• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 訂正2014-390173
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 26年 (ワ) 1690号 特許権侵害差止等請求事件

原告日鉄住金鋼板株式会社
同訴訟代理人弁護士 平野和宏
同訴訟代理人弁理士 西川惠清
同 時岡恭平
同 小川稚加美
同 補佐人弁理士木村豊
被告 三楽ルーフシステム株式会社
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2016/03/28
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,別紙被告製品目録記載1−1,1−2,4−1及び4−2の各製品を輸入し,使用し,譲渡し又は譲渡の申出(譲渡のための展示を含む。)をしてはならない。
2 被告は,別紙被告製品目録記載1−1,1−2,4−1及び4−2の各製品並びにその半製品(別紙被告製品説明書2記載の構成を具備するが製品として完成するに至らないもの)を廃棄せよ。
3 被告は,原告に対し,7370万9039円及びこれに対する平成26年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
15 この判決は,第1項及び第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
主文第1項ないし第3項と同旨
事案の概要
1 本件は,発明の名称を「建築用パネル」とする特許第2898893号に係る特許権(以下「本件特許権1」といい,その特許を「本件特許1」という。また,その願書に添付した明細書及び図面 〔別紙特許第2898893号公報(甲2)参照〕を併せて「本件明細書1」という。 )及び発明の名称を「壁パネルの下端部の支持構造」とする特許第3455669号に係る特許権(以下「本件特許権2」といい,その特許を「本件特許2」という。また,その願書に添付した明細書〔訂正審判事件(訂正2014-390173)の平成26年12月18日付け審決(平成27年1月6日確定)により訂正されたもの。別紙訂正明細書(甲37の1の別紙)参照〕及び図面〔別紙特許第3455669号公報(甲4)参照〕を併せて「本件明細書2」という。 なお,本件特許1及び同2はいずれも平成15年6月30日以前にされた出願に係るものであるから,本件特許1及び同2に係る明細書は,いずれも特許請求の範囲を含むものである〔平成14年法律第24号附則1条2号,3条1項,平成15年政令第214号〕。)を有する原告が,別紙被告製品目録記載の各製品(以下,同目録記載の番号〔請求の減縮があったため番号が連続していない。〕に従い「被告製品1-1」などといい,被告製品1-1,同1-2,同4-1及び同4-2を併せて単に「被告各製品」という。)は,本件明細書1の特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本件発明1」という。なお,特許が特許無効審判により無効とされるべきものと認められるか否かは,請求項ごとに判断されるべきことに鑑み,以下,本件特許1のうち本件発明1に係る特許を「本件発明1についての特許」ということがあ 2 る。)の技術的範囲に属するから,被告が被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出(譲渡のための展示を含む。以下同じ。)をする行為は本件特許権1を侵害する行為であり,さらに,被告各製品を使用して生産される壁パネルの下端部の支持構造(以下「被告支持構造」という。)は,本件明細書2の特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本件発明2」という。また,本件特許2のうち本件発明2に係る特許を「本件発明2についての特許」ということがある。)の技術的範囲に属するところ,(@) 被告が被告各製品を使用する行為は,本件特許権2を侵害する行為である,(A) 被告が被告各製品を輸入,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,被告各製品の購入者を道具として被告支持構造を実施するものとして本件特許権2を侵害する行為である,(B) 被告各製品は,被告支持構造の生産にのみ用いる物であるから,被告が被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害するものとみなされる(特許法101条1号),(C) 被告各製品は,被告支持構造の生産に用いる物であって本件発明2による課題の解決に不可欠なものであるから,被告が,本件発明2が特許発明であること及び被告各製品が本件発明2の実施に用いられることを知りながら被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害するものとみなされる(同条2号)と主張して,被告に対し,@本件特許権2の侵害を原因として,特許法100条1項に基づき,被告各製品の輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出の差止めを求めるとともに,A本件特許権2の侵害を原因として,同条2項に基づき,被告各製品及びその半製品の廃棄を求め,併せて,B特許権(本件特許権1及び同2)侵害不法行為による損害賠償請求権(ただし,侵害期間は,本件特許権1については平成23年1月1日から平成26年12月21日まで,本件特許権2については平成23年1月1日から平成27年4月20日までである。)に基づき,損害賠償金の一部である7370万9039円及びこれに対する平成26年1月23日(原告の主張に係る遅延損害金の起算日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた(なお,本件特許権1の侵害による損害賠償 3 請求と,本件特許権2の侵害による損害賠償請求とは,侵害期間並びに損害額及び遅延損害金が重複する範囲につき,選択的請求の関係にある。)事案である。
2 前提事実等(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等) (1) 当事者 ア 原告は,亜鉛めっき鋼板,アルミ・亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)の製造・販売,耐摩耗性鋼板,フッ素樹脂塗装鋼板,塩ビ鋼板等,各種塗装鋼板,表面処理鋼板の製造・販売,金属サンドイッチパネル建材(イソバンド,イソダッハ等)の製造・加工・販売,金属屋根,壁材成形品(エバールーフシリーズ等)の製造・加工・販売,建築物の設計,監理及び工事請負等を業とする株式会社である。
イ 被告は,屋根工事業,板金工事業,建築工事の設計,施工,監理業,防水工事業,建築用資材の販売,輸出入業,建築用資材の開発,設計,加工,製造業,不動産の売買,賃貸,管理並びに斡旋業等を業とする株式会社である。
(2) 本件特許権1及び同2 ア 原告は,次の内容の本件特許権1を有している。
登 録 番 号 特許第2898893号 発 明 の 名 称 建築用パネル 出 願 日 平成6年12月21日 登 録 日 平成11年3月12日 特 許 請求 の 範 囲 別紙特許第2898893号公報の 【特許請求の範囲】欄記載のとおり イ 原告は,次の内容の本件特許権2を有している。
登 録 番 号 特許第3455669号 発 明 の 名 称 壁パネルの下端部の支持構造 出 願 日 平成10年2月9日 4 登 録 日 平成15年7月25日 訂 正 審 決 日 平成26年12月18日 本件特許2については,上記のとおり,訂正審判事件(訂正2014-390173)の平成26年12月18日付け審決(平成27年1月6日確定)により訂正が認められており,同訂正の確定により,本件明細書2の特許請求の範囲が別紙訂正明細書の【特許請求の範囲】欄に記載のとおりのものとして,特許がされたものとみなされた(甲37の1・2,65,66)。
(3) 本件発明1及び同2 ア 本件発明1(本件明細書1の特許請求の範囲の請求項1記載の発明)を構成要件に分説すると,次のとおりである( 以下,分説に係る各構成要件を符号に対応して「構成要件1A」などという。)。
1A:金属薄板材からなる方形の表面材と裏面材との間に断熱用芯材を挟持した パネルであって, 1B:パネルの一端側には芯材端部より突出した雌型係合部が形成され,対向す る他端側には表裏両面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部に続く雄 型係合部が形成され,隣接するパネルと嵌合接続が可能とされた建築用パ ネルにおいて, 1C:この嵌合接続方向に直角な方向の表面材の両端部が芯材の側面に沿ってL 型に折り曲げられると共に,更にその先端が芯材厚みの中間部からパネル の表面方向と平行になるように再度L型に折り曲げられて,全体としてパ ネルの嵌合方向と直角方向の側面から表面材の先端が突出された接合部材 を有し, 1D:芯材の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面の表面材が内 側に屈曲して形成される屈曲段差部を,雄型係合部の屈曲段差部を設けた 位置のパネルの側面に形成してなる 1E:ことを特徴とする建築用パネル。
5 イ 本件発明2(本件明細書2の特許請求の範囲の請求項1記載の発明)を構成要件に分説すると,次のとおりである( 以下,分説に係る各構成要件を符号に対応して「構成要件2A」などという。)。
2A:壁パネルの上端部に嵌合凹部もしくは嵌合凸部の一方を形成するとともに 下端部に嵌合凹部もしくは嵌合凸部の他方を形成し,壁パネルの下端に下 位の壁パネルの上端部の表面部を覆う覆い片を垂下した壁パネルの下端部 の支持構造であって, 2B:スタータを,覆い片の背部の凹所に係入する係入片と,凹所よりもパネル 背方のパネル下端面を受ける受片と,受片より下方に垂下されて壁下地に 取付ける取付け片と,取付け片より前方に延出されて覆い片の下端と家屋 構造部との間に充填するコーキング剤をバックアップするバックアップ片 とで構成し, 2C:壁下地にスタータを取付け,スタータの受片にて壁パネルの下端部を支持 し, 2D:スタータのバックアップ片と家屋構造部との間にバックアップ材を装填し て成る 2E:ことを特徴とする壁パネルの下端部の支持構造。
(4) 被告の行為 被告は,遅くとも平成24年12月までに,被告製品1-1の輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出を開始した。
被告は,遅くとも平成23年10月までに,被告製品1-2の輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出を開始した。
被告は,少なくとも平成24年頃,被告製品4-1を輸入し,使用し,譲渡し,譲渡の申出をしていた。
被告は,遅くとも平成23年9月までに,被告製品4-2の輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出を開始した。
6 (5) 被告各製品の構成 被告各製品の構成(被告が,被告各製品の付属品として販売していることを認めているスタータの形状を含む。)を本件発明1及び同2の各構成要件と対比し易いように示すと,別紙被告製品説明書1及び同2に記載のとおりとなる(ただし,これらの記載のうち,下線部分の表現の当否には争いがあり,被告は,同1の「3.構成の説明」のうち「1d」の構成を被告各製品が有すること,同2の「3.構成の説明」のうち「2b」の「L字部8」が「凹所4」に「入る」こと,同「2b」の「シーリング23」が「覆い片3の下端とサッシ19又は水切り30との間」に充填するものであることを認めていない。)。
なお,被告は,被告各製品が本件発明1の構成要件1B,1C及び1Eを充足すること,並びに,被告各製品を使用して生産される壁パネルの下端部の支持構造(以下「被告支持構造」という。)が,本件発明2の構成要件2A,2C,2D及び2Eを充足することにつき,争っていない。
3 争点 (1) 被告各製品は本件発明1の技術的範囲に属するか(争点1) ア 被告各製品は構成要件1Aを充足するか(争点1-1) イ 被告各製品は構成要件1Dを充足するか(争点1-2) (2) 本件発明1についての特許は無効理由(記載要件違反)が存在するとして特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点2) (3) 被告支持構造は本件発明2の技術的範囲に属するか(争点3) (4) 被告が被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害し,又は侵害する行為とみなされるか(争点4) (5) 本件発明2についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものと認められるか(争点5) ア 無効理由1(記載要件違反)は認められるか(争点5-1) イ 無効理由2(乙第32号証を主引例とする進歩性欠如)は認められるか(争 7 点5-2) (6) 本件特許権1又は同2の侵害により原告が受けた損害の額(争点6) 4 争点に対する当事者の主張 (1) 争点1-1(被告各製品は構成要件1Aを充足するか)について 【原告の主張】 別紙被告製品説明書1のとおり,被告各製品は,カラーガルバリウム鋼板からなる方形の表面材10と裏面材20との間に,芯材30を挟持したパネルであるところ,同芯材30は,被告製品1-1及び同1-2においてはフェノールフォーム31と石膏ボード32からなり,被告製品4-1及び同4-2においてはフェノールフォーム31からなる。
ここで,カラーガルバリウム鋼板が「金属薄板材」であることは明らかであるし,フェノールフォームが断熱性を有することは争いがないから,被告製品4-1及び同4-2が構成要件1A(「金属薄板材からなる方形の表面材と裏面材との間に断熱用芯材を挟持したパネルであって,」)を充足することは明らかである。
また,前記のとおり,被告製品1-1及び同1-2においては,芯材30がフェノールフォーム31と石膏ボード32から構成されているが,フェノールフォーム31を有することから,同芯材30が,構成要件1Aにいう「断熱用芯材」に当たることは明らかである。この点について,被告は,構成要件1Aにいう「断熱用芯材」が単一の部材である場合に限定される旨主張するが,本件明細書1の特許請求の範囲にはそのような限定はないし,同明細書の他の部分の記載を参酌したとしても,そのような限定解釈をすべき理由があるとはいえないから,被告の主張は失当である。
【被告の主張】 被告各製品のうち,被告製品1-1及び同1-2においては,芯材30は,フェノールフォーム31と石膏ボード32から構成されているところ,石膏ボードは建築用途における断熱材に当たらない。構成要件1Aにいう「断熱用芯材」について, 8 本件明細書1には,複数の部材からなることを想定した記載はないから,フェノールフォーム31と石膏ボード32からなる芯材30は,構成要件1Aにいう「断熱用芯材」には当たらないと解すべきである。
したがって,被告製品1-1及び同1-2は,本件発明1の構成要件1Aを充足しない。
(2) 争点1-2(被告各製品は構成要件1Dを充足するか)について 【原告の主張】 ア 被告各製品の構成は,別紙被告製品説明書1のとおりであり,同説明書の「14」部分に,表面材が内側に屈曲した段差部(パネルの側面のうち雄型係合部付近が約4mm凹んでいる。甲28の1・2)を有しているから,構成要件1D(「芯材の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部を,雄型係合部の屈曲段差部を設けた位置のパネルの側面に形成してなる」)を充足することが明らかである。
イ 被告の主張について 被告は,構成要件1Dにいう「屈曲段差部」を「表面材を略直角に折り曲げ,さらに略直角に折り曲げて形成する段差部」と解釈するべきであると主張するが,本件明細書1の特許請求の範囲にはそのような限定はないし,同明細書の他の部分の記載を参酌したとしても,そのような限定解釈をすべき理由があるとはいえないから,被告の主張は失当である。
また,被告は,別紙被告製品説明書1の「14」部分は,表面材を折り曲げた際に生じた「しわ」にすぎないと主張するが,当該「しわ」の上部に位置する側面部が,同「しわ」の下部に位置する側面部に比して約4mm凹んでいることからすれば,「段差」が生じていることは明らかである。
さらに,被告は,被告各製品においては,表面材の「しわ」を低減するという本件発明1の効果を奏していないか,偶発的にのみ奏するにすぎないから,被告各製品は本件発明1の技術的範囲に属しないと主張する。しかしながら,本件発明1の 9 作用効果は,あくまで表面材の「しわ」を「低減」することにあって,これを全く生じさせないということではない。そして,被告各製品においても,芯材の側面に段差部を設けることにより,これを設けない場合に比して,構造上の理由により,表面材の「しわ」が低減する効果を奏するのであるから(甲67の実験結果参照),本件発明1の効果を奏しないとか,偶発的にのみ効果を奏するなどということはできず,被告各製品が本件発明1の技術的範囲に属しないということにはならない。
【被告の主張】 ア 構成要件1Dにいう「屈曲段差部」とは,構成要件1Bで規定される「屈曲段差部」と同義に解釈されるべきことからすれば,「表面材を略直角に折り曲げ,さらに略直角に折り曲げて形成する段差部」と解釈されなければならない。
被告各製品のうち,原告が「屈曲段差部」として主張する別紙被告製品説明書1の「14」部分は,芯材に沿って表面材を折り曲げた際に,芯材の表面材側上部に段差部が設けられているために,表面材が芯材と略平行に折りたたまれるなどして不定形に生じた「しわ」にすぎず,「側面の表面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部」ではない。したがって,被告各製品は,構成要件1Dを充足しない。
イ また,本件発明1は,芯材に沿って表面材を折り曲げる際,芯材の表面材側上部に段差部が設けられているために表面材に「しわ」が生じてしまうとの課題を解決するため,芯材の側面にも屈曲段差部を設けることにより,表面材に生じる「しわ」の発生を低減することを効果とするものであるが,被告各製品においては,「しわ」低減の効果を奏していないか,偶発的にのみ奏したというにすぎない(乙8)。したがって,仮に,被告各製品のうち,別紙被告製品説明書1の「14」部分に「段差」が存在すると認められたとしても,当該部分は,本件発明1の効果を奏しないか,又は偶発的にのみ奏するにすぎないものであるから,本件発明1の技術的範囲には属さないというべきである。
(3) 争点2(本件発明1についての特許は無効理由〔記載要件違反〕が存在するとして特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について 10 【被告の主張】 本件発明1は,側面の屈曲段差部を設けることにより,表面材の「しわ」を低減するとの効果を奏するというものであるが,本件明細書1の特許請求の範囲は,単に「芯材の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部」と記載するのみで,上記効果を奏しない構成をもその範囲に含んでおり,権利の外縁を明確に記載したものでない。したがって,本件発明1についての特許は,特許請求の範囲の記載において,発明を明確に記載していないから,明確性要件に違反する。
仮に,本件明細書1の特許請求の範囲の記載が明確であるというならば,同明細書の発明の詳細な説明に記載されていない発明を特許請求の範囲に含むものであってサポート要件に違反するし,発明の詳細な説明が,当業者に実施可能な程度に明確かつ十分に記載されておらず実施可能要件にも違反するというべきである。
したがって,本件発明1についての特許は,上述した無効理由(記載要件違反)が存在することから,特許無効審判により無効にされるべきものであり,原告は,被告に対し,本件特許権1を行使することができない(特許法104条の3)。
【原告の主張】 構成要件1Dの「屈曲段差部」の構成は,本件明細書1の記載から明らかであるし,当該屈曲段差部を設けることにより,これを設けない場合と比べて表面材のしわを低減することができることは当業者にとって容易に理解できるから,被告の主張する無効理由(記載要件違反)はいずれも成り立たない。
(4) 争点3(被告支持構造は本件発明2の技術的範囲に属するか)について 【原告の主張】 ア 被告各製品の構成は,別紙被告製品説明書2のとおりであるところ,被告各製品を使用して生産される被告支持構造における「L字部8」は,構成要件2Bにいう「係入片」に該当する。
この点について,被告は,被告支持構造における「L字部8」は板状の形状でな 11 いから「片」に当たらないと主張するが,少なくとも被告の主張する「垂直板」は板状の形状であるし,被告がいう「水平板」も,単に「垂直板」が前方に折り曲げられているにすぎないもので,被告の定義(板のような形状のもの)によっても「片」に当たるというべきである。また,被告は,壁パネルを「受ける」形状のものは「係入する」ものに当たらないとも主張するが,被告支持構造における「L字部8」も,パネル下端の凹部に入れられていることに変わりはないから「係入する」と認めて差し支えない。さらに,本件発明2における「係入片」の機能は,壁パネル下部の凹所に入れられることにより,壁パネルが前方に移動することを防ぐことにあるが,被告支持構造における「L字部8」が,同様の機能を果たしていることは明らかである。
イ 被告支持構造における「シーリング23」は,構成要件2Bにいう「覆い片の下端と家屋構造部との間に充填するコーキング剤」に該当する。
この点について,被告は,被告支持構造においては,シーリングは覆い片の下端に接していないから,同構成要件を充足しないと主張するが,そもそも,シーリングないしコーキングは,壁パネルと家屋構造との間の隙間を埋めることにより雨水等が壁内部に浸入することを防ぐ目的でされるのであるから(甲30),被告支持構造においても,覆い片の下端とシーリングが接することになることは明らかである。
【被告の主張】 ア 構成要件2Bにいう「覆い片の背部の凹所に係入する係入片」とは,本件明細書2に明確な定義がないので,本件明細書2中の図面や一般的な語義を参酌すると,「凹部に差し入れられている板のような形状のもの」を指し,また,壁パネルを「受ける」形状のものは「係入する」ものに当たらないと解釈すべきである。
しかるところ,被告支持構造における「L字部8」は,壁パネルの下端部に接してこれを受ける水平板と,受片9と連結する垂直板とが連結したL字状の部材であって,板のような形状ではないし,水平板によって壁パネルを受けるものであって 12 「係入する」ものでもないから,構成要件2Bにいう「係入片」には当たらない。
したがって,被告支持構造は,構成要件2Bを充足しない。
イ 被告支持構造において,シーリング23(「コーキング剤」に該当する。)は,覆い片3とサッシ19又は水切り30(「家屋構造部」に該当する。)との間ではなく,覆い片3の背面にあるスタータ15の底面とサッシ19又は水切り30との間に充填する。つまり,コーキング剤は,覆い片3の下端に接していない。
したがって,被告支持構造は,構成要件2Bにいう「覆い片の下端と家屋構造部との間に充填するコーキング剤」を有しないため,構成要件2Bを充足しない。
(5) 争点4(被告が被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害し,又は侵害する行為とみなされるか)について 【原告の主張】 ア 次のとおり,被告が,業として被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害し,又は侵害する行為とみなされる。
(ア) 上記(4)のとおり,被告支持構造は,本件発明2の技術的範囲に含まれるから,被告が本件各製品を使用して施工工事等を行い,被告支持構造を生産することは,本件特許権2を侵害する行為である。
(イ) 被告は,被告各製品を販売するに際し,被告支持構造に使用されるスタータを同時に販売しているから,被告各製品を購入する者は,被告支持構造を生産することが当然のこととして予定されている。
したがって,被告は,被告各製品を販売することによって,被告各製品の購入者を道具として,被告支持構造を実施し,本件特許権2を侵害しているものと評価できる。
(ウ) 上記(イ)のとおり,被告が,被告各製品とともに被告支持構造に使用されるスタータを同時に販売していることからすれば,被告各製品は,被告支持構造の生産にのみ用いる物であるといえるから,被告が,業として被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害するものとみなされる(特 13 許法101条1号)。
(エ) 被告各製品は,被告支持構造の生産に用いる物であって本件発明2の課題の解決に不可欠なものであるところ,被告は,遅くとも原告からの警告書を受領した平成25年9月6日には,本件発明2が特許発明であること及び被告各製品が本件発明2の実施に用いられることを知った。したがって,被告が,業として被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害するものとみなされる(特許法101条2号)。
イ 被告の主張について 被告は,本件発明2は「支持構造」に関するものであるところ,壁パネルは同「支持構造」により支持される対象にすぎず,「支持構造」を構成するものではないと主張するが,本件発明2における「支持構造」は,壁パネルとスタータがそれぞれ特定の形状とされることにより実現されるものであるから,壁パネルが「支持構造」を構成しないということはできない。
また,被告は,スタータは,被告各製品の販売に際して当然に付属しているものではなく,建物等の施工に必要な数量に限ってオプション品として販売されているにすぎないと主張するが,そうであったとしても,被告各製品を建物等の壁面全体に施工する際には,当該建物等の基礎部において,被告各製品をスタータとともに施工しなくてはならないのであるから,被告各製品とスタータとが1対1対応で販売されていないとしても,被告各製品が被告支持構造を構成することに変わりはない。
【被告の主張】 ア 本件発明2は,「壁パネルの下端部の支持構造」に関するものであるところ,壁パネルは,本件発明2が対象とする「支持構造」,具体的にはスタータにより支持される対象にすぎず,「支持構造」を構成するものではない。被告各製品も,同様に,被告支持構造により支持される対象であって被告支持構造を構成するものではないから,仮に,被告支持構造が本件発明2の技術的範囲に属するとしても,被 14 告が被告各製品を輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害するものではない。
イ 仮に,本件発明2において,スタータのみならず壁パネルも「支持構造」を構成すると解されたとしても,同「支持構造」にはスタータも含まれるというのであるから,壁パネルである被告各製品をスタータとは別個に単体で輸入,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害するものではない。ここで,被告各製品は,その全てが建物等の基礎部に直接スタータとともに設置されるのではなく,当該基礎部に直接設置された被告各製品パネルの更に上部に設置されることのほうが多い。スタータは,建物等の基礎部に直接設置する場合にのみ必要となるから,被告各製品の販売に際して当然に付属しているものではなく,建物等の施工に必要な数量に限ってオプション品として販売されているにすぎない。
ウ 上記イのとおり,被告各製品は,必ずしもスタータと共に建物等の基礎上に直接設置する用途にのみ使用するものではないから,被告支持構造の「生産にのみ用いる物」(特許法101条1号)には当たらない。
エ 特許法101条2号が規定する「その発明による課題の解決に不可欠なもの(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)」というためには,特許発明の特許請求の範囲に記載された部材,成分等であるというのみでは足りず,課題解決のために新たに開示された特徴的技術手段を直接形成するものであることを要すると解すべきところ,本件発明2は,従来から存在していた形状の壁パネルを施工するに際して,外観及び支持強度を高めながら,コーキング剤のバックアップを容易に行うために,従来の壁パネルの形状を変更することなく,スタータの形状を新たに開示したものであり(甲4),特徴的技術手段を直接構成するのは,スタータであって壁パネルではない。
したがって,従来の壁パネルと同じ形状を備えるにすぎない被告各製品は,本件発明2による「課題の解決に不可欠なもの(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)」に当たらない。
15 (6) 争点5-1(本件発明2についての特許に無効理由1〔記載要件違反〕は認められるか)について 【被告の主張】 本件発明2は,係入片が受片と協働して,スタータにて壁パネルの下端部を強固に支持するとの効果を奏するというものであるが,本件明細書2の特許請求の範囲は,単に「覆い片の背部の凹所に係入する係入片」と記載するのみで,上記効果を奏しない「係入片」までも構成に含めており,権利の外縁を明確に記載したものでない。したがって,本件発明2についての特許は,特許請求の範囲の記載において,発明を明確に記載していないから,明確性要件に違反する。
仮に,本件明細書2の特許請求の範囲の記載が明確であるというならば,同明細書の発明の詳細な説明に記載されていない発明を特許請求の範囲に含むものであってサポート要件に違反するし,発明の詳細な説明が,当業者に実施可能な程度に明確かつ十分に記載されておらず実施可能要件にも違反するというべきである。
したがって,本件発明2についての特許は,上述した無効理由(記載要件違反)が存在することから,特許無効審判により無効にされるべきものであり,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(特許法104条の3)。
【原告の主張】 構成要件2Bの「係入片」の構成は,本件明細書2の記載から明らかであるし,当該係入片を設けることにより,これを設けない場合と比べて壁パネルの支持が強くなることは当業者にとって容易に理解できるから,被告の主張する無効理由(記載要件違反)はいずれも成り立たない。
(7) 争点5-2(本件発明2についての特許に無効理由2〔乙第32号証を主引例とする進歩性欠如〕は認められるか) 【被告の主張】 本件特許2の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平8-193407号公報(乙32。以下「乙32公報」という。 )には,壁パネルの施工性を高 16 める壁パネルの下端部の構造に係る発明(以下「乙32発明」という。 )が開示されているところ,当業者は,壁パネルの形状を適宜設計することができるのであるから,壁パネルの形状を,同じく本件特許2の出願前に日本国内において頒布された刊行物である実用新案登録第2551421号に係る実用新案登録公報(以下「乙28公報」という。)に開示された外壁パネルの取付構造に係る発明(以下「乙28発明」という。)における壁パネルと同一の形状と設計することもでき,この場合には,これと組み合わせるスタータの形状について,乙28発明における形状を一部取り入れ,本件発明2におけるスタータと同一の構成を有するスタータを得ることができる。よって,本件発明2は,乙32発明に乙28発明を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許を受けることができない。
したがって,本件発明2についての特許は,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権2を行使することができない(特許法104条の3)。
【原告の主張】 本件発明2におけるスタータと乙32発明におけるスタータとは,その基本的形状が全く異なっているし,バックアップ材を配設する箇所も異なっているところ,乙28発明を参酌したとしても,当業者は上記相違点に係る構成を乙32発明に適用するには至らないというべきであり,本件発明2は進歩性を有する。
(8) 争点6(本件特許権1又は同2の侵害により原告が受けた損害の額)について 【原告の主張】 ア 本件特許権1の侵害により原告が受けた損害の額 (ア) 特許法102条2項により推定される損害額 被告は,平成23年1月1日から平成26年12月21日までの間に,被告各製品を販売し,その売上高は,被告製品1-1について7億0973万4703円 17 (うち平成26年1月23日までの売上高は6億7859万0673円),被告製品1-2について7885万9411円(うち平成26年1月23日までの売上高は7539万8964円),被告製品4-1について2543万6070円(うち平成26年1月23日までの売上高は2360万4069円),被告製品4-2について282万6230円(うち平成26年1月23日までの売上高は262万2674円)であった(甲70ないし77)。
被告各製品の利益率はいずれも15パーセントを下回ることはないから,被告は,平成23年1月1日から平成26年12月21日までの間に,少なくとも合計1億2252万8463円の利益(うち平成26年1月23日までの売上に係る利益は1億1703万2457円)を得た。同額は,被告による被告各製品の販売等により原告が受けた損害の額と推定される(特許法102条2項)。
(イ) 弁護士及び弁理士費用 被告による本件特許権1の侵害行為と相当因果関係のある弁護士及び弁理士費用相当損害金として,上記原告が受けた損害と推定される額の10パーセント相当額(1225万2846円,うち平成26年1月23日までの侵害行為に係る額は1170万3245円)が認められるべきである。
(ウ) 遅延損害金 上記(ア)及び(イ)の損害に係る遅延損害金の起算日については,平成26年1月23日までの侵害行為(売上)に係る損害については同日,同月24日から同年12月21日までの売上に係る損害については平成27年4月20日とする。
(エ) 小括 以上により,被告による本件特許権1の侵害行為により原告が受けた損害は,1億3478万1309円及びうち1億2873万5702円及びこれに対する平成26年1月23日から,うち604万5607円に対する平成27年4月20日から,各支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金となる。
イ 本件特許権2の侵害により原告が受けた損害の額 18 (ア) 特許法102条2項により推定される損害額 被告は,平成23年1月1日から平成27年4月20日までの間に,被告各製品を販売し,その売上高は,被告製品1-1について7億0998万6210円(うち平成26年1月23日までの売上高は6億7859万0673円),被告製品1-2について7888万7357円(うち平成26年1月23日までの売上高は7539万8964円),被告製品4-1について2545万0865円(うち平成26年1月23日までの売上高は2360万4069円),被告製品4-2について282万7874円(うち平成26年1月23日までの売上高は262万2674円)であった(甲70ないし77)。
被告各製品の利益率はいずれも15パーセントを下回ることはないから,被告は,平成23年1月1日から平成27年4月20日までの間に,少なくとも合計1億2257万2847円の利益(うち平成26年1月23日までの売上に係る利益は1億1703万2457円)を得た。同額は,被告による被告各製品の販売等により原告が受けた損害の額と推定される(特許法102条2項)。
(イ) 弁護士及び弁理士費用 被告による本件特許権2の侵害行為と相当因果関係のある弁護士及び弁理士費用相当損害金として,上記原告が受けた損害と推定される額の10パーセント相当額(1225万7284円,うち平成26年1月23日までの侵害行為に係る額は1170万3245円)が認められるべきである。
(ウ) 遅延損害金 上記(ア)及び(イ)の損害に係る遅延損害金の起算日については,平成26年1月23日までの侵害行為(売上)に係る損害については同日,同月24日から平成27年4月20日までの売上に係る損害については同日とする。
(エ) 小括 以上により,被告による本件特許権2の侵害行為により原告が受けた損害は,1億3483万0131円及びうち1億2873万5702円及びこれに対する平成 19 26年1月23日から,うち609万4429円に対する平成27年4月20日から,各支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金となる。
損害額に関する総括 よって,原告は,被告に対し,一部請求として,本件特許権1の侵害による損害額(上記ア)又は本件特許権2の侵害による損害額(上記イ)のうち(侵害期間並びに損害額及び遅延損害金が重複する範囲は,選択的請求である。),7370万9039円(被告各製品の売上による損害額の内訳は,被告製品1-1につき6404万2408円,被告製品1-2につき711万5823円,被告製品4-1につき229万5727円,被告製品4-2につき25万5081円である。)及びこれに対する平成26年1月23日から支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
【被告の主張】 本件特許権1の侵害による損害額,同2の侵害による損害額とも,否認する。
なお,後者については,被告支持構造が本件発明2の技術的範囲に含まれるとしても,被告各製品(壁パネル)は被告支持構造を構成するものではなく,本件特許権2の侵害品に当たりうるのは被告各製品を使用するために販売されるスタータであるから,本件特許権2の侵害により原告が受けた損害の額を算定するに当たり,被告各製品の売上げによる利益を用いることは誤りである。
また,仮に,被告各製品が被告支持構造を構成するとしても,被告各製品の全てが家屋構造部に設置されたスタータと嵌合されるのではなく,むしろ大部分は,スタータに嵌合された被告各製品の更に上部に嵌合されるものである。したがって,本件特許権2の侵害により原告が受けた損害の額を算定するに当たり,被告各製品の全売上による利益を用いることは誤りである。
当裁判所の判断
1 争点1(被告各製品は本件発明1の技術的範囲に属するか)について (1) 被告各製品の構成について 20 前記前提事実等,証拠(甲9ないし12,27ないし29の3,67)及び弁論の全趣旨によれば,被告各製品の構成(本件発明1の構成要件と対比して記載する。)は,次のとおりであると認められる(以下,分説に係る各構成要件を符号に対応して「構成1a」などという。なお,付記した番号は,被告製品説明書1の図面に示す部材の番号である。)。そして,被告各製品の構成1b,1c及び1eは,それぞれ本件発明1の構成要件1B,1C及び1Eを充足すると認められる(なお,これらの点は,被告も争わないところである。)。
1a:カラーガルバリウム鋼板からなる方形の表面材10と裏面材20との間に, フェノールフォーム31と石膏ボード32からなる芯材30(ただし,被 告製品1-1及び同1-2),又は,フェノールフォーム31からなる芯 材30(ただし,被告製品4-1及び同4-2)を挟持したパネルであっ て, 1b:パネルの下端側には芯材端部より突出した雌型係合部40が形成され,対 向するパネルの上端側には表裏両面材が内側に屈曲して形成される屈曲段 差部6,24に続く雄型係合部50が形成され,隣接するパネルと嵌合接 続が可能とされた建築用パネルにおいて, 1c:嵌合接続方向に直角な方向の表面材10の両端部が芯材30の側面に沿っ てL型に折り曲げられると共に,更にその先端が芯材厚みの表面から約1 /3の位置からパネルの表面方向と平行になるように再度L型に折り曲げ られて,全体としてパネルの嵌合方向と直角方向の側面11から表面材1 0の先端が突出された接合部材12を有し, 1d:芯材の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面11の表面材 10は,雄型係合部50の屈曲段差部6を設けた位置付近において,内側 に屈曲して,約4mmの段差14を形成している, 1e:ことを特徴とする建築用パネル。
(2) 争点1-1(被告各製品は構成要件1Aを充足するか)について 21 前記(1)のとおり,被告各製品は,「カラーガルバリウム鋼板からなる方形の表面材10と裏面材20との間に,フェノールフォーム31と石膏ボード32からなる芯材30(被告製品1-1及び同1-2),又は,フェノールフォーム31からなる芯材30(被告製品4-1及び同4-2)を挟持したパネル」であるところ,「カラーガルバリウム鋼板」が構成要件1Aにいう「金属薄板材」に該当することは明らかであるから,被告各製品の「カラーガルバリウム鋼板からなる方形の表面材10と裏面材20」は,構成要件1Aにいう「金属薄板材からなる方形の表面材と裏面材」に該当するものと認められる。
次に,本件発明1は「建築用パネル」に関するものであるから,構成要件1Aにいう「断熱用芯材」が建築物に用いられる断熱用の芯材を意味することは,本件明細書1の特許請求の範囲の記載から明らかであるところ,フェノールフォームが建築物に用いられる断熱材であることは当事者間に争いがないことからすれば,被告製品4-1及び同4-2の「フェノールフォーム31からなる芯材30」は,建築物に用いられる断熱用の芯材であるということができ,構成要件1Aにいう「断熱用芯材」に該当する。
また,証拠(甲15の1・2)によれば,被告製品1-1及び同1-2は,建築基準法施行令107条2号及び3号に規定する基準(建築基準法2条7号が政令に委任した建築物の構造の耐火性能に関する技術的基準)に適合すると認定されていることが認められるから,被告製品1-1及び同1-2の「フェノールフォーム31と石膏ボード32からなる芯材30」も,建築物に用いられる断熱用の芯材であるということができ,構成要件1Aにいう「断熱用芯材」に該当するものと認められる。
この点について,被告は,複数の部材からなる芯材は構成要件1Aにいう「断熱用芯材」に当たらない旨主張するが,本件明細書1の特許請求の範囲には,「断熱用芯材」が単一部材よりなるものに限られるとの記載はないし,同明細書の他の部分の記載を参酌しても,そのように限定して解釈すべき根拠は見当たらないから, 22 被告の上記主張は採用することができない。
したがって,被告各製品は,いずれも本件発明1の構成要件1Aを充足する。
(3) 争点1-2(被告各製品は構成要件1Dを充足するか)について 本件明細書1の特許請求の範囲の記載によれば,構成要件1Dにいう「屈曲段差部」は,「パネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される」ものであり,同明細書の発明の詳細な説明の記載(段落【0007】【0015】【0017】)によれば,「屈曲段差部」は,表面材に発生するしわを「屈曲段差部」がないときよりも低減させるものであることが明らかである。
前記(1)のとおり,被告各製品において,「芯材30の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面11の表面材10は,雄型係合部50の屈曲段差部6を設けた位置付近において,内側に屈曲して,約4mmの段差14を形成している」ところ,この「段差14」は,後述するとおり,芯材に沿って表面材を折り曲げる際に発生するしわを低減するものと認められるから,構成要件1Dにいう「パネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部」に該当するものと認められる。
この点について,被告は,構成要件1Dにいう「パネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部」は,「表面材を略直角に折り曲げ,さらに略直角に折り曲げて形成する段差部」と解釈されるべきところ,被告各製品には,表面材10が芯材30と略平行に折りたたまれるなどして不定形に生じた「しわ」が存在するのみであって,「表面材を略直角に折り曲げ,さらに略直角に折り曲げて形成する段差部」は存在しないと主張する。しかしながら,本件明細書1の特許請求の範囲には,「パネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部」が「表面材を略直角に折り曲げ,さらに略直角に折り曲げて形成する段差部」に限られるとの記載はないし,同明細書の他の部分の記載を参酌しても,そのように限定して解釈すべき根拠は見当たらない。
また,証拠(甲27,28の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,被告各製品で 23 用いられている芯材30は,雄型係合部50の屈曲段差部6が設けられている位置付近において,表面側のみならず,側面にも段差が設けられていることが認められ,このような形状を有する芯材30に沿って表面材10を押圧して折り曲げれば,通常は,パネルの側面11の表面材10が内側に屈曲して段差部が形成されることは明らかであるから(甲67参照),被告各製品の側面11の表面材10が内側に屈曲して形成されている約4mmの段差14を,不定形に生じた「しわ」にすぎないということはできない。
被告は,被告各製品は,本件発明1の効果である「しわ」の低減を奏していないか,偶発的にのみ奏したにすぎないから,本件発明1の技術的範囲に属しないとも主張する。しかしながら,本件発明1は,パネルの側面に屈曲段差部を設けることにより,パネルを製造する際に生じるしわを低減することをその効果の1つとしているところ(本件明細書1の段落【0007】【0017】等),前記のとおり,被告各製品で用いられている芯材30は,雄型係合部50の屈曲段差部6が設けられている位置付近において,芯材30の表面側のみならず側面にも段差が設けられており,このような形状を採用することによって,芯材30の側面に段差を設けない場合と比べて,芯材30に沿って表面材10を折り曲げる際に発生するしわを低減するという,本件発明1の効果を構造的に奏するものと認められるから(甲67参照),被告の上記主張は採用することができない。
したがって,被告各製品は,いずれも構成要件1Dを充足する。
(4) 争点1の小括 以上によれば,被告各製品は,本件発明1の構成要件をすべて充足するから,本件発明1の技術的範囲に属するものと認められる。
2 争点2(本件発明1についての特許は無効理由〔記載要件違反〕が存在するとして特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について (1) 被告は,本件発明1についての特許について,本件明細書1の特許請求の範囲は,単に「芯材の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面の表面材 24 が内側に屈曲して形成される屈曲段差部」と記載するのみで,表面材の「しわ」を低減するとの効果を奏しない構成をもその範囲に含んでおり,権利の外縁を明確に記載していないから,明確性要件に違反すると主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件明細書1の特許請求の範囲の記載によれば,構成要件1Dにいう「屈曲段差部」は,「パネルの側面の表面材が内側に屈曲して形成される」ものであり,同明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,「屈曲段差部」は,表面材に発生するしわを「屈曲段差部」がないときよりも低減させるものであることが明らかである。そして,建築用パネルを製造等する当業者であれば,パネルの側面にどの程度の段差があれば,表面材の厚みや材質等の関係で「しわ」を低減させることができるかは認識できるものと認められる(甲67参照)。したがって,本件明細書1の特許請求の範囲の請求項1の記載が明確性を欠くものとは認められない。
(2) また,被告は,本件明細書1の特許請求の範囲の記載が明確であるというならば,同明細書の発明の詳細な説明に記載されていない発明を特許請求の範囲に含むものであってサポート要件に違反するとか,発明の詳細な説明が当業者に実施可能な程度に明確かつ十分に記載されておらず実施可能要件にも違反すると主張するが,本件明細書1には,本件発明1(請求項1記載の発明)について,パネルの側面に屈曲段差部を設けることにより,パネルを製造する際に生じるしわを低減する旨が記載されており(段落【0007】【0015】【0017】等),建築用パネルを製造等する当業者は,同記載に接して,パネルの側面にどの程度の段差があれば,表面材の厚みや材質等の関係で「しわ」を低減させることができるかを認識できるものと認められるから,本件発明1についての特許がサポート要件に違反するとか,実施可能要件に違反するということはできない。
(3) したがって,本件発明1についての特許が特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。
3 争点3(被告支持構造は本件発明2の技術的範囲に属するか)について 25 (1) 被告支持構造の構成について 前記前提事実等,証拠(甲9ないし12,27ないし29の3,67)及び弁論の全趣旨によれば,被告各製品を使用して生産される壁パネルの下端部の支持構造(被告支持構造)は,次のとおりであると認められる(以下,分説に係る各構成要件を符号に対応して「構成2a」などという。なお,付記した番号等は,被告製品説明書2の図面に示す部材の番号等である。)。そして,被告支持構造の構成2a,2c,2d及び2eは,それぞれ本件発明2の構成要件2A,2C,2D及び2Eを充足すると認められる(なお,これらの点は,被告も争わないところである。)。
2a:壁パネルAの上端部に嵌合凸部2を形成するとともに下端部に嵌合凹部1 を形成し,壁パネルAの下端に下位の壁パネルAの上端部の表面部を覆う 覆い片3を垂下した壁パネルAの下端部の支持構造であって, 2b:スタータ15を,覆い片3の背部の凹所4に入る断面L字状のL字部8と, 凹所4よりもパネル背方のパネル下端面を受ける受片9と,受片9より下 方に垂下されて壁下地10に取付ける取付け片11と,取付け片11より 前方に延出されてサッシ19又は水切り30上に充填するシーリング23 をバックアップするバックアップ片14とで構成し, 2c:壁下地10にスタータ15を取付け,スタータ15の受片9にて壁パネル Aの下端部を支持し, 2d:スタータ15のバックアップ片14とサッシ19又は水切り30との間に バックアップ材21を装填して成る, 2e:ことを特徴とする壁パネルの下端部の支持構造。
(2) 被告支持構造は構成要件2Bを充足するか ア 前記(1)のとおり,被告支持構造は,「覆い片3の背部の凹所4に入る断面L字状のL字部8と,凹所4よりもパネル背方のパネル下端面を受ける受片9と,受片9より下方に垂下されて壁下地10に取付ける取付け片11と,取付け片11 26 より前方に延出されてサッシ19又は水切り30上に充填するシーリング23をバックアップするバックアップ片14とで構成」した「スタータ15」を有するところ,被告支持構造の「サッシ19又は水切り30」は,構成要件2Bにいう「家屋構造部」に,被告支持構造の「シーリング」は,構成要件2Bにいう「コーキング剤」にそれぞれ該当する(なお,これらの点は,被告も争わないところである。)。
イ 「係入片」について 証拠(甲9ないし12)によれば,右の図に示すように,被告支持構造を構成する「スタータ15」は,板状の部材である1枚のガルバリウム鋼板が,「バックアップ片14」,「取付片11」,「受片9」及び「L字部8」をそれぞれ形成するように,順次,略垂直状に折り曲げられた形状を有することが認められる。そうすると,「スタータ15」の「断面L字状のL字部8」は,「ひときれ」との意義を有する(甲34)「片」としての形状を有しているということができ,かつ,覆い片の背部の凹所4に入れられるものであるから,「係わり合って入ること」との意義を有する(乙3の1)「係入」される部材であるということができる。したがって,被告支持構造を構成する「スタータ15」の「断面L字状のL字部8」は,構成要件2Bにいう「係入片」に該当するものと認められる。
この点について,被告は,壁パネルを「受ける」形状のものは「係入する」ものに当たらないと主張するが,特許請求の範囲を含む本件明細書2の記載を検討して 27 も,そのように限定して解釈すべき根拠は見当たらず,被告の上記主張は採用することができない。
ウ 「取付け片より前方に延出されて覆い片の下端と家屋構造部との間に充填するコーキング剤をバックアップするバックアップ片」について 前記(1)のとおり,被告支持構造を構成する「スタータ15」は,「取付け片15より前方に延出されてサッシ19又は水切り30上に充填するシーリング23をバックアップするバックアップ片14」を有し,また,前記アのとおり,被告支持構造の「サッシ19又は水切り30」は構成要件2Bにいう「家屋構造部」に,被告支持構造の「シーリング23」は構成要件2Bにいう「コーキング剤」にそれぞれ該当するところ,建築物の外壁パネルを製造,施工等する当業者にとって,外壁パネルの施工に際してサッシ又は水切り上にシーリングないしコーキング剤を充填する目的は,外壁パネルとサッシ又は水切りとの間に生じる隙間を埋めることにあるのは明らかであるから(甲30),被告支持構造において充填される「シーリング23」は,構成要件2Bにいう「覆い片の下端と家屋構造部との間に充填」されるものに該当すると認められ,したがって,被告支持構造を構成する「スタータ15」は,「取付け片より前方に延出されて覆い片3の下端と家屋構造部との間に充填するコーキング剤をバックアップするバックアップ片14」を有するものと認められる。
この点について,被告は,被告支持構造における「シーリング23」は「覆い片3」の下端に接していないから,「覆い片の下端と家屋構造部との間に充填」されていないと主張するが,本件明細書2の特許請求の範囲の記載上,コーキング剤が覆い片の下端に接していなければならない旨の限定はないこと,上記のとおり,シーリングないしコーキング剤を充填する目的は,外壁パネルと家屋構造部との間の隙間を埋めることにあることからすれば,仮にコーキング剤が覆い片の下端に接していないとしても,「覆い片の下端と家屋構造部との間に充填」されているとみて差し支えないというべきである。
28 エ 以上によれば,被告支持構造は,構成要件2Bを充足する。
(3) 争点3の小括 以上によれば,被告支持構造は,本件発明2の構成要件をすべて充足するから,本件発明2の技術的範囲に属するものと認められる。
4 争点4(被告が被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害し,又は侵害する行為とみなされるか)について (1) 被告が,壁パネルである被告各製品の販売に際し,これを建物等の基礎に施工するために必要な数量分のスタータ(同スタータが被告製品説明書2に記載の形状であることは,被告も争っていない。)と併せて販売していることは,被告も認めているところ,上記スタータを用いて建物等の基礎部に被告各製品を施工すると,上記のとおり本件発明2の技術的範囲に属する被告支持構造が生産されることとなるのであるから,被告各製品は,被告支持構造の「生産にのみ用いる物」と認められる。したがって,被告が,業として被告各製品を輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出をする行為は,本件特許権2を侵害する行為とみなされるというべきである(特許法101条1号)。
(2) 被告は,本件発明2における壁パネルは,本件発明2が対象とする「支持構造」,具体的にはスタータにより支持される対象にすぎないから「支持構造」を構成するものではなく,同様に,壁パネルである被告各製品も,被告支持構造を構成するものではないと主張するが,本件発明2は,特定の形状を有する壁パネルと(構成要件2A)と,特定の形状を有するスタータ(同2B)とが嵌合され,かつバックアップ材を装填してなる(同2D)支持構造とされているのであるから,壁パネルが本件発明2の対象たる支持構造を構成しないということはできない。
また,被告は,被告各製品は,その全てが建物等の基礎部に直接スタータとともに設置されるのではなく,当該基礎部に直接設置された被告各製品パネルの更に上部に設置されることのほうが多いから,被告支持構造の「生産にのみ用いる物」には当たらないと主張する。しかしながら,被告各製品を用いて形成された建築物の 29 壁面において,基礎に接する一番下のパネルに限って被告各製品を使用しないという使用態様は,社会通念上,経済的,商業的又は実用的に想定し難いのであるから,被告各製品を用いて建築物の壁面を施工すると,当然に被告支持構造が実施されることになるというべきであり,そうである以上,被告各製品は,被告支持構造の「生産にのみ用いる物」と認めるのが相当である。
5 争点5(本件発明2についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものと認められるか)について (1) 争点5-1(本件発明2についての特許に無効理由1〔記載要件違反〕は認められるか)について ア 被告は,本件発明2についての特許について,本件明細書2の特許の特許請求の範囲は,単に「覆い片の背部の凹所に係入する係入片」と記載するのみで,「係入片が受片と協働してスタータにて壁パネルの下端部を強固に支持する」との効果を奏しない「係入片」をもその範囲に含んでおり,権利の外縁を明確に記載していないから,明確性要件に違反すると主張する。
しかしながら,本件発明2が「壁パネルの下端部の支持構造」に関するものであることから明らかなとおり,本件明細書2に接した当業者であれば,上記「係入片」の意義について,覆い片の背部の凹所に係入し壁パネルを支持するため,凹部の形状と照らして,同凹部に嵌合されるに適した形状を有する必要があることは容易に認識できるというべきであるから,「覆い片の背部の凹所に係入する係入片」という記載が,明確性を欠くものとは認められない。
イ また,被告は,本件明細書2の特許請求の範囲の記載が明確であるというならば,同明細書の発明の詳細な説明には記載されていない発明を特許請求の範囲に含むものであってサポート要件に違反するとか,発明の詳細な説明が当業者に実施可能な程度に明確かつ十分に記載されておらず実施可能要件にも違反すると主張するが,本件明細書2には,本件発明2(請求項1記載の発明)の実施例として,「スタータ15を取付け片11においてチャンネル材の壁下地10にボルト18に 30 て取付け,スタータ15の係入片8を壁パネルAの覆い片3の背部の凹所4に係入するとともに受片9にて嵌合凸部2の下面を受けることで,スタータ15にて壁パネルAを強固に支持するのである。」と記載され(段落【0012】),【図1】には,係入片4が壁パネルAの覆い片3の背部の凹所4に係入されている態様が具体的に開示されているのであるから,サポート要件に違反するということはできないし,前記のとおり,本件明細書2に接した当業者であれば,「係入片」の意義について,覆い片の背部の凹所に係入し壁パネルを支持するため,凹部の形状と照らして,同凹部に嵌合されるに適した形状を有するべきことを容易に認識できるのであるから,実施可能要件に違反するということもできない。
ウ 被告の主張する無効理由1(記載要件違反)は,いずれも認められない。
(2) 争点5-2(本件発明2についての特許に無効理由2〔乙第32号証を主引例とする進歩性欠如〕は認められるか) ア 乙第32号証に記載された発明の構成 本件特許2の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平8-193407号公報(乙32公報)には,本件発明2と同様に壁パネルの施工性を高める壁パネルの下端部の構造に係る発明(乙32発明)が記載されている。
乙32発明の構成は,「下端部に接続凹部5が形成され,上端部に接続凸部6が形成された断熱パネルPの下端に下位の断熱パネルPの上端部の表面部を覆う覆い片を垂下した断熱パネルPの下端部の支持構造であって,スタータとなる水切りWは,略水平横方向に形成される水平シール板部8と,同水平シール板部8の外端から垂下される垂下片13と,同垂下片13の途中部分に形成される凹入段部14と,底片16と,同底片16の屋内側端部から立ち上げられている水切り片9を有し,同スタータとなる水切りWの凹入段部14にコーキング用バックアップ材15を配設し,その前にコーキング剤25を充填する断熱パネルPの支持構造」である。
イ 乙32発明と本件発明2の一致点と相違点 (ア) 一致点 31 乙32発明と本件発明2とを対比すると,乙32発明の「接続凹部5」は本件発明2の「嵌合凹部」に,乙32発明の「接続凸部6」は本件発明2の「嵌合凸部」に,乙32発明の「断熱パネルP」は本件発明2の「壁パネル」に,乙32発明の「水切りW」は本件発明2の「スタータ」に,乙32発明の「下水切り18」は本件発明2の「家屋構造部」に,それぞれ相当する。
したがって,乙32発明と本件発明2とは,「壁パネルの上端部に嵌合凹部もしくは嵌合凸部の一方を形成するとともに下端部に嵌合凹部若しくは嵌合凸部の他方を形成し,壁パネルの下端に下位の壁パネルの上端部の表面部を覆う覆い片を垂下した壁パネルの下端部の支持構造」である点(構成要件2A),「コーキング剤をバックアップするバックアップ材をスタータに接して配設する」点(構成要件2C及びDの一部)及び「壁パネルの下端部の支持構造」である点(構成要件2E)において一致している。また,本件発明2においては,「スタータのバックアップ片と家屋構造部との間にバックアップ材を装填して成る」(構成要件2D)のに対し,乙32発明では,「同スタータとなる水切りWの凹入段部14にコーキング用バックアップ材15を配設し,その前にコーキング剤25を充填」しているところ,バックアップ材をスタータと家屋構造部との間に配設するという限りにおいて,両発明は一致しているといえる。
(イ) 相違点 本件発明2において,スタータは,「覆い片の背部の凹所に係入する係入片と,凹所よりもパネル背方のパネル下端面を受ける受片と,受片より下方に垂下されて壁下地に取付ける取付け片と,取付け片より前方に延出されて覆い片の下端と家屋構造部との間に充填するコーキング剤をバックアップするバックアップ片」によって構成され(構成要件2Bの一部),「壁下地にスタータを取付け,スタータの受片にて壁パネルの下端部を支持」する(構成要件2C)のに対し,乙32発明では,スタータとなる水切りWは,「略水平横方向に形成される水平シール板部8と,同水平シール板部8の外端から垂下される垂下片13と,同垂下片13の途中部分に 32 形成される凹入段部14と,底片16と,同底片16の屋内側端部から立ち上げられている水切り片9」を有しており,これらの点において,両発明は相違している。
ウ 乙第28号証に記載された発明の構成 本件特許2の出願前に日本国内において頒布された刊行物である実用新案登録第2551421号に係る実用新案登録公報(乙28公報)には,本件発明2と同様に外壁パネルの取付構造に係る発明(乙28発明)が記載されている。
乙28発明の構成は,「下端縁にパネル圧方向に所定間隔をおいて相対向する長い外凸部と短い内凸部とを設けるともに,外凸部と内凸部との間に凹溝を設けた」外壁パネルと,「外壁パネルの凹溝に防水パッキンを介して嵌合する保持部と,外壁パネルの内凸部の下端が載置される載置部と水切りの固定部の前面に重合されて土台または窓上胴縁の前面に止具で共締めされる固定部と,固定部の下端から斜め下方に前向きに連設され,壁パネルの外凸部の内奥で水切りの傾斜面部の上面に対しその下端縁が当接または近接する水返し部とで構成される」スタータからなり,「土台に水切り及びスタータを取り付け,スタータの載置部の上に外壁パネルの下端縁を載置」し,「スタータの水返し部の前面と水切りの傾斜面部とが出合う隅部にバックアップ材を装填」する構成が開示されている。
なお,乙28発明と本件発明2を対比すると,少なくとも,本件発明2では,「スタータのバックアップ片と家屋構造部との間にバックアップ片を装填して成る」(構成要件2D)のに対し,乙28発明では,「スタータの水返し部の前面と水切りの傾斜面部とが出合う隅部にバックアップ材を装填」する点において,両発明は相違している。
エ 乙32発明に基づく容易想到性 被告は,当業者は,壁パネルの形状を適宜設計することができるのであるから,乙32発明における壁パネルの形状を,乙28発明における壁パネルと同一の形状と設計した場合には,これと組み合わせるスタータの形状について,乙28発明における形状を一部取り入れ,本件発明2におけるスタータと同一の構成を有するス 33 タータを得ることができるから,本件発明2は,乙32発明に乙28発明を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
しかしながら,仮に,当業者が壁パネルの形状を適宜設計することができ,かつ,乙32発明における壁パネルの形状を乙28発明における壁パネルと同一の形状と設計することができたとしても,その場合には,同壁パネルと組み合わせるべきスタータの形状としては,乙28発明におけるスタータと同一の形状を採用しようとするのが自然というべきであるし,乙32文献には,スタータと家屋構造部との間にバックアップ材が装填されることの技術的意義については何らの記載もないことからすれば,乙32文献に接した当業者が,乙32発明におけるスタータの形状のうち,スタータと家屋構造部との間にバックアップ材が装填されるという部分のみを残して,その余の部分について乙28発明を適用して,本件発明2におけるスタータの形状を採用するような動機付けは認められないというべきである。
したがって,本件発明2が,乙32発明に乙28発明を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものであったとは認められない。
オ なお,被告は,本件特許2について平成26年12月18日付け審決(平成27年1月6日確定)による訂正が確定する前に,同訂正前の本件明細書2の特許請求の範囲の請求項1記載の発明が乙28発明と同一であるとか,乙28発明に基づき,技術常識を斟酌して容易に発明することができたなどと主張していたが,上記ウのとおり,本件発明2が乙28発明と同一であるとはいえないし,上記エに認定説示したところによれば,本件発明2が乙28発明に技術常識を適用するなどして容易に発明できたものということもできないから,仮に,被告が同訂正の確定後も上記主張を維持していたとしても,同主張に理由がないことは明らかである。
(3) 争点5の小括 以上のとおりであるから,本件発明2についての特許が特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。
6 争点6(本件特許権1又は同2の侵害により原告が受けた損害の額)につい 34 て (1) 既に認定説示したとおり,被告が被告各製品を輸入,使用,譲渡又は譲渡の申出をする行為は,本件特許権1を侵害し,また,本件特許権2を侵害するとみなされる行為であるところ,被告は,その侵害の行為について過失があったものと推定される(特許法103条)。
(2) 被告による本件特許権1及び同2の侵害行為により原告が受けた損害の額につき,原告は,特許法102条2項の適用を主張するところ,証拠(甲32,54ないし58)によれば,原告は,少なくとも被告各製品と競合する建築用壁パネルを販売しているものと認められるから,原告には,被告による本件特許権1及び同2の侵害行為がなかったならば利益が得られたであろう事情が認められるといえ,同条項の適用が認められるべきである(知財高裁平成24年(ネ)第10015号同25年2月1日特別部判決・判時2179号36頁)。
(3) そこで,上記侵害行為により被告が受けた利益につき検討する。
ア 原告は,本件特許権1の侵害による損害に関して,被告における平成23年1月1日から平成26年12月21日(本件特許権1の存続期間満了の日)までの間の被告各製品の売上高は合計8億1685万6414円(うち平成26年1月23日までの売上高は7億8021万6380円)であり,被告各製品の利益率はいずれも15パーセントを下回ることはないから,被告は,本件特許権1の侵害行為によって被告が受けた利益の額は,少なくとも合計1億2252万8463円(うち平成26年1月23日までの売上に係る利益は1億1703万2457円)であると主張する。
また,原告は,本件特許権2の侵害による損害に関して,被告における平成23年1月1日から平成27年4月20日までの間の被告各製品の売上高は合計8億1715万2306円(うち平成26年1月23日までの売上高は7億8021万6380円)であり,被告各製品の利益率はいずれも15パーセントを下回ることはないから,被告は,本件特許権2の侵害行為によって被告が受けた利益の額は,少 35 なくとも合計1億2257万2847円(うち平成26年1月23日までの売上に係る利益は1億1703万2457円)であると主張する。
イ これに対し,被告は,本件の第1回弁論準備手続において陳述した被告準備書面(1)において,損害額に関する原告の主張に対して「否認ないし争う。」とし,本件の第3回弁論準備手続期日において陳述した被告準備書面(3)において,被告各製品の販売時期について,被告製品1-1について平成24年12月以降,同1-2について平成23年10月以降,同4-1について平成24年のみ,同4-2について平成23年9月以降と主張したが,被告各製品の具体的な販売数量を主張することはなく,また,被告が受けた利益の額を積極的に明らかにすることもなかった。
ウ 原告は,平成27年11月20日,被告における平成23年1月1日から平成27年4月20日までの被告各製品の売上高及び利益の額が原告の主張する額であることを証明するため,特許法105条1項に基づき,被告に対し,被告各製品の販売量,販売単価,販売原価及び販売のために直接要した販売経費の額が記載されている書面である売上伝票,請求書控え,製造原価報告書及び経費明細書(製造経費及び販売経費)(以下,併せて「対象文書」という。)の提出を求める文書提出命令申立てを行った(当庁平成27年(モ)第3723号事件)。
当裁判所は,平成27年12月2日,被告に対し,決定の確定の日から14日以内に,対象文書を当裁判所に提出すべきことを命ずる決定(以下「本件文書提出命令」という。)をして,同日,決定書の正本が被告に送達された。本件文書提出命令は,平成27年12月9日の経過により確定したところ,被告は,上記提出期限内に,対象文書を当裁判所に提出しなかった。
エ 以上のとおり,被告は,当裁判所がした本件文書提出命令にもかかわらず,正当な理由なく,対象文書を提出しなかったものである。
そこで,民訴法224条1項又は3項の規定により,対象文書の記載に関する原告の主張を真実と認め,又は対象文書により証明すべき事実に関する原告の主張を 36 真実を認めることができるかについて検討する。
対象文書は,被告の売上伝票,請求書控え,製造原価報告書及び経費明細書(製造経費及び販売経費)であって,被告の業務に際して作成される会計帳簿書類であるから,その記載に関して,原告が具体的な主張をすることは著しく困難である。
また,原告が,対象文書により立証すべき事実(被告における平成23年1月1日から平成27年4月20日までの被告各製品の売上高及び利益の額が原告の主張する額であること)を他の証拠により立証することも著しく困難である。
そうすると,民訴法224条3項の規定により,被告における平成23年1月1日から平成27年4月20日までの被告各製品の売上高及び利益の額は,原告の主張,すなわち,被告は,平成23年1月1日から平成27年4月20日までの間に,被告各製品を販売して合計8億1715万2306円を売り上げ(うち平成26年1月23日までの売上高は7億8021万6380円,同年12月21日までの売上高は8億1685万6414円),かつ,被告各製品の利益率はいずれも15パーセントを下回ることはないとの事実を真実であると認めるのが相当である。なお,被告の平成22年4月1日から平成26年3月31日までの総売上の合計が53億6258万6000円であり,うち,完成工事高が36億2028万2000円,兼業事業売上高が17億4230万4000円であること,同期間中の兼業事業売上高に占める原価率は66.27パーセントであること(以上につき,甲70ないし77),被告は,被告製品1-1及び同1-2につき平成21年12月17日に,被告製品4-1及び同4-2につき平成23年11月7日に耐火認定(建築基準法及び同法施行令に規定する基準に適合することの認定)を受けたこと(当事者間に争いがない。)などの事実関係からすれば,上記真実擬制に係る事実は,客観的真実とも十分に符合しうるというべきである。
オ そうすると,被告は,本件特許権1の侵害により,8億1685万6414円に15パーセントを乗じて算出される1億2252万8462円(うち平成26年1月23日までの売上に係る利益は1億1703万2457円)の利益を受けた 37 ものと認められる。
(4) 上記(3)のとおり,被告が受けた利益の額は,本件特許権1の特許権者である原告が受けた損害の額と推定されるところ(特許法102条2項),上記推定を覆すに足りる具体的事情はうかがわれない。したがって,原告は,被告による本件特許権1の侵害行為により,1億2252万8462円(平成26年1月23日までの侵害行為による損害は1億1703万2457円)の損害を受けたものと認められる。
また,被告による本件特許権1の侵害行為と因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用として,上記損害額の1割(1225万2846円〔平成26年1月23日までの侵害行為による損害は1170万3245円〕)を認めるのが相当である。
しかるところ,原告は,本件特許権1の侵害による損害賠償請求と,本件特許権2の侵害による損害賠償請求のうち,侵害期間並びに損害額及び遅延損害金が重複する部分は,選択的請求の関係にあるとし,かつ,その一部請求として,7370万9039円及びこれに対する平成26年1月23日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めており,上記に認定したところによれば,本件特許権1の侵害により平成26年1月23日までに原告が受けた損害の額は,1億2873万5702円と認められるから,原告の上記損害賠償請求は,その全部に理由があることになる(本件特許権2の侵害により原告が受けた損害の額にかかわらず,原告の損害賠償請求はすべて理由がある。)。
7 結論 以上によれば,原告は,被告に対し,本件特許権1の侵害による不法行為に基づく損害賠償請求として,損害賠償金の一部である7370万9039円及びこれに対する不法行為後の日である平成26年1月23日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
また,原告は,被告に対し,特許法100条1項に基づき,本件特許権2の侵害とみなされる行為である被告各製品の輸入,使用,譲渡及び譲渡の申出の差止めを 38 求めることができ,併せて,同条2項に基づき,被告各製品及びその半製品(別紙被告製品説明書2の構成を有するものの製品として完成するに至らないもの)の廃棄を求めることができる。
よって,原告の請求はいずれも理由があるから,これらを認容することとし,主文のとおり判決する(仮執行の宣言については,被告各製品及び半製品の廃棄を求める点については,相当でないのでこれを付さないこととする。)。
追加
39 (別紙)被告製品目録下記1-1,1-2,4-1,4-2記載の製品名,タイプ及び表面材の表面形状の耐火パネル1-1製品名:エコバンド60タイプ:箱目地タイプ表面材の表面形状:リブ1-2製品名:エコバンド60タイプ:箱目地タイプ表面材の表面形状:フラット4-1製品名:不燃エコバンドタイプ:箱目地タイプ表面材の表面形状:リブ4-2製品名:不燃エコバンドタイプ:箱目地タイプ表面材の表面形状:フラット40 (別紙)被告製品説明書11.製品名等エコバンド60(箱目地タイプ)不燃エコバンド(箱目地タイプ)2.図面の説明[第1図]建築用パネル(エコバンド60)の断面図[第2図]建築用パネル(エコバンド60)を上下に嵌合した構造の断面図[第3図]建築用パネル(エコバンド60)を左右に接合した構造の断面図[第4図]建築用パネル(エコバンド60)の右上隅部のサンプルの写真;(a)正面図,(b)右斜め正面図,(c)右側面図,(d)背面図,(e)左側面図,(f)右方向からの要部拡大図,(g)左方向からの要部拡大図,(h)上方向からの要部拡大図[第5図]建築用パネル(エコバンド60)の右下隅部サンプルの写真;(a)左側面図,(b)底面図,(c)左斜め背面図,(d)左斜め側面図,(e)右斜め背面図[第6図]建築用パネル(エコバンド60)の左上隅部のサンプルの写真;(a)正面図,(b)左斜め正面図,(c)左側面図,(d)背面図,(e)右側面図,(f)左方向からの要部拡大図,(g)右方向からの要部拡大図,(h)上方向からの要部拡大図[第7図]建築用パネル(エコバンド60)の左下隅部サンプルの写真;(a)右側面図,(b)底面図,(c)右斜め背面図,(d)右斜め側面図,(e)右斜め背面図[第8図]建築用パネル(エコバンド60)の右隅部のパネル嵌合状態を示すサンプルの写真;41 (a)正面図,(b)右斜め正面図,(c)右側面図,(d)背面図,(e)左側面図,(f)要部拡大図[第9図]建築用パネル(エコバンド60)の左隅部のパネル嵌合状態を示すサンプルの写真;(a)正面図,(b)左斜め正面図,(c)左側面図,(d)背面図,(e)右側面図,(f)要部拡大図[第10図]建築用パネル(エコバンド60)の左右のパネル接続を示すサンプルの写真;(a)左側のパネルの右側端部の平面図,(b)右側のパネルの左側端部の平面図[第11図]建築用パネル(不燃エコバンド)の断面図3.構成の説明1a:カラーガルバリウム鋼板からなる方形の表面材10と裏面材20との間に,フェノールフォーム31と石膏ボード32からなる芯材30,又は,フェノールフォーム31からなる芯材30を挟持したパネルである。
1b:パネルの下端側には芯材端部より突出した雌型係合部40が形成され,対向するパネルの上端側には表裏両面材が内側に屈曲して形成される屈曲段差部6,24に続く雄型係合部50が形成され,隣接するパネルと嵌合接続が可能とされた建築用パネルである。
1c:嵌合接続方向に直角な方向の表面材10の両端部が芯材30の側面に沿ってL型に折り曲げられると共に,更にその先端が芯材厚みの表面から約1/3の位置からパネルの表面方向と平行になるように再度L型に折り曲げられて,全体としてパネルの嵌合方向と直角方向の側面11から表面材10の先端が突出された接合部材12を有する。
1d:芯材30の側面に沿ってL型に折り曲げられてなるパネルの側面11の表42 面材10が内側に屈曲して形成される屈曲段差部14を,雄型係合部50の屈曲段差部6を設けた位置のパネルの側面11に形成してなる。
4.芯材の説明芯材30は,エコバンド60では,フェノールフォーム31と石膏ボード32とにより構成され,不燃エコバンドでは,フェノールフォーム31により構成されている。
43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 (別紙)被告製品説明書21.製品名等エコバンド60不燃エコバンド2.図面の説明[第1図]壁(エコバンド60)の開口部の構造を示す断面図[第2図]第1図の壁の開口部の構造を分解した概略断面図[第3図]壁(エコバンド60)の開口部の構造を示す断面図(第1図とは別タイプ)[第4図]第3図の壁の開口部の構造を分解した概略断面図[第5図]壁(エコバンド60)の基礎部の構造を示す断面図[第6図]第5図の壁の基礎部の構造を分解した概略断面図[第7図](a)壁パネル(エコバンド60)を示す断面図,(b)壁パネル(エコバンド60)の嵌合構造を示す断面図[第8図]壁パネル(不燃エコバンド)を示す断面図3.構成の説明2a:壁パネルAの上端部に嵌合凸部2を形成するとともに下端部に嵌合凹部1を形成し,壁パネルAの下端に下位の壁パネルAの上端部の表面部を覆う覆い片3を垂下した壁パネルAの下端部の支持構造を有する。
2b:スタータ15を,覆い片3の背部の凹所4に入る断面L字状のL字部8と,凹所4よりもパネル背方のパネル下端面を受ける受片9と,受片9より下方に垂下されて壁下地10に取付ける取付け片11と,取付け片11より前方に延出されて覆い片3の下端とサッシ19又は水切り30との間に充55 填するシーリング23をバックアップするバックアップ片14とで構成している。
2c:壁下地10にスタータ15を取付け,スタータ15の受片9にて壁パネルAの下端部を支持している。
2d:スタータ15のバックアップ片14とサッシ19又は水切り30との間にバックアップ材21を装填して成る。
4.芯材の説明壁パネルAの芯材は,エコバンド60では,フェノールフォームと石膏ボードとにより構成され,不燃エコバンドでは,フェノールフォームにより構成されている。
56 57 58 59 60 61 62 63 64
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官 鈴木千帆
裁判官 天野研司
  • この表をプリントする