱調理システム。
【請求項12】加熱調理器は,加熱手段を複数備え,送信手段は,前記各加熱手段用の火力設定手段により設定された火力を総合し10 たものに基づいて生成した駆動信号をワイヤレス送信するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の加熱調理システム。
【請求項13】請求項1乃至12の何れかに記載の加熱調理システムに使用されることを特徴とする加熱調理器。
15 【請求項14】請求項1乃至12の何れかに記載の加熱調理システムに使用されることを特徴とする換気ファン装置。
以 上82(別紙5)特 許 請 求 の 範 囲(本件特許権2)【請求項1】鍋などの調理容器が載置されるトッププレートと ,5 このトッププレートの下方に配設された調理用の加熱手段と ,この加熱手段を制御する通電制御手段と ,前記トッププレートの下方に配設され ,当該トッププレートを通して光信号を上方に向けて発する通信用投光部とを具備し ,前記通電制御手段は,前記通信用投光部を介して,前記トッププレートの上方10 に配設される換気装置を制御する機能を有し ,前記トッププレートを ,前記光信号の波長が透過する光透過性を有する耐熱強化ガラスから構成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】前記トッププレートの下方に ,前記加熱手段の火力を表示する表示手段を備え ,15 前記通信用投光部を ,前記表示手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】前記トッププレートの形状を矩形状に形成し ,前記通信用投光部を,前記トッププレートの隅部に配置したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
20 【請求項4】前記通信用投光部は,前記トッププレートの下方に複数個配設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】前記加熱手段は,その中心が前記トッププレートの前後方向の中央部よりも前25 方となるように配置され,前記通信用投光部は,前記トッププレートの前後方向の中央部よりも後方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の加熱 調83理器。
【請求項6】前記加熱手段は前記トッププレートの下方に3個存し ,このうちの2個の加熱手段は,それぞれの中心が前記トッププレートの前後方向の中央部よりも前方と5 なるように配置され ,残りの1個の加熱手段は,その中心が前記トッププレートの前後方向の中央部よりも後方となるように配置され ,前記通信用投光部は,前記トッププレートの中央部よりも後方で ,かつ,前記後方に存する加熱手段の側方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
10 【請求項7】前記通信用投光部は前記トッププレートの下方に複数個存し ,そのうちの少なくとも1個の通信用投光部は ,前記トッププレートの前後方向の中央部よりも前方に配置されていることを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項8】15 前記加熱手段は,少なくとも電磁誘導加熱用の加熱コイルを含んでいることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の加熱調理器。
以 上84(別紙6)被告製品A説明書(原告)1.物件の平面状態の説明(図1)プレートワク2で囲まれたトッププレート1上に,下部に配置される3つの5 IHヒーターの位置を示す左IHヒーター位置マーク3,右IHヒーター位置マーク4,及び中央ヒーター位置マーク5が表示されている。
トッププレート1の手前には,IHヒーター等を操作する上面操作パネル6が配置されており,その左右にはそれぞれトッププレート1の下方から発信される赤外線を透過する送信部9,10が形成されている。
10 2.物件の正面状態の説明(図2)3つのIHヒーターの下方にヒーターで加熱するオーブン8が設けられている。
3.物件のトッププレート1を取り外した状態の説明(図3)左IHヒーター位置マーク3,右IHヒーター位置マーク4,中央IHヒー15 ター位置マーク5に対応する位置にそれぞれ左IHヒーター13,右IHヒーター14,及び中央ヒーター15が設けられている。
左右には送信部9,10を透過する赤外線を発信する赤外線発信器16,17 が 配 置されており,それ らは制御用チップ12と回路基板11とによっ て ,赤外線をクッキングヒーターの上方に設置されるレンジフードファンに設け20 られた受信部に向かって送信される。
4.物件とレンジフードファンとの関係の説明(図4)物件は,図4の対応レンジフードファン20の下方に設置することが予定されている。対応レンジフードファン20には赤外線発信器16,17から発信された赤外線を受光する信号受信部22が設けられている。
25 信号受信部22によって受信された赤外線に含まれる信号情報から換気ファン21の回転駆動を制御する回路(図示せず)が設置されている。
855.物件を上方から撮影した写真に説明を付加した図(図5)耐熱強化ガラス製のトッププレート1の手前には上面操作パネル6が配置されている。上面操作パネル6にある左右送信部9A,10Aのトッププレート1の下には,樹脂フィルム30があり,さらにその下に赤外線発信器16,15 7がある。
6.物件のトッププレートを外して上方から撮影した写真に説明を付加した図(図6)左IHヒーター位置マーク3,右IHヒーター位置マーク4,中央IHヒーター位置マーク5に対応する位置にそれぞれ左IHヒーター13,右IHヒー10 ター14,及び中央ヒーター15が設けられている。左右送信部9A,10Aに対応する位置に半透明窓部9B,10Bが設けられており,その下方に樹脂フィルム30があり,さらにその下に赤外線発信器16,17がある。各IHヒーターに対応する位置にレンジ用インバータ制御マイコン19Aが配置され,手前側中央にトップ表示マイコン19Bが搭載されている。
15 7.符号の説明1 トッププレート,2 プレートワク,3 左IHヒーター位置マーク,4 右IHヒーター位置マーク,5 中央ヒーター位置マーク,6 上面操作パネル,7 排気口,8 オーブン,9A,10A 送信部, 9B,10B 半透明窓部20 11 回路基板,12 制御用チップ,13 左IHヒーター,14 右IHヒーター,15 中央ヒーター,16,17 赤外線発信器,19 回路,19A インバータ制御マイコン,19B トップ表示マイコン20 対応レンジフードファン,25 21 換気ファン,22 信号受信部30 樹脂フィルム868.物件の構成(1) 誘導加熱される金属鍋を載置するためのトッププレート1(2) トッププレート1は,赤外線が透過する耐熱強化ガラス製である。
(3) トッププレート1の下方に配設された少なくとも 2つの透導加熱用のI5 Hヒーター13,14(4) トッププレート1の前方に,火力等を操作し,表示する上面操作パネル6が設けられ,上面操作パネル6によって設定される内容に従ってIHヒーター13,14の通電制御を行うインバータ制御マイコン19A(5) トッププレート1の下方であって,表示部6Aの左下,右下に上方を樹10 脂フィルム30に覆われた赤外線発信器16,17が配設されている。
(6) トップ表示マイコン19Bは,調理システムのヒータ等への通電・切電(ヒータのON/OFF)があったタイミングでレンジフードファンに対して赤外線発信器16,17から赤外線信号を発信させる。赤外線信号は樹脂フィルム30,半透明窓部9B,10B及びトッププレート1の左右15 送信部9A,10Aを透過して,上方に設置され,受信した赤外線信号に基づいて対応レンジフードファンの駆動を制御する回路を有する対応レンジフードファンの信号受信部に向けて発信される。
(7) 上面操作パネル6から,インバータ制御マイコン19A,更 にIHヒータまでの制御回路と,トップ表示マイコン19Bは,信号接続されている。
20 (8) 調理用IHクッキングヒーターである。
87[図1](平面状態図)[図2](正面状態図)88[図3](トッププレート1を取り外した平面状態図)[図4](レンジフードの正面状態図)下方89[図5][図6]90(別紙7)被告製品A説明書(被告)物件の構成(以下の図を参照)(1)誘導加熱される金属鍋を載置するためのトッププレート15 (2)トッププレート1は,赤外線が透過する耐熱強化ガラス製である。
(3)トッププレート1の下方に配設された少なくとも2つの誘導加熱用のIHヒータ13,14(4)トッププレート1の前方に,火力等を操作し,表示する上面操作パネル6が設けられ,上面操作パネル6によって設定される内容に従ってIHヒータ110 3,14の通電制御を行うインバータ制御マイコン19A(5)トッププレート1の下方であって,表示部6Aの左下,右下に上方を樹脂フィルム30に覆われた赤外線発信器16,17が配設されている。
(6)トップ表示マイコン19Bは,調理システムのヒータ等への通電・切電(ヒータのON/OFF)があったタイミングでレンジフードファンに対して赤15 外線発信器16,17から赤外線信号を発信させる。赤外線信号は樹脂フィルム30の半透明窓部9B,10B及びトッププレート1の左右送信部9A,10Aを透過して,上方に設置され,受信した赤外線信号に基づいてレンジフードファンの駆動を制御する回路を有するレンジフードファンの信号受信部に向けて発信される。
20 (7) 調理用IHクッキングヒータである。
(以上の物件の構成の説明においては,原告がファンとの組合せまで含めて,侵害主張の対象としていることに鑑み,レンジフードファンも入れた書き方にしている。ただし,被告製品A自体は,レンジフードファンは含まない単91体の「調理用IHクッキングヒータ」である。)図1図292
事実及び理由
全容
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