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関連審決 訂正2012-390109
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事件 平成 26年 (ワ) 26079号 損害賠償請求事件

原告 アダプティックスインコーポレイテッド
同訴訟代理人弁護士 飯田秀郷
同 隈部泰正
同 森山航洋
同 清水紘武
同訴訟代理人弁理士 黒田博道
同 北口智英
被告富士通株式会社
同訴訟代理人弁護士 片山英二
同 佐長功
同 服部誠
同 中村閑
同 岩間智女
同補佐人弁理士 相田義明
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2016/04/27
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
請求
被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成26年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要等
1 事案の要旨 本件は,発明の名称を「グループベースのサブキャリア割当による多重キャリア通信」とする特許第4031707号に係る特許権(以下「本件特許権」といい,その特許を「本件特許」という 。)を有する原告が,被告による別紙物件目録記載の各基地局装置(以下,同目録記載1及び2の各装置を併せて「被告製品」という。)の販売は,本件特許権を侵害し又は侵害するものとみなされると主張して,被告に対し,民法709条及び特許法102条3項に基づく損害賠償金18億円の一部である1億円及びこれに対する不法行為後である平成26年10月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。) (1) 当事者 ア 原告は,アメリカ合衆国デラウェア州法に基づいて設立された法人であり(弁論の全趣旨),本件特許権を保有する者である。
イ 被告は,通信機器・装置・システムの製造及び販売等を業とする株式会社である。
(2) 本件特許権 原告が有する本件特許権の内容は以下のとおりである(甲1,2の1)。
特許番号 第4031707号 発明の名称 グループベースのサブキャリア割当による多重キャリア通信 出 願 日 平成13年12月13日 優 先 日 平成12年12月15日 2 (優先権主張番号 09/738,086,優先権主張国 米国) 平成13年4月17日 (優先権主張番号 09/837,337,優先権主張国 米国) 登 録 日 平成19年10月26日 (3) 特許請求の範囲の記載 本件特許の願書に添付した明細書(訂正審判事件〔訂正2012-390109〕の平成24年10月9日付け審決〔同月18日確定〕により訂正が認められたもの〔別添特許審決公報[甲2の2]参照〕で,特許請求の範囲を含む〔平成14年法律第24号附則1条2号,3条1項,平成15年政令第214号〕。以下,図面〔別添特許公報[甲2の1]参照〕と併せて「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項4及び同9(以下,請求項4の発明を「本件発明4」,請求項9の発明を「本件発明9」といい,これらを併せて「本件各発明」という。)の各記載(訂正部分に下線を付した。)は,それぞれ次のとおりである(甲1,2の1及び2の2)。
ア 請求項4 直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用しているシステムのためのサブキャリア選択の方法において, 複数のサブキャリアを,複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグループに分割する段階と, 前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示を受信する段階と, 前記加入者からサブキャリアのクラスタの1つ又は複数のグループに関するフィードバック情報を受信する段階であって,前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,エラー修正でエンコードされる,前記段階と, 前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる段階と, 3 から成ることを特徴とする方法。
イ 請求項9 複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示と,サブキャリアのクラスタから成る前記1つ又は複数のグループに関する前記加入者からのフィードバック情報と,を受信する,クラスタ割当制御装置であって,前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,エラー修正でエンコードされており,前記クラスタ割当制御装置は,更に,前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる,前記クラスタ割当制御装置と, 前記クラスタ割当制御装置に接続されて,前記加入者によって使用される前記1つ又は複数のクラスタのグループにおける前記少なくとも1つのクラスタを表示するような通知を前記加入者へ送信する,直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバと,を備えることを特徴とする装置。
(4) 本件各発明の構成要件 本件各発明を構成要件に分説すると,それぞれ次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件4A」などという。)。
ア 本件発明4 4A 直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用しているシステムの ためのサブキャリア選択の方法において, 4B 複数のサブキャリアを,複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで 構成された複数のグループに分割する段階と, 4C 前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択 の表示を受信する段階と, 4D 前記加入者からサブキャリアのクラスタの1つ又は複数のグループに関 4 するフィードバック情報を受信する段階であって, 4E 前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,エラ ー修正でエンコードされる,前記段階と, 4F 前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なく とも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる段 階と,から成ることを特徴とする方法。
イ 本件発明9 9A 複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグルー プの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示と, 9B サブキャリアのクラスタから成る前記1つ又は複数のグループに関する 前記加入者からのフィードバック情報と,を受信する, 9C クラスタ割当制御装置であって, 9D 前記フィードバック情報は,ソース符号化技法を使って圧縮され,エラ ー修正でエンコードされており, 9E 前記クラスタ割当制御装置は,更に,前記加入者が選択した1つ又は複 数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを前記加入者と の通信に使用するために割り当てる,前記クラスタ割当制御装置と, 9F 前記クラスタ割当制御装置に接続されて,前記加入者によって使用され る前記1つ又は複数のクラスタのグループにおける前記少なくとも1つの クラスタを表示するような通知を前記加入者へ送信する, 9G 直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバと,を備えることを特 徴とする装置。
(5) 被告の行為等 ア 被告は,業として,被告製品を販売している。
イ 被告製品は,国際電気通信連合(ITU)が策定した第3世代移動通信システムの世界標準「IMT-2000」の標準化を行う組織の一つである3GPPに 5 おける第3世代(3G)移動通信システムの長期的高度化システムであるLTE(Long Term Evolution)通信規格(以下「LTE通信規格」という。)に準拠した基地局装置である。このLTE通信規格では,基地局は,そのダウンリンクのスケジューリング(リソース・ブロックを複数のユーザ端末に割り当てること)の際にダウンリンク・チャネルの品質に基づきデータ送信のためのリソース・ブロックを割り当て,その伝送のための変調方式及び符号化率を決定することから,適切な変調方式と符号化率を決定するためには,基地局(送信側)には無線リンクのチャネル条件に関する情報が必要である。そこで,基地局は,予め定められたリファレンス信号を送信し,端末(移動端末)は,これを受信してリファレンス信号のチャンネルの品質(SINR:Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio)を逐次測定し,送信されたリファレンス信号に関するSINRを指標化しチャンネル品質情報(CQI:Chanel Quality Indicator)を基地局に報告(フィードバック)する。
LTE通信規格の通信方法においては,基地局の指定により,非周期的なCQIレポートはいくつかのモードによって行われるが,被告製品が用いられる通信システム方法(以下「被告通信システム方法」という。 )では,高次階層設定サブバンドフィードバックモード(Higher Layer-configured subband feedback)モード(モード3-0又はモード3-1)(以下「本件モード」という。 )が採用されている(甲6の2・訳文3ないし4行,下から4行目から末行まで,甲6の3訳文1頁9ないし11行目,甲7の4訳文・下から9ないし8行目,下から3行目)。
被告通信システム方法における端末(移動端末)は,全帯域がN個のサブバンドで構成されている場合,ワイドバンドCQI及びワイドバンドCQIとの差分であるN個の差分CQIを基地局に報告する。
3 争点 原告は,被告通信システム方法は別紙被告製品が用いられる通信システム方法の構成の特徴のとおりの構成を有し,被告製品は別紙被告製品の構成の特徴のとおりの構成を有するとした上で(以下,上記各別紙記載の各構成をそれぞれの符号に 6 従い「特徴4a」などという。 ),@被告製品は本件発明9の技術的範囲に属するから,被告は,被告製品を販売したことにより,本件特許権を侵害した旨,また,A被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属するところ,被告通信システム方法の使用に用いられる被告製品は本件発明4の課題解決に不可欠なものであって,被告は,本件発明4が特許発明であること及び被告製品が同発明の実施に用いられることを知りながら,被告製品を販売したことにより,本件特許権を侵害したものとみなされる(特許法101条5号)旨主張している。
これに対し,被告は,原告の主張に係るLTE通信規格に準拠する基地局装置は本件発明9の構成要件を充足せず,また,同装置を使用する通信システム方法は本件発明4の構成要件を充足しない(ただし,被告は,原告の主張に係るLTE通信規格に準拠する基地局装置との対比としての構成要件9C,9F及び9Gの充足性,同装置を使用する通信システム方法との対比としての構成要件4Aの充足性については,争っていない。)ことを前提として,被告製品は本件発明9の技術的範囲に属せず,被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属しないなどと主張するとともに,本件各発明についての特許はいずれも特許無効審判により無効とされるべきものであると主張して争っている(なお,被告は,本件訴訟において,上記のとおり,原告の主張に係るLTE通信規格に準拠する基地局装置とその基地局装置を使用する通信方法について認否反論をしているが,審理対象を被告製品及び被告通信システム方法とすることについて積極的に争っていないため,以下では,単に,被告製品が本件発明9の技術的範囲に属するか,また,被告通信システム方法が本件発明4の技術的範囲に属するかについて検討することとする。)。
上述したところに鑑みると,本件の争点は,以下のとおりまとめることができる。
7 (1) 被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属するか(争点(1-1))。
また,被告製品が本件発明4の課題解決に不可欠なものであり,被告は,本件発明4が特許発明であること及び被告製品が同発明の実施に用いられることを知りながら,被告製品を販売したか(争点(1-2))。
(2) 被告製品は本件発明9の技術的範囲に属するか(争点(2))。
(3) 本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点(3))。
(4) 原告の損害額(争点(4))
争点に関する当事者の主張
1 争点(1-1)(被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属するか。)及び争点(1-2)(被告製品が本件発明4の課題解決に不可欠なものであり,被告は,本件発明4が特許発明であること及び被告製品が同発明の実施に用いられることを知りながら,被告製品を販売したか。)について(原告の主張) (1) 争点(1-1)(被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属するか。)について ア 構成要件4Bの「複数のクラスタで構成された複数のグループ」の意義について (ア) 被告通信システム方法の構成において,12個の連続したサブキャリアからなるリソース・ブロック(以下「RB」と表示することもある。)が構成要件4Bの「クラスタ」に,複数のRBにより構成されるサブバンドが構成要件4Bの「少なくとも1つのクラスタで構成されるグループ」にそれぞれ相当するから,被告通信システム方法は,構成要件4Bを充足する。
(イ) 構成要件4Bは,クラスタのグループをグループインデクスで特定することを何ら規定しておらず,どのような形式にせよ,クラスタのグループに関するフィードバック情報であることが基地局によって識別できれば良い。したがって,クラ 8 スタのグループは,グループインデクスで特定されるものに限定されるという被告の主張は誤りである。
構成要件4Cの「加入者による選択の表示」の意義について (ア) 全部のサブバンドを選択すると解釈する場合(以下「解釈1」という。) 本件明細書の段落【0028】の記載は,全帯域の全部のクラスタのSINRを基地局に報告する実施態様を説明しており,また,同【0069】の説明を逆に言うと,グループの全部に関する情報が基地局に返送される実施形態があり得るといえ,「選択」とは,全部のサブバンドを選択することを排除するものではない。
被告通信システム方法では,非周期的CQIの報告をユーザ端末に求めると,ユーザ端末は,これを受けて,本件モードにより,全部のサブバンドの差分CQIを被告製品(基地局)に報告する。例えば,ユーザ端末は,甲第14号証の第6図が示すような,「3,2,2,3,0,0,2,2,2」という9個の差分CQIを被告製品(基地局)に報告するところ,このように差分CQIを9個,順番に報告していることが,全部選択をしていることの表示に該当する。
(イ) 差分CQIの「0」,「1」又は「2」を付することで選択していることを示すと解釈する場合(以下「解釈2」という。) 上記のとおり,被告通信システム方法では,非周期的CQIの報告をユーザ端末に求めると,ユーザ端末は,これを受けて,本件モードにより,全部のサブバンドの差分CQIを被告製品(基地局)に報告する。例えば,ユーザ端末は,甲第14号証の第6図が示すような,「3,2,2,3,0,0,2,2,2」という9個の差分CQIを被告製品(基地局)に報告するところ,差分CQIの順番がサブバンドの順番と合致するから,当該順番を占める差分CQIの「0」,「1」又は「2」は,当該サブバンドを選択していることを示す表示に相当する。
(ウ) 被告は,選択の表示とフィードバック情報は別の種類の情報でなければならないと主張するが,ある情報が,選択の表示であるとともにフィードバック情報でもあるというように,ある情報が2面性を備えることはあり得るから,2つの情報 9 を兼ねる1つの情報の存在を全て否定する被告の主張は,その前提において誤っている。
構成要件4Dの「フィードバック情報」の意義について (ア) 構成要件4Dにおける「フィードバック情報」は,基地局からのパイロット記号に基づき,基地局にフィードバックする通信品質に関する情報,すなわち,SINR,SINRインデクスなどを意味すると解すべきである。CQIはチャネルのSINRを指標化したものであるから,被告通信システム方法において,基地局がサブバンドCQIの情報(差分CQI)を受信することにより,被告通信システム方法は,構成要件4Dを充足する。
(イ) 構成要件4Dは,被告が主張する「選択されたクラスタグループに係る情報のみ」というような限定をしておらず,チャネル品質が良好なチャネルが多数存在する場合には,なるべく多くのグループに関するフィードバック情報があることは基地局におけるリソース割り当ての自由度を高めるという意味で好ましい。全部のクラスタのグループに関するフィードバック情報を提供した方が,フィードバック情報量を低減することができるのであって,「加入者情報を更新するための帯域幅コストと統合最適化のための計算費用」の削減という作用効果を得ることができる。
また,被告は,差分CQIはCQIではないためにフィードバック情報ではない旨主張するようであるが,差分CQIが圧縮後データの一部であることを看過しており,誤りである。
CQIは,ユーザ端末が基地局装置(被告製品)から受信したり,リファレンス信号を乗せたサブキャリアに関するチャネル品質を示す指標として報告(フィードバック)されるものである。また,SINRインデクスに相当するものであるから,フィードバック情報がSINR又はSINRインデクスに限定されるとの被告主張に基づいたとしても,構成要件4Dを充足する。
構成要件4Eの「ソース符号化技法」の意義について (ア) 本件モードにおいて,各サブバンドの情報は,コードワードごとに対応した 10 ワイドバンドCQIに関して差分的に符号化されることにより圧縮され,畳み込み符号によって誤り訂正符号化されるから,被告通信システム方法は,構成要件4Eを充足する。
(イ) 被告は,「ターゲット」が再現される可逆圧縮でなければならないと,限定解釈しているが,本件発明4におけるソース符号化技法による圧縮については,可逆圧縮であるのか,不可逆圧縮であるのか何ら限定していない。
被告通信システム方法においては,本件モードにおいて,ワイドバンドCQI及びN個の差分CQIを受信するが,その報告のためのデータはソース符号化技法で圧縮されたものであって,差分CQIは圧縮後データの一部である。被告の主張は,この点を看過しており誤りである。
構成要件4Fの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」の意義について (ア) 構成要件4Fにおいて,「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタ『のみ』を・・・割り当てる」との記載になっておらず,本件明細書において,加入者に対するサブキャリアの割当ては基地局が総合的判断のもとで最終決定をすることが記載されている。
一方,被告通信システム方法は,基地局が,ユーザ端末の選択した複数のサブバンドを構成する1つ又は複数のRBを,ユーザ端末との通信に使用するために割り当てる段階を有するといえ,RBはクラスタに相当するから,構成要件4Fを充足する。
(イ) 本件モードにおいて,加入者が全サブバンドを選択したと解釈する立場に基づくと(解釈1の場合),基地局が割り当てるRBは,必ずいずれかのサブバンドに属するから,構成要件4Fを充足する。また,本件モードにおいて,差分CQI「0」,「1」又は「2」を付したサブバンドを選択していると解釈する立場に立つと(解釈2の場合),基地局は,差分CQI「3」以外のサブバンドに属するRBを加入者に割り当てるのが通例であり,仮に,差分CQI「3」のサブバンドに 11 属するRBを併せて割り当てたとしても,その割り当て分は,本件発明4とは関係がない付加的な事項であって,被告通信システム方法は,構成要件4Fの充足性を左右しない。
差分CQIが「3」のサブバンドに属するソース・ブロックのみを割り当てる場合は存在しておらず,差分CQIが「3」のサブバンドに属するリソース・ブロックを割り当てることがあるとしても,同時に差分CQIが「0」,「1」又は「2」のサブバンドに属するリソース・ブロックを割り当てているから,被告通信システム方法は,構成要件4Fを充足する。
(2) 争点(1-2)(被告製品が本件発明4の課題解決に不可欠なものであり,被告は,本件発明4が特許発明であること及び被告製品が同発明の実施に用いられることを知りながら,被告製品を販売したか。)について 被告製品は,本件発明4の使用に用いるものであり,本件発明4による課題の解決に不可欠なものである。被告は,本件発明4が特許発明であること及び被告製品が同発明の実施に用いられることを知りながら,業として,被告製品の販売をしたから,特許法101条5号により本件特許権を侵害したものとみなされる。
(被告の主張) (1) 争点(1-1)(被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属するか。)について ア 構成要件4Bの「複数のクラスタで構成された複数のグループ」の意義について 構成要件4Bにおける「グループ」とは,各加入者が各クラスタのチャネル情報を送信することを前提として複数のクラスタを束ねたものであって,かつ,グループインデクスにより特定される複数のクラスタの束を意味すると解される。
本件モードにおけるサブバンドは,サブバンドを特定するグループインデクスが存在しないから,「複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグループ」には該当せず,被告通信システム方法は,構成要件4Bを充足しない。
12 イ 構成要件4Cの「加入者による選択の表示」の意義について (ア) 特許請求の範囲の文言上,「選択の表示」と「フィードバック情報」とが別の種類の情報として記載されている。本件明細書には,段落【0070】に「フィードバック情報」を受信するとの開示があり,それとは別に「選択の表示」を受信することの記載はないものの,同じ情報が「選択の表示」と「フィードバック情報」を兼ねてもよいとの記載がない以上,「選択の表示」と「フィードバック情報」とは,別の種類の情報でなければならない。本件モードにおいて,加入者が送信するのは,全サブバンドの差分CQIとワイドバンドCQIであるところ,差分CQIが「選択の表示」と「フィードバック情報」の両方に含まれると解することはできない。
(イ) 本件モードでは,差分CQIを,常に,その数値の如何に関わりなく全て報告するから,本件発明4のように,加入者が使用に望ましいと考えるものが選び出されているとはいえず,「加入者による選択」がなされていない。本件発明4が,@加入者情報を更新するための帯域幅コストの削減とA統合最適化のための計算費用の削減の両方を技術的課題とし,その解決手段として,「加入者による選択」を定めていることからすれば,構成要件4Cの「加入者による選択」には加入者が全部のクラスタグループを選ぶことは含まれないと解される。
本件モードにおいては,差分CQIが「3」の値を有するサブバンドについても,差分CQIが「0」,「1」,「2」の値を有するサブバンドと同様に,常にユーザ端末から基地局に報告されていることからすれば,差分CQIが「0」,「1」,「2」の値については選択の表示であり,差分CQIが「3」の値については非選択の表示であると評価することはできないから,被告通信システム方法は,構成要件4Cを充足しない。
構成要件4Dの「フィードバック情報」の意義について (ア) 被告通信システム方法において,ユーザ端末から基地局に対して,差分CQI以外に別途「サブバンドCQIの情報」が送信されることはなく,基地局が受信 13 するのは差分CQIのみである。原告の主張は,「0」,「1」,「2」という差分CQIの値が,「選択の表示」と「フィードバック情報」のいずれにも対応することになるが,「選択の表示」と「フィードバック情報」とはそれぞれ別の種類の情報であることを前提とするから,「0」,「1」,「2」という差分CQIの値が,同時に,「選択の表示」及び「フィードバック情報」に該当することはありえず,被告通信システム方法は,構成要件4Dを充足しない。
(イ) 本件発明4は,最終的には基地局によりクラスタ(クラスタグループではない)の選択・割当てがなされるものであるところ(構成要件4F),基地局がクラスタグループ内のどのクラスタを選択し,割り当てるかについて判断するためには,各クラスタの情報が必要であるから,「フィードバック情報」には,基地局による割当の対象となる各「サブキャリアのクラスタ」の情報が含まれていなければならない。また,加入者から基地局に対して送信される情報に,加入者が選択していないクラスタグループの情報が含まれている場合には,加入者情報を更新するための帯域幅コストの削減が実現できないから,かかる情報は,「フィードバック情報」には該当しない。さらに,本件モードにおける差分CQIは,原告がクラスタに対応すると主張しているRBの情報ではなく,選択されていないサブバンドの差分CQI「3」も常に送信されるから,かかる差分CQIは「フィードバック情報」に該当しない。
(ウ) また,フィードバック情報として,指標化されたSINRを使用することができるとしても,「SINRレベルに対するインデクス」と評価できるものでなければならない。本件モードにおける差分CQIは,SINRをCQIに指標化したものをさらにワイドバンドCQIとの比較により4つに類型化したものであって,SINRの復元は不可能であるから,「SINRレベルに対するインデクス」であると評価することはできず,「フィードバック情報」に該当せず,被告通信システム方法は,構成要件4Dの「フィードバック情報」を充足しない。
14 エ 構成要件4Eの「ソース符号化技法」の意義について 「ソース符号化技法」とは,「ソース」(情報源)の出力に含まれている冗長さを除き,含まれている情報を(ほとんど)損なうことなしに見かけ上のデータ量を減らすことをいい,具体的には,本件明細書の段落【0076】に記載された差分エンコーディングがこれに該当する。本件モードにおける差分CQIについて,ワイドバンドCQIとの比較による類型化は,差分エンコーディングとは異質なものであって,実際のCQIないしSINRがいかなる値であったかを復元することが不可能であるから,「ソース(情報源)の出力に含まれている冗長さを除き,含まれている情報を(ほとんど)損なうことなしに見かけ上のデータ量を減らすこと」に該当しない。被告通信システム方法において,サブバンドCQIをワイドバンドCQIとの比較により4つに区分し,差分CQIとすることは,「ソース符号化技法」には該当せず,被告通信システム方法は,構成要件4E「ソース符号化技法」を充足しない。
構成要件4Fの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」の意義について (ア) 基地局は,加入者が選択したクラスタグループの中のクラスタを割り当てなければならず,加入者が選択していないクラスタグループ内のクラスタを割り当てることがあってはならないと解される。
被告通信システム方法は,ユーザ端末が,差分CQIを「3」として基地局に送信したサブバンドであっても,当該サブバンド内のRBがユーザ端末に割り当てられることがありうる。その場合には,ユーザ端末が「選択」していないサブバンド内のRBが割り当てられることになるから,構成要件4Fを充足しない。
(イ) 被告が原告同様の測定を行った結果(乙 10。以下「被告測定結果」という。)に示されたとおり,ユーザ端末が差分CQIを「3」と報告したサブバンドに属するRBグループが当該ユーザ端末に割り当てられている例が,複数確認されている。したがって,差分CQIが「0」,「1」及び「2」であるサブバンド 15 が選択されたと評価することはできない。
(2) 争点(1-2)(被告製品が本件発明4の課題解決に不可欠なものであり,被告は,本件発明4が特許発明であること及び被告製品が同発明の実施に用いられることを知りながら,被告製品を販売したか。)について 否認ないし争う。
2 争点(2)(被告製品は本件発明9の技術的範囲に属するか。)について (原告の主張) (1) 構成要件9Aのうち,「複数のクラスタで構成された複数のグループ」の意義については,上記1の (原告の主張) の(1)のアにおいて,構成要件4Bの「複数のクラスタで構成された複数のグループ」の意義について述べたのと同様である。
また,構成要件9Aのうち,「加入者による選択の表示」の意義については,上記1の (原告の主張)の (1)のイにおいて,構成要件4Cの「加入者による選択の表示」の意義について述べたのと同様である。
(2) 構成要件9Bの「フィードバック情報」の意義については, 上記1の(原告の主張)の(1)のウにおいて,構成要件4Dの「フィードバック情報」の意義について述べたのと同様である。
(3) 構成要件9Dの「ソース符号化技法」の意義については,上記1の(原告の主張)の(1)のエにおいて,構成要件4Eの「ソース符号化技法」の意義について述べたのと同様である。
(4) 構成要件9Eの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」は,上記1の(原告の主張)の(1)のオにおいて,構成要件4Fの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」の意義について述べたのと同様である。
(5) 以上より,被告製品は,構成要件9A,B,D及びEを充足する。
16 (被告の主張) (1) 構成要件9Aのうち,「複数のクラスタで構成された複数のグループ」の意義については,上記1の(被告の主張)の(1)のアにおいて,構成要件4Bの「複数のクラスタで構成された複数のグループ」の意義について述べたのと同様である。
また,構成要件9Aのうち,「加入者による選択の表示」の意義については,上記1の(被告の主張)の(1)のイにおいて,構成要件4Cの「加入者による選択の表示」の意義について述べたのと同様である。
(2) 構成要件9Bの「フィードバック情報」の意義については,上記 1の(被告の主張)の(1)のウにおいて,構成要件4Dの「フィードバック情報」の意義について述べたのと同様である。
(3) 構成要件9Dの「ソース符号化技法」の意義については,上記1の(被告の主張)の(1)のエにおいて,構成要件4Eの「ソース符号化技法」の意義について述べたのと同様である。
(4) 構成要件9Eの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」は,上記1の(被告の主張)の(1)のオにおいて,構成要件4Fの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」の意義について述べたのと同様である。
(5) 以上より,被告製品は,構成要件9A,B,D及びEを充足しない。
3 争点(3)(本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について (被告の主張) (1) 本件発明4は,1998年8月13日に国際公開された国際公開WO98/35463号(乙6)に記載された発明(以下「乙6発明」という。 )と同一であるか,少なくとも乙6発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって,本件発明4は新規性又は進歩性を欠くものであり,本件発 17 明4についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。
また,本件発明9は,方法発明である本件発明4を「装置」として表現し,「直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバ」を備えるとの限定を付したものに相当するところ,「トランシーバ」とは「送受信機」のことであり,乙6発明も,直交周波数分割多重(OFDMA)を行うものであって,「直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバ」を備えていることが明らかであるから,本件発明9は,本件発明4と同じ理由により,乙6発明と実質的に同一であるか,少なくとも乙6発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって,本件発明9は新規性又は進歩性を欠くものであり,本件発明9についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。
(2) 本件発明4は,2000年7月にIEEE(米国電気電子学会)によって発行されたChuang及びSollenberger著「Beyond 3G: Wideband Wireless Data AccessBased on OFDM and Dynamic Packet Assignment 」 ( 乙 8 。 同 7 8 頁 左 欄「Abstract」の節の17〜32行,同頁左欄「Introduction」の節の79頁左欄36 〜 58 行 , 8 0 頁 左 欄 「 PHYSICAL AND MAC LAYER TECHNIQUES AND DEPLOYMENTSCENARIOS」の節の同頁左欄30〜39行,同頁右欄17〜21行,81頁左欄21〜24行,同頁右欄12〜17行,同欄30〜42行)に記載された発明(以下「乙8発明」という。)及び1999年にIEEE(米国電気電子学会)によっ て 発 行 さ れ た Ye Li 及 び Sollenberger 著 「 Clustered OFDM with ChannelEstimation for High Rate Wireless Data 」 ( 乙 9 。 同 4 3 頁 左 欄「T.INTRODUCTION」の節の18〜30行,同頁右欄,「 U.CLUSTERED OFDM FORWIDEBAND MOBILE WIRELESS SYSTEMS 」の節の下から14行目〜末行,44頁左欄Fig.1,及び同欄15〜26行)に記載された発明(以下「乙9発明」という。)に開示されたグループ化の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって,本件発明4は進歩性を欠くものであり,本件発明4についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。
18 また,本件発明9は,方法発明である本件発明4を「装置」として表現し,「直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバ」を備えるとの限定を付したものに相当するところ,「トランシーバ」とは「送受信機」のことであり,乙8発明も,直交周波数分割多重(OFDMA)を行うものであるから,「直交周波数分割多重(OFDMA)トランシーバ」を備えていることが明らかであるから,本件発明9は,本件発明4と同じ理由により,乙8発明及び乙9発明に開示されたグループ化技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって,本件発明9は進歩性を欠くものであり,本件発明9についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。
(原告の主張) 否認ないし争う。
乙6発明は,本件各発明の各構成要件に対応する構成をいずれも開示していないから,本件各発明と同一ではなく,また,乙6発明から本件各発明に至ることは容易想到とはいえない。さらに,乙8発明は,本件各発明とは技術思想が異なり,乙9発明を乙8発明に組み合わせる必要も動機もないし,仮に,乙8発明に乙9発明を組み合わせたとしても,本件各発明に至ることはない。
4 争点(4)(原告の損害額)について (原告の主張) 本件特許の設定登録後,本件訴訟の提起に至るまでの被告製品の販売台数は3万5000台を下ることはないから,原告の損害額は,特許法102条3項に基づき算定される実施料相当額18億円を下ることはない。原告は,本訴において,明示的一部請求として,上記原告が受けた損害のうち1億円の損害の賠償を請求する。
(被告の主張) 否認ないし争う。
19
当裁判所の判断
1 要旨 原告は,被告通信システム方法の構成要件4Cの充足性,並びに被告製品の構成要件4F,同9A及び同9Eの充足性につき,解釈1及び2を主張して,いずれの解釈によっても,これが認められる旨主張する。
しかし,被告通信システム方法は,解釈1を採用すると,少なくとも構成要件4Cを充足せず,解釈2を採用すると,少なくとも構成要件4Fを充足しないから,いずれの解釈によっても,被告通信システム方法は本件発明4の技術的範囲に属するとは認められない。また,被告製品は,解釈1を採用すると,少なくとも構成要件9Aを充足せず,解釈2を採用すると,少なくとも構成要件9Eを充足しないから,いずれの解釈によっても,被告製品は本件発明9の技術的範囲に属するとは認められない。
その理由は,以下のとおりである。
2 検討 (1) 本件明細書には以下の記載がある(甲2の1及び2の2)。
ア 【技術分野】 「・・・本発明は,無線通信の分野に関し,より厳密には,本発明は,直交周波数分割多重化(OFDM)を使っている多重セル多重加入者無線システムに関する。」(本件明細書・段落【0001】) イ 【発明が解決しようとする課題】 「OFDMAに関してサブキャリア割当を行うという1つのアプローチは,統合最適化オペレーションであるが,これは,全セル内の全加入者の行動とチャネルに関する知識が必要なばかりでなく,現在の加入者がネットワークを抜けたり新しい加入者がネットワークに加わったりした場合,その度毎に周波数の再調整が必要になる。これは,主に,加入者情報を更新するための帯域幅コストと統合最適化のための計算費用のせいで,実際の無線システムでは非実用的である場合が多い。」 20 (同段落【0006】)。
ウ 【課題を解決するための手段】 「システムのためにサブキャリアを選択する方法及び装置について説明する。或る実施形態では,直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を採用しているシステムのためのサブキャリア選択の方法は,複数のサブキャリアを,少なくとも1つのサブキャリアのクラスタから成る複数のグループに分割する段階と,加入者による,前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの選択の表示を受信する段階と,加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを,加入者との通信に使用するために割り当てる段階と,で構成されている。」(同段落【0007】) エ 【発明を実施するための最良の形態】 (ア) 「ダウンリンクチャネルに関しては,各加入者は最初に全てのサブキャリアについてチャネルと干渉の情報を測定し,性能の良い(例えば,信号対干渉+ノイズ比(signal-to-interference plus noise ratio)(SINR)が高い)複数のサブキャリアを選択して,それら候補サブキャリアに関する情報を基地局にフィードバックする。(以下略)」(同段落【0010】) (イ) 「加入者からこの情報を受信すると,基地局は,基地局で入手可能な追加情報(中略)を利用して,候補の中からサブキャリアを更に選択する。(以下略)」(同段落【0011】) (ウ) 「図1Aは,サブキャリア101のような複数のサブキャリアとクラスタ102を示している。クラスタ102のようなクラスタは,図1Aに示すように,少なくとも1つの物理的サブキャリアを保有している論理ユニットとして定義される。
(以下略)」(同段落【0023】) (エ) 「代表的サブキャリア/クラスタ割当手続き 図1Bは,加入者へのクラスタ割当のプロセスの或る実施形態を示すフロー図である。 ( 以下略)」(同段落【0024】),「図1Bに示すように,各基地局は,そのセル(又はセクター) 21 内の各加入者にパイロットOFDM記号を周期的に同報通信する(処理ブロック101)。(以下略)」(同段落【0025】),「次に,各加入者は,継続的にパイロット記号の受信をモニターし,セル間干渉及びセル内トラフィックを含め,各クラスタのSINR及び/又は他のパラメータを測定する(処理ブロック102)。
この情報に基づいて,各加入者は,相対的に性能が良好な(中略)1つ又は複数のクラスタを選択して,これらの候補クラスタに関する情報を所定のアップリンクアクセスチャネルを通して基地局にフィードバックする(処理ブロック103)。
(中略)各加入者は,他よりも相対的に性能が良好なクラスタを選択する。この選択により,各加入者は測定されたパラメータに基づいて使用が望ましいと思われるクラスタを選択することになる。」(同段落【0026】),「或る実施形態では,各加入者は各サブキャリアクラスタのSINRを測定して,それらSINR測定値をアクセスチャネルを通して基地局に報告する。SINR値は,クラスタ内の各サブキャリアのSINR値の平均を含んでいる。代わりに,クラスタのSINR値は,クラスタ内のサブキャリアのSINR値中最悪のSINRであってもよい。更に別の実施形態では,クラスタ内のサブキャリアのSINR値の加重平均を使用して,クラスタに関するSINRを生成している。これは,サブキャリアに適用される重み付けが異なるダイバーシティクラスタで特に有用である。」(同段落【0027】),「各加入者から基地局への情報のフィードバックは,各クラスタのSINR値を含んでおり,加入者が使用を望む符号化/変調速度も示している。フィードバック内の情報の順序を基地局が知っている限り,フィードバック内のどのSINR値がどのクラスタに対応しているかを示すためにクラスタインデクスが必要になることはない。」(同段落【0028】),「加入者からフィードバックを受信すると,基地局は,次に,候補の中から加入者用に1つ又は複数のクラスタを選択する(処理ブロック104)。(以下略)」(同段落【0029】),「クラスタ選択の後,基地局は,ダウンリンク共通制御チャネルを通して,又は加入者への接続が既に設定されている場合には専用のダウンリンクトラフィックチャネルを通して, 22 クラスタ割当について加入者に通知する(処理ブロック105)。(以下略)」(同段落【0030】) (オ) 「パイロット記号及びSINR測定 或る実施形態では,各基地局は,パイロット記号を同時に送信し,各パイロット記号は図2A-Cに示すようにOFDM周波数帯域幅全体を占めている。(以下略)」(同段落【0038】),「加入者は,パイロット記号からクラスタ毎のSINRを評価する。或る実施形態では,加入者は,最初に,干渉又はノイズが無いものとして,振幅及び位相を含め,チャネル応答を評価する。チャネルの評価が済むと,加入者は,受信信号から干渉/ノイズを計算する。」(同段落【0039】),「評価されたSINR値は,大きいものから順に並べられ,SINR値の大きいクラスタが選択される。(中略)或る実施形態では,加入者は,常にできるだけ多くのクラスタに関する情報を送ろうと務め,そこから基地局が選択する。」(同段落【0040】) (カ) 「・・・加入者の目的は,加入者が使用したいと思うクラスタについて基地局に表示を提供することである。理想的には,加入者による選択の結果は,チャネルゲインが高く,他のセルからの干渉が低く,利用可能性が高いクラスタということになる。加入者は,その結果を含んでいるフィードバック情報を提供し,所望のクラスタを,順番に又はここに記載していない方法でリスト表示する。」(同段落【0046】) (キ) 「図3は,加入者処理の或る実施形態を示している。(以下略)」(同段落【0047】),(図3における)「クラスタの順序付け及び速度予測処理ブロック303は,チャネル/干渉評価処理ブロック301並びにトラフィック/干渉分析処理ブロック302の出力に連結され,速度予測と共にクラスタの順序付けと選択を行なう。」(同段落【0049】),「クラスタ順序付け処理ブロック303の出力は,クラスタリクエスト処理ブロック304に入力されるが,これはクラスタと変調/符号化速度を要求する。これら選択の表示は基地局に送られる。或る実施形態では,各クラスタのSINRは,アクセスチャネルを通して基地局に報告される。
23 クラスタ選択にこの情報を使って,クラスタが厳しいセル内トラフィックローディングに陥ったり,及び/又は他のセルからの激しい干渉を受けたりするのを回避する。即ち,新しい加入者は,厳しいセル内トラフィックローディングが或る特定のクラスタに関し既に存在する場合,当該クラスタの使用を割り当てられることはない。また,干渉が激しくてSINRが低く,低速送信しかできないか又は信頼性の高い送信が全くできないような場合には ,そのクラスタは割り当てられない。」(同段落【0050】),「処理ブロック301と302からの干渉情報を使って,加入者は,望ましいクラスタを選択する。或る実施形態では,処理ブロック303を使って,加入者はクラスタを順序付けし,そのようなクラスタを使って利用可能となるはずのデータ速度を予測する。予測されたデータ速度情報は,事前に計算されたデータ速度値を載せたルックアップ表から入手することができる。このようなルックアップ表は,各SINRとそれに対応付けられた望ましい送信速度の対を記憶している。この情報に基づいて,加入者は,所定の性能基準に基づき使用を希望するクラスタを選択する。クラスタの順位リストを使って,加入者は,加入者が知っている符号化及び変調速度と共に所望のクラスタを要求して,所望のデータ速度を実現する。」(同段落【0052】) (ク) 「基地局からパイロット信号を受信した後,加入者は1つ又は複数のクラスタグループに関するチャネル情報を同時に又は順次返送する。或る実施形態では,グループの幾つかに関する情報しか基地局には返送されない。(以下略)」(同段落【0069】) (ケ) 「或る実施形態では,加入者は,最初に,全体性能が最良のグループを選択し,そのグループのクラスタのSINR情報をフィードバックする。加入者は,グループを,SINRが事前に定義された閾値より高いクラスタの番号に基づいて順序付けする。グループ内の全てのクラスタのSINRを送信することにより,全てのクラスタインデクスではなく,グループのインデクスだけを送信すればよくなる。
このように,各グループのフィードバックは,一般的には2種類の情報,即ち,グ 24 ループインデクス及び当該グループ内の各クラスタのSINR値を保有している。
(以下略)」(同段落【0070】) (2) 上記(1)の記載によれば,本件明細書には,直交周波数分割多重化(OFDM)を用いた多重セル多重加入者無線システムにおいて,個々の加入者へのサブキャリアの割当てを適切に行うことを目的とするものであるが,その手段の一つである統合最適化オペレーションでは,全てのセル内の全ての加入者の行動とチャネルに関する知識が必要であり,加入者の転出入ごとに周波数の再調整が必要になるなど,主に加入者情報の更新のための帯域幅コストと統合最適化の計算費用の点から非実用的であることから,@複数のサブキャリアを少なくとも一つのサブキャリアのクラスタから成る複数のグループに分割する段階と,A加入者による複数のグループの中の一つ又は複数のグループの選択の表示を受信する段階と,B加入者が選択した一つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも一つのクラスタを加入者との通信に使用するために割り当てる段階とで構成した発明が開示されているということができる。
このことからすれば,本件各発明は,いずれも,加入者が一つ又は複数のクラスタのグループを選択した表示を基地局が受信することにより,基地局が受信する情報量を少なくし,加入者が選択することで基地局の負荷を分散させて,基地局による加入者への選択・割当ての負担を軽減し,適切なクラスタ割当てを実現することをその特徴の一つとするものであると解される。
(3) 以上を前提として,被告通信システム方法が本件発明4の技術的範囲に属するか否か,また,被告製品が本件発明9の技術的範囲に属するか否かについて検討する(なお,本件発明4は通信システムの方法に関する発明であり,本件発明9は,同通信システム方法に利用されている装置の発明であるが,以下では,便宜上,本件発明4及び同9を併せて検討する。)。
ア 解釈1を採用した場合に,被告通信システム方法が構成要件4Cを充足するか,また,被告製品が構成要件9Aを充足するかについて 25 (ア) 構成要件4Cは「前記複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示を受信する段階と,」というものであり,構成要件9Aは「複数のサブキャリアから成る複数のクラスタで構成された複数のグループの中の1つ又は複数のグループの加入者による選択の表示と,」というものである。
一方,原告は,被告通信システム方法は,別紙被告製品が用いられる通信システム方法の構成の特徴4c(その1)のとおり,「基地局は,非周期的なCQIレポートである高次階層設定サブバンドフィードバックモード(モード3-0又はモード3-1)において,各サブバンドの品質に関する情報として,ユーザ端末から,ワイドバンドCQI及び前記N個全てのサブバンドについて,各サブバンドのCQIとワイドバンドCQIとの差分に対応づけられたN個の差分CQIを受信する段階を有する。」という構成の特徴を有し,被告製品は,別紙被告製品の構成の特徴9a(その1)のとおり,「非周期的なCQIレポートである高次階層設定サブバンドフィードバックモード(モード3-0又はモード3-1)において,全N個の各サブバンドの品質に関する情報として,ユーザ端末から,ワイドバンドCQI及び前記N個全てのサブバンドについて,各サブバンドのCQIとワイドバンドCQIとの差分に対応づけられたN個の差分CQIを受信するリソース・ブロック割り当て制御装置を備える。」という構成の特徴を有すると主張するものであるところ,基地局がユーザ端末に対して本件モードを選択して非周期的CQI報告をさせることを指示すると,この指示は,全部のサブバンドについて差分CQIを報告することを指示するものであるから,ユーザ端末はこれに基づいて,全部のサブバンドを選択して差分CQIを報告するというものである。
そうすると,ユーザ端末は,基地局の指示に基づいて常に全部のサブバンドについての情報を報告するのであるから,ユーザ端末が何らかの「選択」(えらぶこと。
適当なものをえらびだすこと。良いものをとり,悪いものをすてること。[広辞苑第六版・乙3])をしているということはできない。このことは,本件明細書の段落【0026】等に記載されている実施形態等において,加入者が望ましい候補を 26 選び出し望ましくない候補を外すことを「選択」と表現していることに照らしても明らかである。
(イ) この点,原告は,情報処理技術分野における用語法などからすれば,「選択」には全てを選択することが含まれると主張し,ユーザ端末が全部のサブバンドを選択することもこれに該当する旨主張する。
しかし,仮に,本件各発明に関連する技術分野において「選択」との文言が上記のように用いられることがあるとしても,加入者が全部のサブバンドの差分CQIを報告する以外の選択肢がなく,常に全部のサブバンドの差分CQIを報告しなければならない状態についてまで,「選択」の語義に含まれると解するのは妥当でない。前記前提事実に記載のとおり,被告通信システム方法及び被告製品においては,基地局により本件モードを選択している以上,加入者は,基地局からのパイロット信号に対し,全てのサブバンドの差分CQIを報告する以外に選択の余地はないのであるから,原告の上記解釈は採用することができない。
また,原告は,本件明細書の段落【0028】,【0040】,【0069】には,全部のクラスタが選択されることを包含する内容の記載があること,実質的にも,全部のサブバンドを選択してフィードバックした方がかえってフィードバック情報量を削減できるといえることなども主張するが,原告が掲げた本件明細書の上記各段落の記載によっても,常に全部のクラスタについての情報を「選択」するという実施形態は明示されていない。なお,本件明細書の段落【0028】には,「フィードバック内の情報の順序を基地局が知っている限り,フィードバック内のどのSINR値がどのクラスタに対応しているかを示すためにクラスタインデクスが必要になることはない。」としか記載されていないから,仮に,この実施形態が全部のクラスタについての情報をフィードバックする実施形態を含むとしても,このようなフィードバックの形態と加入者による「選択」との関係が不明であり,少なくとも,常に全部のクラスタについての情報を報告する態様を「加入者による選択」の一形態として含むことについて,本件明細書に明確な記載はないものという 27 べきである。かえって,原告の主張する解釈1を採用すると,本件発明4の課題解決のための一つの構成として規定された構成要件4F,あるいは本件発明9の課題解決のための一つの構成として規定された構成要件9Eにおける「前記加入者が選択した・・・クラスタのグループの中の・・・クラスタを・・・割り当てる」との意義が失われるというべきで,上記の解釈1は妥当でないと言わざるを得ない。
また,原告は,全部のクラスタグループを選択することと,帯域幅コストの削減及び統合最適化の計算費用の削減を両立させることは可能である,全部のサブバンドを選択してフィードバックした方がかえってフィードバック情報量を削減できる場合があるなどとも主張する。しかし,本件モードにおいて,常に全部のサブバンドを選択すると,帯域幅の削減及び統合最適化の計算費用の削減がどのように実現されるかについては明確でなく,仮に,そのような場合があり得るとしても,それは,一つ又は複数のグループの加入者による選択の表示を基地局が受信することにより基地局の負担の軽減を図ることを特徴とした本件各発明の企図とは別の課題解決の方法というべきで,原告の主張は採用することができない。
(ウ) したがって,原告の主張する解釈1を採用すると,被告通信システム方法は少なくとも構成要件4Cを充足せず,また,被告製品は少なくとも9Aを充足しないというべきである。
イ 次に,原告の主張する解釈2を採用した場合に,被告通信システム方法が構成要件4Fを充足するか,また,被告製品が構成要件9Eを充足するかについて検討する。
(ア) 構成要件4Fは「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる段階と,から成ることを特徴とする方法。」というものであり,構成要件9Eは「前記クラスタ割当制御装置は,更に,前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタを前記加入者との通信に使用するために割り当てる,前記クラスタ割当制御装置と,」というものである。
28 そして,本件明細書の段落【0006】,【0007】,【0011】,【0029】,【0040】等の記載内容からすれば,前述のとおり,本件各発明は,基地局が全セル内の全加入者の行動とチャネルに関する知識を必要とする統合最適化オペレーションは非実用的である場合が多いため,加入者が選択した候補クラスタグループのクラスタの中から基地局がクラスタを選択して割り当てることによって,基地局による選択・割当ての負担を軽減し,基地局が受信する情報量を少なくして,加入者が選択することで基地局の負荷を分散させ,基地局による適切なクラスタ割当てを実現することをその特徴の一つとするものであると解される。したがって,構成要件4F,あるいは構成要件9Eの「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」との文言は,基地局において,加入者が選択した候補クラスタグループの中のクラスタのみを割り当てることを意味すると解すべきであって,加入者が選択していないクラスタグループ内のクラスタを基地局が割り当てることは,基地局の負担を増大させると共に,加入者がクラスタグループを選択することの意味を失わせるものであり,基地局による選択・割当ての負担を軽減し負荷を分散させるという本件各発明の特徴に反するから,加入者が選択していないクラスタグループ内のクラスタを基地局が割り当てることは,構成要件4F,あるいは構成要件9Eの範囲に含まれないと解すべきである。
一方,原告は,被告通信システム方法は,別紙被告製品が用いられる通信システム方法の構成の特徴4fのとおり,「基地局は,ユーザ端末が選択した複数のサブバンドを構成する1つ又は複数のリソース・ブロックを,ユーザ端末との通信に使用するために割り当てる段階を有する,」という構成の特徴を有し,被告製品は,別紙被告製品の構成の特徴9eのとおり,「基地局は,ユーザ端末が選択した1つ又は複数のサブバンドを構成する1つ又は複数のリソース・ブロックを,ユーザ端末との通信に使用するために割り当てるリソース・ブロックの割当制御機能を有する装置を備える。」との構成の特徴を有すると主張するものであるところ,被告製 29 品を用いた被告通信システム方法の計測結果によれば,本件モードにおいて,ユーザ端末が,基地局に対し,ワイドバンドCQIを一種のいき値として,サブバンドCQIとの差分を「0」,「1」,「2」,「3」の4通りに分類し,差分値としてフィードバックしている。これに対し,基地局は,ユーザ端末からフィードバックされた差分CQI「0」,「1」,「2」,「3」の中から,「0」,「1」又は「2」と報告されたサブバンドを構成する少なくとも1つのリソース・ブロックを割り当てているものもあれば(甲14,16ないし28),差分CQIが「3」と報告されたサブバンドを構成するリソース・ブロックを割り当てているものもある(乙10)ことが認められる。
(イ) 原告は,本件モードでは,ユーザ端末は,サブバンドCQIがワイドバンドCQI以上であるサブバンドを,差分CQI「0」,「1」,「2」を付して順位付けしてこれを選択し,非選択のサブバンドに差分CQI「3」を付して全部のサブバンドの差分CQIを送信することにより,個別のサブバンドを特定する表示を省略して情報量を低減化し,基地局はユーザ端末に対して差分CQI「0」,「1」,「2」のサブバンドを構成する少なくとも1つのリソース・ブロックを割り当てる旨主張し,また,差分CQIが「3」のサブバンドに属するソース・ブロックのみを割り当てる場合は存在しておらず,差分CQIが「3」のサブバンドに属するリソース・ブロックを割り当てることがあるとしても,同時に差分CQIが「0」,「1」又は「2」のサブバンドに属するリソース・ブロックを割り当てているから,「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタグループの中の少なくとも1つのクラスタを・・・割り当てる」ことに相当する旨主張する。
しかしながら,本件各発明は,加入者が割り当てを希望するクラスタの候補を選択して,基地局にこれをフィードバックし,基地局は,加入者が選択した候補の中からクラスタを加入者に割り当てることにより,基地局の負担を軽減し,適切なクラスタの割当てを実現しようとするものであって(本件明細書の段落【0022】以降参照),原告の主張する解釈2のとおり,ユーザ端末が差分CQI「0」, 30 「1」,「2」を「選択」し,差分CQI「3」を非選択としたと解するのであれば,基地局が,ユーザ端末に対して差分CQI「3」のサブバンドに属するリソース・ブロックを割り当てることは,前記(2)の本件各発明の特徴に反する。また,そもそも,本件モードにおいて,基地局のユーザ端末に対する割り当てについて,加入者が選択した差分CQI「0」,「1」,「2」のサブバンドを構成する少なくとも1つのリソース・ブロックを割り当てるものとして構成されているとも認められないし(弁論の全趣旨),基地局がユーザ端末に対して常に差分CQI「0」,「1」,「2」のサブバンドを構成する少なくとも1つのリソース・ブロックを割り当てている被告製品の計測結果(甲14など)はある特定の時点・基地局における割当て結果の例を示したものにすぎない。
したがって,原告が主張する解釈2を採用したとしても,差分CQI「3」として,ユーザ端末が非選択としたサブバンドにリソース・ブロックを割り当てることがある被告通信システム方法は構成要件4Fを充足せず,被告製品は構成要件9Eを充足しないものというべきである。
この点,原告は,構成要件4F,あるいは構成要件9Eにおいて,「前記加入者が選択した1つ又は複数のクラスタのグループの中の少なくとも1つのクラスタ『のみ』を・・・割り当てる」との記載になっていない,本件明細書において,加入者に対するサブキャリアの割当ては基地局が総合的判断のもとで最終決定をすることが記載されているなどと主張する。しかし,原告の主張のとおり,加入者が選択したクラスタ以外にも割り当てることになるとすれば,前記(2)の本件各発明の特徴に反するから,原告の主張は採用することができない。
(ウ) したがって,原告の主張する解釈2を採用すると,被告通信システム方法は,少なくとも構成要件4Fを充足せず,また,被告製品は少なくとも構成要件9Eを充足しないものというべきである。
3 まとめ 以上のとおり,被告通信システム方法は,構成要件4C又は同4Fを充足せず, 31 本件発明4の技術的範囲に属すると認められないし,被告製品は,構成要件9A又は同9Eを充足せず,本件発明9の技術的範囲に属するとは認められないから,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,すべて理由がない。
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官 鈴木千帆
裁判官 笹本哲朗
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