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事件 平成 27年 (ワ) 27570号 特許権侵害損害賠償請求事件

原告株式会社ビートソニック
同 訴訟代理人弁護士纐纈和義
同 吉野守
同 三宅優香子
同 小野田弦起
同 訴訟代理人弁理士三宅始
被告 株式会社トモキスペシャルパーツ
同 訴訟代理人弁護士三木浩太郎
同 補佐人弁理士松波祥文
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2016/03/17
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成27年10月10日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,原告が被告に対し,被告による別紙物件目録記載の各車両用ルー フアンテナ(以下「被告製品」と総称する。)の製造,販売等が原告の特許 権の侵害に当たる旨主張して,民法709条,特許法102条1項に基づく 損害賠償金1億円(一部請求)及びこれに対する特許権侵害行為の後の日で ある平成27年10月10日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所 定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提事実(当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容易に認定 できる事実) 当事者 原告は,車両用ルーフアンテナ等のカー用品の製造及び販売を目的とす る株式会社である。
被告は,各種自動車マフラー及び繊維強化プラスチック製の自動車用外 装部品の製造及び販売,自動車用品及び自動車用付属品の製造及び販売等 を目的とする株式会社である。
原告の特許権 ア 原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許出願の願書 に添付された明細書及び図面を「本件明細書」という。)の特許権者であ る。
特許番号 第4798721号 発明の名称 車両用ルーフアンテナ 出 願 日 平成20年5月26日 登 録 日 平成23年8月12日 イ 本件特許権の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりである(以下, この発明を「本件発明」という。)。
「内部にコイルアンテナを配設した合成樹脂製のカバーを,車両のルー フパネルに装着するようにした車両用ルーフアンテナにおいて, 前記カバーの底面開口の周縁部に形成した接合面を,両面粘着テープによ り車両のルーフパネルに貼り付けて該カバーを前記ループパネルに装着す るとともに, 保持筒を前記カバーの天井部から下向きに突設し,前記コイルアンテナの 下端部が,前記底面開口より上部に位置するように前記保持筒で前記コイ ルアンテナを保持したことを特徴とする車両用ルーフアンテナ。」ウ 本件発明は,以下の構成要件(以下,それぞれを「構成要件A」などと いう。)に分説される。
A 内部にコイルアンテナを配設した合成樹脂製のカバーを,車両のルー フパネルに装着するようにした車両用ルーフアンテナにおいて, B 前記カバーの底面開口の周縁部に形成した接合面を,両面粘着テープ により車両のルーフパネルに貼り付けて該カバーを前記ループパネル (注:「ルーフパネル」の誤記)に装着するとともに, C 保持筒を前記カバーの天井部から下向きに突設し, D 前記コイルアンテナの下端部が,前記底面開口より上部に位置するよ うに前記保持筒で前記コイルアンテナを保持したことを特徴とする車 両用ルーフアンテナ。
被告の行為等ア 被告は,平成23年2月頃から別紙物件目録記載1の製品(以下「イ 号製品」という。)を,平成24年2月頃から同2の製品(以下「ロ号製 品」という。)を,それぞれ製造販売している。
イ イ号製品の構成は次のとおりである(以下,それぞれを「構成a」などという。)。
a イ号製品は,アンテナカバー,アンテナ部,中枠,ゴム製シール材, 底板(ベースプレート)及び取付用粘着テープの各部品からなる。
b 前記アンテナ部は,一枚の広面積の金属板を前記アンテナカバーの 形状に合わせて折り曲げた平板アンテナ素子と,一本の金属棒の外周 にコイルを巻廻し該コイルを絶縁体により被覆した短軸アンテナ素子 を,ネジ止めにより通電可能に接続した複合体である。
c 前記アンテナ部は,前記アンテナカバーの上部内側に接着剤で固定 されている。固定された前記アンテナ部の下端部は,前記底板より上 部に位置する。前記アンテナ部を前記アンテナカバーの上部内側に接 着剤で固定した状態において,前記平板アンテナ素子に接続された前 記短軸アンテナ素子の軸心は垂直方向から約45度傾斜している。
d 前記アンテナカバー内部には,前記アンテナ部のほか,ゴム製シー ル材及び底板をネジ止めするための中枠が接着剤で固定されている。
e 前記アンテナカバー底部外周には,防水用の前記ゴム製シール材が はめ込まれている。
f 前記アンテナカバーの下部には,前記底板が前記中枠とネジ止めさ れ,前記ゴム製シール材を固定している。前記底板には,既設の純正 アンテナベースの形状に適合した開口部が設けられている。
g 前記底板の該開口部以外の部分は,取付用粘着テープを貼付する台 座に用いられる。
h イ号製品は,前記取付用粘着テープにより車両のルーフパネルに装 着する,車両用ルーフアンテナである。
ウ ロ号製品の構成は次のとおりであり(以下,それぞれを「構成a’」などという。なお,d’は欠番である。),イ号製品との主な違いは,中枠がないこと及び短軸アンテナ素子の軸心の傾斜角度が特定されていないことである。
a’ロ号製品は,アンテナカバー,アンテナ部,ゴム製シール材,底板 (ベースプレート)及び取付用粘着テープの各部品からなる。
b’前記アンテナ部は,一枚の広面積の金属板を前記アンテナカバーの 形状に合わせて折り曲げた平板アンテナ素子と,一本の金属棒の外周 にコイルを巻廻し該コイルを絶縁体により被覆した短軸アンテナ素子 を,ネジ止めにより通電可能に接続した複合体である。
c’前記アンテナ部は,前記アンテナカバーの上部内側に接着剤で固定 されている。固定された前記アンテナ部の下端部は,前記底板より上 部に位置する。
e’前記アンテナカバー底部外周には,防水用のゴム製シール材がはめ 込まれている。
f’前記アンテナカバーの下部には,底板が前記アンテナカバーとネジ 止めされ,前記ゴム製シール材を固定している。前記底板には,既設 の純正アンテナベースの形状に適合した開口部が設けられている。
g’前記底板の該開口部以外の部分は,取付用粘着テープを貼付する台 座に用いられる。
h’ロ号製品は,前記取付用粘着テープにより車両のルーフパネルに装 着する,車両用ルーフアンテナである。
2 争点及び争点に対する当事者の主張 構成要件A及びBの充足性(なお,原告は被告製品が構成要件C及びD を文言上充足しないことを認めている。) (原告の主張) 被告製品はいずれも,内部に短軸アンテナ素子を配設した合成樹脂製の アンテナカバーを,車両のルーフに装着するようにした自動車のルーフ用 マウントアンテナである。短軸アンテナ素子は単独でもアンテナとして機 能するから本件発明の「コイルアンテナ」に該当し,その余の構成も構成 要件Aを満たすことは明らかである。
また,被告製品はいずれも,アンテナカバーの底面に備えた底板に開口 部が形成されており,その周縁部に形成された接合面を両面粘着テープに より車両のルーフに貼り付けてアンテナカバーをルーフに装着できるから, 構成要件Bを充足する。
(被告の主張) 被告製品のアンテナ部はいずれも,相互に通電可能に接続された平板ア ンテナ素子と短軸アンテナ素子の複合体であり(構成b及びb’),各素 子はアンテナ部の構成要素であって独立してアンテナの機能を果たすもの ではない。したがって,短軸アンテナ素子は本件発明の「コイルアンテ ナ」に該当せず,構成要件Aを充足しない。
構成要件Bの「カバーの底面開口」とは,本件明細書の記載等に照らし カバー本体の底部が開放され遮へいされていないことをいう。これに対し, イ号製品のアンテナカバーの下部には中枠とネジ止めされた底板があり (構成f),ロ号製品のアンテナカバーの下部にはアンテナカバーとネジ 止めされた底板があって(構成f’),これら底板に開口部が設けられ開 口部以外の部分が取付用粘着テープを貼付する台座になっているから(構 成f及びf’,g及びg’),被告製品はいずれも構成要件Bを充足しな い。
均等による本件特許権侵害の成否(原告の主張) 本件発明がコイルアンテナの保持手段として保持筒を備えるのに対し (構成要件C及びD),被告製品はコイルを巻廻した一本の金属棒(構成 b及びb’)を備える点で相違する。
しかし,以下のとおり,この相違点は構成要件C及びDと均等であり, 被告製品はいずれも本件発明の技術的範囲に属する。
ア 本件発明の本質的部分は,@ コイルアンテナがカバーの天井部から下 コイルアンテナの下端部がカバーの 底面開口より上部に位置するように保持されている点にある。すなわち, 上記@により,カバーをルーフパネルに装着したとき,コイルアンテナ がルーフパネルから立ち上がった姿勢となってコイルアンテナの感度が 向上し,上記Aにより,ルーフパネルに沿ってカバー内を流れる雨水等 と接触することがない(本件明細書の段落【0015】)。保持筒は上 記@及びAを満たすようコイルアンテナを保持する手段にすぎず,その 保持手段が筒状部材であることは本件発明の本質的部分ではない。
イ 被告製品はいずれも,短軸アンテナ素子がアンテナカバーの天井部か バーの底面開口の上方に保持されている点で,本件発明の特徴的構成を 備えており,本件発明の作用効果と同じ上記ア記載の作用効果を奏する から置換可能である。
ウ コイルの保持手段としてコイルを筒状部材に挿入することも棒状部材 に巻き付けることも公知であり設計上の選択事項にすぎない。当業者に とって,本件発明における保持筒を棒状の短軸アンテナ素子に置換する ことは容易想到である。
エ コイルアンテナを保持するという被告製品の構成は本件特許の出願時に 公知であったとはいえず,当業者が容易に推考できたともいえない。
オ 被告製品のアンテナはいずれも平板アンテナ素子と短軸アンテナ素子 の複合体であり,原告が本件の特許出願手続において意識的に除外した アンテナとは異なる。
(被告の主張) 被告製品は,保持筒を有しないほか,コイルアンテナを有しない点(上 れた部材が存在しない点でも本件発明と相違するところ,以下のとおり, これらの相違点は均等侵害が成立する要件を満たさない。
ア 本件明細書の記載(段落【0002】〜【0005】,【0009】, 【0013】,【0014】,【0019】)によれば,本件発明は,本 体底部に防水対策がされず開放されているカバー内に,その天井から下向 きになるよう一体成形された保持筒にコイルアンテナの上端部を挿入して 保持することを技術的本質とし,これによりカバー部材に防水対策の必要 がないという効果を奏するものであるから,上記相違点は本件発明の本質 的部分に関するものである。
イ 被告製品はいずれも底板,ゴム製シール材等により防水対策が施され ており,本件明細書記載の公知の従来技術と同じである。
ウ 原告は,本件の特許出願手続において,当初請求項に記載されていた 「合成樹脂製のカバーに埋め込んだアンテナ」及び「プラスチックフィ ルムに導電パターンを形成した導電膜アンテナとし,カバー内側壁面に 配設したアンテナ」を削除し意識的に除外したところ,被告製品のアン テナ(構成b及びb’)及びその固定方法(構成c及びc’)はこれに 類する。
原告の損害額 (原告の主張) 原告は,被告製品と競合する車両用ルーフアンテナ(製品名「FM/A Mドルフィンアンテナ」)を製造販売しており,利益額は1個当たり30 79円である。
被告製品の過去3年間の販売個数は9万〜18万個と推定されるから, 原告の損害額は2億7711万〜5億5422万円となり(特許法102 条1項),原告は本件においてその一部である1億円を請求する。
(被告の主張) 争う。
当裁判所の判断
1 本件発明の構成要件Bは,「カバーの底面開口の周縁部に形成した接合面を, 両面粘着テープにより車両のルーフパネルに貼り付け」るというものであり, 接合面はカバー底面に設けられていることが特許請求の範囲の文言自体から 明らかである。また,本件明細書(甲2)の記載によれば,本件発明は特許 請求の範囲に記載の構成を採用することにより,防水対策の必要がなく,構 成が簡易で部品点数が少ない安価な車両用ルーフアンテナを提供するもので あり(段落【0005】,【0009】),実施例でも,カバーが軟質の合 成樹脂製であるため接合面がルーフパネルの曲面に沿って接合するとされる など,接合面がカバー本体に形成されていることが示されている(段落【0 014】,【0015】,【図3】)。
他方,イ号製品では,アンテナカバーに接着剤で固定された中枠に底板がネ ジ止めされ(構成d及びf),ロ号製品では,アンテナカバー下部に底板が ネジ止めされており(構成f’),いずれについても底板が取付用粘着テー プの台座となって車両のルーフパネルに装着される(構成f〜h及びf’〜 h’)とされている。また,アンテナカバー底部外周には防水用のゴム製シ ール材がはめ込まれている(構成e及びe’)。
以上によれば,被告製品においては,取付用粘着テープの台座となってルー フパネルに装着される部分が「接合面」に当たるところ,接合面はアンテナ カバーとは別部材である底板に形成されている。そして,防水対策が施され ており,部品点数が少ないともいえないから,被告製品はいずれも構成要件 Bを充足しないというべきである。
2 特許請求の範囲に記載された構成中に特許権侵害訴訟の対象とされた製 品と異なる部分が存する場合であっても,@ 上記部分が特許発明の本質的 部分ではなく,A 上記部分を当該製品におけるものと置き換えても特許発 明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,B そのように置き換えることに特許発明の属する技術の分野における通常の 知識を有する者(当業者)が当該製品の製造時点において容易に想到することができたものであり,C 当該製品が特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考することができたものではなく,かつ,D 当該製品が特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,当該製品は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明技術的範囲に属するものと解すべきである(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。
被告製品がいずれも構成要件Bを充足しないことは上記1のとおりであり,保持筒を備えず構成要件C及びDを文言上充足しないことは当事者間に争いがない。原告は構成要件Bについて均等侵害を主張しないから,その余の点について判断するまでもなく原告の請求には理由がないことに帰するところ,念のため,原告が主張する構成要件C及びDに係る均等侵害の成否についても判断する。
ルアンテナを保持するという構成(構成要件C及びD)であるのに対し,被告製品はいずれも,一本の金属棒の外周にコイルを巻廻した短軸アンテナ素子を平板アンテナ素子にネジ止めして通電可能に接続することでアンテナ部を形成し,当該アンテナ部をアンテナカバーの上部内側に接着剤で固定したという構成(構成b及びb’,c及びc’)であって,アンテナ部が短軸アンテナ素子と平板アンテナ素子の複合体であり,短軸アンテナ素子の一部であるコイルは金属棒に巻廻され,保持筒がなく,アンテナ部がアンテナカバーに接着剤で固定されている点で本件発明と相違する。
各証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。
ア 本件明細書には要旨以下の記載がある。(甲2) 従来の車両用ルーフアンテナは,カバー部材内部に配設される電子部品に対する防水対策のため,カバー部材の底面開口をボトムプレートでふさぐとともに該ボトムプレートの周囲を覆うガスケットを配置するなどして密閉性を確保していた。しかし,防水対策を施すためには多くの部品及びその部品加工の精度を高める必要があり高価となる。
また,内部気圧が低くなると隙間から雨水や洗浄水が浸入するおそれがあり,いったん内部に水分が侵入すると施された防水対策のために逆に排水されにくく,カバー部材内部の湿度が高まって電子部品の破壊,アンテナケーブルの腐食などの問題が生じていた。(背景技術。
段落【0002】〜【0004】)本件発明は,上記問題点を解決するため,防水対策の必要がなく構成が簡易で部品点数が少ない安価な車両用ルーフアンテナを提供することを目的とする。(発明が解決しようとする課題。段落【0005】)本件発明では,コイルアンテナを保持する保持筒をカバーの天井部の底面開口より上部に位置する下端部が,カバーとルーフパネルとの隙間から浸入しルーフパネルに沿ってカバー内を流れる雨水等と接触することがないから,カバー内部を密閉する防水対策の必要がない。
(発明の効果。段落【0009】)カバーの上面には突出部が一体成形され,該突出部の内部には保持筒部が下向きに一体成形され,突出部の内面壁の両側にはブースターアンプ等を係止する係止爪が一体成形される。保持筒部にはスパイラル式のコイルアンテナの上端部が挿入されて保持され,該アンテナの下端はカバーの底面開口よりも上部に位置する。(実施例。段落【0013】,【0014】,図2,4) イ 原告は,本件の特許出願手続において,当初,スパイラル式のコイルアンテナを用いる場合にその上端部を保持する保持筒はカバーの天井部から下向きに一体成形されるものであることを特許請求の範囲の請求項の一つとしており,当初の明細書及び図面にも保持筒がカバーと一体成形される構成以外の構成は開示されていない。(乙1の1〜4)ウ 被告製品の短軸アンテナ素子はサイズが小さくコイルの巻数が少ないため,それのみでは車両にあらかじめ設置されているポールアンテナに比し受信感度が低く電気特性の良好な帯域幅も少ない。これを補うため,アンテナカバー上部の形状に合わせて形成した広面積の金属板からなる平板アンテナ素子を短軸アンテナ素子に通電可能に接続することで,上記ポールアンテナと同程度の受信感度を確保している。(甲10) 以上認定の事実に基づいて検討すると,本件発明は,カバーと一体成形するという構成により,簡易な構成で部品点数を少なくするという作用効果を奏するものということができる。これに対し,被告製品のアンテナ部は,いずれも平板アンテナ素子と短軸アンテナ素子をネジ止めにより通電可能に接続した複合体であり,これを別部品であるアンテナカバーに接着剤で固定するため,アンテナカバー及びコイル以外に少なくとも金属棒及び絶縁体(短軸アンテナ素子の構成部品),アンテナカバー上部の形状に合わせて形成した金属板(平板アンテナ素子)並びに短軸アンテナ素子と平板アンテナ素子を接続するためのネジを要する。このように被告製品は,本件発明のカバー,保持筒及びアンテナコイルに代えて相当多数の部品を要しその構成も複雑であるから,本件発明と同一の作用効果を奏するということはできない。
したがって,その余の要件について判断するまでもなく,構成要件C及びDについての均等侵害は成立しない。
3 結論 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 藤原典子
裁判官 萩原孝基