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関連審決 無効2014-800040
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事件 平成 27年 (行ケ) 10059号 審決取消請求事件

原告近江度量衡株式会社
同訴訟代理人弁護士 松浦康治
同 迫友広
同 弁理士 楠本高義
同 浅野哲平
同 竹本松司
同 白石光男
同 一宮誠
被告シブヤ精機株式会社
同訴訟代理人弁護士 永島孝明
同 安國忠彦
同 朝吹英太
同 安友雄一郎
同 野中信宏
同 弁理士 磯田志郎
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2015/12/10
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
1事実及び理由第1 請求特許庁が無効2014−800040号事件について平成27年2月25日にした審決を取り消す。
第2 事案の概要1 特許庁における手続の経緯等(1) 被告は,平成10年10月23日,発明の名称を「農産物の選別装置」とする発明について特許出願(特願平10−302617号。以下「本件出願」という。)をし,平成17年7月22日,設定の登録(特許第3702110号)を受けた(請求項の数6。甲1。以下,この特許を「本件特許」という。。
)(2) 原告は,平成26年3月17日,本件特許の請求項1,2,3,5及び6に係る発明について特許無効審判を請求し,無効2014−800040号事件として係属した。
(3) 特許庁は,平成27年2月25日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年3月5日,原告に送達された。
(4) 原告は,平成27年3月30日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
2 特許請求の範囲の記載本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし6の記載は,次のとおりである。以下,請求項1ないし6に係る発明をそれぞれ「本件発明1」ないし「本件発明6」といい,併せて「本件発明」という。また,本件発明に係る明細書(甲1)を,図面を含め,「本件明細書」という。
【請求項1】搬送手段に連結されていない受皿と,農産物供給位置から農産物包装作業位置に渡って農産物を載せた受皿を搬送する搬送手段とを備え,この搬送手段には,この2受皿上の農産物を選別仕分けする情報を計測するために上記搬送手段の途中に設定された計測軌道領域,及び該計測軌道上で計測された仕分け情報に基づいて個々の受皿上の農産物を排出するように所定の仕分区分別の仕分ラインが多数分岐接続されている搬送手段下流側の仕分排出軌道領域を設定し,前記各受皿に,その上に載せられている農産物の仕分け情報を直接又は識別標識を介して間接的に読出し可能に記録し,前記仕分排出軌道領域の上流に設けた読出し手段により個々の受皿の農産物仕分け情報を読出して該当する仕分区分の仕分ラインに該受皿を排出する農産物の選別装置において,前記仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたことを特徴とする農産物の選別装置。
【請求項2】請求項1において,前記仕分ラインは,仕分けるべき全ての区分毎に少なくとも1条設けられていることを特徴とする農産物の選別装置。
【請求項3】請求項1又は2において,搬送手段から各仕分区分の仕分ラインに受皿を排出制御する排出手段と,各仕分ラインに排出された受皿の貯溜状態を監視する監視手段とを備え,受皿が満杯状態の仕分区分には受皿を排出させないことを特徴とする農産物の選別装置。
【請求項4】請求項1ないし3のいずれかにおいて,仕分ラインは搬送手段の水平横方向に分岐延出して設けられ,リターンコンベアはこれら仕分ラインを構成するコンベアの下方を前記搬送手段に並行して延設されていることを特徴とする農産物の選別装置。
【請求項5】請求項1ないし4のいずれかにおいて,リターンコンベアで戻された受皿の搬送3手段への送り込みのために,該搬送手段上の受皿が途切れたときに該送り込みを行う送り込み制御手段を設けたことを特徴とする農産物の選別装置。
【請求項6】請求項5において,受皿の搬送手段への送り込み制御手段は,搬送手段上の受皿の途切れが受皿一個分以上であることを検知する途切れ長さ検知手段と,常時はリターンコンベアで戻された受皿を搬送手段への送り込み位置の手前で停止させかつ前記該検知手段の検知に連動して該停止を解除して送り込みを行わせるストッパ手段とを備えていることを特徴とする農産物の選別装置。
3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。要するに,@本件発明1,2,5及び6は,下記アの引用例1に記載された発明ではない,A本件発明1,2,3,5及び6は,(a)下記アの引用例1記載の発明及び下記イの引用例2記載の発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たとはいえない,(b)下記ア及びイの引用例1及び2記載の発明並びに下記ウないしキの公知例1ないし5に記載された公知公用の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たとはいえないことから,特許法29条1項3号又は同法29条2項の規定により,本件発明1,2,3,5及び6についての特許を無効とすることはできない,などというものである。
ア 引用例1:特開平5−50041号公報(甲2)イ 引用例2:実願平5−74395号(実開平7−40634号公報)のCD−ROM(甲3)ウ 公知例1:JA松本ハイランドのスイカ選果包装施設配置図(甲6)エ 公知例2:JA松本ハイランドのスイカ選果包装施設感謝状(甲7)オ 公知例3:JA松本ハイランドすいか集出荷施設のパンフレット(甲8)カ 公知例4:日本農業新聞の平成10年6月19日付けJA松本ハイランドすいか集出荷施設の記事(甲9)キ 公知例5:施設建設契約書(甲10)4(2) 本件審決が認定した引用例1記載の発明(以下「引用発明1」という。)は,次のとおりである。
搬送手段に連結されていない受皿と,農産物供給位置から自動箱詰装置11に渡って青果物を載せた受皿を搬送する搬送手段とを備え,この搬送手段には,この受皿上の青果物を選別するための所定の計測項目を計測するために搬送手段の途中に設定された読取計測手段3,及び読取計測手段3で計測され判定された仕分クラスに基づいて個々の受皿上の青果物を排出するように仕分クラスの数よりも所定数少ない数の排出装置60にそれぞれ対応して設けられたアキュームレート可能なコンベアで構成される箱詰プール装置10が接続されている搬送手段下流側の仕分排出領域を設定し,各受皿に,その上に載せられている青果物の仕分クラスをバーコード(を)介して読み出し可能に記録し,前記仕分排出領域の上流に設けた仕分読取装置50により受皿の青果物仕分クラスを読み出して該当する箱詰プール装置10に受皿を排出する青果物の選別装置において,前記仕分排出領域から,仕分クラスの排出位置が指定されている受皿は箱詰プール装置10に仕分け,仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿はプールコンベア82にプールしておき,仕分クラスの排出位置を切り換えるときに仕分読取装置50の前段へ受皿を還元するリターン手段とからなる青果物の選別装置。
(3) 本件発明1と引用発明1との対比本件審決が認定した本件発明1と引用発明1との一致点及び相違点は,以下のとおりである。
ア 一致点搬送手段に連結されていない受皿と,農産物供給位置から農産物包装作業位置に渡って農産物を載せた受皿を搬送する搬送手段とを備え,この搬送手段には,この受皿上の農産物を選別仕分けする情報を計測するために上記搬送手段の途中に設定された計測軌道領域,及び該計測軌道上で計測された仕分け情報に基づいて個々の受皿上の農産物を排出するように仕分ラインが分岐接続されている搬送手5段下流側の仕分排出軌道領域を設定し,前記各受皿に,その上に載せられている農産物の仕分け情報を直接又は識別標識を介して間接的に読出し可能に記録し,前記仕分排出軌道領域の上流に設けた読出し手段により個々の受皿の農産物仕分け情報を読出して該当する仕分区分の仕分ラインに該受皿を排出する農産物の選別装置。
イ 相違点「計測軌道上で計測された仕分け情報に基づいて個々の受皿上の農産物を排出するように仕分ラインが分岐接続されている搬送手段下流側の仕分排出軌道領域を設定し」に関して,本件発明1においては,「該計測軌道上で計測された仕分け情報に基づいて個々の受皿上の農産物を排出するように所定の仕分区分別の仕分ラインが多数分岐接続されている搬送手段下流側の仕分排出軌道領域を設定し」 「前記仕分排出軌道,領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」に対し,引用発明1においては,「読取計測手段3で計測され判定された仕分クラスに基づいて個々の受皿上の青果物を排出するように仕分クラスの数よりも所定数少ない数の排出装置60にそれぞれ対応して設けられたアキュームレート可能なコンベアで構成される箱詰プール装置10が接続されている搬送手段下流側の仕分排出領域を設定し」 「前記仕分排出領域から,仕分クラスの排出位置が指定されて,いる受皿は箱詰プール装置10に仕分け,仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿はプールコンベア82にプールしておき,仕分クラスの排出位置を切り換えるときに仕分読取装置50の前段へ受皿を還元するリターン手段とからなる」点。
4 取消事由6(1) 新規性判断の誤り(取消事由1)(2) 進歩性判断の誤り(取消事由2)第3 当事者の主張1 取消事由1(新規性の判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 引用発明1の認定の誤り引用例1記載の選別装置は,仕分クラスの数よりも所定数少ない数の排出装置を搬送手段の搬送路に沿って設けるとともに,仕分制御手段により仕分クラスの排出位置が切換可能で,かつ,所定数の仕分クラスの排出位置が指定されないように設け,前記排出装置により排出されない前記仕分クラスの青果物を仕分読取装置の前段ヘ再び還元するように構成したものであり,このように,搬送手段に沿って設けられる排出装置を仕分クラスの数よりも少なく配置したため,この排出装置に対応して設けられる箱詰装置は,仕分クラスの数と同数を配置する従来のものと比較して少なくて済み,選別装置全体を小型にすることができるとともに,箱詰め作業に従事する作業者も同様に少なくて済み,合理化及び省力化に効果がある(【0044】〜【0046】。
)引用例1の実施例によれば,仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)に関する構成は,受皿の排出されるコンベア(箱詰プール装置10)が仕分クラスよりも所定数少なく設けられること,各排出位置の指定は切換可能であること,排出位置の指定がないため排出されない仕分クラスの青果物入り受皿(並の受皿)は,リターン手段によって仕分読取装置50の前段ヘ戻されることである。このような構成を採用することにより,仕分クラスの数と同数の排出装置を配置する従来のものと比較して,排出装置に対応して設けられる箱詰装置が少なくて済み,選別装置全体を小型にすることができるという効果を奏する。
これに対して,引用例1の実施例では,上記構成に加え,排出位置が指定されてない受皿を「プールコンベア82にプールしておく」ことや,受皿を「仕分クラス7の排出位置を切り換えるときに」仕分読取装置の前段へ還元するという構成が追加されている。このような構成を採用すれば,排出位置が指定されてない受皿がリターン手段を経由して搬送コンベア上を回り続けることになることは回避されるものの,この構成は,仕分クラスの数と同数の排出装置を配置する従来のものと比較して,排出装置に対応して設けられる箱詰装置が少なくて済み,選別装置全体を小型にすることができるという引用発明1の効果をもたらすものではない。このように「プールコンベア82にプールしておく」ことやリターン手段によって戻す時期を「仕分クラスの排出位置を切り換えるとき」とすることは,引用発明1にとって任意の構成にすぎないから,引用発明1の認定においては,これらの構成を付加すべきではない。
(2) 相違点の認定の誤り(オーバーフローについて(その1))ア 本件審決は,本件発明1における「オーバーフロー」とは,仕分ラインなる仕分箇所が設定されているにもかかわらず,仕分箇所が満杯の場合,仕分箇所へ排出する手段の動作不良,故障などの場合により,その仕分箇所に受皿が排出されないことであり,該「オーバーフロー」した受皿は「リターンコンベア」により再度仕分け工程に戻されるものであるのに対し,引用発明1における「プールコンベア82」及び該コンベアの下流側に配置される「リターン手段」は,「受皿」を「仕分クラスの数よりも所定数少ない数の」「箱詰プール装置10」に仕分けた後に,「仕分クラスの排出位置を切り換え」て,残りの仕分クラスの仕分に供するためにプールしておいた「受皿」をリターンするものであり,本件発明1のように,いずれかの「排出装置60」及び「箱詰プール装置10」に排出位置指定があるにもかかわらず,満杯などの原因により「受皿」が排出されないというものではないと判断した。
イ しかし,本件明細書の【0012】【0023】【0025】【0053】, , , ,【0054】【0058】の記載によれば,受皿が仕分排出軌道領域で仕分ライン,に排出されないことをもって,「オーバーフロー」とされている。また,本件発明82との対比から,本件発明1には,仕分ラインの条数が全ての仕分区分数よりも所定数少ない場合が含まれ,その場合には,排出位置の指定がないために仕分ラインに排出されずに上流側に返還される受皿も当然に発生し,これも本件発明1の「オーバーフロー」した受皿に含まれる。したがって,本件発明1の「オーバーフロー」とは「仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されないこと」を意味するものであって,排出位置の指定がないために仕分ラインに排出されない場合も含む。
引用発明1において,排出位置の指定のない受皿は仕分排出軌道領域で排出されないが,このような場合も本件発明1の「オーバーフロー」に該当するから,引用発明1の「箱詰プール装置10に排出されない受皿」は,本件発明1の「仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」に含まれる。その上,箱詰プール装置10上に受皿が満杯で排出できない場合や排出装置60の動作不良,故障等で排出できない場合というのは,構成のいかんにかかわらず不可避的に発生する事象であって,引用発明1は,そのような事象にも対応できる構成である。
したがって,引用発明1においても,受皿はオーバーフローしており,その概念も存在するから,本件発明1と引用発明1との間に,オーバーフローについて,本件審決が認定する相違点は存在しない。
(3) 相違点の認定の誤り(オーバーフローについて(その2))ア 本件審決は,引用発明1の「プールコンベア82」は,「仕分クラスの排出位置を切り換え」て仕分するといった,次回工程の仕分に必要な「青果物」を載せた「受皿」をプールするものであり,「仕分クラスの数よりも所定数少ない数の」「排出装置60」及び「箱詰プール装置10」への排出位置指定とともに,残りの「仕分クラス」についても「プールコンベア82」へ排出位置指定を行うものといえるから,残りの仕分クラスの仕分には関係のない,「所定数少ない数の仕分クラス」においてオーバーフローした受皿をプールする「プールコンベア82」として,引用例1の記載を理解することはできないし,該「プールコンベア82」の下流に9配置される「リターン手段」についてもオーバーフローした受皿を還元するものとして,引用例1が記載されているとはいえないとした上で,「箱詰プール装置10」及び「プールコンベア82」における仕分は,「箱詰プール装置10」及び「プールコンベア82」に貯留可能な範囲の量を前提とした,すなわち仕分全体として一定量に調整された状態での仕分であるから,オーバーフローという概念は存在し得ないと判断した。
イ しかし,前記(2)イのとおり,本件発明1においてオーバーフローとは,仕分排出軌道領域において仕分ラインに排出されないことであり,その原因としては,仕分ラインが満杯である場合,排出装置に動作不良,故障等がある場合,仕分ラインが指定されていない場合などがあり得る。
そして,引用発明1においても,仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)において,箱詰プール装置10の数は仕分けるべきクラスより少ないため,仕分クラスが指定されていない青果物を載せた受皿が箱詰プール装置10に排出されないが,このような理由で仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)において排出されないことも,オーバーフローに含まれる。また,引用発明1においても,箱詰プール装置10上に受皿が満杯で排出できない場合や排出装置の動作不良,故障等で排出できない場合が常識的に想定できるのであって,引用発明1は,そのような場合にも対応できる構成であるところ,本件審決の認定からすれば,このような場合こそがオーバーフローとなるものである。そうすると,本件審決は,引用発明1がこのような場合に対応できる点をあえて認定しないものであって,引用発明1には「オーバーフローという概念は存在し得ない。」とした前記アの判断は,不当である。
また,引用例1の補正により追加された甲12(特許第3071249号公報)の請求項1の構成は,本件発明1の構成と実質同一である。そして,引用例1の上記補正は,引用発明1の「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」されたものというべきであるから,甲12は,引用例1における10自明事項を証明するものであって,本件審決は,引用例1の記載事項,特に自明事項の認定を誤るものである。
(4) 相違点の認定の誤り(その他)ア 引用発明1において,リターン手段で還元される受皿は,仕分クラスの排出位置が指定されてない(そのために仕分排出領域から箱詰プール装置10に排出されなかった)受皿だけでなく,箱詰プール装置10の満杯や排出装置の動作不良,故障等の理由で仕分排出領域から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿も含まれるから,相違点に係る引用発明1の「仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿」との部分は,「仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿」と認定されるべきである。
イ 引用例1には,「アキュームレート可能なコンベアで構成される」と記載されているものの,箱詰のためには一定のまとまった数の農産物をプールする必要があるので,選別コンベアから分岐して箱詰装置に至るコンベアは,アキュームレート(蓄積すること)が可能なコンベア(一般にプールコンベアと称される)で構成されるものであって,コンベア上に受皿の蓄積が可能であることが開示されているにすぎず,どの程度の蓄積が可能かについての記載はない。本件発明1の仕分ラインを構成するコンベアも,実施例では自動箱詰装置に接続しているのであるから,当然,「アキュームレート可能な」コンベアであると考えられるし,本件明細書の【0020】に,「仕分ラインをなす仕分コンベアは,貯溜と集積の作用を行うコンベア装置を含むように構成することができる。」と記載されているように,貯留・集積が可能な仕分ラインの構成を排除しているわけでもない。
したがって,「アキュームレート可能なコンベアで構成される」との点は,相違点ではない。
ウ 受皿がリターン手段で還元される位置は,引用発明1においても,仕分読取装置50の前段であって,受皿上の青果物の計測は終わっている(再度計測する必要はない)のであるから,この点は,相違点ではない。
11エ よって,引用発明1における仕分排出軌道領域に係る構成は,以下のとおりである。なお,引用発明1の「第2仕分コンベア106」は,本件発明1の「仕分排出軌道領域」に相当するものである。
「読取計測手段3で計測され判定された仕分クラスに基づいて個々の受皿上の青果物を排出するように仕分クラスの数よりも所定数少ない数で排出する仕分クラスの切換が可能な箱詰プール装置10が接続されている搬送手段下流側の第2仕分コンベア106を設定し,前記第2仕分コンベア106から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターン手段を設けると共に,このリターン手段により戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と仕分読取装置50の間としたこと」そうすると,相違点は,本件発明1にある「オーバーフローした」との文言が,引用発明1には存在しないことのみである。しかし,この点は,前記(2)及び(3)のとおり,実質的には相違点ではない。
(5) 小括以上のとおり,本件審決は,引用発明1の認定を実施例に基づいて行っており,しかも実施例についての理解を誤っているため,引用発明1の認定も誤っている。
そして,引用発明1の仕分排出軌道領域に係る構成と,これに対応する本件発明1の構成とは,「オーバーフロー」の文言の有無が異なるものの,その意味は,仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)から仕分ライン(箱詰プール装置10)に排出されなかったことであると解釈すべきであるから,両者の構成は同一である。
したがって,本件発明1は引用発明1と同一であるから,本件発明1に係る特許は,特許法29条1項3号の規定に違反し,同法123条1項2号に該当し無効であって,この点に関する本件審決の判断は誤っており,取り消されるべきである。
〔被告の主張〕(1) 引用発明1の認定について12引用例1の記載によれば,引用発明1は,仕分クラスの数よりも少ない排出装置を設け,排出位置が指定されている受皿については,該当する排出装置によってアキュームレート可能なコンベアで構成される箱詰プール装置10に排出され,排出位置が指定されていない受皿については,リターンコンベア81を介して,アキュームレート可能なコンベアで構成される第2プールコンベア82に送られ,タイミング送り装置により,所定のタイミングで第2プールコンベア82の終端部82bから合流コンベア105に送出する構成である。
このように,引用発明1では,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿をリターン手段に仕分ける構成であるから,リターン手段は,箱詰プール装置10と同様に,アキュームレート可能なコンベアで構成される第2プールコンベア82を必要とする。また,引用発明1において,排出位置が指定されていない受皿は,第2プールコンベア82の終端部82bから合流コンベア105に送出されるが,排出位置を切り換えない限り,箱詰プール装置10に排出されず,再びリターン手段に送出されるだけであるから,排出位置を切り換えないで還元させても無意味であり,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿を箱詰プール装置10に排出するためには排出位置を切り換えてから還元させることが必要である。
このように,排出位置が指定されてない受皿を「プールコンベア82にプールしておく」ことや,このような受皿を「仕分クラスの排出位置を切り換えるときに」仕分読取装置50の前段へ還元するという構成は,引用発明1の選別装置を実現するために必要不可欠な構成であって,これらの構成が引用発明1の「仕分クラスの数と同数を配置する従来のものと比較して少なくて済み選別装置全体を小型にすることができる」という効果をもたらすものではないとの原告の主張には理由がない。
したがって,本件審決が,引用発明1について,「仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿はプールコンベア82にプールしておき,仕分クラスの排出位置を切り換えるときに仕分読取装置50の前段へ受皿を還元するリターン手段」と認定したことに誤りはない。
13(2) 相違点の認定について(オーバーフローについて(その1))ア 本件発明1の「仕分排出軌道領域」に関する請求項1の記載及び本件明細書の【0023】〜【0025】【0060】の記載によれば,本件発明1における,「オーバーフロー」とは,仕分ラインなる仕分箇所が設定されているにもかかわらず,仕分箇所が満杯の場合,仕分箇所へ排出する手段の動作不良,故障等の場合により,その仕分箇所に排出できない状態をいい,本件発明1の「リターンコンベア」とは,所定の仕分区分別の仕分ラインに対して「オーバーフロー」した受皿を再度仕分工程に戻すためのものである。また,本件発明1において,「リターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」とは,農産物の仕分排出を行うことに支障がなく,同時に代価の積算集計に支障のない位置に,オーバーフローした農産物を戻すことを意味する。
これに対し,引用発明1の装置は,「排出位置が指定されている仕分クラス」の受皿は排出装置(箱詰手段)に仕分け,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿はリターンコンベア81により第2プールコンベア82に仕分ける構成である。引用発明1において,リターンコンベア81により第2プールコンベア82に送出される受皿は,仕分クラスの数よりも排出装置の数を少なくしたことに起因して発生した「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿であり,本件発明1における「オーバーフローした受皿」ではない。さらに,引用発明1におけるリターンコンベア81及び第2プールコンベア82から構成される「リターン手段8」は,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿を第2プールコンベア82にプールし,排出位置の指定が切り換えられた後に,第2プールコンベア82上にプールされていた受皿を仕分けるために,仕分読取装置の前段に還元するものであり,本件発明1における「リターンコンベア」とは異なる。引用発明1では,仕分クラスの数よりも排出装置の数を少なくしたことに起因して,排出位置を指定できない仕分クラスが発生したため,「排出位置が指定されていない仕分クラス」14の受皿を仕分けるために「リターン手段8」を採用したのである。
したがって,本件審決による本件発明1と引用発明1との相違点の認定に誤りはない。
イ 原告の主張(2)について前記アのとおり,本件発明1における「オーバーフロー」とは,仕分箇所が設定されているにもかかわらず,仕分箇所が満杯の場合,仕分箇所へ排出する手段の動作不良,故障等の場合により,その仕分箇所に受皿が排出されないことを意味する。
また,「オーバーフロー」という用語は,通常,「水などがあふれ出ること」(広辞苑)という意味で使用されるものであり,「仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」という請求項の記載それ自体から,仕分ラインに受皿が満杯で排出できずにあふれ出た受皿を意味することが直接的に導出される。
そして,本件発明1は,「仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」と記載し,「仕分ラインに排出されないこと」を前提として,「オーバーフローした受皿」であることを特定しているのであるから,「オーバーフロー」が単に「仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されないこと」を意味するという原告の解釈は成り立たない。
また,仕分ラインの条数が全ての仕分区分数よりも所定数少ない場合であっても,本件発明1では,リターンコンベアによって,仕分箇所が設定されているにもかかわらず,仕分箇所が満杯の場合,仕分箇所へ排出する手段の動作不良,故障等の場合により,その仕分箇所に受皿が排出されない受皿(「オーバーフローした受皿」)を再度仕分工程に戻すのであるから,「オーバーフロー」の解釈に何ら消長を来すものではない。
(3) 相違点の認定について(オーバーフローについて(その2))ア 前記(2)アのとおり,引用発明1のリターン手段は,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿を第2プールコンベア82にプールし,排出位置の指定が切り換えられた後に,第2プールコンベア82上にプールされていた受皿を仕分15けるために,仕分読取装置の前段に還元するものである。このように,引用発明1のリターン手段によって還元される受皿は,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿であって,「仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」ではない。
そして,引用例1には,「仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」について一切記載されておらず,「仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」の取扱いについて何ら言及していない。すなわち,引用発明1は,仕分コンベア101を搬送中に第1仕分読取装置5により階級別に分岐コンベア102に排出しているが,分岐コンベア102及び第1プールコンベア103が満杯になり,受皿をその分岐コンベア102に排出できなくなった場合において,オーバーフローした受皿について何の解決手段も示されていない。これは,引用発明1では,仕分クラスの数よりも排出装置の数を少なくしたことに起因して,「リターン手段8」を採用したのであり,分岐コンベア102は階級数に応じた数設けているため,仕分コンベア101にリターン手段を設ける必要がないためである。これらのことからも,引用発明1がオーバーフローした受皿に関する技術事項を開示していないことは明らかである。
また,引用発明1では,基本的に排出先にアキュームレート可能なコンベア(第1プールコンベア103,箱詰プール装置10,第2プールコンベア82)を設けて(【0012】【0028】, 【0033】 ,余剰分も保持できるように構成されて)おり,受皿が満杯になることは想定されていない。
そもそも,引用発明1の装置全体として,受皿はオーバーフローが生じないように構成されており,「オーバーフロー」という概念自体が存在しない。
イ 原告の主張(3)について原告は,本件発明1における「オーバーフロー」とは「仕分排出軌道領域において仕分ラインに排出されないこと」を意味するとの解釈を前提として,引用発明1においてもオーバーフローの概念が存在する旨主張するが,本件発明1における16「オーバーフロー」の解釈を誤るものであって理由がない。
また,甲12は,平成12年7月31日に発行された公報であり,本件出願日(平成10年10月23日)よりも後に頒布されたものであるから,本件特許の無効理由の基礎となるものではないし,本件出願当時の技術水準を構成するものでもない。そもそも引用例1に記載された事項は,引用例1自体から把握されるべきものであり,本件出願後に頒布された甲12に求めるべきではない。前記アのとおり,引用例1の記載に基づいて,引用発明1は,装置全体として,受皿のオーバーフローが生じないように構成されており,「オーバーフロー」という概念自体が存在しない。
(4) 相違点の認定について(その他)ア 原告の主張(4)アについて前記(2)アのとおり,引用発明1の装置は,「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿をリターンコンベア81により第2プールコンベア82に仕分けているのであって,引用例1の【請求項1】【0006】【0008】 【0026】〜, , ,【0030】【0032】【0041】【0044】においても,リターン手段に, , ,送出され,還元される受皿が「排出位置が指定されていない仕分クラス」の受皿であることが明記されている。
したがって,原告の主張は,引用例1の記載を無視するものであり,理由がない。
イ 原告の主張(4)イについて本件審決は,本件発明1の「仕分排出軌道領域」における「リターンコンベア」の技術的意義と引用発明1の「仕分排出領域」における「リターン手段」の技術的意義とが相違することを相違点としており,その前提となる引用発明1の「仕分排出領域」の構成の一部として「アキュームレート可能なコンベアで構成される」と記載している。
したがって,原告の主張は,本件審決を誤解したものであり,理由がない。
ウ 原告の主張(4)ウについて17本件発明1の「仕分排出軌道領域」における「リターンコンベア」と,引用発明1の「仕分排出領域」における「リターン手段」とは,その技術的意義が相違するのであり,引用発明1には,農産物の仕分排出を行うことに支障がなく,同時に代価の積算集計に支障のない位置に,オーバーフローした農産物を戻すことは開示されていない。
したがって,本件発明1における「リターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」ことも相違点に含まれることは当然であり,原告の主張は理由がない。
(5) 小括以上のとおり,本件発明1と引用発明1との間には本件審決認定に係る相違点が存在し,本件発明1は引用発明1ではない。
したがって,取消事由1は理由がない。
2 取消事由2(進歩性の判断の誤り)について〔原告の主張〕仮に相違点を実質的な相違点と認めたとしても,以下のとおり,引用発明1に基づいて,本件発明1に想到することは容易である。
(1) 引用発明1及び技術常識に基づく容易想到性引用発明1の「従来の技術」に明らかな記載はないものの,搬送コンベアから仕分コンベアに排出されずに搬送コンベアの最終部まで搬送された青果物の取り扱いに労力を要するという課題が存在したことは,引用例1を補正した甲12の【0002】【0003】や,本件明細書の【0012】にも記載されているように,当,業者であれば自明な事項であった。また,前記1〔原告の主張〕(2)イのとおり,引用発明1においても,排出位置の指定のない受皿は仕分排出軌道領域で排出されないが,このような場合も本件発明1の「オーバーフロー」に該当するから,引用発明1にはオーバーフローという課題が自明なものとして存在していた。さらに,仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されなかった受皿への対応という課題は,引18用発明1におけるオーバーフローの課題の存在の有無とは別に,一般的に搬送装置の分野において周知である。
この課題の解決に引用発明1の「リターン手段」の技術を用いることは,当業者であれば,容易に想到し得る。すなわち,引用例1の【0028】には,第2仕分コンベア106上で排出されない受皿を,前記合流コンベア105の始端部へ還元するリターン手段が記載されているが,排出位置の指定の有無にかかわらず,第2仕分コンベア106上で排出されない受皿を,引用発明1の「リターン手段」で戻す対象とすることは,当業者であれば,容易に想到し得るところであるし,このような受皿を対象とすることに何ら阻害要因はない。
(2) 引用発明1並びに公知例1ないし5,甲19ないし21及び25記載の公知公用技術に基づく容易想到性本件審決は,JA松本ハイランドすいか集出荷施設(以下「JA松本施設」という。)のパレタイザー積込工程の構成について,「すいかを収納した製品箱の文字を文字認識装置により読み取り,製品搬送コンベアにより搬送及び仕分けを行う,すいか集出荷施設。」と認定したが,原告による資料6ないし資料23を用いた甲8の補足説明は,新たな証拠で公知公用技術を証明するものであって認められないとして,プールコンベアに排出されなかった製品箱(すいかを収納した箱)を製品ループコンベアで戻す構成については,公知公用技術として認定しなかった。
しかし,JA松本施設は第三者にも広く見学が許されていた。そして,同施設のパレタイザー積込工程を見れば,箱詰めされたスイカ(製品箱)が製品箱搬送コンベア(甲8の1及び資料2のI)で搬送されること,製品箱搬送コンベアから多数のプールコンベアが分岐していること,各プールコンベアの終端に製品箱をパレットに積み込むロボットパレタイザーが設置されていること,製品箱搬送コンベアによる搬送の途中で製品箱文字認識装置(同H)により製品箱に印刷された仕分情報を読み取ること,製品箱は仕分情報に基づいて製品箱搬送コンベアから対応する各プールコンベアに排出されること,プールコンベアが満杯等で排出されなかった製19品箱は製品ループコンベア(同L)により文字読取装置よりも上流の製品箱搬送コンベアに戻されることが,容易に判明する。原告は,上記事実を補足的に立証する趣旨で資料6ないし資料23を提出したにすぎないから,本件審決の上記判断には問題がある。
本件訴訟では,甲19ないし21及び25(資料6ないし資料23)を提出しているが,上記立証の趣旨から,この証拠が排除される理由はない。したがって,「搬送される対象物を仕分けるための情報が既に取得されており,かつ,仕分ラインで満杯等が発生したときには,搬送される対象物をリターンコンベアに戻し,文字認識装置で仕分けるための情報を読み取って仕分ラインを再度探索する」技術は,本件出願前に公然実施されていた公知公用技術である。そして,パレタイザー積込工程は,スイカ選果包装施設という引用発明1と共通の技術分野に属し,さらには,農産物(スイカ)を乗せた受皿(収納した製品箱)を搬送しながら,仕分読取装置(製品箱文字認識装置)により受皿(製品箱)に付された情報を読み取って,搬送手段(製品搬送コンベア)から仕分ライン(パレタイザーロボットへ向かうコンベア)に排出する仕分技術においても,引用発明1と共通している。したがって,上記公知公用技術を引用発明1に適用することは,当業者にとって困難ではない。
(3) 引用発明1及び引用発明2に基づく容易想到性ア 本件審決は,引用例2記載の発明(以下「引用発明2」という。)を,「仕分コンベヤによって搬送される仕分物品を仕分シュートに仕分ける複数の仕分システムの仕分シュートが合流する合流シュートにおいて,合流点より下流に設けられた満杯検知センサーが滞留仕分物品を検知したとき,その後の,仕分コンベヤからの仕分物品の投入を停止し,物品の投入を停止された仕分コンベヤは,投入停止が解除されるまで,投入を停止させられた仕分物品を積載したまま循環移動する合流シュート」と認定した上で,引用発明1は,「搬送手段と受皿は連結されておらず,青果物は受皿に搭載されたまま仕分排出されるものであり,「球塊状の青果物Fでも動くことなく安定して載せられるようになっている」…受皿に搭載された青果物20の仕分けと,甲3発明(引用発明2)のように,トレーが傾いて送り込まれた仕分物品が,シュートを滑り降りる仕分けとは,仕分物品及び仕分態様といった前提となる技術が明らかに異なる。」として,引用発明1及び引用発明2に基づき,相違点に係る本件発明1の発明特定事項に想到することはできない旨判断した。
イ しかし,多数の品物を搬送しながら同一目的の仕分先に排出して仕分ける装置において,仕分先が満杯で排出できないという事態が発生すること,そして,この課題を解決するという技術思想として引用発明2を認定すべきであるから,本件審決の前記アの引用発明2の認定は誤りであって,引用例2記載の仕分コンベア17は,本件発明1におけるオーバーフローした受皿を搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを含んでいる。
そして,引用発明1における農産物を載せた受皿と,引用発明2における仕分物品は,搬送手段(仕分コンベヤ)により搬送されている点で共通する。仕分態様については,仕分の対象物をコンベヤで搬送しながら仕分ける点,対象物は同一の等階級など同一の仕分目的ごとに仕分ける点,特に仕分手段を限定していない点など,引用発明1と引用発明2の共通点は多い。したがって,引用発明1と引用発明2は,仕分物品及び仕分態様といった前提となる技術が,明らかに異なるものではない。
また,引用発明1と引用発明2とは上記のとおり,前提となる技術に共通点が多いから,技術分野の関連性を有しており,これは両発明を組み合わせることの動機付けとなり得る。
以上によれば,この引用発明2の技術を引用発明1に適用することは当業者にとって困難ではない。
(4) 小括以上のとおり,本件発明1は引用発明1に基づいて容易に想到することができたものであるから,本件発明1に係る特許は,特許法29条2項の規定に違反し,同法123条1項2号に該当し無効であって,この点に関する本件審決の判断は誤っており,取り消されるべきである。
21〔被告の主張〕(1) 引用発明1及び技術常識に基づく容易想到性について原告が主張する課題は,本件出願後に頒布された甲12に記載された事項であり,本件出願当時の技術水準を構成するものではない。また,本件明細書の記載は,引用発明1の課題となるものではなく,引用例1には,「オーバーフロー」に関する何らの技術的な課題も記載されていない。
そして,前記1〔被告の主張〕(3)アのとおり,引用発明1は,装置全体として,受皿のオーバーフローが生じないように構成され,「オーバーフロー」という概念自体が存在せず,「オーバーフロー」に対する解決手段も開示していないから,「オーバーフロー」という課題は自明なものではない。
したがって,引用発明1において,相違点に係る本件発明1の構成を採用する動機付けは全く存在せず,本件発明1は,引用発明1及び技術常識に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 引用発明1並びに公知例1ないし5,甲19ないし21及び25記載の公知公用技術に基づく容易想到性について本件審決は,資料6ないし資料23を考慮した上で,「プールコンベアに排出されなかった製品箱(すいかを収納した箱)を製品ループコンベアで戻す構成」が本件出願前に公然実施されたことが立証されていないと判断したものであり,この点については,甲6ないし10から,公知公用技術を客観的に把握することはできないし,甲19ないし21及び25(資料4ないし資料23)によっても,原告主張の公知公用技術の内容は立証されていない。
以上の点を措くとしても,本件発明1は,引用発明1及び原告主張の公知公用技術に基づいて容易に想到できたものではない。すなわち,原告主張の公知公用技術は,結局,同一の等級及び階級のスイカが箱詰めされた製品箱を搬送するパレタイザー積込工程に関するものであり,本件発明1のように,「農産物が載せられた受皿」を搬送手段で搬送しつつ,「計測軌道領域」において受皿上の農産物を選別仕22分する情報を計測し,「仕分排出軌道領域」において該当する仕分区分の仕分ラインに該受皿を排出する「農産物の選別装置」に関するものではない。原告主張の公知公用技術には,本件発明1の構成に係る「前記仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設ける」ことも,「リターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」も開示されておらず,引用発明1と組み合わせても,本件発明1に想到することはできない。
したがって,本件発明1は,引用発明1及び原告主張の公知公用技術に基づいて当業者が容易に想到できたものではない。
(3) 引用発明1及び引用発明2に基づく容易想到性について引用発明2は,引用例2の【0001】,【0002】の記載によれば,仕分シュートが合流する合流シュートに関するものであって,具体的には,「倉庫において保管物の仕分」や「運送会社やデパートの集配センターにおいて配達物の仕分」に使用されることが例示されているだけであり,農産物の選別装置に使用することは一切記載されていない。さらに,引用発明2は,「複数の仕分シュートから送られてきた仕分物品同士が合流点において,衝突し,仕分物品の流れが悪くなるという問題点」又は「仕分物品同士が衝突したとき,仕分物品が損傷を受けるという問題点」を解決するためのものであり(【0003】 ,合流シュートにおける特有の)課題を解決するためのものである。
これに対して,引用発明1は,「青果物が載せられた受皿」を搬送手段で搬送するものであり,従来の選別装置では,計測後の青果物を箱詰めするための手段を仕分クラス(等級,階級)の数と同数配置して構成していたものを,仕分クラスの数よりも少なく配置された箱詰手段へ仕分クラスを切り換えて排出する「青果物の選別装置」に関するものである。このように,引用発明1は,そもそも合流シュートに関するものではないから,引用発明2を適用する動機付けが存在しない。また,23引用発明2においては,「青果物」を搬送対象とするものでもなく,「青果物が載せられた受皿」を搬送手段で搬送するものでもないから,具体的な搬送対象も,搬送態様も異なり,両者の技術分野は相違し,引用発明2を引用発明1に適用する動機付けが存在しない。さらに,引用発明1と引用発明2とは,解決すべき課題においても共通点は存在せず,両者を組み合わせる具体的な動機付けを欠く。
また,引用発明2においては,単に満杯になった時に仕分物品の投入を停止させ,仕分物品を循環移動してアキュームレートしているだけである(引用例2の【0019】 。前記1〔被告の主張〕(3)アのとおり,引用発明1には,本件発明1にお)ける「オーバーフロー」の概念自体が存在しない点で,引用発明2との組合せを必要としない。
したがって,本件発明1は,引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に想到できたものではない。
(4) 小括以上のとおり,本件発明1は,引用発明1と技術常識,公知公用技術又は引用発明2とに基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
したがって,取消事由2は理由がない。
第4 当裁判所の判断1 本件発明について(1) 本件発明に係る特許請求の範囲は,前記第2の2記載のとおりであるところ,本件明細書(甲1)の発明の詳細な説明には,おおむね,次の記載がある(下記記載中に引用する図のうち,図1,2は別紙1を参照。)ア 発明の属する技術分野【0001】本発明は農産物を選別仕分けして包装するのに用いられる選別装置に関し,詳しくは農産物を載せて搬送する受皿がコンベアに連結されていないいわゆるフリートレイ式の受皿を用いた選別装置に関するものである。
イ 従来技術24【0002】リンゴ,柿,梨等の果実,トマト,茄子,胡瓜等の野菜などの農産物を包装する農産物選別(包装)装置のうち,コンベアに連結されていない受皿に農産物を載せて搬送させるフリートレイ式の受皿を用いた装置は,本出願人等により既に多くの提案がされている。この方式の選別装置は,供給工程から仕分区分判定要素の計測工程,更に仕分工程に渡って,コンベアと不可分の走行バケット(受皿)等に農産物を載せて搬送する方式(通常「バケット式」といわれる)のものに比べ,受皿がコンベアに非連結であるため,計測工程の後段の仕分ラインに農産物をフリートレイごと排出して包装工程まで一貫して受皿上に載せたまま農産物を搬送できるので,農産物に対する衝撃等を軽減でき,農産物が傷む虞れを小さくできるという優れた利点がある。
【0003】また,このフリートレイ方式の農産物選別装置は,仕分け対象の農産物が多区分に渡り,その分布率が大きく異なる場合であっても,包装装置の稼働効率をできるだけ平均化する工夫が農産物の品種や品目さらには荷口などに応じて変更し易いため,生産性に対する対設備投資の削減を実現できる点でも優れている。
例えば,分布比率が大きいために排出農産物(受皿)数が多い仕分区分については,その比率に応じて仕分ラインを複数として自動包装のための自動箱詰装置に接続するなど,分布比率の大小に応じて仕分ライン数を処理量に見合うように設定したり,仕分区分の排出(集積)数が極端に少ない仕分ラインについては,自動箱詰装置に接続せずに,作業者によって手詰めするラインに接続する構成の変更が比較的容易にできるからである。
【0005】なお,フリートレイを搬送するコンベアは,搬送コンベア,供給コンベア,仕分コンベア,選別コンベアなど種々に呼称される場合があるが,本明細書においては仕分ラインに分岐する前の段階のコンベアを「選別コンベア」,受皿に農産物を載せる段階のコンベアを「供給コンベア」,更に包装作業位置に連なる仕分ラインのコンベアを「仕分コンベア」というものとする。
ウ 発明が解決しようとする課題25【0006】ところで,近時においては市場や消費者の好みなどの様々な観点から,包装形態が農産物の品目,品種毎に異なる場合や,同じ品目,品種の農産物であっても等級(グレード),階級(サイズ)によって望ましい包装形態が異なる場合も多くなってきており,上述した仕分区分別の分布比率の大小で自動包装と手作業包装を振り分けるだけでは,包装処理作業の効率化と生産性に対する対設備投資費用のバランスを適切に確保することが必ずしも容易でない場合がある。
【0007】これは,選別要素の計測や仕分けの工程は機械化して比較的高速処理が実現できるのに対し,包装作業(特に手詰めの場合)では高速処理が難しいため,工程別の処理速度のアンバランスを招くことにその原因の一つがある。
【0010】このような包装形態の多様化に応ずるためには,仕分工程の構成をより柔軟に変更できるようにすることが求められる。このような問題に対処する対策の一つとして,例えば手詰め包装のための仕分ラインを増設することが考えられる。
しかしこのようにすると,仕分ラインを構成するプールコンベアや付随する装置類が多くなって設備設置容積の増大,設置設備の大規模化等の問題を招く。
【0011】また,計測,仕分の工程から包装作業位置に仕分けられて送り出される各仕分区分のフリートレイ貯溜部(プールコンベア等)の面積を大きくし,処理速度の差を緩衝することも考えられるが,このようにすると各仕分区分の貯溜部の面積が夫々大きくなるため選果場全体に必要な面積が極めて大きくなることが避けられず,特に設置面積に制約のある選果場には適用できない。
【0012】そこで従来は,各仕分ライン毎のプール部は大きく設けずに,選別コンベアの終端に,仕分ラインに排出できなかった受皿を一括して受け入れるプール部を設けて,オーバーフローした受皿の農産物は手作業で包装することが行われている場合が多い。
【0013】このように,設備の設置面積を大きくせずに,選別,仕分け工程と,包装作業の工程をバランスよく稼働させる装置の提供は必ずしも容易でない。
【0014】また以上の問題とは別に,農産物選別装置の生産性を向上させる場合26に従来から問題とされているものとして,選別仕分けを行う農産物の荷口の切り替え時に農産物の搬送間隔を所定の間隔だけ空ける必要があるという問題がある。
【0015】これは,農産物選別作業の本来の目的に由来するものである。すなわち,選別仕分けは,市場に等級,階級の揃った農産物を箱詰めして供給するために行われるという一面と,もう一つに,各生産農家に支払う代価を選果場に持ち込まれた農産物の品質等に応じて適切に積算集計しなければならないという一面があり,この後者のためには,各農家別の荷口が混在しない状態で積算集計される必要があるから,選別装置の供給コンベアから計測工程にフリートレイを送り出す位置で,荷口切り替えの際に上記のように所定間隔を空けることが行われる。しかしこの送り間隔を空けることは,仕分け処理の観点からはその分無駄が生ずることを意味するから,この無駄をなくすことができれば,選別装置の生産性の向上には有益である。
【0016】本発明は,以上のような異なる課題を一挙に解決することができる新規な農産物の選別装置を提供することを目的としてなされたものである。
エ 課題を解決するための手段【0017】上記の目的は本願の特許請求の範囲に記載した各請求項の発明により達成される。
【0018】本願の請求項1の農産物の選別装置の発明は,搬送手段に連結されていない受皿(フリートレイ)と,農産物供給位置から農産物包装作業位置(包装ステージ)に渡って農産物を載せた受皿を搬送する搬送手段(以下場所によって,「供給コンベア」「選別コンベア」「仕分コンベア」という場合がある)とを備え,, ,この搬送手段には,受皿上の農産物を選別仕分けする情報を計測するために上記搬送手段の途中に設定された計測軌道領域,及び該計測軌道上で計測された仕分け情報に基づいて個々の受皿上の農産物を排出するように所定の仕分区分別の仕分ライン(仕分コンベア)が多数分岐接続されている搬送手段下流側の仕分排出軌道領域を設定し,上記各受皿は,その上に載せられている農産物の仕分け情報を直接又は27受皿に表記された識別標識を介して間接的に読出し可能に記録し,上記仕分排出軌道領域の上流に設けた読出し手段により個々の受皿の農産物仕分け情報を読出して該当する仕分区分の仕分ラインに該受皿を排出する農産物の選別装置において,上記仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を上記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,上記計測軌道領域の終端と上記仕分け情報読出し手段の間としたことを特徴とする。
【0019】上記において,搬送手段の一部を構成する選別コンベアは,その前段の農産物を受皿に載せるための供給コンベアの終端から,上記仕分排出軌道領域までの範囲のコンベア装置をいい,一つのコンベア装置を用いて構成することもできるし,計測作業,仕分排出作業などに適した機能を有する異なるコンベア装置を連接して構成することもできる。
【0020】仕分ラインをなす仕分コンベアは,貯溜と集積の作用を行うコンベア装置を含むように構成することができる。この仕分コンベアは,1条の選別コンベアに,これに沿って配置された排出装置によりフリートレイ(受皿)が農産物を載せたまま排出されるように接続される。そしてこの仕分コンベアは,種々の仕分区分のものを混在状態で搬送する1条の選別コンベアに対して複数設けられ,その下流端は,機械詰め,手詰めあるいはこれらを切換え可能とした包装ステージなどに接続される。…【0022】フリートレイ(受皿)は,農産物を載せて安定して搬送できるものであればよく,例えばリンゴ等の球塊状の農産物を対象とする場合には,平面円形の皿状をなし中央部がリンゴを載せるために凹設されている形状のものが好ましい。
またこのフリートレイは,これに載せている農産物の仕分け情報を直接又は間接的に読出しできるようにその情報が記録されるようになっている。「直接読出すように記録」というのは,例えばICカードやメモリー装置をこの受皿に搭載して,計測工程で計測し仕分区分を判定した後の仕分け情報を該メモリー装置等に記録させ28てこれを読出す方式を言い,「間接的に読出すように記録」というのは,例えばバーコード等の識別標識をフリートレイに表記しておき,計測工程で計測し仕分区分を判定した後の仕分け情報をコンピュータ等に各フリートレイの識別標識とリンクして記録しておいて,識別標識を読み取ることで該コンピュータに記録した仕分け情報を読出す方式のものを言う。
【0023】また上記発明の構成において,仕分排出軌道領域で排出されずにオーバーフローし,リターンコンベアで上流側に戻されたフリートレイを選別コンベアに送り込む位置を,上記計測軌道領域の終端と仕分け情報読出し手段の間としたことは,この発明の重要な特徴の一つである。すなわち,等級(色,傷,糖度,熟度等),階級(大きさ,重量等)の必要な要素を計測し,農産物の仕分区分を判定する計測工程にあっては,荷口別(農家別)に対価を積算集計するので異なる荷口の農産物が混在する可能性は極力避ける必要がある。他方,仕分け排出や包装の工程では,仕分区分別に揃った農産物がまとめられていることが重要であって,個々の農産物がどの荷口に属するものなのかは基本的に問題とならない。したがって,農産物の仕分排出を行うことに支障がなく,同時に代価の積算集計に支障のない位置に,オーバーフローした農産物を戻すことが本発明において必須とされるのである。
【0024】この発明によれば,フリートレイというコンベアに非連結の受皿を用いる方式の特徴を生かして,仕分排出軌道の領域を通過してしまった受皿を,リターンコンベアで上流側に戻すようにすることで,各仕分ラインに貯溜すべき受皿数を大きく設定する必要性を軽減でき,したがって各仕分ラインのプール部を小さくし,装置全体を小型にできるという利益が得られる。またこれと共に,従来の選別コンベアの終端部にプール部を設けて手作業で包装していた不具合も同時に解消できる。なお,上記仕分ラインは仕分けるべき全ての区分に応じて少なくとも1条づつ設けることが一般に望ましい。
【0025】なお,仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されずに受皿がオーバーフローするのは,仕分区分別に設定されている仕分ラインのうちのいずれかが満杯29でそれ以上の受皿を受け入れられない状態にある場合,排出装置の動作不良,故障などの場合があり,排出装置の一時的な動作不良の場合にはオーバーフローした受皿は自動的に再度仕分け工程に戻されるので,処理上の不都合は殆ど生じない。
オ 発明の実施の形態【0034】以下本発明を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0035】実施形態1図1は,本発明よりなる農産物の選別装置を設備した選果場の一部(農産物選別のための農産物供給−計測−包装箱詰に至る経路)を平面図で示したものであり,この選別装置を含む設備は,大別して,農産物の供給部と,等階級の選別要素に基づく仕分け情報を計測・判定する計測部と,等階級選別の仕分け情報が判定された農産物を各仕分区分の仕分ラインに排出する仕分部と,仕分けられた各仕分区分の一群(本例では包装の一単位の数)の農産物を包装ステージの箱詰待機位置等に送って箱詰めする包装部とから構成されている。
【0036】上記の農産物の供給部では,空トレイリターンコンベア51により戻された空のフリートレイ4を供給コンベア52上で搬送させながら,作業者50がそのフリートレイに,農産物を収容したコンテナを運ぶコンテナコンベア57で供給された農産物を一つづつ載せるように作業する。図1中では農産物を載せたフリートレイ4はハッチング付きで示し,空フリートレイ4は白抜きで示した。…【0037】54は撮像装置であり,カラーカメラやセンサカメラ等を用いて農産物の外観を撮像し,適宜の演算方法で各農産物の等級及び階級の計測結果から仕分区分を判定するためのものである。55はフリートレイ4に表示させた一つづつ異なる識別標識,例えばバーコードを読み取るバーコードリーダーである。
【0038】これらの農産物の等級,階級及びフリートレイ4を特定する情報は,図示しないコンピュータに送られ,特定のフリートレイ4に載っている農産物が等階級のいずれの仕分区分に属するものかが記録され,この仕分け情報は,1条一列でフリートレイ4を搬送する選別コンベア1から仕分部の仕分コンベア202にフ30リートレイ4を排出するための情報として図1に示した排出装置201に送られる。
【0039】以上のようにして等階級の仕分区分が判定された農産物を載せたフリートレイ4は,選別コンベア1により様々な仕分区分の農産物がランダムに混在して仕分部2に送られる。
【0040】次に本例の選別装置の仕分部2について説明する。
【0041】農産物の供給・等階級選別部で仕分区分が判定された農産物を載せたフリートレイ4は,選別コンベア1に対して横方向に略直交するように分岐接続された仕分コンベア202に,該当する仕分区分の農産物を載せたフリートレイ4を排出させるようになっている。
【0042】また図1に示した本例の設備では,一つの排出装置201が2条の仕分コンベア202にフリートレイを振り分けて排出するように構成されていると共に,この2条の2組(計4条)が一つの包装ステージに連係して包装単位の一まとめのフリートレイ4が集積した時点でフリートレイの送り出しを行う関係に構成されている。なお本例の設備は,包装ステージは九つ設定されていて,図1の下側六つは機械詰め包装ステージ3として自動包装装置301が設置され,その上側の三つは手詰め包装ステージ30として作業員が手詰め包装する作業位置とされている。
【0043】農産物の仕分け排出処理を…説明すると,例えば等階級の仕分区分が判定された農産物(例えば大きさの階級がLで等級がA)は,その仕分区分(A−L)に設定された仕分コンベア202を有する排出装置201の位置を通過する際に,コンピュータ等の制御手段(図示せず)からの指令により回転テーブルの電磁吸着部が励磁されてこれに吸着され,該回転テーブルの回転に従って選別コンベア1上から横方向に転向し排出されることになる。そして,二つ設けた励磁解除手段のいずれかで電磁吸着部が励磁解除され,選別コンベア1から排出されたフリートレイ4は,回転テーブルから離れて二つの仕分コンベアのいずれかに送り込まれる。
【0044】なお,所定の排出装置201で特定の仕分区分の農産物を選別して該当する仕分コンベア202に排出する操作は,本例では次のように行われる。すな31わち,選別コンベア1の上流に配置したバーコードリーダー5によりフリートレイの固有の標識(バーコード)を読み取ることでこの標識と一対一の関係にリンクして記録されている農産物の仕分区分を検出し,このバーコードリーダー5の配置位置から,該当する仕分区分の農産物の受入れが設定されている仕分コンベア202に対応する排出装置201までの移送距離(あるいは時間)を,エンコーダ装置などから上記選別コンベアの移動量と対応して出力されるパルス数に基づいて割り出して,該当するフリートレイ4がその装置を通過する際に該当する排出装置201を作動させる。なお,一つの排出装置201で振り分け排出する2条の仕分コンベア202については,例えば同じ仕分区分の農産物Pを受け入れるように設定することもできるし,他の仕分区分を受入れるように設定することもできる。
【0052】以上のように,本例においては,選別コンベア1により計測部から仕分部に搬送され,排出装置201により所定の仕分コンベア202に排出された受フリートレイ4は,機械詰め包装ステージ3あるいは手詰め包装ステージ30で順次箱詰包装される。
【0053】ところで,仕分コンベア202が比較的短いために排出を受けて集積・貯溜できる個数が少ない設備の場合には,一つの仕分区分の農産物を受け入れるように設定されている仕分コンベア202上が満杯になっていることがあり,この場合には,上述したように該当する農産物の排出が行われず,該農産物を載せたフリートレイ4は搬送下流側に搬送されることになり,これに対応する仕分区分が下流側に設定されていなければ,このフリートレイ4は仕分部からオーバーフ(ロ)ーする。
【0054】そこで,本例では,選別コンベア1の終端にこのオーバーフローしたフリートレイ4を,上記計測装置54と上記バーコードリーダ5の間の選別コンベア1まで戻すリターンコンベア6を延設して,このフリートレイ4を再度,上述したバーコードリーダ5を通過させた後の仕分け処理に供するようにしている。…【0055】図2は,このリターンコンベア6で戻されたフリートレイ4を選別コ32ンベア1に合流させる位置の構成を平面図で示したものであり,リターンコンベア6の終端は,選別コンベア1に対してフリートレイ4の合流がし易い斜めの角度で連接され,その終端位置には常閉型のストッパ装置601が設けられている。このストッパ装置601は,常時は,返送された農産物入りフリートレイ4をその位置で停止させ,合流指令を受けることでストップを解除して合流を行わせるものである。なお602は,返送された農産物入りフリートレイ4があることを検出するための検出センサである。
【0056】そして,上記の合流指令は次のようにして出力される。すなわち,選別コンベア1の上記合流位置よりも若干搬送手前側を中心として,選別コンベア1を斜めに挾むように投光センサ603と受光センサ604を対をなすように設置し,該選別コンベア1上にフリートレイ4がほぼ途切れなく搬送されているときにはこの投・受光の光線がフリートレイ4で遮られて途切れのないことを検出し,フリートレイ4の前後間隔が所定距離以上に開いた場合には,投・受光光線が遮られずに受光センサ604が光線を受光し,フリートレイ4の途切れを検出するようになっている。したがって,この途切れが検出された時に,上記常閉型のストッパ装置601を作動させてリターンコンベア6上で待機されているフリートレイ4を選別コンベア1に送り出し合流させる。
【0057】なお,上記の光線の投・受光によるフリートレイ4の途切れの検出を行う前後間距離の開きは,フリートレイ4一つを合流させるのに適した大きさに設定されることは言うまでもない。
【0058】以上のように構成された農産物入りフリートレイのリターン機構及び合流機構を設けた本例の選別装置によれば,何らかの理由で仕分部で仕分コンベアに排出されずにオーバーフローしたフリートレイを,再度仕分けの工程にスムースに戻すことができる。
【0059】したがって,仕分コンベア202を長く設けなくても,効率のよい選別仕分けの処理を行うことができるという効果が得られる。また,荷口の切り替え33時に比較的大きく開くフリートレイの前後間隔を,この部分にリターンされた農産物入りフリートレイを合流させることでうめることができるので,仕分部,包装部の処理を効率化できるという利点も得られる。
カ 発明の効果【0060】以上述べたように,本願の各発明によれば,フリートレイというコンベアに非連結の受皿の特徴を生かして,仕分排出軌道の領域を通過してしまった受皿をリターンコンベアで上流側に戻すようにすることで,各仕分ラインに貯溜する受皿の数を大きく設定する必要性を軽減でき,したがって装置全体を小型にできるという利益が得られると共に,仕分排出軌道領域で仕分ラインが満杯で受皿が排出されずにオーバーフローする場合,あるいは排出装置の動作不良,故障などの場合に,オーバーフローした受皿は自動的に再度仕分け工程に戻されるので,従来の選別コンベアの終端部にプール部を設けて手作業で包装していた不具合を解消できる。
【0061】請求項3の発明によれば,監視装置で仕分ライン上の受皿の貯溜状態を監視できるので,受皿が仕分ラインであふれる不具合を確実に防ぐことができるという効果が得られる。
【0063】請求項5及び請求項6の発明によれば,リターンコンベアにより戻された受皿を選別コンベアに円滑に乗り移させることができる。そして荷口の切り替え時など,搬送される受皿が比較的大きく離れて途切れる位置に受皿を合流させることができるので,仕分ラインなどに大きなプール部を設けることなく,設備全体を効率よく稼働させることができるという利点が得られる。
(2) 前記(1)の記載によれば,本件発明の技術的意義は,以下のとおりのものと認められる。
本件発明は,農産物を選別仕分けして包装するのに用いられる選別装置に関し,詳しくは農産物を載せて搬送する受皿がコンベアに連結されていない,いわゆるフリートレイ式の受皿を用いた選別装置に関するものである(【0001】。
)従来の選別装置は,各仕分ライン毎のプール部は大きく設けずに,選別コンベア34の終端に,仕分ラインに排出できなかった受皿を一括して受け入れるプール部を設けて,オーバーフローした受皿の農産物は手作業で包装することが行われている場合が多く,設備の設置面積を大きくせずに,選別,仕分工程と,包装作業の工程をバランスよく稼働させる装置の提供は必ずしも容易でなく,また,農産物選別装置の生産性を向上させる場合に従来から問題とされているものとして,選別仕分を行う農産物の荷口の切替え時に農産物の搬送間隔を所定の間隔だけ空ける必要があるとの課題を有していた。本件発明は,上記課題を解決することができる新規な農産物の選別装置を提供することを目的としている(【0010】〜【0016】。
)このため,本件発明は,搬送手段に連結されていない受皿と,農産物供給位置から農産物包装作業位置に渡って農産物を載せた受皿を搬送する搬送手段とを備え,この搬送手段には,受皿上の農産物を選別仕分けする情報を計測するために上記搬送手段の途中に設定された計測軌道領域,及び該計測軌道上で計測された仕分情報に基づいて個々の受皿上の農産物を排出するように所定の仕分区分別の仕分ラインが多数分岐接続されている搬送手段下流側の仕分排出軌道領域を設定し,上記各受皿は,その上に載せられている農産物の仕分情報を直接又は受皿に表記された識別標識を介して間接的に読み出し可能に記録し,上記仕分排出軌道領域の上流に設けた読み出し手段により個々の受皿の農産物仕分け情報を読み出して該当する仕分区分の仕分ラインに該受皿を排出する農産物の選別装置において,上記仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を上記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けるとともに,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,上記計測軌道領域の終端と上記仕分け情報読出し手段の間としたことを特徴とする(【0018】。
)殊に,本件発明は,従来の選別装置が,オーバーフローした受皿用のプール部を必要としていたこと及び荷口の切替え時に農産物の搬送間隔を所定の間隔だけ空ける必要があることに鑑みて,「仕分排出軌道領域から仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,35このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」により,各仕分ラインに貯留すべき受皿の数を大きく設定する必要性を軽減でき,各仕分ラインのプール部を小さくし,装置全体を小型にできるという利益が得られるとともに,従来の選別コンベアの終端部にプール部を設けて手作業で包装していた不具合を解消でき,さらに,荷口の切替え時に比較的大きく開くフリートレイの前後間隔を,この部分にリターンされた農産物入りフリートレイを合流させることでうめることができるので,仕分部,包装部の処理を効率化できる利点が得られるようにした点(【0023】【0024】【0059】〜【0061】【0063】, , , )に技術的意義があるものと認められる。
2 引用発明1について引用例1(甲2)の記載によれば,引用発明1に関し,以下の点が開示されていることが認められる。
(1) 産業上の利用分野引用発明1は,青果物の選別装置に係り,詳しくは受皿上に載せられた青果物を選別するとともに,選別後の青果物を仕分クラスの数よりも少なく配置された箱詰手段へ仕分クラスを切り換えて排出する青果物の選別装置に関する(【0001】 。
)(2) 従来の技術従来,青果物の選別装置は,青果物が載せられた受皿を搬送コンベアで搬送する途中に,計測装置により受皿上の青果物の所定項目を計測して等級及び階級を判定し,この判定結果に基づき,計測後の青果物を搬送路の側方に等級別階級別に設けた果実受け部に排出するように構成され,果実受け部に排出された青果物は,人手又は箱詰ロボット等の箱詰手段により段ボール箱内へ箱詰めされて製品として送り出されている(【0002】。
)(3) 発明が解決しようとする課題上記従来の選別装置は,計測後の青果物を搬送して仕分ける搬送ラインの側方に,36箱詰めするための手段を仕分クラス(等級,階級)の数と同数配置して構成したものであるが,果実,そ菜類等の青果物は,産地や季節及び年によって等級比率が異なるため,前記箱詰めするための手段を,仕分クラスの数と同数配置することは,比率が高い仕分クラスについては効率がよいが,比率が低い仕分クラスについては設備に対する効果が低く改善が望まれている。また,近年,市場,消費者の多様化する要望により仕分クラスの数が増える傾向にあり,従来のごとく仕分クラスの数と同数の箱詰めする手段を配置することは選別装置が長大化するとともに,箱詰めに従事する作業者の人手不足を招き改善が望まれている(【0002】〜【0005】。
)(4) 課題を解決するための手段上記課題を解決するために,引用発明1の青果物の選別装置は,各々が固有情報を有する多数の受皿と,この受皿に載せられた青果物を受皿ごと搬送する搬送手段と,該搬送手段の搬送路に沿って設けられ受皿の固有情報を読み取るとともに,青果物の所定の計測項目を計測する読取計測手段と,この読取計測手段からの計測情報より仕分クラスを判定し,この仕分クラスを受皿の固有情報とともに更新記憶する演算処理手段と,前記読取計測手段の後段で搬送中の青果物入り受皿の固有情報を読み取る仕分読取装置と,この仕分読取装置の後段で搬送路に沿って仕分クラスの数よりも所定数少ない数設けられ,送られてくる排出信号により作動して青果物入り受皿を前記搬送手段から排出させる排出装置と,仕分クラス別の排出位置の指定が切換可能で,かつ,該仕分クラスのうち排出位置の指定ができない排出位置設定部を有し,前記仕分読取装置が読み取った固有情報から前記演算処理手段に記憶された仕分クラスを読み出し,該読み出した仕分クラスの排出位置が前記排出位置設定部に指定されているとき,その排出位置の排出装置へ当該青果物入り受皿の進行と同期して排出信号を送る仕分制御手段と,前記搬送手段に接続され排出装置により排出されない仕分クラスの青果物入り受皿を,前記仕分読取装置の前段へ還元するリターン手段とからなることを特徴とする(【請求項1】【0006】。
, )37(5) 作用引用発明1の青果物の選別装置によれば,青果物が載せられた受皿は,搬送手段上を搬送中に読取計測手段により受皿の固有情報を読み取るとともに,受皿上の青果物の所定項目を計測し,それぞれの情報を演算処理手段へ入力する。そして,演算処理手段により,前記計測情報から仕分クラスを算出し,この仕分クラスを受皿の固有情報とともに更新記憶しておく。そして,選別後の青果物が載せられた受皿は,搬送手段上を搬送中に仕分読取装置により受皿の固有情報を読み取って,この情報を仕分制御手段へ送る。そして,仕分制御手段は,前記読み取った固有情報から前記演算処理手段に記憶された仕分クラスを読み出すとともに,この読み出した仕分クラスが排出位置設定部にその排出位置が指定されているか否か判別し,指定されているとき,その排出位置の排出装置へ当該青果物入り受皿の進行と同期して排出信号を出力する。この排出信号により前記搬送手段上を搬送される青果物入り受皿は,該当する排出位置に達したときに排出装置が作動して搬送手段上から排出される(【0007】 。
)一方,前記仕分制御手段は,前記読み出した仕分クラスの排出位置が排出位置設定部に指定されていないときは排出信号を出力せず,したがって,その仕分クラスの青果物入り受皿は,排出装置の前を通過してリターン手段へ送られ,前記仕分読取装置の前段ヘ還元される。また,排出位置設定部の仕分クラスの排出位置の切換えは,例えば,仕分読取装置が受皿の固有情報を読み取る都度その数を積算しておくことにより,この積算値に基づき仕分クラスの排出位置を切り換えることができる。したがって同一の排出位置に異なる仕分クラスの青果物入り受皿を切り換えて排出することができ,この排出位置で排出される青果物は箱詰手段を共用することができる(【0008】 。
)(6) 実施例ア 構成(別紙2の図1及び6を参照。)(ア) 1は受皿2を搬送する搬送手段であり,実施例では各種コンベアの組み合38わせにより構成する(【0010】。
)100a,100bは選別コンベアであり,その搬送路において受皿2上に載せられた青果物Fの所定の計測項目が計測されるようになっている。101a,101bは仕分コンベアであり,前記選別コンベア100a,100bの後段に接続され,計測後の青果物F入り受皿2を搬送するとともに所定の仕分クラスに基づき搬送路の側方に仕分けるようになっている(【0011】。
)102a,102bは分岐コンベアであり,前記仕分コンベア101a,101b上から階級別に等級を混在して仕分けられた青果物F入り受皿2を受けて先方の第1プールコンベア103へ搬送するようになっている。この第1プールコンベア103は,2条型の仕分コンベア101a,101bから仕分けられて分岐コンベア102a,102bによって搬送される同一階級で等級が混在した青果物F入り受皿2を,所定数プール可能なようにアキュームレート可能なコンベアで構成する。
この第1プールコンベア103は,青果物Fの分布率の違いにより仕分コンベア101から集中的に仕分けられて供給過剰になったときにこの余剰分をプールしておくとともに,この余剰分をまばらに仕分けられたときに次工程に送り出して次工程に送り出す量を一定にするごとく構成する(【0012】。
)104は搬出コンベアであり,前記第1プールコンベア103から送り出される青果物F入り受皿2を合流のタイミングを計って合流コンベア105上に搬出するようになっている。106は第2仕分コンベアであり,前記合流コンベア105から送り出される青果物F入り受皿2を受けて搬送するとともに搬送路の側方に等級別に仕分けるようになっている(【0013】 。
)(イ) 3は前記選別コンベア100の搬送路の所定位置に設けられた読取計測手段であり,搬送中の受皿2のバーコードマーク22を読み取る読取装置31と受皿2上の青果物Fの所定の計測項目を計測する計測装置32とを組み合わせて構成している(【0016】 。
)4は演算処理手段であり,CPUを内蔵した処理回路で構成されており,演算判39定部41とアドレスメモリ部42とからなり,演算判定部41は前記読取計測手段3の計測装置32から入力される計測情報信号から予め設定した区分値と比較して仕分クラス(等級及び階級)を算出するようになっている。アドレスメモリ部42は,前記演算判定部41で算出された仕分クラスを,前記読取装置31が受皿2のバーコードマーク22を読み取ったコード番号とともに更新記憶するようになっている(【0019】。
)(ウ) 5aは第1仕分読取装置であり,前記読取計測手段3の後段で仕分コンベア101aの所定位置に前記読取装置31と同様のバーコード読取装置(バーコードリーダ)を用いて構成する。符号5bで示される第1仕分読取装置は,前記第1仕分読取装置5aと同様である。この第1仕分読取装置5aで読み取ったときの固有情報信号は,階級仕分制御装置51へ入力されるようになっている。そしてこの階級仕分制御装置51は,前記第1読取装置5aが読み取った受皿2のコード番号から演算処理手段4のアドレスメモリ部42に記憶された階級の読み出しを行い仕分信号を後述の排出装置6aへ向けて受皿2の進行と同期させて出力するようになっている(【0021】 。
)50は第2仕分読取装置であり,前記第2仕分コンベア106の上流側所定位置に前記第1仕分読取装置5aと同様のバーコード読取装置(バーコードリーダ)を配置し,第2仕分コンベア106上を搬送される受皿2のバーコードマーク22を読み取るようになっている。そして,この第2仕分読取装置50で読み取ったときの固有情報信号は後述する仕分制御手段7と切換制御手段9へ入力されるようになっている(【0022】 。
)(エ) 6aは仕分コンベア101aの搬送路に沿って設けられた排出装置であり,仕分信号により作動して仕分コンベア101a上で搬送される受皿2を搬送路の側方へ排出するもので,仕分コンベア101aの搬送路に沿って階級数に応じた数を所定間隔に配置しており,仕分コンベア101a上の青果物F入り受皿2を階級別に等級を混在して搬出する(【0023】。
)4060は前記符号6aで示されるものと同様の排出装置であり,第2仕分コンベア106の搬送路に沿って等級の数よりも所定数少ない数,実施例では4等級(秀,優,良,並)に対して1つ少ない数(3個)を所定間隔に配置している。すなわち,この第2仕分コンベア106に沿って設けられた排出装置60は,階級別に等級を混在して仕分コンベア106で搬送される青果物F入り受皿2を等級別に仕分けるように構成する(【0024】。
)(オ) 7は仕分制御手段であり,等級読出部71と排出位置設定部72と排出制御部73とからなり,等級読出部71は,前記第2仕分読取装置50で読み取った受皿2のコード番号が入力されるようになっており,コード番号が入力されるとこの番号とともに演算処理手段4のアドレスメモリ部42に記憶されている等級の読み出しを行うようになっている(【0025】 。
)排出位置設定部72は,等級別の排出位置が切換可能で,かつ,所定の等級の排出位置が指定されないように予めプリセット装置にセットするようになっている。
この排出装置設定部72によれば例えば,秀,優,良,並の等級のうち並の等級の排出位置を指定しない場合,この並の等級のものは第2仕分コンベア106上で排出されずに先方ヘ送られるようになる(【0026】。
)排出制御部73は,前記等級読出部71で読み出した等級信号が入力されると,この等級が前記排出位置設定部72で設定した排出位置のいずれに属するか判別し,排出位置の指定がある場合に該当する排出装置60へ向けて排出信号を受皿2の進行と同期させて出力する。一方,前記入力された等級が排出位置設定部72に排出位置の指定がない場合は排出信号は出力されず,したがって,第2仕分コンベア106上を通過して次工程ヘ送られる(【0027】。
)(カ) 8は前記第2仕分コンベア106上で排出されない排出位置の指定がない青果物F入り受皿2を,前記合流コンベア105の始端部へ還元するためのリターン手段であり,前記第2仕分コンベア106の終端部と前記合流コンベア105の始端部とをリターンコンベア81と第2プールコンベア82とで接続している。こ41の第2プールコンベア82は,前記第1プールコンベア103と同様の構造のアキュームレート可能なコンベアで,前記第1プールコンベア103から送り出される青果物F入り受皿2と合流コンベア105上でスムースに合流するごとく,終端部82bに合流のためのタイミング送り装置を設けて構成する(【0028】。
)この第2プールコンベア82は,排出位置の指定のない等級の青果物Fを所定量になるまでプールしておき,所定量に達したときに前記第1プールコンベア103からの送り出しを停止させるとともに,この第2プールコンベア82からの送り出しを開始するごとく所定量を交互に送り出すように構成することもできる(【0029】。
)(キ) 9は切換制御手段であり,前記排出位置設定部72における等級別の排出位置の切換えを,前記第2仕分読取装置50が受皿2のバーコードマーク22を読み取った信号に基づき行うものである。この切換制御手段9は,前記第2仕分読取装置50が読み取ったコード番号から前記排出位置が指定されない等級についてその個数を積算し,この値が予め設定した個数に達したときに排出位置の切換えを指示するようになっている。この指示は例えば排出位置設定部72の図示しないプリセット装置に切換信号出力するように構成すれば自動的に切り換えることができる(【0030】。
)また,本実施例は排出位置が設定されない等級つまりリターンされるものの個数について積算するごとく説明したが,限定するものでなはく,例えば,同じ排出位置で良と並を切換えて排出させる場合で,並の等級がリターンにまわって良の等級が箱詰め部に排出されているとき,この排出されたものの個数を積算しておき,この個数がある設定数に達したときに排出位置の切換えを指示するごとく構成することもできる(【0032】。
)(ク) 10は前記排出装置60にそれぞれ対応して設けられた箱詰プール装置であり,排出装置60から排出された青果物F入り受皿2をそれぞれ等級別にプールするごとくアキュームレート可能なコンベアで構成する(【0033】。
)4211は前記箱詰プール装置10の終端部に設けられた自動箱詰装置である(【0034】。
)イ 動作(別紙2の図6を参照。)選別コンベア100上で搬送される受皿2に,例えば人手の作業により青果物Fが載せられると,搬送途中に読取計測手段3の読取装置31により受皿2のバーコードマーク22を読み取られてその固有情報信号(コ―ド番号)が演算処理手段4のアドレスメモリ部42へ入力される。そして,計測装置32により,階級判定要素として青果物Fの形状寸法と,等級判定要素として色,傷等の外観表面形態をそれぞれ計測し,それぞれの計測信号を演算処理手段4の演算判定部41へ入力する。
この演算判定部41は,入力されたそれぞれの計測信号から仕分のためのデータとして青果物Fの等級及び階級を判定し,それぞれのデータをアドレスメモリ部42ヘ入力する。このアドレスメモリ部42は前記読取装置31から入力される固有情報信号(コード番号)と前記判定された仕分けのためのデータ(等級,階級)とをそれぞれ合わせてアドレス毎(コード番号)に更新記憶しておく(【0037】。
)そして,読取計測手段3を通過して仕分コンベア101上に送り出された青果物F入り受皿2は,仕分コンベア101上を搬送中に第1仕分読取装置5により受皿2のバーコードマーク22が読み取られて固有情報信号(コード番号)が階級仕分制御装置51へ入力される。この階級仕分制御装置51は前記読み取ったコード番号を抽出して前記アドレスメモリ部42に記億された階級の読み出しを行い,階級別仕分信号を該当する階級の排出装置6へ向けて受皿2の進行と同期させて出力する(【0038】。
)この階級別仕分信号により該当する排出装置6が作動すると,その階級の青果物F入り受皿2は仕分コンベア101上から階級別に等級を混在して分岐コンベア102上ヘ排出される。そして,この分岐コンベア102により搬送されて第1プールコンベア103上にプールされた青果物F入り受皿2は,この第1プールコンベア103の終端部103bから所定数を切り出して搬出コンベア104により一列43に合流コンベア105へ搬出される(【0039】。
)この合流コンベア105により第2仕分コンベア106上ヘ送られた青果物F入り受皿2は,第2仕分読取装置50により受皿2のバーコードマーク22を読み取られて固有情報信号(コード番号)が仕分制御手段7の等級読出部71へ入力される。等級読出部71はこのコード番号からアドレスメモリ部42に記憶された等級を読み出して等級信号を排出制御部73ヘ入力する。排出制御部73はこの等級が予め排出位置設定部72で指定された排出位置のいずれに属するか判別し,排出位置の指定がある場合に該当する排出装置60ヘ向けて等級別排出信号を受皿2の進行と同期させて出力する(【0040】。
)一方,前記入力された等級が排出位置設定部72に排出位置の指定がない場合には排出信号は出力されない。このため排出位置の指定がない青果物F入り受皿2は,第2仕分コンベア106上から排出されずにリターンコンベア81へ送られる(【0041】。
)そして,リターンコンベア81により第2プールコンベア82上に送られた青果物F入り受皿2は,前記第1プールコンベア103から合流コンベア15上に送られる青果物F入り受皿2と合流のタイミングを計ってその終端部82bから切り出すように送出される。また,この第2プールコンベア82は,その終端部82bにおいて青果物F入り受皿2の送出を一時ストップさせておき,プールされる青果物F入り受皿2の数が所定量になったとき,前記第1プールコンベア103の終端部103bからの送出をストップさせるとともに,第2プールコンベア82上の青果物F入り受皿2を送り出すように構成すれば所定量ごと交互に切り換えて送出すこともできる(【0042】。
)一方,前記排出位置設定部72における等級別の排出位置の切換えは,第2仕分読取装置50が受皿2のバーコードマーク22を読み取ると,その都度,前記排出位置が設定されない等級についてのみその個数を積算し,この値が予め設定した個数に達したときに排出位置の切換えを指示する。この切換えのために予め設定され44る数値は,リターンされる青果物Fが第2プールコンベア82上でほぼ満杯になるときの個数や,等級比率から割出された単位時間当たりの個数等目的に応じて任意に決めることが好ましい。そして,前記等級別排出信号により等級別に箱詰プール装置10上へ排出された青果物F入り受皿2は,自動箱詰装置11により所定数をまとめて段ボール箱12に箱詰めされて製品となって送り出される(【0043】 。
)(7) 発明の効果引用発明1の青果物の選別装置によれば,仕分クラスの数よりも所定数少ない数の排出装置を搬送手段の搬送路に沿って設けるとともに,仕分制御手段により前記仕分クラスの排出位置が切換可能で,かつ,前記所定数の仕分クラスの排出位置が指定されないように設け,前記排出装置により排出されない前記仕分クラスの青果物を仕分読取装置の前段ヘ再び還元するごとく構成したものである。このように,搬送手段に沿って設けられる排出装置は仕分クラスの数よりも少なく配置したため,この排出装置に対応して設けられる箱詰装置は,仕分クラスの数と同数を配置する従来のものと比較して少なくて済み,選別装置全体を小型にすることができるとともに,箱詰め作業に従事する作業者も同様に少なくて済み合理化及び省力化に効果があり,また,同一排出位置で複数の仕分クラスを切り換えて排出可能に構成したことにより,例えば等級比率の低いもの同志を組み合わせて一台の箱詰装置に対する稼動効率を高めて使用することができる(【0044】〜【0046】。
)3 取消事由1(新規性判断の誤り)について(1) 本件発明1の新規性についてア 引用発明1の認定について(ア) 原告は,本件審決が,引用発明1を前記第2の3(2)のとおり認定したことについて,「プールコンベア82にプールしておく」ことやリターン手段によって戻す時期を「仕分クラスの排出位置を切り換えるとき」とすることは,引用発明1にとって任意の構成にすぎず,引用発明1の認定においては,これらの構成を付加すべきではない旨主張する。
45(イ) そこで,検討するに,前記2の引用例1の記載によれば,引用発明1は,「選別後の青果物を仕分クラスの数よりも少なく配置された箱詰手段へ仕分クラスを切換えて排出する青果物の選別装置に関する」発明であり(【0001】 ,箱詰)めするための手段を仕分けクラスの数と同数配置することに起因する,比率が低い仕分クラスについて設備に対する効果が低いこと,選別装置の長大化及び箱詰めに従事する従事者の人手不足といった課題を解決するものである(【0002】〜【0005】。
)そのため,搬送手段である仕分コンベア101a,101b及び排出装置6aの下流で階級別に仕分を行った後の工程に位置する第1プールコンベア103は,「青果物Fの分布率の違いにより仕分コンベア101から集中的に仕分けられて供給過剰になったときにこの余剰分をプールしておくとともに,この余剰分をまばらに仕分けられたときに次工程に送り出して次工程に送り出す量を一定にするごとく構成する」ものであり(【0012】,第2プールコンベア82は,) 「前記第1プールコンベア103と同様の構造のアキュームレート可能なコンベア」 【002(8】)であり,箱詰プール装置10は,「排出装置60から排出された青果物F入り受皿2をそれぞれ等級別にプールするごとくアキュームレート可能なコンベアで構成する」ものである(【0033】 。このように,引用発明1は,排出装置下流に)受皿をプールすることが可能な領域(第1プールコンベア103,第2プールコンベア82,箱詰プール装置10)を設けることにより,排出装置6aと選別装置の最下流である自動箱詰装置10までの間の各コンベア(工程)を,受皿が貯留可能な量とすることを前提とした仕分を対象としたものであると認められる。
そして,排出制御部73は,等級が予め排出位置設定部72で指定された排出位置のいずれに属するかを判別し,排出位置の指定がある場合には,該当する排出装置60ヘ向けて等級別排出信号を受皿2の進行と同期させて出力し,排出位置の指定がない場合には,排出信号は出力されず,排出位置の指定がない青果物F入り受皿2は,第2仕分コンベア106上から排出されずにリターンコンベア81へ送ら46れる一方,排出位置設定部72における等級別の排出位置の切換えは,排出位置が設定されない等級についてのみその個数を積算するなどして,この値が予め設定した個数に達したときに排出位置の切換えを指示し,リターンコンベア81により第2プールコンベア82に送られた青果物F入り受皿2は,その終端部82bから切り出すように送出され,合流コンベア105上に搬出され,第2仕分読取装置50の前段へ還元される(【請求項1】 【0006】 【0008】 【0027】〜【0, , ,030】【0040】〜【0043】 。
, )以上によれば,引用発明1は,上記課題の解決のために,プール機能を有する第1プールコンベア,箱詰プール装置,第2プールコンベアを設けるとともに,第2プールコンベアを含み仕分読取装置の前段へ受皿を還元するリターン手段を設けて,排出装置から自動箱詰装置に至る仕分工程の間に排出位置の指定がない受皿を貯留可能なスペースを確保するとともに,仕分クラスの排出位置の切換手段を設けたことにより,搬送手段に沿って設けられる排出装置及び箱詰装置を仕分クラスの数よりも少なく配置でき,選別装置全体の小型化を可能とした点に特徴があると認められる。
そうすると,本件審決が,引用発明1について,「仕分クラスの数よりも所定数少ない数の排出装置60にそれぞれ対応して設けられたアキュームレート可能なコンベアで構成される箱詰プール装置10が接続されている搬送手段下流側の仕分排出領域を設定し,」及び「前記仕分排出領域から,仕分クラスの排出位置が指定されている受皿は箱詰プール装置10に仕分け,仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿はプールコンベア82にプールしておき,仕分クラスの排出位置を切り換えるときに仕分読取装置50の前段へ受皿を還元するリターン手段とからなる青果物の選別装置」と認定した点は,引用発明1にとって任意の構成にすぎないものということはできない。したがって,本件審決が,「引用発明1においては,…仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿はプールコンベア82にプールしておき,仕分クラスの排出位置を切り換えるときに仕分読取装置50の前段へ受皿を還元す47るリターン手段とからなる」と引用発明1を認定したことに誤りはないというべきである。
原告の前記(ア)の主張は,採用することができない。
相違点の認定(オーバーフロー)について(ア) 原告は,本件明細書の【0012】 【0023】 【0025】 【005, , ,3】【0054】【0058】の記載によれば,本件発明1の「オーバーフロー」, ,とは「仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されないこと」を意味するものであって,排出位置の指定がないために仕分ラインに排出されない場合も含むところ,引用発明1においても,受皿はオーバーフローしており,本件発明1と引用発明1との間に,オーバーフローについて,本件審決が認定する相違点は存在しない旨主張する。
(イ) 「オーバーフロー」とは,「広辞苑 第六版」(岩波書店)によれば,「水などがあふれ出ること」との語義を有するものとされている。
そして,本件明細書には,「オーバーフロー」に関し,以下の記載がある。
【0006】【0007】【0011】【0012】には,仕分区分別の分布比, , ,率の大小で自動包装と手作業包装を振り分けるだけでは,選別要素の計測や仕分けの工程は機械化して比較的高速処理が実現できるのに対し,包装作業(特に手詰めの場合)では高速処理が難しいため,工程別の処理速度のアンバランスを招くこと,そのために,計測,仕分の工程から包装作業位置に仕分けられて送り出される各仕分区分のフリートレイ貯留部(プールコンベア等)の面積を大きくし,処理速度の差を緩衝することも考えられるが,このようにすると各仕分区分の貯留部の面積がそれぞれ大きくなるため選果場全体に必要な面積が極めて大きくなることが避けられず,特に設置面積に制約のある選果場には適用できないことから,従来は,各仕分ライン毎のプール部は大きく設けずに,選別コンベアの終端に,仕分ラインに排出できなかった受皿を一括して受け入れるプール部を設けて,オーバーフローした受皿の農産物は手作業で包装することが行われている場合が多いことが記載されて48いる。
【0025】には,仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されずに受皿がオーバーフローするのは,仕分区分別に設定されている仕分ラインのうちのいずれかが満杯でそれ以上の受皿を受け入れられない状態にある場合,排出装置の動作不良,故障等の場合があり,排出装置の一時的な動作不良の場合にはオーバーフローした受皿は自動的に再度仕分け工程に戻されるので,処理上の不都合はほとんど生じないことが記載されている。
【0053】には,仕分コンベアが比較的短いために排出を受けて集積・貯留できる個数が少ない設備の場合には,一つの仕分区分の農産物を受け入れるように設定されている仕分コンベア上が満杯になっていることがあり,この場合には,該当する農産物の排出が行われず,該農産物を載せたフリートレイは搬送下流側に搬送されることになり,これに対応する仕分区分が下流側に設定されていなければ,このフリートレイは仕分部からオーバーフローすることが記載されている。
【0060】には,仕分排出軌道領域で仕分ラインが満杯で受皿が排出されずにオーバーフローする場合,あるいは排出装置の動作不良,故障等の場合に,オーバーフローした受皿は自動的に再度仕分け工程に戻されるので,従来の選別コンベアの終端部にプール部を設けて手作業で包装していた不具合を解消できることが記載されている。
以上の記載によれば,本件発明1における「オーバーフロー」とは,「選別コンベアの下流(終端)ないし仕分コンベア(仕分ライン)上流に生じ得る態様であって,仕分箇所が設定されており,仕分しようとしていたが,仕分箇所が満杯の場合,仕分箇所への排出装置の動作不良,故障等の理由により,その仕分箇所に受皿が排出されない態様」を意味するものと解するのが相当である。
本件明細書の【0023】【0054】【0058】の記載も,上記の「オーバ, ,ーフロー」の意味を離れて,受皿が仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されない態様の全てを含むものとして,「オーバーフロー」の用語を使用していると解する49ことはできない。
また,本件明細書の【0024】には,仕分ラインは仕分けるべき全ての区分に応じて少なくとも1条ずつ設けることが一般に望ましいことが記載されていること,及び本件発明2の請求項の文言との対比によれば,本件発明1は,仕分ラインの条数が全ての仕分区分数よりも所定数少ない場合も含むものというべきであるが,そのような場合であっても,仕分箇所が設定されているにもかかわらず,その仕分箇所が満杯の場合,その仕分箇所へ排出する手段の動作不良,故障等の理由により,その仕分箇所に受皿が排出されない態様を想定できることは同様であるから,これが上記「オーバーフロー」の解釈を変更すべき根拠となるものではない。仕分ラインの条数が全ての仕分区分数よりも所定数少ないために,仕分箇所が設定されずに仕分箇所に排出されなかった態様のものは,上記「オーバーフロー」の概念に該当しないというにすぎない。
(ウ) これに対して,引用発明1は,前記ア(イ)のとおりのものであって,引用例1によれば,リターン手段8(リターンコンベア81,第2プールコンベア82)へ受皿が流れる態様は,排出装置6a,6bで第1段階の排出として階級別に排出された受皿の中から,排出位置を指定しないもの(【0024】。図1においては「並」と記載され,仕分箇所を設定せず最初から排出装置60への排出を予定していないもの)を単にプールさせるものにすぎず,仕分コンベア101a,101b(本件発明1の選別コンベアに相当するもの)から,分岐コンベア102a,102b(本件発明1の仕分コンベアに相当するもの)に入った後の工程であって,仕分コンベア101a,101bの下流(終端)ないしは分岐コンベア102a,102bの上流に生じ得る態様ではない。その上,仕分箇所が設定されており,仕分しようとしていたが,仕分箇所が満杯の場合,仕分箇所への排出装置の動作不良,故障等の理由により,その仕分箇所に受皿が排出されない態様に当たるものでもない。したがって,引用発明1において,リターン手段8(リターンコンベア81,第2プールコンベア82)へ受皿が流れる態様は,本件発明1の「オーバーフロ50ー」に該当するものではなく,引用発明1の「箱詰プール装置10に排出されない受皿」が,本件発明1の「仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿」に含まれるとすることはできない。
また,箱詰プール装置10上に受皿が満杯で排出できない場合や排出装置60の動作不良,故障等で排出できない場合というのも,仕分コンベア101a,101b(本件発明1の選別コンベアに相当するもの)から,分岐コンベア102a,102b(本件発明1の仕分コンベアに相当するもの)に入った後の工程であって,仕分コンベア101a,101bの下流(終端)ないしは分岐コンベア102a,102bの上流に生じ得る態様ではないから,本件発明1の「オーバーフロー」に該当するということはできない。
(エ) 原告は,引用発明1においても,箱詰プール装置10上に受皿が満杯で排出できない場合や排出装置の動作不良,故障等で排出できない場合が常識的に想定できるのであって,引用発明1は,そのような場合にも対応できる構成であり,本件審決の認定からすれば,このような場合こそがオーバーフローとなるものであるから,本件審決は,引用発明1がこのような場合に対応できる点をあえて認定しないものであって,引用発明1には「オーバーフローという概念は存在し得ない。」とした判断は,不当である旨主張する。
しかし,前記(ウ)のとおり,箱詰プール装置10上に受皿が満杯で排出できない場合や排出装置60の動作不良,故障等で排出できない場合の受皿の流れの態様は,本件発明1の「オーバーフロー」に該当するものではない。
これに対して,引用例1の記載からすれば,第1段階の排出を行う排出装置6a,6bに動作不良,故障等があった場合,受皿は分岐コンベア102a,102bに排出されず,仕分コンベア101a,101b上を進行していくと考えられることから,本件発明1の「オーバーフロー」の状態になる可能性がある。しかし,引用例1には,その後どのように当該受皿が取り扱われるのかといった対処手段に関する記載は全くない。したがって,引用例1には,この場合については,少なくとも51「仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」構成(相違点に係る本件発明1の構成)は,記載されていない。
(オ) 原告は,引用例1の補正により追加された甲12の請求項1の構成は,本件発明1の構成と実質同一であり,引用例1の上記補正は,引用発明1の「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」されたものというべきであるから,甲12は,引用例1における自明事項を証明するものであって,本件審決は,引用例1の記載事項,特に自明事項の認定を誤るものである旨主張する。
しかし,引用発明1は,あくまでも引用例1に記載された発明であって,原告の主張も本件発明1と引用発明1とが同一であるというものであるから,甲12は本件特許の無効理由の基礎となるものではない。また,甲12は,本件出願日(平成10年10月23日)よりも後に発行されたものであるから,特許法29条1項3号に係る刊行物には該当しない。
(カ) 以上のとおりであるから,原告の前記(ア)の主張は,採用することができない。
ウ 原告の主張について(ア) 原告は,引用発明1において,リターン手段で還元される受皿は,仕分クラスの排出位置が指定されてない(そのために仕分排出領域から箱詰プール装置10に排出されなかった)受皿だけでなく,箱詰プール装置10の満杯や排出装置の動作不良,故障等の理由で仕分排出領域から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿も含まれるから,相違点に係る引用発明1の「仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿」との部分は,「仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿」と認定されるべきである旨主張す52る。
確かに,引用例1の記載からすれば,第1段階の排出を行う排出装置6a,6bに動作不良,故障等があった場合,受皿は分岐コンベア102a,102bに排出されず,仕分コンベア101a,101b上を進行していくと考えられることから,本件発明1の「オーバーフロー」の状態になる可能性がある。しかし,前記イ(エ)のとおり,引用例1には,第1段階の排出を行う排出装置6a,6bに動作不良,故障等があった場合,その後どのように受皿が取り扱われるのかといった対処手段に関する記載は全くないことから,この場合については,少なくとも「仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」構成は記載されていない。
これに対して,引用例1において,箱詰プール装置10の満杯の理由で第2仕分コンベア106から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿は,リターンコンベア81,第2プールコンベア82,リターンコンベア81,合流コンベア105を経て,再び第2仕分けコンベア106に戻されることとなる。また,第2段階の排出を行う排出装置60に動作不良,故障等があった場合も,同様に,第2仕分コンベア106から箱詰プール装置10に排出されず,リターンコンベア81,第2プールコンベア82,リターンコンベア81,合流コンベア105を経て,再び第2仕分けコンベア106に戻されることとなる。しかしながら,前記イ(ウ)のとおり,上記いずれの場合の受皿の流れの態様も,そもそも「オーバーフロー」には当たらない。
そうすると,仮に,相違点に係る引用発明1の「仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿」との本件審決による認定部分を,「仕分排出軌道領域(第2仕分コンベア106)から箱詰プール装置10に排出されなかった受皿」としたとしても,「仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を53前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」との本件発明1に係る構成は,引用例1には記載されていないことから,この点が相違点であることに変わりはない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(イ) 原告は,引用例1には,「アキュームレート可能なコンベアで構成される」と記載されているものの,箱詰のためには一定のまとまった数の農産物をプールする必要があるので,選別コンベアから分岐して箱詰装置に至るコンベアは,アキュームレート(蓄積すること)が可能なコンベア(一般にプールコンベアと称される)で構成されるものであって,コンベア上に受皿の蓄積が可能であることが開示されているにすぎず,どの程度の蓄積が可能かについての記載はないこと,本件発明1の仕分ラインを構成するコンベアも,実施例では自動箱詰装置に接続しているのであるから,当然,「アキュームレート可能な」コンベアであると考えられるし,本件明細書の【0020】に,「仕分ラインをなす仕分コンベアは,貯留と集積の作用を行うコンベア装置を含むように構成することができる。」と記載されているように,貯留・集積が可能な仕分ラインの構成を排除しているわけでもないことから,「アキュームレート可能なコンベアで構成される」との点は,相違点ではない旨主張する。
しかし,前記1(2)のとおり,本件発明は,「仕分排出軌道領域から仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」により,各仕分ラインに貯留すべき受皿の数を大きく設定する必要性を軽減でき,各仕分ラインのプール部を小さくし,装置全体を小型にできるという利益が得られるなどの課題を解決した点に技術的意義がある。
これに対して,前記ア(イ)のとおり,引用発明1は,プール機能を有する第1プ54ールコンベア,箱詰プール装置,第2プールコンベアを設けるとともに,第2プールコンベアを含み仕分読取装置の前段へ受皿を還元するリターン手段を設けて,排出装置から自動箱詰装置に至る仕分工程の間に排出位置の指定がない受皿を貯留可能なスペースを確保するとともに,仕分クラスの排出位置の切換手段を設けたことにより,搬送手段に沿って設けられる排出装置及び箱詰装置を仕分クラスの数よりも少なく配置でき,選別装置全体の小型化を可能とした点に特徴があるものであって,そのため,「仕分クラスの数よりも所定数少ない数の排出装置60にそれぞれ対応して設けられたアキュームレート可能なコンベアで構成される箱詰プール装置10が接続されている搬送手段下流側の仕分排出領域を設定し,」及び「前記仕分排出領域から,仕分クラスの排出位置が指定されている受皿は箱詰プール装置10に仕分け,仕分クラスの排出位置が指定されてない受皿はプールコンベア82にプールしておき,仕分クラスの排出位置を切り換えるときに仕分読取装置50の前段へ受皿を還元するリターン手段とからなる青果物の選別装置」との点は,引用発明1にとって不可欠の構成である。
そして,前記イ(イ)及び(ウ)のとおり,本件発明1における「仕分排出軌道領域」における「リターンコンベア」と,引用発明1における「仕分排出領域」における「リターン手段」とは,「オーバーフロー」した受皿を搬送手段の上流側に戻すものであるか否かという点で技術的意義が相違するものである。そうすると,その前提となる引用発明1の「仕分排出領域」の構成として,本件審決が,「アキュームレート可能なコンベアで構成される箱詰プール装置10が接続されている搬送手段下流側の仕分排出領域」と認定したことに誤りはないというべきである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(ウ) 原告は,受皿がリターン手段で還元される位置は,引用発明1においても,仕分読取装置50の前段であって,受皿上の青果物の計測は終わっている(再度計測する必要はない)のであるから,この点は,相違点ではない旨主張する。
しかし,前記イ(イ)及び(ウ)のとおり,本件発明1における「仕分排出軌道領55域」における「リターンコンベア」と,引用発明1における「仕分排出領域」における「リターン手段」とは,「オーバーフロー」した受皿を搬送手段の上流側に戻すものであるか否かという点で技術的意義が相違するものである。すなわち,本件発明1においては,「仕分排出軌道領域から仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」ものである。これに対して,引用発明1においては,リターン手段8へ受皿が流れる態様は,仕分コンベア101a,101b(本件発明1の選別コンベアに相当するもの)から,分岐コンベア102a,102b(本件発明1の仕分コンベアに相当するもの)に入った後の工程であって,仕分コンベア101a,101bの下流(終端)ないしは分岐コンベア102a,102bの上流に生じ得る態様ではなく,リターンコンベアにより戻した受皿を送り込む位置も,分岐コンベア102a,102bに入った後の工程である第2仕分読取装置50の前段である。
そうすると,本件審決が,本件発明1は,「リターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」に対し,引用発明1は,「仕分読取装置50の前段へ受皿を還元するリターン手段とからなる」点を相違点として認定したことに誤りはないというべきである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
エ 小括以上のとおりであるから,引用発明1の認定の誤り及び相違点の認定の誤りに係る原告の主張はいずれも理由がなく,本件発明1は引用発明1と同一ではない。
(2) 本件発明2,5及び6の新規性について本件発明2,5及び6は,本件発明1の発明特定事項を全て含み,本件発明1に他の限定を付加したものである。そうすると,本件発明2,5及び6と引用発明156とは,少なくとも,本件発明1と引用発明1との相違点と同一の相違点を有し,かつ,本件発明1について前記(1)で説示した事項は,全て本件発明2,5及び6にも妥当する。
したがって,本件発明2,5及び6も,引用発明1と同一ではない。
(3) 以上によれば,取消事由1は理由がない。
4 取消事由2(進歩性判断の誤り)について(1) 引用発明1及び技術常識に基づく本件発明1の容易想到性についてア 原告は,搬送コンベアから仕分コンベアに排出されずに搬送コンベアの最終部まで搬送された青果物の取り扱いに労力を要するという課題が存在したことは,引用例1を補正した甲12の【0002】【0003】や,本件明細書の【001,2】にも記載されているように,当業者であれば自明な事項であり,引用発明1においても,排出位置の指定のない受皿は仕分排出軌道領域で排出されないが,このような場合も本件発明1の「オーバーフロー」に該当するから,引用発明1にはオーバーフローという課題が自明なものとして存在しており,さらに,仕分排出軌道領域で仕分ラインに排出されなかった受皿への対応という課題は,引用発明1におけるオーバーフローの課題の存在の有無とは別に,一般的に搬送装置の分野において周知であることから,かかる課題の解決に引用発明1の「リターン手段」の技術を用いることは,当業者であれば,容易に想到し得る旨主張する。
イ しかし,引用例1には,本件発明1における「オーバーフロー」の課題についての記載も示唆もない。
また,前記3(1)イ(ウ)のとおり,引用発明1においてリターン手段8(リターンコンベア81,第2プールコンベア82)へ受皿が流れる態様は,本件発明1における「オーバーフロー」には該当しないから,引用発明1のリターン手段8(リターンコンベア81,第2プールコンベア82)は,本件発明1の「仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベア」に相当するものではない。
57そして,前記3(1)イ(エ)のとおり,引用発明1において,第1段階の排出を行う排出装置6a,6bに動作不良,故障等があった場合には,その後の受皿の流れの態様が,本件発明1の「オーバーフロー」の状態になる可能性があるものの,引用例1には,その後どのように当該受皿が取り扱われるのかといった対処手段に関する記載は全くなく,少なくとも「仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設けると共に,このリターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間とした」構成は記載されていない。
さらに,本件発明の従来技術として,「従来は,各仕分ライン毎のプール部は大きく設けずに,選別コンベアの終端に,仕分ラインに排出できなかった受皿を一括して受け入れるプール部を設けて,オーバーフローした受皿の農産物は手作業で包装することが行われている場合が多い。(」【0012】)と記載されていることからすれば,従来は,プール部を設けてオーバーフローの対処を行う場合が多いことが把握できるから,仮に搬送コンベアから仕分コンベアに排出されずに搬送コンベアの最終部まで搬送された青果物の取り扱いに労力を要するという課題自体が自明であったとしても,当該課題の解決に引用発明1の「リターン手段」の技術を用いることを容易に想到し得たとすることはできない。
したがって,原告の前記アの主張は,採用することができない。
(2) 引用発明1並びに公知例1ないし5,甲19ないし21及び25記載の公知公用技術に基づく本件発明1の容易想到性についてア 原告は,甲19ないし21及び25(資料6ないし資料23)によれば,「搬送される対象物を仕分けるための情報が既に取得されており,かつ,仕分ラインで満杯等が発生したときには,搬送される対象物をリターンコンベアに戻し,文字認識装置で仕分けるための情報を読み取って仕分ラインを再度探索する」技術は,本件出願前に公然実施されていた公知公用技術であるところ,上記公知公用技術を58引用発明1に適用することは,当業者にとって困難ではない旨主張する。
イ しかし,そもそも原告主張に係る「搬送される対象物を仕分けるための情報が既に取得されており,かつ,仕分ラインで満杯等が発生したときには,搬送される対象物をリターンコンベアに戻し,文字認識装置で仕分けるための情報を読み取って仕分ラインを再度探索する」公知公用技術は,スイカを仕分けした後に箱詰めされた製品箱を搬送するパレタイザー積込工程に関するものであることは,その主張自体から明らかであって,本件発明1のように,「農産物を載せた受皿」を搬送手段で搬送しつつ,「計測軌道領域」において受皿上の農産物を選別仕分けする情報を計測し,「仕分排出軌道領域」において該当する仕分区分の仕分ラインに該受皿を排出する「農産物の選別装置」に関するものではなく,本件発明1及び引用発明1とは,その前提となる技術が相違するというべきである。
そうすると,原告主張に係る上記公知公用技術には,本件発明1の構成に係る「前記仕分排出軌道領域から前記仕分ラインに排出されずにオーバーフローした受皿を前記搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを設ける」ことも,「リターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間としたこと」のいずれも開示されておらず,仮に,原告主張に係る公知公用技術が認められたとしても,前提となる技術が相違し,引用発明1と組み合わせることによって,相違点に係る本件発明1の構成に想到することはできない。
したがって,原告の前記アの主張は,採用することができない。
(3) 引用発明1及び引用発明2に基づく本件発明1の容易想到性についてア 原告は,多数の品物を搬送しながら同一目的の仕分先に排出して仕分ける装置において,仕分先が満杯で排出できない事態が発生するとの課題を解決するという技術思想として引用発明2を認定すべきであって,引用例2記載の仕分コンベア17は,本件発明1におけるオーバーフローした受皿を搬送手段の上流側に戻すリターンコンベアを含んでいるところ,引用発明1と引用発明2の共通点は多いこと59から,引用発明1と引用発明2とは技術分野の関連性を有しており,これは両発明を組み合わせることの動機付けとなり得るのであって,引用発明2の技術を引用発明1に適用することは当業者にとって困難ではない旨主張する。
イ 引用発明2について引用例2(甲3)の記載によれば,引用発明2に関し,以下の点が開示されていることが認められる(下記記載中に引用する図1は別紙3を参照。 。
)(ア) 特許請求の範囲【請求項1】仕分コンベヤによって搬送される仕分物品を仕分シュートに仕分ける1つ又は複数の仕分システムの前記仕分シュートが複数合流する合流シュートにおいて,合流する前記複数の仕分シュートの内何れか1つの仕分シュートは鉄板,樹脂等で形成され且つ当該仕分シュートを滑り降りる仕分物品を検知する第1物品検知センサーを有し,合流する前記複数の仕分シュートの内残りの仕分シュートは仕分物品を搬送する搬送コンベヤと前記搬送コンベヤ上の仕分物品を検知する第2物品検知センサーとを有し,前記第1,第2物品検知センサーは前記複数の仕分シュートの合流点より上流に設けられ,前記第2物品検知センサーは前記第1物品検知センサーが作動した後,所定の時間内に作動したとき前記搬送コンベヤを停止させることを特徴とする,合流シュート。
【請求項2】前記合流点より下流で満杯になった仕分物品を検知し,前記仕分コンベヤからの物品の送り込みを停止させる満杯検知センサーを前記合流点より下流に具えた,請求項1の合流シュート。
(イ) 産業上の利用分野引用発明2は,仕分コンベヤによって搬送される仕分物品を仕分シュートに仕分ける複数の仕分システムの仕分シュートが合流する合流シュートにおいて,いずれか1つの仕分シュートを流れる仕分物品の流れを,他の仕分シュートを流れる仕分60物品の流れより優先させて,合流点での仕分物品同士の衝突を回避するための合流シュートに関する(【0001】。
)(ウ) 従来の技術従来から,仕分システムは,例えば,倉庫において保管物の仕分に使用されたり,運送会社やデパートの集配センターにおいて配達物の仕分に使用されたりしている。
この場合,仕分けられる保管物,配達物等の仕分物品は,形状や大きさが同じ物同士,又は,形状や大きさが異なっても配達地域が同じ物同士等の様に,仕分目的が同一な物同士に仕分けられる。このため,1つ又は複数の仕分システムの複数の仕分シュートの内,仕分物品の仕分目的が同一な仕分シュートは,1箇所で合流して合流シュートを形成している(【0002】 【0003】。
, )(エ) 考案が解決しようとする課題ところが,このような合流シュートであると,複数の仕分シュートから送られてきた仕分物品同士が合流点において,衝突し,仕分物品の流れが悪くなるという問題点を有している。また,最悪の場合には仕分物品が合流点に詰まり,仕分物品の流れが止まるという問題点も有している。そのほか,仕分物品同士が衝突したとき,仕分物品が損傷を受けるという問題点も有している(【0004】 。
)(オ) 課題を解決するための手段引用発明2は,仕分コンベヤによって搬送される仕分物品を仕分シュートに仕分ける1つ又は複数の仕分システムの前記仕分シュートが複数合流する合流シュートにおいて,合流する前記複数の仕分シュートの内いずれか1つの仕分シュートは鉄板,樹脂等で形成され,かつ,当該仕分シュートを滑り降りる仕分物品を検知する第1物品検知センサーを有し,合流する前記複数の仕分シュートの内残りの仕分シュートは仕分物品を搬送する搬送コンベヤと前記搬送コンベヤ上の仕分物品を検知する第2物品検知センサーとを有し,前記第1,第2物品検知センサーは前記複数の仕分シュートの合流点より上流に設けられ,前記第2物品検知センサーは前記第1物品検知センサーが作動した後,所定の時間内に作動したとき前記搬送コンベヤ61を停止させる合流シュートにより,前記の課題を解決した(【0005】。
)(カ) 実施例a 図1に示す第1実施例の合流シュートについて説明する。第1実施例の合流シュート11は,1つの仕分システム12の仕分シュートが複数合流して形成されている。仕分システム12は,仕分物品Wを自動的に仕分けるシステムであり,仕分コンベヤ17,仕分シュート13,15等を有している(【0008】。
)仕分コンベヤ17は,軌道上を循環移動する複数のトレー19を有している。トレー19は,指定された仕分シュートの所まで移動してくると,自動的に傾いて積載している仕分物品Wを仕分シュートに送り込むようになっている(【0009】 。
)合流シュート11を構成している仕分シュートの内,1つの仕分シュート13は主流シュートであり,残りの仕分シュート15は副流シュートである。副流シュート15は,主流シュート13に連続的に仕分物品Wが送り込まれたとき,主流シュートに仕分物品が滞留する恐れがあるため,補助的に仕分物品Wを受け取るために設けられている。このため,主流シュート13上の仕分物品W1の流れは,副流シュート15上の仕分物品W2の流れよりも優先される(【0010】 。
)主流シュート13は,仕分物品W1が滑り易い鉄板によって断面コ字状に形成され,傾斜して設置されている。主流シュート13の入口の両側には,主流シュート13に仕分物品W1が投入されたことを検知する投入検知センサー21,21が取り付けられている。また,主流,副流シュート13,15の合流点22のやや上流の両側には,主流シュート13を滑り降りる仕分物品W1を検知する通過センサー(第1物品検知センサー)23,23が取り付けられている(【0011】。
)副流シュート15は,「く」の字状に屈曲している部分に複数の搬送コンベヤ24を有している。搬送コンベヤ24の両端には,鉄板製或いは樹脂製の案内シュート25,26が接続されている。副流シュート15の入口の両側にも,副流シュート15に仕分物品W2が投入されたことを検知する投入検知センサー31,31が取り付けられている(【0012】。
)62また,合流点22のやや上流の副流シュート15の両側には,搬送コンベヤ24によって搬送される仕分物品W2を検知するタイミングセンサー(第2物品検知センサー)32,32が取り付けられている。このタイミングセンサー32は,通過センサー23が主流シュート13を滑り降りる仕分物品W1を検知した後,所定の時間(オフ・ディレータイム)内に搬送コンベヤ24上に仕分物品W2があることを検知したとき,搬送コンベヤ24を停止させるようになっている(【0013】 。
)合流点22より下流の両側には,満杯検知センサー40,40が設けられている。
満杯検知センサー40は,合流点2の下流側に詰まって滞留した仕分物品W1,W2を検知し,仕分コンベヤ17からの仕分物品Wの投入を停止させるようになっている(【0014】。
)b 次に動作を説明する。仕分目的が同一な仕分物品Wは,仕分コンベヤ17から主流シュート13又は副流シュート15に送り込まれる。主流シュート13に送り込まれた仕分物品W1は,まず,投入検知センサー21によって,主流シュート13に投入されたことが検知される。その後,仕分物品W1は,主流シュート13の傾斜によって滑り降りて通過センサー23の前をする。通過センサー23は仕分物品W1の通過を検知する。そして,仕分物品W1は,合流点22を通過して1箇所に集められる(【0015】。
)一方,副流シュート15に送り込まれた仕分物品W2も,まず,投入検知センサー31によって,副流シュート15に投入されたことが検知される。その後,仕分物品W2は,搬送コンベヤ24によって合流点22に送り込まれ,主流シュート13によって送り込まれてきた仕分物品W1と同じ場所に集められる。この間に,タイミングセンサー32は,搬送コンベヤ24上の仕分物品W2の通過を検知する(【0016】。
)このとき,通過センサー23が作動した後,ある一定の時間内にタイミングセンサー32が作動した場合には,タイミングセンサー32は,搬送コンベヤ24を直ちに停止させ,副流シュート15上の仕分物品W2が合流点22に送り込まれない63ようにする。これによって,主流シュート13の仕分物品W1の流れが優先され,合流点22における,主流シュート13の仕分物品W1と副流シュート15の仕分物品W2との衝突が回避される。また,合流点22における仕分物品W1,W2の詰まりも回避され,仕分物品W1,W2は円滑に流れる。さらに,仕分物品W1,W2の損傷も防止される(【0017】。
)このようにして,主流シュート13と副流シュート15とによって仕分物品W1,W2は1箇所に集められるが,集められた仕分物品W1,W2を作業員が処理しきれない場合,仕分物品W1,W2は,滞留し,満杯検知センサー40によって検知される。満杯検知センサー40は,仕分物品W1,W2を検知し,ある一定の時間,ON状態が続いた場合に,その仕分物品W1,W2を,滞留仕分物品として検知する(【0018】。
)満杯検知センサー40は,滞留仕分物品を検知したとき,仕分コンベヤ17からの投入された新たな仕分物品が投入検知センサー21,31の前を通過した場合,その後の,仕分コンベヤ17からの仕分物品の投入を停止させる。物品の投入を停止されられた仕分コンベヤ17は,投入停止が解除されるまで,投入を停止させられた仕分物品を積載したまま循環移動する。そして,仕分物品の滞留が解消されると,仕分コンベヤ17からの仕分物品の投入が再開される(【0019】。
)(キ) 考案の効果請求項1の合流シュートは,例えば,複数の仕分シュートの内,仕分物品の流れの多い主流シュートを仕分物品が滑り易い鉄板製,樹脂製等で形成された仕分シュートとし,主流シュートより仕分物品の流れの少ない副流シュートを搬送コンベヤを有し制御機能を備えた仕分シュートとしたので,主流シュートの仕分物品の流れが優先され,合流点における仕分物品同士の衝突が回避されるという効果を奏する。
また,仕分物品の詰まりと,損傷も防止することができる。
請求項2の合流シュートは,満杯センサーによって,仕分シュートの合流点より下流で満杯になった仕分物品を検知し,仕分コンベヤからの物品の送り込みを停止64するようになっているため,仕分物品のさらなる滞留を防止することができる(【0030】。
)ウ 引用発明2は,引用例2の前記イの記載,殊に【0019】の記載に照らせば,滞留仕分物品を検知したときに,投入を停止させられた仕分物品は,仕分コンベアの最上流端に戻されると解される。しかし,前記3(1)イ(ウ)のとおり,引用発明1においてリターン手段8(リターンコンベア81,第2プールコンベア82)へ受皿が流れる態様は,本件発明1における「オーバーフロー」には該当せず,引用例1には,本件発明1の「オーバーフロー」の課題についての記載も示唆もないことから,引用発明1に引用発明2を適用する動機付けがないというべきである。
この点を措いても,引用例2には,「農産物を選別仕分けする情報を計測するために上記搬送手段の途中に設定された計測軌道領域」「各受皿に,その上に載せら,れている農産物の仕分け情報を直接又は識別標識を介して間接的に読出し可能に記録し,前記仕分排出軌道領域の上流に設けた読出し手段」が何ら記載されていないため,少なくとも本件発明1の構成である「リターンコンベアにより戻した受皿を前記搬送手段に送り込む位置を,前記計測軌道領域の終端と前記仕分け情報読出し手段の間」に特定する構成は記載も示唆もない。そうすると,引用発明1に引用発明2を組み合わせても,相違点に係る本件発明1の構成に想到することはできない。
(4) 本件発明1の進歩性について以上(1)ないし(3)によれば,本件発明1は,引用発明1に技術常識,公知例1ないし5,甲19ないし21及び25記載の公知公用技術,又は引用発明2を組み合わせることにより容易に発明できたものであるということはできない。
(5) 本件発明2,3,5及び6の進歩性について本件発明2,3,5及び6は,本件発明1の発明特定事項を全て含み,本件発明1に他の限定を付加したものである。そうすると,本件発明2,3,5及び6と引用発明1とは,少なくとも,本件発明1と引用発明1との相違点と同一の相違点を有し,かつ,本件発明1について前記(1)ないし(4)で説示した事項は,全て本件発65明2,3,5及び6にも妥当する。
したがって,本件発明2,3,5及び6も,引用発明1に技術常識,公知例1ないし5,甲19ないし21及び25記載の公知公用技術,又は引用発明2を組み合わせることにより容易に発明できたものであるということはできない。
(6) 小括以上によれば,取消事由2は理由がない。
5 結論以上によれば,原告主張に係る取消事由は全て理由がないから,原告の本訴請求は棄却を免れない。
よって,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官 部 眞 規 子裁判官 田 中 芳 樹裁判官 柵 木 澄 子66別紙1【図1】【図2】67別紙2【図1】【図6】68別紙3【図1】69
事実及び理由
全容
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