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事件 |
平成
26年
(ワ)
16717号
損害賠償請求事件
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2014/09/22 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
判例全文 | |
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判例全文
平成26年9月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成26年(ワ)第16717号 損害賠償請求事件 口頭弁論終結日 平成26年8月27日 判 決 神奈川県相模原市<以下略> 原 告 株式会社イー・ピー・ルーム 東京都千代田区<以下略> 被 告 国 同 指 定 代 理 人 中 島 伸 一 郎 同 浅 原 陽 子 同 駒 ア 利 徳 同 平 川 千 鶴 子 同 古 閑 裕 人 主 文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 請求 被告は,原告に対し,200万円及びこれに対する平成26年7月15日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,特許庁審判官審判長Aが,原告が有していた発明の名称を「放電焼 結装置」とする特許権(特許第2640694号。以下「本件特許」とい う。)についての特許異議申立てに対し,特許庁審判官合議体の一人として, 平成13年7月4日にした取消決定(以下「本件取消決定」という。)をし たことは,特許法29条2項に違反する処分をしたものであり,国家賠償法上 1 違法であると主張して,被告に対し,200万円及びこれに対する訴状送達の 日の翌日である平成26年7月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割 合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提となる事実(争いがないか,末尾に掲記した証拠等により容易に認めら れる。) (1) 本件取消決定に係る事実経過 ア 原告は,平成2年9月18日,発明の名称を「放電焼結装置」とする特 許出願(特願平2−23962)に最初に添付した明細書又は図面に記載 された発明に基づき国内優先権の主張をし,発明の名称を「加圧及び通電 装置」とする特許出願(特願平2−248085。以下「本件特許出 願」という。)をした。本件特許出願は,平成4年1月14日,公開特 許公報(平成4年特許公開第9405号)として出願公開された(甲1の 1)。 イ 原告は,平成7年3月14日,本件特許出願について,同日付け手続補 正書による補正をした(甲4の1。以下「本件補正」という。)。 ウ 特許庁は,平成9年5月2日,本件特許出願に係る特許(本件特許。た だし,登録時の発明の名称は「放電焼結装置」である。)につき設定登録 をした(甲1の2)。 エ 住友石炭鉱業株式会社は,平成10年2月13日,本件特許について, 平成14年法律第24号による改正前の特許法に基づく異議申立てをした (平成10年異議第70682号。以下「本件特許異議申立て」とい う。)。 オ 特許庁は,平成13年7月4日,本件特許異議申立てに基づき,本件特 許を取り消す決定(本件取消決定)をした(甲2)。 (2) 本件取消決定に係る訴訟の経緯 ア 原告は,本件取消決定の取消しを求める訴えを提起した(東京高等裁判 2 所平成13年(行ケ)第369号)が,東京高等裁判所は,平成15年4 月9日,原告の請求を棄却する判決をし,同判決は同年10月9日に確定 した(乙2・2頁)。 イ 原告は,本件取消決定の無効確認の訴えを提起した( 当庁平成26年 (行ウ)第98号)が,当庁は,平成26年5月27日,原告の請求を棄 却する判決をし(乙2),同判決は,同年6月13日の経過により確定し た(弁論の全趣旨)。 ウ 原告は,本件特許異議申立て事件の審判官合議体担当審判官らが,異議 申立人の不利益になるような公報について,故意又は過失により審理する ことなく本件取消決定をしたのは国家賠償法1条1項の違法行為に当たる と主張して,本件被告(国。以下,単に「国」ということがある。 )に 対し,本件特許が存続していたであれば得られたであろう利益15億円の うち160万円等の支払を求める訴えを提起した(当庁平成16年(ワ) 第19959号)。当庁は,平成16年12月10日,原告の請求を棄却 する判決をした(乙3の1・2頁)。 原告は,同判決を不服として控訴した(東京高等裁判所平成17年 (ネ)第162号)が,東京高等裁判所は,平成17年3月30日,原告 の控訴を棄却する判決をし(乙3の1・2頁),同判決は,同年4月15 日の経過により確定した(弁論の全趣旨)。 エ 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国及び審判合議体の審判長で あったAに対し,連帯して慰謝料20万円等の支払を求める訴えを提起し た(当庁平成23年(ワ)第9248号)。当庁は,平成23年9月7日, 原告の国に対する訴えを却下し,Aに対する請求を棄却する判決をし(乙 3の1・2及び3頁),同判決は,同月21日の経過により確定した(乙 1・5頁)。 オ 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国及びAに対し,連帯して慰 3 謝料40万円等の支払を求める訴えを提起した(当庁平成23年(ワ)第 13780号)。当庁は,平成23年7月20日,原告の請求をいずれも 棄却する判決をし(乙3の1・3頁),同判決は,同年8月5日の経過に より確定した(乙1・6頁)。 カ 原告は,Aが,@異議申立人が申立ての理由としなかった刊行物につい ての審理をするに当たって異議申立人に意見を申し立てる機会を与えなか ったこと,及びA平成5年改正前特許法40条,41条の適用を誤り,特 許法29条の2の適用を遺脱した違法な内容の取消理由通知書を原告に送 付したことが不法行為を構成し,これにより損害を被ったと主張して,国 及びAに対し,連帯して慰謝料40万円等の支払を求める訴えを提起した (当庁平成23年(ワ)第24887号)。当庁は,平成23年12月2 7日,原告の請求をいずれも棄却する判決をし(乙3の1・3頁),同判 決は,平成24年1月11日の経過により確定した(乙1・6頁)。 キ 原告は,Aが,特許法153条2項に違反して,異議申立人が申立ての 理由としなかった刊行物についての審理をし,その結果を当事者に通知せ ず,当事者に意見を申し立てる手続を与えずに本件取消決定をしたことな どが不法行為に該当すると主張して,国及びAに対し,連帯して慰謝料4 0万円等の支払を求める訴えを提起した(当庁平成23年(ワ)第308 18号)。当庁は,平成24年1月26日,原告の請求をいずれも却下す る判決をし(乙3の1・3及び4頁),同判決は同年2月10日の経過に より確定した(弁論の全趣旨)。 ク 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国に対し,慰謝料60万円等 の支払を求める訴えを提起した(当庁平成24年(ワ)第13372号)。 当庁は,平成24年7月30日,原告の訴えを却下する判決をし(乙3の 1・4頁),同判決は同年8月14日の経過により確定した(弁論の全趣 旨)。 4 ケ 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国に対し,慰謝料200万円 等の支払を求める訴えを提起した(当庁平成25年(ワ)第22575 号)。当庁は,平成25年11月12日,原告の訴えを却下する判決をし (乙3の1・4頁),同判決は同月28日の経過により確定した(弁論の 全趣旨)。 コ 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国及びAに対し,連帯して2 00万円等の支払を求める訴えを提起した(当庁平成25年(ワ)第25 651号)。当庁は,平成25年12月25日,原告の訴えを却下する判 決をし(乙3の1),同判決は平成26年1月9日の経過により確定した (弁論の全趣旨)。 サ 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国及びAに対し,連帯して6 0万円等の支払を求める訴えを提起した(当庁平成25年(ワ)第291 55号)。当庁は,平成25年12月17日,原告の訴えを却下する判決 をし(乙3の2),同判決は平成26年1月8日の経過により確定した (弁論の全趣旨)。 シ 原告は,本件取消決定の違法を主張して,国に対し,30万円等の支払 を求める訴えを提起し(当庁平成26年(ワ)第15374号。以下 「15374事件」という。 同事件の訴状は,同年6月2日,国に送達 され,同事件は,現在,係属中である(乙3の3)。 3 当事者の主張 (原告の主張) 本件取消決定は,本件補正は出願当初の明細書又は図面に記載されていない から要旨変更に当たると認定したが,本件補正は要旨変更に当たらず,また, 本件取消決定は,本件特許が,特許法29条2項の規定に違反している旨を何 ら示していない。 よって,請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。 5 (被告の主張) (1)ア 本件訴訟は,上記2「前提となる事実」(2)ウないしサにおける前訴の 蒸し返しであって,本件訴えは信義則に反し,許されない。 イ 仮に,上記前訴が一部請求であるとしても,金銭債権の数量的一部請求 訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは,特段の事情がな い限り,信義則に反して許されず,当該訴えは却下されるべきで(最高裁 平成10年6月12日第二小法廷判決・民集52巻4号1147頁),本 件において特段の事情は認められない。 よって,本件訴えの却下を求める。 (2) 上記2「前提となる事実」(2)シのとおり,原告は,本件訴え提起に先立 ち,平成26年5月28日,本件取消決定が平成5年改正前特許法41条に 違反した違法があるとして,国に対し,30万円等の支払を求める1537 4事件を提起している。15374事件と本件訴訟とでは,当事者が同一で あり,特許庁が本件取消決定を行ったことが違法であるとして,国家賠償法 に基づき損害の賠償を求めるものとして訴訟物も同一である。仮に,本件訴 えが,15374事件の残部を請求するものであったとしても,主張されて いる権利は実体法上同一であるので,本件訴えは二重起訴に該当する。 したがって,本件訴えは,民事訴訟法142条に該当する不適法な訴えと して却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 上記第2の2「前提となる事実」(2)ウないしサのとおり,原告は,本件取 消決定の違法を主張して本件被告(国)に対する損害賠償請求訴訟の提起を繰 り返しており,本件訴えも,これら前訴の実質的蒸し返しであり,信義則に反 し,かつ,訴権の濫用に当たる不適法なものであることが明らかである。 よって,本件訴えを却下することとし,主文のとおり判決する。 6 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋 末 和 秀 裁判官 鈴 木 千 帆 裁判官 石 神 有 吾 7 |