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関連審決 不服2012-25921
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事件 平成 26年 (行ケ) 10218号 審決取消請求事件

原告 フォームファクター,インコーポレイテッド
訴訟代理人弁理士稲葉良幸 佐藤睦 阪和之
被告 特許庁長官
指定代理人樋口信宏 森竜介 相崎裕恒 田中敬規
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2015/06/23
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
原告の求めた裁判
特許庁が不服2012-25921号事件について平成26年5月8日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,特許出願に対する拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,進歩性判断の当否である。
1 特許庁における手続の経緯 原告は,平成18年7月7日,発明の名称を「互換性プローブインサートを有するプローブカードアセンブリ」とする特許出願をした(特願2008-520441号。特許協力条約による優先権主張:平成17年7月8日(本願優先日)及び平成17年12月21日,米国特許庁,甲2)が,平成24年8月24日,拒絶査定を受け(甲5),同年12月27日,審判請求(甲3)をするとともに手続補正(本件補正,甲4)をした。
特許庁は,平成26年5月8日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,同審決謄本は,同月20日に原告に送達された。
2 本願発明の要旨 本件補正前の本件出願の請求項8の発明(本願発明)に係る特許請求の範囲の記載は,以下のとおりである(甲2)。
「【請求項8】 組み立てられている間にテスターに対する電気的インターフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリと, 試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体と,を備え, 前記プローブ構造体が, 前記ブローブカードアセンセブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインターフェースに電気的に接続され, 前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインターフェースから電気的に切断されるように構成される,プローブカード装置。」 3 審決の理由の要点 本件補正は,補正の要件を満たさず,補正前の本願発明は,以下のとおり,本願優先日前に頒布された特開平7-231018号公報(甲1。刊行物1)記載の発明(引用発明)に基づいて,当業者が容易に想到できたから,特許法29条2項により特許を受けることができない。
(1) 本件補正は, 「特許請求の範囲の厳縮」に該当せず,他の適法な目的にも該当しない(補正却下の理由は,原告は,この点を本件訴訟において争わない。。
) (2) 本願発明の進歩性引用発明の認定 「ウエハ載置台15と共通の架台12に強固な支持枠16を介し水平に支持されたヘッドプレート17,ヘッドプレート17の略中央の円形穴の内周段部17a上に水平に載架嵌合されたインサートリング18,及び,インサートリング18に装着したコンタクトリング26と, プローブカード22が,この周囲から嵌合保持するカードホルダー25に予め位置決め保持されて一つの集合体状とされているプローブ機構21と,を備え, プローブカード22は,中央に開口を有したプリント基板であるカード本体24の中央開口両側縁部から斜め下方に向けて多数本のプローブ針23がウエハ14上の一個或いは複数個のチップの電極パッドに対応して突設され,カードホルダー25を前記インサートリング18の下面部に接合し,締結具による締結により,前記ウエハ載置台15の上方の対向位置に交換可能に取付けセットされ,カード本体24の多数の電極がインサートリング18に装着したコンタクトリング26と電気的に接続され,プローブ針23がコンタクトリング26とポゴピンを介してテストヘッド27と電気的に接続される, 半導体ウエハ上に形成された半導体チップの電気的特性を試験検査するウエハプローバ。」 イ 本願発明と引用発明の対比(なお,審決においては,本件補正後の発明と引用発明との対比を引用する形で本願発明と引用発明の対比を行っているため,以下では,本件補正後の発明を本願発明と読み替えた上,本願発明と引用発明の対比に関連する部分のみとりあげる。)(構成の対比) @ プローブカードアセンブリ 引用発明の,ヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成は,本願発明の「組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリ」に相当する。
A プローブ構造体 引用発明の「プローブ機構21」は,本願発明の「試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体」に相当する。
B 取り付け機構 引用発明の「締結具による締結」の構成と,本願発明の「取り付け機構」は,「前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに」,「取り付けるように構成された取り付け機構」の点で共通する。
C テスターインタフェース 引用発明のプローブ機構21は,本願発明の「前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され」に相当する構成を具備する。
D プローブカード装置 引用発明の「ウエハプローバ」は,本願発明の「プローブカード装置」に相当する。
(一致点) 組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリと, 試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体と, 前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,取り付けるように構成された取り付け機構と,を備え, 前記プローブ構造体が, 前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続される,プローブカード装置。
(相違点) プローブ構造体に関し,本願発明は,「前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される」としているのに対し,引用発明は,これが明 らかではない点。
ウ 相違点についての判断 引用発明のプローブ機構21が,本願発明の「前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され」に相当する構成を具備することに鑑みると,その裏返しとして,引用発明のプローブ機構21が,本願発明の「前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される」に相当する構成を具備することは,明らかである。
そうしてみると,相違点は相違点ではないか,少なくとも,引用発明において相違点に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得ることである。
原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定誤り) 審決の本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定は,「ウエハプローバ」と「プローブカード」との関係を理解せずに,これらを同一視して認定したものであり,誤りがある。本願発明が「プローブカード」の発明であることは,請求項において明確にされ,刊行物1には,「ウエハプローバ」に「プローブカード22」という構成があることが明記されている。「ウエハプローバ」と「プローブカード」とは, 「プローブカード」が「ウエハプローバ」に交換可能に設置される交換部品であるという関係にあり,そもそも,一致点・相違点の認定において対比される関係にはなく,仮に, 「プローブカード」 「ウエハプローバ」 が の構成の一部だとすれば,一致点及び相違点の認定においては,本願発明における「プローブカード装置」を,刊行物1における「ウエハプローバ」ではなく, 「ウエハプローバ」の構成の一部である「プローブカード22」と対比させるべきである。
そして,「ウエハプローバ」と「プローブカード」とは対比される関係にはない から,審決の認定した,引用発明の「ヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタンクトリング26を併せた構成」を本願発明の「プローブカードセンブリ」に相当するとし,引用発明の「プローブ機構」を本願発明の「プローブ構造体」に相当するとし,引用発明の「プローブ構造体」は本願発明の「プローブカードアセンブリ」「に装着され,それによって前記ブローブのいずれかが前記テスターインターフェースに電気的に接続され」に相当する構成を具備し,引用発明の「ウエハプローバ」が本願発明の「プローブカード装置」に相当するとしたのは,誤りである。
2 取消事由2(容易想到性判断の誤り) 引用発明と本願発明とは,解決課題が大きく異なるから,引用発明に基づいて,本願発明に想到する動機付けは存在しない。引用発明が解決しようとする課題は,プローブ針23群の針先高さの傾きを高精度に調整できるウエハプローバを提供することである。本願発明が解決しようとする課題は,インサートホルダ230(プローブインサート236)をプローブカードアセンブリ200から脱着可能にし,プローブインサート236を容易に新調することである。
引用発明と本願発明とは,引用発明が「ウエハプローバ」に関する発明であり,本願発明が「プローブカード」に関する発明である点で相違する上に,引用発明が「ウエハプローバ」に特有の課題を解決する発明である一方で,本願発明が「プローブカード」に特有の課題を解決する発明である点において,相違する。引用発明に基づいて本願発明に想到する動機付けは存在しないから,本願発明は引用発明に基づいて容易に想到できたものであるとする審決の判断は誤りである。
被告の反論
1 取消事由1に対し 甲1等の記載ないし技術常識によると,「プローブカード」は,「ウエハプローバ」の構成要素の一部である。少なくとも,対比(一致点の認定)の妨げとなるよ うな,全く別の構成と解することは妥当でない。
本願発明には,試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数の 「プローブを備えるプローブ構造体」と記載されており,これが「装着され」たり「離脱され」たりするから,本願発明において「プローブ構造体」は,プローブと一緒に交換する部品である。本願発明の「プローブカードアセンブリ」は, 「プローブ構造体」が交換可能に取り付けられ,ウエハプローバ全体」 「 として組み立てられると,プローブ針とテストヘッドが電気的に接続されるプローブ-テスター間の接続構造であるから,プローブと一緒に交換する部品を除いたウエハプローバ全体と解するのが妥当であり,プローブと一緒に交換する部品であると解釈することは妥当でない。
引用発明の「プローブ装置」は,ウエハプローバ全体に対応し,引用発明の「プローブ機構21」は,プローブと一緒に交換する部品であり,そして,引用発明の「ヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成」は,プローブと一緒に交換する部品が取り付けられ,ウエハプローバ全体として組み立てられると,プローブ針とテストヘッドが電気的に接続されるように機能するプローブ-テスター間の接続構造のことである。
以上のとおりであるから,本願発明の「プローブカードアセンブリ」が「プローブ交換部品」の構成であることを前提とした原告の主張は正しくない。また,引用発明において,「検査対象となるウエハに対する電気的インタフェースを形成する」ための組立要素である「ヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成」が,本願発明の「プローブカードアセンブリ」に相当するとした一致点の認定に誤りはなく,相違点の看過もない。
2 取消事由2に対し (1) 引用発明のプローブ機構21が,本願発明の「前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され」に相当することに鑑みると,その裏返しとして,引用発 明のプローブ機構21は,本願発明の「前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される」に相当する構成を具備する。そうしてみると,前記相違点は相違点ではない。
仮に,本願発明と引用発明が同一でないとしても,引用発明のプローブ機構21のプローブカード22は,交換のために取り外されることは予定され,交換のために取り外されると, 「前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断される」ことになるから,相違点に係る構成は,引用発明が予定しているものであり,動機付けがある。
(2) 引用発明と本願発明は,ともに, 「プローブカード」 (の交換)に関する発明である点で共通し,また,「プローブカード」(の交換)に特有の課題を解決するものであるという点においても,相違しないから,原告の取消事由に理由はない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定誤り)につい て (1) 本願発明 本願発明の要旨は,第2の2記載のとおりである。
(2) 引用発明の認定 引用発明は,前記第2の3(2)ア記載のとおり認定される(当事者間に争いがない)。
(3) 相違点の認定 ア 刊行物1には,次のとおりの記載がある。
「【0002】【従来の技術】周知の如く,半導体製造プロセスにおいては,半導体ウエハ上に精密写真技術等を用いて所定の回路パターンを持つ多数の半導体チップ(半導体デバ イス)が配列して形成される。これらチップの電気的特性の検査(試験判定)は,各チップが分割される前の半導体ウエハの状態で,プローブ装置(別名:ウエハプローバ)により行われる。この検査結果,良品と判定されたチップのみを,次のボンディングやパッケージィング工程に送り,最終製品の歩留まりの向上を図るようにしている。
【0003】ここで,そのプローブ装置は,特開昭64-73632号公報等に示されているようなもので,メインステージにはX-Y-Z-θ方向に移動制御可能に構成されたウエハ載置台が備えられており,このウエハ載置台上方に対向する位置には,半導体ウエハのチップの電極パッドに対応した多数のプローブ針を備えるプローブカードがカードホルダーを介し位置決めセットされ,更にこの上側に電気的に接続する状態にテストヘッドが設置されている。
【0004】そして,ウエハ載置台上に被検査体である半導体ウエハを搭載支持し,そのウエハ載置台をX-Y-Z-θ方向に移動制御して,この上面に保持した半導体ウエハ上のチップの電極パッドに前記プローブカードのプローブ針の針先(下端)を接触させる。これで,そのチップの各電極パッドをプローブ針を介してテストヘッド並びに外部テスタと電気的に接続して,該半導体ウエハのチップの電気的特性を検査するようになっている。」 以上の記載によれば,引用発明において,プローブ機構21は,プローブカード22とカードホルダー25とを備えており,プローブカード22は,カード本体24とプローブ針23とを備えており,カードホルダー25により,インサートリング18に,交換可能に取付セットされており,インサートリング18は,ヘッドプレート17及びコンタクトリング26に嵌合ないし装着されているものと認められる。そして,上記【0002】【0003】【0004】の記載より,ウエハプローバは半導体ウエハの電気的特性を検査するためのものであって,半導体ウエハ上のチップの検査を行うときには,チップの電極パッドにプローブ針の針先を接触させて,テストヘッド及び外部的テスタと電気的に接続するものといえる。
イ 本願明細書(甲2)によれば,本願発明において,プローブカード装置は,プローブカードアセンブリとプローブ構造体とを備えたものであって,プローブカードアセンブリは,電気的インターフェースを形成する組立要素を備えているものであり,プローブ構造体は,複数のプローブを備えるものであると認められる。
そして,試験対象である電子デバイスに接触するのは,「複数のプローブ」であり,この複数のプローブはプローブ構造体に備えられるものである。また,プローブ構造体は,「プローブカードアセンブリに装着され」,さらに,「プローブカードアセンブリから離脱され」ることができるものであるから,プローブカードアセンブリに対してプローブ構造体は交換可能であることがわかる。
ウ 以上のとおり,引用発明のプローブ機構21は,試験対象である半導体ウエハ上のチップに電気的に接触するプローブ針を備え,チップの種類に応じて交換されるものであり,また,本願発明のプローブ構造体も,試験対象である電子デバイスに接触するプローブを備え,交換可能とされているものであるから,引用発明のプローブ機構21は,本願発明のプローブ構造体に相当するものであり,このように対応関係を判断した審決に誤りはない。
エ 次に,両発明の対応関係について検討するに,本願発明において,プローブ構造体はプローブカードアセンブリに装着され,また,プローブカードアセンブリから離脱されるもの,すなわち,プローブ構造体はプローブカードアセンブリに対して交換可能とされているものである。そこで,本願発明のプローブ構造体に相当する引用発明のプローブ機構21において,これを交換可能としている対象の構成について検討する。
引用発明において,プローブ機構21は,インサートリング18に接合し締結して取り付けられているものである。そして,インサートリング18は,ヘッドプレート17に嵌合され,かつ,コンタクトリング26を装着し,コンタクトリング26は,プローブ針23をテストヘッド27へと電気的に接続する役割を有するものである。
したがって,引用発明において,本願発明のプローブ構造体に対して交換可能に装着されるプローブカードアセンブリに相当する構成は,引用発明のプローブ機構21を交換可能に装着するヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成となるから,そのように認定した審決に誤りはない。
オ さらに,両発明の対応関係について検討するに,引用発明においては,プローブ機構21が装着されると,プローブ針23は,コンタクトリング26を介して,テストヘッド27に電気的に接続されている。そして,プローブ針23がコンタクトリング26に電気的に接続されるには,そのための構成をプローブ機構21が具備する必要があるから,プローブ機構21は,本願発明のプローブカードアセンブリに相当する構成であるヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成に装着されると,この一部であるコンタクトリング26に電気的に接続されるための構成を,必然的に具備すべきものといえる。したがって,審決が,「引用発明のプローブ機構21は,本件補正後発明(本願発明を指す。)の『前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され』に相当する構成を具備する」と判断を示した点に誤りはない。
カ 原告は,「ウエハプローバ」と「プローブカード」とは,「プローブカード」が「ウエハプローバ」に交換可能に設置される交換部品であるという関係にあり,そもそも,一致点・相違点の認定において対比される関係にはないと主張するが,上記のように,本願発明のプローブ構造体も引用発明のプローブ機構21も検査対象に応じて交換するものであるから,原告の主張は失当である。
また,原告は,仮に,「プローブカード」が「ウエハプローバ」の構成の一部だとすれば,一致点及び相違点の認定においては,本願発明における「プローブカード装置」を引用発明における「ウエハプローバ」ではなく「プローブカード22」と対比させるべきであると主張する。
しかし,原告の上記主張は,本願発明の構成における技術的内容を考慮すること なく,「プローブカード」との文言のみを重視して一致点を認定しようとするものであり,失当である。
キ 以上のことから,審決が示した本願発明と引用発明との対比に原告主張の誤りはなく,その結果,審決の認定する一致点及び相違点にも原告主張の誤りはないといえる。
2 取消事由2(容易想到性の判断の誤り)について 引用発明のプローブ機構21が本願発明のプローブカードアセンブリに相当するヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成から離脱すると,プローブ機構21は,コンタクトリング26から電気的に切断されるから,引用発明が上記相違点に係る構成を備えることは明らかである。したがって,相違点は実質的な相違点ではなく,そのように判断した審決に誤りはない。
引用発明が「ウエハプローバ」に関する発明であり,本願発明が「プローブカード」に関する発明である点で相違する旨の原告の主張は,引用発明のプローブ機構21は,本願発明のプローブ構造体に相当するものではないことを前提とする主張であり,この主張が失当であることは取消事由1で検討したとおりである。
また,原告は,引用発明が「ウエハプローバ」に特有の課題(プローブ針23群の針先高さの傾きを高精度に調整できる。)を解決する発明である一方,本願発明が「プローブカード」に特有の課題(インサートホルダーをプローブカードアセンブリから脱着可能にし,プローブインサートを容易に新調する。)を解決する発明である点において,相違すると主張する。
しかし,引用発明においても,プローブ針群を含む「プローブ機構21」はインサートリングから脱着可能であり,この点において本願発明と相違するものではない。引用発明が,更にプローブ針群の針先高さの傾きを調整できるという特有の効果を有することは,上記の共通の技術課題を否定する根拠となるものではなく,原告の主張は採用できない。
よって,取消事由2は理由がない。
結論
以上のとおり,原告の請求は理由がない。
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 清水節
裁判官 片岡早苗
裁判官 新谷貴昭
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