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関連審決 訂正2016-390069
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事件 平成 28年 (行ケ) 10257号 審決取消請求事件

原告 株式会社DAPリアライズ
被告 特許庁長官
同 指定代理人山田正文 新川圭二 富澤哲生 稲葉和生 板谷玲子
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2017/10/19
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
特許庁が訂正2016-390069号事件について平成28年10月17日にした審決(平成29年2月8日付け更正決定により更正)のうち, 「請求項1に係る訂正についての審判請求は成り立たない。」との部分を取り消す。
事案の概要
本件は,訂正審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,訂正要件の適合性(新規事項の追加の有無)及び訂正後の発明についての独立特許要件の充足性(進歩性の有無)である。
1 特許庁における手続の経緯 原告は,名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする発明につき,平成17年12月21日を出願日とする特許出願(特願2005-367373号。優先権主張[@優先日・平成16年12月24日,優先権主張国・日本,優先権主張番号・特願2004-372558号,A優先日・平成17年7月28日,優先権主張国・日本,優先権主張番号・特願2005-218159号])の一部を平成18年10月11日に新たな特許出願とした特許出願(特願2006-277062号)の一部について,平成20年6月23日に新たに特許出願したものであり(特願2008-162678号),平成22年7月30日,その設定登録(特許第4555901号,請求項の数4,以下「本件特許」という。)を受けた(乙1)。
原告は,本件特許の特許請求の範囲請求項1〜4の訂正(請求項1の訂正,請求項2〜4の削除。以下「本件訂正」という。)を求め,特許庁に対し,平成28年5月18日付けで訂正審判請求をした(以下「本件訂正審判請求」という。甲3)ところ,特許庁は,平成28年10月17日,「平成28年5月19日付け本件訂正審判請求において,特許第4555901号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することのうち,請求項2-4について訂正することを認める。」との審決をし,その謄本は,同年11月6日,原告に送達された。
その後,同審決は,平成29年2月8日付け更正決定により更正され,結論の欄に「請求項1に係る訂正についての審判請求は成り立たない。」との記載が付加された(乙10)。
2 本件発明の要旨 本件特許請求の範囲請求項1に係る発明(以下「本件発明」といい,本件発明に係る明細書の記載及び図面を「本件明細書」という。)は,次のとおりである。
「【請求項1】 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成するかして,該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するデータ処理手段と;画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;外部ディスプレイ手段を備えるか,又は,外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段と;を備える携帯情報通信装置において,前記データ処理手段は,前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像(以下,高解像度画像と略称する)のビットマップデータを生成して,該ビットマップデータを前記インターフェース手段に送信する機能を有し,前記インターフェース手段は,前記データ処理手段から受信したビットマップデータを,デジタルRGB,TMDS,LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちの いずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して,該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する,ことを特徴とする携帯情報通信装置。」3 本件訂正の内容 ? 訂正事項1 請求項1における「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;」とあるのを,「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;」と訂正する。
? 訂正事項2 請求項1における「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;」とあるのを,「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記中央演算回路に送信するとともに,後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;」と訂正する。
? 訂正事項3 請求項1における「後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;」とあるのを,「後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;」と訂正する。
? 訂正事項4 請求項1における「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理す ることによりデジタル表示信号を生成するかして,該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するデータ処理手段と;」とあるのを,「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する中央演算回路と,該中央演算回路の処理結果に基づき,単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い,「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと,から構成されるデータ処理手段と;」と訂正する。
? 訂正事項5 請求項1における「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;」とあるのを,「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;」と訂正する。
? 訂正事項6 請求項1における「外部ディスプレイ手段を備えるか,又は,外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段と;を備える携帯情報通信装置において,」とあるのを,「外部ディスプレイ手段を備えるか,又は,外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し,該周辺装 置に対して,前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段と;を備えることにより,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する携帯情報通信装置において,」と訂正する。
? 訂正事項7 請求項1における「前記データ処理手段は,前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像(以下,高解像度画像と略称する)のビットマップデータを生成して,該ビットマップデータを前記インターフェース手段に送信する機能を有し,」とあるのを,「前記グラフィックコントローラは,前記ウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し,「該読み出されたビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し,「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と,を実現し,」と訂正する。
? 訂正事項8 請求項1における「前記インターフェース手段は,前記データ処理手段から受信したビットマップデータを,デジタルRGB,TMDS,LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して,該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する,」とあるのを,「前記インターフェース手段は,前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を,デジタルRGB,T MDS,LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して,該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する,」と訂正する。
? 訂正事項9 請求項1における「機能を有する,ことを特徴とする携帯情報通信装置。」とあるのを,「機能を有する,ことにより,前記外部ディスプレイ手段に,「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした,ことを特徴とする携帯情報通信装置。」と訂正する。
? 訂正事項10 請求項2を削除する。
? 訂正事項11 請求項3を削除する。
? 訂正事項12 請求項4を削除する。
4 訂正発明の要旨 本件訂正後の請求項1に係る発明(以下「訂正発明」という。なお,本件明細書は本件訂正により訂正されていない。下線部が訂正箇所)は,次のとおりである。
「【請求項1】ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記中央演算回路に送信するとともに,後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づ き,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する中央演算回路と,該中央演算回路の処理結果に基づき,単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い,「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと,から構成されるデータ処理手段と;画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;外部ディスプレイ手段を備えるか,又は,外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段と;を備えることにより,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する携帯情報通信装置において,前記グラフィックコントローラは,前記ウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し,「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し,「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し, 該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と,を実現し,前記インターフェース手段は,前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を,デジタルRGB,TMDS,LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して,該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する,ことにより,前記外部ディスプレイ手段に,「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした,ことを特徴とする携帯情報通信装置。」 5 審決の理由の要点 ? 新規事項の有無について ア 訂正事項7について 本件明細書には,「ウェブサーバから画像データファイルをダウンロードすること」に関して, 「ウェブサーバ91は,そこにアクセスしてダウンロード操作を行うことにより,画像データファイルをダウンロードすることができるウェブサイトを複数用意しており,携帯電話機1から送信されたユーザーエージェントに含まれた前記の情報のうち,外部表示信号の送信機能に関する情報に基づき,一つの操作でQVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできるような機能を有するウェブページにアクセスするように自動的に振り分ける。
これにより,ユーザーは,携帯電話機1のキー操作部16A又は外部入力装置(外部キーボード61及びマウス62)を用いた一度の操作によって,QVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできる。(段落 」【0143】)との記載がある。
上記記載によると,本件明細書には, 「ウェブサーバ」 「画像データファイル」 からをダウンロードする場合,複数の表示装置にそれぞれ対応する,QVGAサイズと VGAサイズという,解像度の異なる「画像データファイル」を複数ダウンロードすることが記載されており,一方,付属ディスプレイパネルはQVGAサイズであり(段落【0112】,原則として,外部ディスプレイ装置はVGAサイズである )から(段落【0122】,この場合,送信先の表示装置に対応する解像度の「画像 )データファイル」に基づいてビットマップデータをVRAMに書き込み/読み出しするのが自然であり,所定の解像度の「画像データファイル」に基づいたビットマップデータをVRAMに書き込み,当該VRAMから読み出すビットマップデータの解像度を,送信先の表示装置に対応する解像度に応じて変えるものとは認められない。
したがって,上記記載からは,本件明細書には, 「ウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し, 「該読み出されたビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し, 「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」が記載されているとはいえない。
また,本件明細書のその他の記載を見ても,上記機能は記載されていない。
したがって,訂正事項7は,本件明細書に記載された事項の範囲内においてされたものとは認められず,特許法126条5項の規定に適合しない。
イ 訂正事項10〜12について 訂正事項10〜12は,請求項2〜4を削除するものであるから,実質上特許請求の範囲拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法126条6項の規定に適合する。
? 独立特許要件について ア 特開2000-13776号公報(甲2。以下「引用例1」という。) に記載された発明(以下「引用発明」という。) 「通話機能のみを有するPHS端末と, 前記PHS端末に接続したマルチメディア通信端末装置であって, 主制御部は,CPU,ROM及びRAM等を有してなるものであり,マルチメディア通信端末装置の各部を総括制御することで,マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものであり, 映像デコーダは,符号化映像データのデコードを行い,再生した映像データを表示制御部へと与え, 表示制御部は,映像デコーダから与えられる画像データが示す画像を表示するべく内部表示器を制御し, 内部表示器は,カラーLCDを使用してなり,QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有しており, 多重分離部は,主制御部により指定されたモードで動作し,無線端末インタフェース部から与えられる伝送データから符号化映像データを分離し,映像デコーダへと与え, 多重分離部は,主制御部から同期バスを介して与えられる伝送データを無線端末インタフェース部に与えることで,当該データを通信相手の装置に送信することができ, 無線端末インタフェース部には,PHS端末用コネクタを介してPHS端末が接続され,PHS端末との間で各種の情報を授受することで,PHS端末及びPHSを含む公衆網を介してデータ通信を実現し, 操作入力部は,複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており,この操作デバイスを操作してなされるユーザの指示入力を受付け,その指示入力の内容を主制御部に通知し, 外部モニタ接続端子には外部テレビジョンモニタが着脱自在に接続され, ユーザはマルチメディア通信端末装置を把持し,手に持つことができ, マルチメディア通信端末装置は,動画像の符号化データを受信し,この符号化データは,映像デコーダで元の動画像データに復号されたのち表示制御部に入力され, 表示制御部は,外部テレビジョンモニタが接続されていると判定される場合には,受信動画像データのフォーマットがCIFであれば,CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力して表示させ, 一方,外部テレビジョンモニタが接続されていないと判定された場合には,受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると,表示制御部はCIFからQCIFへのフォーマット変換を行い,このCIFからQCIFへのフォーマット変換は,CIF動画像データの画素を間引く処理により行われ,内部表示器へはCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示され, 外部テレビジョンモニタを使用する場合にも,また内部表示器を使用する場合にも,動画像データはこれらの表示手段が持つ画素数に対応したフォーマットで表示され, 外部テレビジョンモニタが接続されていることが検出されている状態で,表示画像サイズの指定入力を促す情報を内部表示器に表示し,ユーザが操作入力部により外部テレビジョンモニタの表示画像サイズを任意に指定でき,この場合,指定入力された画像表示サイズと受信動画像データのフォーマットとを比較し,受信動画像データのサイズが指定入力された画像表示サイズよりも大きい場合には,受信動画像データの画素を間引いたり,またフォーマット変換を行い表示することを特徴とするマルチメディア通信端末装置と, からなる装置。」 イ 訂正発明と引用発明との一致点及び相違点[一致点]「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記中央演 算回路へ送信する入力手段と;無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記中央演算回路に送信するとともに,後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行う中央演算回路と,該中央演算回路の処理結果に基づき,VRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い,「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を後記ディスプレイ手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと,から構成されるデータ処理手段と;画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルから構成されるディスプレイ手段と;外部ディスプレイ手段を備えるか,又は,外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づく信号を送信するインターフェース手段と;を備えることにより,サーバから画像データを取得して画像を表示する携帯情報通信装置において,前記グラフィックコントローラは,前記サーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を取得して画像を表示する場合に,VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し, 「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ手段に送信する機能と,VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有 する画像のビットマップデータ」を読み出し, 「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と,を実現し,前記インターフェース手段は,前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を前記周辺装置に送信する機能を有する,ことにより,前記外部ディスプレイ手段に,「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした,ことを特徴とする携帯情報通信装置。」[相違点1] 訂正発明の「中央演算回路」は, 「無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する中央演算回路」であるのに対して,引用発明の「主制御部」のうちの「CPU」 「多重分離部」及び「映像デコーダ」は,そのような ,処理をするとされていない点[相違点2] 訂正発明の「グラフィックコントローラ」は, 「単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行うもの」であり,該「単一のVRAM」から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」や「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出すのに対して,引用発明の「表示制御部」は,VRAMに相当する「バッファメモリ」を有するものの, 「単一のVRAM」とはされていない点[相違点3] 訂正発明の「グラフィックコントローラ」は, 「ディスプレイ制御手段」に「デジ タル表示信号」を送信するものであるのに対して,引用発明の「表示制御部」は,「内部表示器」に信号を送信するものである点[相違点4] 訂正発明の「ディスプレイ手段」は「グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」を有するのに対して,引用発明の「内部表示器」は, 「ディスプレイ制御手段」を有するとされていない点[相違点5] 訂正発明の「インターフェース手段」は,受信した「デジタル表示信号」を「デジタルRGB,TMDS,LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して,該デジタル外部表示信号」を送信するものであるのに対して,引用発明は,そのような信号の変換を行うとされておらず,「外部テレビジョンモニタ」に対して送信する信号が,「デジタルRGB,TMDS,LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号」とされていない点[相違点6] 訂正発明は,「インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する」ものであるのに対して,引用発明は, 「インターネット・サービスプロバイダが保有するコンテンツ・サーバ」から「動画像を含む各種情報を提供」されるものではあるものの, 「インターネットに接続したウェブサーバ」から「画像データファイル」を「ダウンロード」するとはされていない点 ウ 相違点についての判断 [相違点1]及び[相違点6]について コンテンツ配信システムにおいて,受信したコンテンツデータを記憶手段に一旦格納し,その後読み出してコンテンツを表示することは周知技術であり,引用発明において,コンテンツ・サーバから提供された動画像を含む各種情報を一旦記憶手 段に格納,すなわちダウンロードし,その後読み出した上で処理(再生)するものとすることは,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
なお,一旦格納する情報を「自らが処理可能なデータファイル」として格納することは,読み出した上で処理」 「 を行うことを考慮すれば,当然にされることである。
また,引用発明において,インターネットに接続したウェブサーバをコンテンツ・サーバに代えて用い,インターネットに接続されたウェブサーバから画像データファイルを取得することは,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
[相違点2]について 特開平5-181446号公報(以下「引用例2」という。)には,「フレームバッファの画素数をCRTの解像度に合わせて読み出すようにする」ことにより「異なる解像度を持つCRT表示部に対してもフレームバッファのデータをそれぞれに適した形で表示することができる」ものとする技術(段落【0025】〜【0029】,すなわち,単一のフレームバッファより,それぞれの表示装置の解像度に適 )したデータを読み出す技術が記載されている。
引用発明の「バッファメモリ」においても上記引用例2に記載された技術が有用かつ採用可能であることは,当業者に明らかである。
したがって,引用発明において, 「単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行うもの」で,該「単一のVRAM」から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」や「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出す構成とすることに格別の困難性はない。
[相違点3]及び[相違点4]について 液晶ディスプレイパネルを用いた表示装置が,表示信号により「ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」を有し,該「ディスプレイ制御手段」により「ディスプレイパネル」が駆動されるものであることは周知のことである。
そして,引用発明の「内部表示器」は, 「カラーLCDを使用」してなるものであるから,引用発明においても,「表示制御部」から送信される「デジタル表示信号」により「内部表示器」の「カラーLCD」で画像を表示する場合, 「ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」といい得る構成に「デジタル表示信号」を入力し「ディスプレイパネル」の画素を駆動しているのは明らかである。
そして,当該「ディスプレイ制御手段」を「表示制御部」と「内部表示器」の「カラーLCD」と区別して, 「表示制御部」と「内部表示器」の「カラーLCD」との間に設けることは,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
[相違点5]について 情報処理装置において,外部モニタとの接続に,TMDS方式を実装したDVI規格に対応するインタフェースを用いることは周知技術であり,引用発明においても上記周知技術が有用かつ採用可能であることは当業者に明らかである。
したがって,引用発明において,DVI規格に対応させて,TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号を生成する信号変換部を設け,外部テレビジョンモニタに該デジタル外部表示信号を送信する構成とすることに格別の困難性はない。
そして,訂正発明の作用効果も,引用発明,引用例2に記載された技術及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって,訂正発明は,引用発明,引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
エ したがって,本件訂正の訂正事項1〜9により訂正された発明は,特許法126条7項の規定に適合しない発明である。
本件訂正の訂正事項10〜12による訂正は,特許法126条1項ただし書き,同条5〜7項の規定に適合する。
? 結論 よって,本件訂正のうち,請求項1に係る訂正は認められないが,請求項2〜4に係る訂正を認める。
審決取消事由
1 取消事由1(新規事項の追加の有無) 審決は,訂正事項7に係る「前記ウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し, 「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能(以下「機能A」という。 と, ) 前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し, 「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能(以下「機能B」という。)と,を実現」すること(以下「本件発明特定事項」という。)について,本件明細書の全ての記載を総合して導かれる技術事項の範囲内のものであるということはできないと判断した。
しかし,以下のとおり,本件明細書の「第1の実施形態」についての記載を総合すると,本件発明特定事項が導かれるということができるから,審決の上記判断は誤りである。
?ア 本件明細書の段落【0117】には,携帯電話機1をそれ単独として使用する場合の機能として,「携帯電話機1が,インターネットに接続したウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には,中央演算回路1_10A1は,当該ウェブページがLCDパネル15Aの画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用していれば,当該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成し,当該描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに送信する。
グラフィックコントローラ1_10Bは,当該描画命令に基づき仮想画面における ビットマップデータを生成しVRAM1_10Cに書き込むとともに,LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出してLCDドライバ15Bに送信する。 旨の記載が 」ある。
この記載によると,同段落には,ページ画像の本来解像度が携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きいウェブページを閲覧する場合に,グラフィックコントローラがVRAMから携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し,読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号を生成し,当該デジタル表示信号をディスプレイ制御手段に送信する機能,すなわち本件発明特定事項のうち機能Aを実現する構成が記載されているということができる。
イ 本件明細書の段落【0123】には,携帯電話機を外部ディスプレイ装置に接続して使用する場合の機能として,「中央演算回路1_10A1は,LCDパネル15Aの画面解像度より大きな解像度を有する画像の描画命令を生成し,グラフィックコントローラ1_10Bに対して送信する。また,中央演算回路1_10A1は,上記の描画命令とともに,VRAM1_10Cから切り出したビットマップデータを,LCDドライバ15Bに送信する替わりに,TMDSトランスミッタ13Aに送信するように命令する送信命令を生成し,当該送信命令をグラフィックコントローラ1_10Bに送信する。」旨の記載がある。
また,本件明細書の段落【0124】には,携帯電話機を外部ディスプレイ装置に接続して使用する場合の機能として,「ウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には,当該ウェブページが外部ディスプレイ装置5の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用していれば,中央演算回路1_10A1は,当該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成・送信する。」旨の記載がある。
さらに,本件明細書の段落【0112】には「LCDパネル15AはQVGAサ イズの画面解像度を有し,通常は縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320画素)で使用する」,段落【0122】には,「外部ディスプレイの画面解像度は,VGAサイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480画素)である」旨の説明がされている。
以上の記載によると,本件明細書には,ページ画像の本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きいウェブページを閲覧する場合に,グラフィックコントローラがVRAMから携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し,読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号を生成し,当該デジタル表示信号をインターフェース手段に送信する機能,すなわち本件発明特定事項のうち機能Bを実現する構成が記載されているということができる。
ウ 上記ア及びイによると,本件明細書には,ページ画像の本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きいウェブページを閲覧する場合について,本件発明特定事項の機能A及びBを実現する構成が記載されているということができる。
?ア 次に,本件明細書の段落【0118】には,「携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合,グラフィックコントローラ1_10B,VRAM1_10C及びLCDドライバ15Bの動作は,キー操作部16Aの操作に従った画像のスクロールがないことを除けば,ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり,結果として,LCDパネル15Aにテレビ放送の動画がリアルタイムで表示される。」旨の記載がある。
また,段落【0120】には,「携帯電話機1においては,デジタル動画信号に基づいてLCDパネル15Aに動画をリアルタイムに表示したりするだけでなく,デジタル動画信号をデータファイルに変換して保存したり,保存したデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより,画像を表示することができる。」旨の記載が存在する。
これらの記載に接した当業者は,訂正発明の携帯電話機がウェブページを閲覧する場合に実現する機能は,テレビ放送の動画をリアルタイムで表示する場合も,テレビ放送の動画をデータファイルに保存して,保存したデータを読み出して表示する場合にも実現できるものと理解する。
イ 本件明細書の段落【0120】には,「画像データファイル及び/又は音声データファイルは,ウェブサイトにアクセスし,受信・変換されたデジタル信号をバス19経由で中央演算回路1_10A1が受信し,必要な変換を行ってフラッシュメモリ14Aに書き込むことによっても保存することができる。」旨の記載がある。また,段落【0143】には,「ユーザーは,携帯電話機1のキー操作部16A又は外部入力装置を用いた一度の操作によって,QVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできる。 旨の記載がある。
」 これらの記載に接した当業者は,訂正発明の携帯電話機1は,テレビ放送をデータファイルとして保存し,保存したデータファイルを読み出して表示する機能に加えて,ウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する機能も有すると理解する。
そして,情報通信装置におけるグラフィックコントローラの機能は,テレビ放送の動画をデータファイルとして保存して,保存したデータファイルを読み出して表示する場合も,ウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合も違いはないことは技術常識であるから,段落【0120】及び【0143】の記載に接した当業者は,グラフィックコントローラがウェブページを閲覧する場合に実現する機能は,ウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合にも実現できると判断する。
? 以上のとおり,本件発明特定事項は,当業者によって,本件明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項ということができる。本件発明特定事項は本件明細書に記載されていないとする審決の判断は,本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項を過度に狭く解釈するものである か,その記載を読み落としたものであり,誤っている。
2 取消事由2(独立特許要件の有無:一致点認定の誤り,相違点の看過) ? 審決は,訂正発明と引用発明は,いずれも,グラフィックコントローラが,VRAMから,携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度と同じ又はこれより大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出す点で一致すると認定した。引用発明において,訂正発明のグラフィックコントローラとVRAMとに対応するのは,表示制御部とバッファメモリであるから,審決の認定は,引用発明においては,表示制御部がバッファメモリから画像データを読み出すとの認定に基づくものである。
しかし,引用例1(甲2)の段落【0076】には,バッファメモリに関して,「QCIFフォーマットの受信動画像データは,まず表示制御部23内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積される(処理S1)。次に,この4フレームfr1,fr2,fr3,fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部39に読み出され,これら4個「1」「2」「3」「4」の画素の動きベクト , , ,ルが合成される(処理S2)。そして,この合成された動きベクトルはしきい値と比較され,これにより「ベクトルなし」, 「上ベクトル」, 「下ベクトル」, 「左ベクトル」,「右ベクトル」のいずれかに識別される(処理S3)」と記載されている。

ここにいう「画素がQCIF/CIF変換部39に読み出され」との記載は,他に画素を読み出す主体が明示されていない以上,「QCIF/CIF変換部39が画素を読み出す」と解するのが自然である。
また,引用例1の段落【0076】は,段落【0075】に記された「QCIFからCIFへのフォーマット変換」について説明している記載であり,バッファメモリは段落【0076】だけに記載されているのであるから,バッファメモリからの読出し動作が行われるのは, 「QCIFからCIFへのフォーマット変換」の場合のみであり,受信動画像データのフォーマットがCIFである場合には,バッファメモリからの読出し動作自体が行われないと理解することができる。このような観 点から考えても,画素を読み出す主体は,QCIF/CIF変換部39であると解するのが自然である。
被告は,画素を記憶するメモリであるバッファメモリが表示制御部23に存在すること,QCIFからCIFへの解像度処理にバッファメモリを用いること,表示制御部が画素を記憶するメモリへの書込み/読出しを行うことが慣用技術であることを主張するが,メモリを内蔵しない別の構成素子が読出し動作を行うことは往々にしてあるから, 「バッファメモリが表示制御部23内に存在すること」と「表示制御部23がバッファメモリからの読出し動作の主体であること」とは無関係であるし,また,QCIFからCIFへの解像度処理にバッファメモリを用いること」 「 も,バッファメモリに蓄積された画素を読み出す主体はQCIF/CIF変換部39と考えるべきであるから,「表示制御部23がバッファメモリからの読出し動作の主体であること」は無関係であり,さらに,仮に「表示制御部が画素を記憶するメモリへの書き込み/読出しを行うこと」が慣用技術であるとしても,バッファメモリからの読出し動作の主体はQCIF/CIF変換部39であるから,「表示制御部23は段落【0076】に記載されたバッファメモリとは別個の画像メモリへの書き込み/読み出しを行う」という事項を導き出すことにとどまり,引用発明において,バッファメモリから画素を読み出すのが表示制御部であることが導かれるものではない。
以上のとおり,引用発明においてバッファメモリから画素を読み出す主体は,QCIF/CIF変換部39であって表示制御部23ではないので,表示制御部23がバッファメモリから画像データを読み出すことを前提とする審決の一致点の認定には誤りがあり,画像データの読出し主体が異なることは相違点として認定されるべきであるにもかかわらず,審決はこれを看過したものである。
? 仮に,引用発明において,バッファメモリから画素を読み出すのが表示制御部23であるとしても,審決の一致点の認定は誤りである。
審決は,訂正発明と引用発明は,いずれも,ウェブサーバから本来解像度がディ スプレイパネルの画面解像度より大きい画像データを取得して画像を表示する場合に,グラフィックコントローラ(訂正発明の表示制御部に相当)が,デジタル表示信号の送信先に対応して,VRAM(訂正発明のバッファメモリに相当)から,携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度と同じ又はこれより大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出す点で一致すると認定した。
しかし,引用例1の段落【0076】は,本来解像度がQCIFの画素データを読み出す場合の記載であるから,本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度と同じ画像データファイルをダウンロードする場合の記載であって,本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードする場合についての記載ではない。引用例1には,表示制御部23がウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,バッファメモリからいかなる画像データを読み出していかなるデジタル表示信号を生成するかについての記載は存在しない。
被告は,画素を記憶するメモリであるバッファメモリが表示制御部23に存在すること,QCIFからCIFへの解像度処理にバッファメモリを用いること,表示制御部が画素を記憶するメモリへの書込み/読出しを行うことが慣用技術であることを主張するが,表示制御部の表示制御には画素を記憶するメモリ手段が必要であるとは限らない。引用発明においても,本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードする場合,すなわち,ダウンロードした画像データファイルがCIFである場合には,そのまま外部テレビジョンモニタVMに動画像データが出力されるのであり,引用発明の表示制御部23は,フォーマット変換が行われない場合には,メモリ手段への書込み/読出しを必要としないと考えるのが自然である。また,段落【0080】に記載されている,CIFからQCIFへのフォーマット変換を行う状況において,バッファメモリに蓄積された画素が表示制御部23によって読み出されて,QCIF/CIF変換部39に供 給される機能が実現されるとすると,画素の送信先はQCIF/CIF変換部39ということになり,表示制御部23が生成したデジタル表示信号(画素)の送信先は内部表示器24ではない。
このように,引用発明においては,ウェブサーバから本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データを取得して画像を表示する場合に,表示制御部が,バッファメモリから,携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度と同じ又はこれより大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出すということはないのであるから,審決の一致点の認定には誤りがある。
3 まとめ 以上のとおり,本件訂正は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり,また,訂正発明と引用発明の一致点に関する審決の認定は誤りであり,相違点を看過したものであるから,審決は取り消されるべきである。
被告の主張
1 取消事由1に対し ? 本件発明特定事項のうち,「前記ウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出」すという記載(機能A)は,本来解像度が携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードした上で,当該画像データファイルの解像度を変更して,前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを得るとの技術事項を特定するものである。
? 原告は,同技術事項が本件明細書の記載から導かれると主張し,その根拠として本件明細書の段落【0117】,【0118】及び【0120】を挙げる。
しかし,段落【0117】は「ウェブページを閲覧している場合」に関する記載であり,同段落の「ページ画像」とは,HTMLで記述したウェブページをブラウ ザで表示した画像であって,画像データをデータファイルとしてダウンロードして得た画像とは異なる。
また,段落【0118】の記載は,テレビ受信用アンテナで受信した「テレビ番組の画像」を表示する場合に関する記載であって,画像データファイルをダウンロードすることとは技術的に異なるものである。
さらに,段落【0120】の「画像データファイル」は,携帯電話機においてデジタル信号を変換した結果を保存したものであり,画像データファイルそのものをウェブサーバからダウンロードすることについて記載されているとはいえない。
以上のとおり,上記各段落のいずれにも,画像データファイルをダウンロードすることについて記載されていないから,これらの段落には,本件発明特定事項の機能Aの記載がされているということはできない。
? 本件明細書の段落【0143】は,ウェブサーバからの画像データファイルのダウンロードについて言及している記載であって,一つの操作でQVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできるような機能を有するウェブページから,ユーザーが,携帯電話機の一度の操作によって,QVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルをダウンロードすることが記載されているといえる。
しかし,同段落には,画像データファイルの解像度を変更して,ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを得ることについては記載されていない。
また,QVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードした場合について,段落【0117】の記載に準じ,LCDパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを得る動作を検討すると,QVGAサイズ(LCDパネルの画面解像度と同じ)の画像データファイルから,直接,解像度の変更を行うことなしに,QVGAサイズのビットマップデータを得るものと解するのが当業者にとって自然である。これに対し,VGAサイズ(外部 ディスプレイ装置の画面解像度と同じ)の画像データファイルから,解像度を変更して,QVGAサイズの画像のビットマップデータを得ると理解することは,処理が複雑となる上に,QVGAサイズの画像データファイルを同時にダウンロードすることが無意味なものとなるから,当業者がそのような理解をするとも考えられない。
そうすると,段落【0143】の記載から,ダウンロードしたVGAサイズの画像データファイルの解像度を変更して,QVGAサイズの画像のビットマップデータを得るとの技術事項が導かれるということはできない。そして,他に,本件明細書において,本件発明特定事項の機能Aの根拠となるような記載は見当たらない。
? 以上によると,訂正事項7に係る訂正が,本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであるとすることはできない。
2 取消事由2に対し ? 原告は,引用発明においてバッファメモリから画素を読み出す主体は,QCIF/CIF変換部であって表示制御部ではないので,表示制御部がバッファメモリから画像データを読み出すことを前提とする審決の一致点の認定は誤りであると主張する。
しかし,引用例1の段落【0076】には,「QCIFフォーマットの受信動画像データは,まず表示制御部23内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積される(処理S1)。」との記載及び「次に,この4フレームfr1,fr2,fr3,fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部39に読み出され,」との記載があり,これらの記載によると,「バッファメモリ」が「表示制御部23」内に存在すること,及び,「画素」が「バッファメモリ」から「QCIF/CIF変換部39に」読み出されることが理解される。
また,段落【0070】の「このQCIF/CIF変換部39は,表示制御部23からQCIFの動画像データが供給された場合に,この動画像データのフォーマットをQCIFからCIFに変換する。」との記載によると,「QCIF/CIF 変換部39」は,「表示制御部23からQCIFフォーマットの受信動画像データが供給された場合」に,動画像データのフォーマットを解像度の小さいQCIFから解像度の大きいCIFに変換する機能を有するにすぎない。
さらに,段落【0074】,【0080】には,受信動画像データのフォーマットがCIFである場合についての記載があるところ,上記のとおり,「バッファメモリ」が「表示制御部23」内に存在する点を考慮すると,同各段落に記載されているCIFの動画像データは,いずれも,バッファメモリから読み出された画素のデータであるものと解される。そして,このデータは,「そのまま」の状態で,又は「QCIFへのフォーマット変換」がされてから,表示制御部23から外部テレビジョンモニタVM又は内部表示器24に供給されるものであるから,QCIF/CIF変換部39におけるフォーマットの変換を経ることなく行われるものである。
そうすると,引用例1には「バッファメモリ」からの読み出し動作の主体が何であるかについて明示の記載はないものの,バッファメモリが表示制御部23内に存在すること,動画像データが表示制御部23からQCIF/CIF変換部39を経ることなく外部テレビジョンモニタVM又は内部表示器24に供給される場合があることからすると,バッファメモリからの読出し動作の主体は表示制御部であると理解することが自然である。
さらに,表示制御部がバッファメモリ等と呼ばれる画素を記憶するメモリへの書込み/読出しを行うことが慣用技術である(乙7〜9)ことも併せ考慮すると,引用発明において画像データの読出しを行う主体はバッファメモリを内蔵する表示制御部23であると理解するのが,当業者にとって自然である。
したがって,引用発明においてバッファメモリから画素を読み出す主体が表示制御部23であることを前提とする審決の一致点の認定に誤りはない。
? 原告は,引用発明において,ウェブサーバから本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データを取得して画像を表示する場合に,表示 制御部が,バッファメモリから,携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度と同じ又はこれより大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出すということはできないのであるから,これを前提とする審決の一致点の認定は誤りであると主張する。
しかし,バッファメモリが表示制御部23内に存在することが引用例1の段落【0076】に記載されていること,表示制御部が画素を記憶するメモリへの書込み/読出しを行うことが慣用技術であること(乙7〜9)を考慮すると,QCIFからCIFへの解像度変換処理にバッファメモリを用いることが段落【0076】に記載されているのであるから,他の表示制御においても当然にバッファメモリが用いられると解するのが自然である。すなわち,段落【0074】に記載されているCIFの動画像データは,表示制御部23がバッファメモリから読み出した上で,表示制御部23から外部テレビジョンモニタVMに供給されるものと解するのが自然であり,また,段落【0080】に記載されている,間引く処理によりQCIFへのフォーマット変換がされたデータについても,表示制御部23がバッファメモリから読み出した上で,表示制御部23から内部表示器24に供給されるものと解するのが自然である。
このように,段落【0074】の記載は,表示制御部23が,ウェブサーバから本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合に,バッファメモリから前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有するビットマップデータを読み出すことを,また,段落【0080】の記載は,表示制御部23が,ウェブサーバから本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合に,バッファメモリから前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有するビットマップデータを読み出すことを表しているといえる。
そうすると,引用発明において,ウェブサーバから本来解像度がディスプレイパ ネルの画面解像度より大きい画像データを取得して画像を表示する場合に,表示制御部が,当該画像データの送信先に応じて,バッファメモリから,携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度と同じ又はこれより大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出す機能を実現しているということができるのであるから,訂正発明と引用発明の一致点についての審決の認定に誤りはない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(新規事項の追加の有無)について 原告は,訂正事項7に係る訂正が,本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないとした審決の判断は誤りであると主張するので,以下,検討する。
? 本件明細書の記載 本件明細書及び図面には,以下の記載がある。
【技術分野】【0001】 本発明は,携帯電話機などの携帯情報通信装置,携帯情報通信装置とともに用いる接続ユニット,及び携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニットに関する。
【0031】 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,携帯電話機やPDAをはじめとする携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより,より一般的には,携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置,及び/又は,大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することにより,該大画面外部ディスプレイ手段において,付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示すること,特に,長文の電子メールについては,垂直スクロールを繰り返すことなく読めること,パソコン向けウェブページについては,パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示し,し かも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧できること,テレビ番組については,テレビ放送における本来画像を表示することを,該大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生成手段を,付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である表示データ生成手段(以下,付属表示データ生成手段と略記する)とは別個に使用することなく,大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置,及び/又は,大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置と間のインターフェース手段の追加と,付属表示データ生成手段への若干の機能追加だけで実現する携帯情報通信装置を提供する点にある。また,携帯情報通信装置及び大画面外部ディスプレイ装置とともに用いられ,該大画面外部ディスプレイ装置の画面に,付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示するための接続ユニットを提供する点にある。さらに,携帯情報通信装置とともに用いられ,自らに付属する大画面外部ディスプレイパネルに,該携帯情報通信装置の付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示する外部入出力ユニットを提供する点にある。
【発明の効果】【0078】 第1乃至第15の発明の携帯情報通信装置においては,携帯情報通信装置のインターフェース手段A1に高解像度外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,及び/又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続して高解像度外部表示信号を送信することにより,該高解像度外部ディスプレイ手段の画面において,携帯情報通信装置に付属するディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができる。これにより,付属ディスプレイパネルにおいては,その画面解像度に相当する部分だけを切り出した部分画像しか表示できなかったり,画素を間引くことによって画質を落とした全体画像しか表示できなかったりしたような画像を,高解像度外部ディスプレイ手段においては,その本来の解像度のままの全体画像として表示できるようになる。特に,水平方向の本来の画素数がディスプレイパネルの画面水平解像度より大きい高水平解像度外部表示信号を 送信する機能が実現されることにより,該高解像度外部ディスプレイ手段の画面における一行あたりの表示文字数を,付属ディスプレイパネルにおける表示文字数よりも増やすことができる。これにより,例えば,長文の電子メールを読むような場合でも,付属ディスプレイパネルにおけるように何行にもわたって表示され,垂直スクロールを何度も繰り返さなければならないため,理解に困難が伴うというようなことはなくなる。
しかも,そのような高解像度外部表示信号の送信は,付属ディスプレイパネルにおいて画像を表示するためにもともと必要であるデータ処理手段と,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,及び/又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続するために不可欠のインターフェース手段だけによって実現されている。
このため,従来の技術のように,携帯情報通信装置に備えられた表示データ処理手段とは別に,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置向けの専用の表示データ生成手段を設ける必要はなく, 「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題は回避できる。
【0111】(第1の実施形態) 図1は,本発明の第1の実施形態に係る携帯情報通信装置,携帯情報通信装置用接続ユニット,及び両者を接続した上で該接続ユニットに外部ディスプレイ装置及び外部入力装置を接続することによって構成した情報通信システムの構成及び機能を説明するためのブロック図であり,特に,該携帯情報通信装置が携帯電話機である場合について説明している。
【0112】 この実施形態においては,携帯電話機 1 は,それ単独として,音声通話用,携帯テレビ電話でのコミュニケーション用,データ通信・処理用,テレビ放送番組の視聴用,被写体の撮影用,又は,画像データ及び/又は音声データの保存・再生用として使用することができ,音声通話以外の用途で使用する場合には,各種の画像が, 付属ディスプレイパネルであるLCD(Liquid Crystal Display)パネル 15A に表示される。
以下では,LCDパネル 15A はQVGAサイズの画面解像度を有し,通常は縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320 画素)で使用する…【0117】 特に,携帯電話機 1 が,インターネットに接続したウェブサイトにアクセスし,該ウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には,中央演算回路1_10A1 は,フラッシュメモリ 14A に格納されたブラウザプログラムに従って,通信用アンテナ 111A,RF送受信部 111B,ベースバンドプロセッサ 11 及びバス 19 を経由して,ウェブページを構成するマークアップ文書ファイル及びそのリンクファイルを取得し,ウェブページのレイアウト形式に応じて以下のように描画命令を生成・送信する。すなわち,ウェブページがリキッドレイアウト,又はLCDパネル15A の画面水平解像度(240 画素)よりも狭い固定幅レイアウトを採用していれば,LCDパネル 15A の画面水平解像度と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を,ウェブページがLCDパネル 15A の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用していれば,該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を,それぞれ生成し,該描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。
グラフィックコントローラ1_10B は,該描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10C に書き込むとともに,LCDパネル 15A に表示され,LCDパネル 15A の画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10C から切り出してLCDドライバ 15B に送信する。LCDドライバ 15B は,該ビットマップデータに基づいてLCDパネル 15A の画面を構成する各々の画素を駆動し,最終的に前記ウェブページに対応したページ画像の全部又は一部に,必要に応じて画面の上部・下部に表示されるメニュー表示等を組み合わせた全画面画像がLCDパネル 15A に表示される。
この際,ページ画像の解像度がLCDパネル 15A の画面解像度より大きい場合に は,キー操作部 16A において画面スクロール機能を担うキーを操作することによって入力されるデータに応じて,中央演算回路1_10A1 が描画命令を変更することにより,VRAM1_10C から切り出されるビットマップデータは仮想画面上を徐々に遷移し,その結果として,LCDパネル 15A においてページ画像がスクロール表示される。
【0118】 また,携帯電話機 1 がテレビ番組の視聴用に使用される場合,テレビ受信用アンテナ 112A で受信したテレビ放送信号は,テレビチューナ 112B 及びAD/DA変換部1_112C でデジタル動画信号及びデジタル音声信号に変換され,バス 19 を経由して中央演算回路1_10A1 に送信される。
携帯電話機1においては,テレビ番組の画像を,LCDパネル 15A を縦置きにして表示する(→縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320 画素))か,横置きにして表示する(→横長画面(水平画素数×垂直画素数=320×240 画素))かを,キー操作部 16A を操作することによって選択することができ,中央演算回路1_10A1は,この選択に対応した入力信号及び前記デジタル動画信号に基づき,LCDパネル 15A に表示される画面イメージ(ただし,縦長画面の場合,上部及び/又は下部に非表示領域が生じた画面イメージ)のビットマップデータを作成する描画命令を生成し,該描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。この際,テレビ放送における本来画像の水平・垂直画素数は,縦長画面,横長画面のいずれの場合でも,LCDパネル 15A の水平・垂直画素数よりも大きいため,描画命令の生成にあたっては,AD/DA変換部1_112C から送信されるデジタル動画信号を一部間引くことによって,解像度の低い画像の全体画像の描画命令を生成する。
グラフィックコントローラ1_10B,VRAM1_10C 及びLCDドライバ 15B の動作は,キー操作部 16A の操作に従った画像のスクロールがないことを除けば,ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり,結果として,LCDパネル 15Aにテレビ放送の動画がリアルタイムで表示される。
一方,デジタル音声信号についても中央演算回路1_10A1 で適切に処理され,さらにベースバンドプロセッサ 11 とCODEC18C を経由することによって,最終的にスピーカ 18B から音声として出力される。この結果,上記のLCDパネル 15A に表示される動画と相俟ってテレビ番組として視聴することができる。
【0120】 一方,携帯電話機1においては,上記のようにデジタル音声信号に基づいてスピーカ 18B から音声をリアルタイムに出力したり,デジタル動画信号に基づいてLCDパネル 15A に動画をリアルタイムに表示したりするだけでなく,デジタル音声信号及び/又はデジタル動画信号をデータファイルに変換して保存したり,該保存したデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより,音声を出力したり,画像を表示したり,あるいは両者を組み合わせたムービーとして再生することができる。
このような画像データ及び/又は音声データの保存・再生用に使用される場合,中央演算回路1_10A1 は,キー操作部 16A を操作することにより入力されたデータに基づきフラッシュメモリ 14A にアクセスして,デジタル動画信号を変換したビットマップデータやデジタル音声信号を変換したデジタル音声データを必要に応じて圧縮したデータファイルとして書き込んだり,逆にデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより,描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に出力したり,デジタル音声信号をベースバンドプロセッサ 11 経由でCODEC18C に出力したりする。
なお,画像データファイル及び/又は音声データファイルは,ウェブサイトにアクセスし,通信用アンテナ 111A,RF送受信部 111B,ベースバンドプロセッサ 11を経由して受信・変換されたデジタル信号を,バス 19 経由で中央演算回路1_10A1が受信し,必要な変換を行ってフラッシュメモリ 14A に書き込むことによっても保存することができる。ただし,フラッシュメモリ 14A の容量には限界があるため,例えば,長時間のムービー等を保存することには制約が生じる。
また,動画である画像データを保存する場合には,MPEG(Moving PictureExperts Group)-1,MPEG-2,MPEG-4等のMPEG規格のフォーマットで保存され,静止画である画像データを保存する場合には,BMP,TIFF,JPEG,GIF及びPNG等のフォーマットで保存される。また,音声データについては,WAVE形式や,MP3(MPEG Audio Layer 3),AIFF(AudioInterchange File Format),ATRAC3(Adaptive TRansform Acoustic Coding3)等のフォーマットで保存される。
【0121】 以上が携帯電話機 1 をそれ単独として使用する場合の機能の概略であるが,携帯電話機 1 は,接続ユニット 3 と接続するための外部接続端子部A_13D を備えており,外部接続端子部A_13D と,接続ユニット 3 に備えられたインターフェース部B_33 を構成する外部接続端子B_33D とを接続ケーブル 2 を介して接続することにより,携帯電話機 1 と接続ユニット 3 を一体的な情報通信システムとして動作させることができるようになる。
【0122】 一方,接続ユニット 3 は,周辺装置と接続するためのインターフェース部C1_35とインターフェース部C2_36 を備えており,インターフェース部C1_35 には,LCDである外部ディスプレイ装置 5 が,インターフェース部C2_36 には,フルキーボードである外部キーボード 61 とマウス 62 が,それぞれ接続されている。…原則として,外部ディスプレイ装置 5(LCD)の画面解像度は,VGAサイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480 画素)である…【0123】 …携帯電話機 1 の中央演算回路1_10A1 が前記接続検知信号を受信した場合,中央演算回路1_10A1 は,LCDパネル 15A の画面水平解像度又は画面解像度に対応した画像の描画命令に替えて,以下で説明するように,LCDパネル 15A の画面解像度より大きな解像度を有する画像の描画命令を生成し,グラフィックコントロー ラ1_10B に対して送信する。また,中央演算回路1_10A1 は,上記の描画命令とともに,VRAM1_10C から切り出したビットマップデータを,LCDドライバ 15Bに送信する替わりに,TMDSトランスミッタ 13A に送信するように命令する送信命令を生成し,該送信命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。
【0124】 まず,インターネットに接続したウェブサイトにアクセスし,該ウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には,中央演算回路1_10A1 は,フラッシュメモリ 14A に格納されたブラウザプログラムに従い,ウェブページのレイアウト形式に応じて以下のように描画命令を生成・送信する。すなわち,ウェブページがリキッドレイアウト,又は外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度(640 画素)よりも狭い固定幅レイアウトを採用していれば,外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成・送信し,ウェブページが外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用していれば,該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成・送信する。
一方,テレビ放送を視聴している場合及び被写体を撮影している場合には,それぞれAD/DA変換部1_112C 及びAD/DA変換部2_12C から送信されるデジタル動画信号における本来画像の解像度は,外部ディスプレイ装置 5 における画面解像度より依然として大きいため,中央演算回路1_10A1 は,該デジタル動画信号を一部間引くことによって,解像度を外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度に合わせた低画質の全体画像の描画命令が生成・送信される。
【0140】 一方,図3は,本発明の第1の実施形態に係る携帯情報通信装置と携帯情報通信装置用接続ユニットとを接続した上で,該接続ユニットに外部ディスプレイ装置及び外部入力装置を接続することによって構成した情報通信システムと,インターネットに接続したウェブサーバとの間での情報のやり取りを説明するための説明図で あり,特に,該携帯情報通信装置が携帯電話機である場合を説明している。
【0141】 携帯電話機 1,接続ユニット 3,外部ディスプレイ装置 5 及び外部入力装置(外部キーボード 61 及びマウス 62)から構成された情報通信システムがインターネット9 に接続しているウェブサーバ 91 にアクセスする際,携帯電話機1における中央演算回路1_10A1 は,フラッシュメモリ 14A に格納されたブラウザプログラムに従って,バス 19,ベースバンドプロセッサ 11,RF送受信部 111B 及び通信用アンテナ111A を経由して,ウェブサーバ 91 にユーザーエージェントを送信する(携帯電話機 1 の構成要素は図3に図示されていない) また, 。 フラッシュメモリ 14A に格納されたブラウザプログラムは,フレーム表示のウェブページを構成する複数のウェブファイルから適切に画面イメージを構成できるフレーム対応の機能を有する。
【0142】 この際,中央演算回路1_10A1 は,ユーザーエージェントに,携帯電話機 1 が高解像度外部表示信号の送信機能を有することを示す情報とともに,グラフィックコントローラ1_10B に対して,VRAM1_10C から切り出したビットマップデータをLCDドライバ 15B に送信するように命令しているか,TMDSトランスミッタ13A に送信するように命令しているかを特定できる情報を含ませる。
一方,ウェブサーバ 91 は,携帯電話機の付属ディスプレイで閲覧することを想定したサイズが小さくフレーム表示も使わないウェブページに対応する,マークアップ文書ファイル及びそのリンクファイルからなるデータファイルセット(以下,ケータイ向けファイルセットと略記)と,パソコンで閲覧することを想定した,サイズや形式に制約のないウェブページに対応するデータファイルセット(パソコン向けファイルセットと略記)の双方を格納している。その上で,CGI又はPHPの機能を有することにより,ユーザーエージェントに含まれた前記の情報のうち,送信命令に関する情報に基づき,より望ましいものを選択して携帯電話機 1,接続ユニット 3,外部ディスプレイ装置 5 及び外部入力装置(外部キーボード 61 及びマウ ス 62)から構成された情報通信システムに転送する。すなわち,中央演算回路1_10A1 からの送信命令がLCDドライバ 15B への送信を命令している場合にはケータイ向けファイルセットを,TMDSトランスミッタ 13A への送信を命令している場合にはパソコン向けファイルセットを,それぞれ送信する。
この結果として,携帯電話機 1,接続ユニット 3,外部ディスプレイ装置 5 及び外部入力装置(外部キーボード 61 及びマウス 62)から構成された情報通信システムにおいては,アクティブな状態にあるディスプレイ手段の画面解像度に適応した,より望ましいウェブページが閲覧できることになる。特に,携帯電話機1がフレーム表示のウェブページを構成する複数のウェブファイルを受信した場合,該ウェブファイルを適切にレンダリング処理することにより,接続ユニット 3 に接続された外部ディスプレイ装置 5 の画面にフレーム形式のページ画像が表示される。
【0143】 また,ウェブサーバ 91 は,そこにアクセスしてダウンロード操作を行うことにより,画像データファイルをダウンロードすることができるウェブサイトを複数用意しており,携帯電話機 1 から送信されたユーザーエージェントに含まれた前記の情報のうち,外部表示信号の送信機能に関する情報に基づき,一つの操作でQVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできるような機能を有するウェブページにアクセスするように自動的に振り分ける。これにより,ユーザーは,携帯電話機 1 のキー操作部 16A 又は外部入力装置(外部キーボード 61 及びマウス 62)を用いた一度の操作によって,QVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできる。
【図1】【図3】 ? 新規事項の追加の有無について ア 訂正事項7による訂正後の訂正発明の構成(本件発明特定事項)は,前記のとおり,ウェブサーバから本来解像度が携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合に,@VRAMからディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し,読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号を生成し,これをディスプレイ制御手段に送信する機能(機能A)と,AVRAMからディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し,読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号を生成し,これをインターフェース手段に送信する機能(機能B)とを実現するというものである。
本件発明特定事項のうち,機能Aは,本来解像度が携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードした上で,VRAMからディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出すというものであるから,VRAMから読み出されるビットマップデータは,ダウンロードした画像データファイルから解像度を変更して得られたものであると理解することができる。
イ 本件明細書において,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルをダウンロードすることについて記載されているのは,段落【143】であるところ,段落【143】には,「ウェブサーバ91は,そこにアクセスしてダウンロード操作を行うことにより,画像データファイルをダウンロードすることができるウェブサイトを複数用意しており,携帯電話機1から送信されたユーザーエージェントに含まれた前記の情報のうち,外部表示信号の送信機能に関する情報に基づき,一つの操作でQVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできるような機能を有するウェブページにアクセスするように自動的に振り分ける。これにより,ユーザーは,・・・QVGAサイズとVG Aサイズの双方の画像データファイルを一度にダウンロードできる。」との記載がある。
このように,段落【0143】には,本来解像度が携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードした上で,ダウンロードした画像データファイルの解像度を変更する旨の記載は存在しない。かえって,ウェブサーバからQVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイル,すなわち, 「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」 「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度と同じ画像データ と,ファイル」の双方をダウンロードすることが記載されているところ, この場合には,ダウンロードされた画像データファイルから,表示装置の解像度と同じ解像度の画像データファイルを選択し,選択した画像データファイルの解像度に基づいてビットマップデータをVRAMに書込み/読出しをするのが自然であり,当業者が,VGAサイズの画像データファイルの解像度を変更して,QVGAサイズの画像のビットマップデータを得ると理解するとは考えられない。
そうすると,同段落には,「ウェブサーバから『本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル』をダウンロードして画像を表示する場合に」「前記VRAMから『前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像 ,度を有する画像のビットマップデータ』を読み出し,『該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号』を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する」こと(本件発明特定事項の機能A)が記載されているとは認められない。
ウ 原告は,本件発明特定事項の機能Aは,当業者によって,本件明細書の段落【0117】,段落【0118】,段落【0120】及び段落【0143】などの記載を総合することにより導かれると主張する。
しかし,段落【0117】は,ウェブサーバから画像データファイルをダウンロードすることについての記載ではなく,ウェブページを閲覧する場合 についての記載であり,同段落の「ページ画像」とは,ウェブページをブラウザで表示した画像であって,画像データをデータファイルとしてダウンロードする場合に関する記載ということはできない。
また,同段落には,閲覧しているウェブページがLCDパネル15Aの画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用する場合に,中央演算回路1_10A1が,その固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成し,VRAM1_10Cに書き込むとともに,グラフィックコントローラ1_10Bが,LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを切り出してLCDドライバ15Bに送信することが記載されているが, 「その結果として,LCDパネル15Aにおいてページ画像がスクロール表示される。」のであり,LCDドライバ15Bに送信される信号は,画像の一部分に対応するビットマップデータの信号であるから,この場合には,本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像から,ディスプレイパネルの画面解像度と同じ画像への解像度の変更が行われているということはできない。
次に,段落【0118】に記載されている事項は,携帯電話機1がテレビ番組の視聴用に使用される場合のグラフィックコントローラ1_10BやVRAM1_10C等の機能であり,携帯電話機1により表示される「画像」は,テレビ受信用アンテナ112Aで受信した「テレビ番組の画像」であるから,画像データをデータファイルとしてダウンロードする場合とは異なるというべきである。
そして,段落【0143】には,段落【0117】【0118】に記載されてい ,るような,ウェブページの閲覧やテレビ動画の表示の場合との関連性を示唆する記載はない上,段落【0143】の記載は前記のとおりであって,画像データファイルの解像度を変更することなく表示することが記載されているから,段落【0143】の記載に接した当業者が,その記載を段落【0117】,段落【0118】の記載と関連付けて,ウェブサーバから画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合に画像ファイルの解像度を変更することが記載されていると理解する とは考えられない。
(イ) 段落【0120】には,「デジタル音声信号及び/又はデジタル動画信号をデータファイルに変換して保存したり,該保存したデータファイルを読み出して必要な処理を行う」「画像データファイル及び/又は音声データファイルは, ,ウェブサイトにアクセスし,…受信・変換されたデジタル信号を,バス19経由で中央演算回路1_10A1が受信し,必要な変換を行ってフラッシュメモリ14Aに書き込むことによっても保存することができる。」との記載があるが,段落【0120】には,受信した「デジタル音声信号及び/又はデジタル動画信号」を携帯電話1においてデータファイルに変換して保存したり,それを読み出して再生することが記載されているにすぎず,この記載と前記のような内容の段落【0143】の記載を併せて見たとしても,当業者が,ウェブサーバから本来解像度が携帯電話機のディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイルをダウンロードして画像を表示する場合に,VRAMからディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し,読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号を生成し,これをディスプレイ制御手段に送信する機能を想起するとは考えられない。
(ウ) そうすると,原告の主張する本件明細書の各記載を総合しても,訂正事項7に係る「前記ウェブサーバから「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データファイル」をダウンロードして画像を表示する場合に,前記VRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し,「該読み出されたビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し,該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」が導かれるとは認められず,本件明細書には他に同機能の実現についての記載又は示唆は存在しない。
エ したがって,訂正事項7は,本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものということはできない。
2 小括 以上のとおりであるから,訂正事項7は本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく,審決の判断に誤りはないから,原告が主張する審決取消事由1に理由はない。
結論
よって,審決取消事由2について判断するまでもなく,原告の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 永田早苗
裁判官 森岡礼子
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