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平成26ネ10022損害賠償等請求控訴事件 判例 特許
平成24ネ10091特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
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事件 平成 25年 (ネ) 10108号 損害賠償請求控訴事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2014/05/21
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平成26年5月21日判決言渡

平成25年(ネ)第10108号 損害賠償請求控訴事件

(原審 東京地方裁判所平成24年(ワ)第8053号)

口頭弁論終結日 平成26年2月17日

判 決



控 訴 人(原告) 株式会社ジーピーシーコリア

(GPC KOREA INC.)



訴訟代理人弁護士 岩 瀬 吉 和

石 井 昭 仁

崎 地 康 文

弁理士 金 山 賢 教



被控訴人(被告) 楽 天 株 式 会 社



訴訟代理人弁護士 高 橋 雄 一 郎

弁理士 望 月 尚 子



主 文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。



事 実 及 び 理 由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。




2 被控訴人は,控訴人に対し,10億円及びこれに対する平成24年3月31

日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。



第2 事案の概要

用語の略称及び略称の意味は,本判決で付するもののほか,原判決に従い,原判

決で付された略称に「原告」とあるのを「控訴人」に,
「被告」とあるのを「被控訴

人」と読み替えるほか,適宜これに準じる。

1 事案の要旨

(1) 本件請求の要旨

本件は,名称を「Web-POS 方式」とする本件発明についての本件特許権(特許番

号・第4579336号)の専用実施権者である控訴人が,被控訴人に対し,被控

訴人が提供する被控訴人サービス(楽天市場)において採用されている被控訴人シ

ステムが本件発明の技術的範囲に属すると主張して,本件特許権侵害不法行為

基づく損害賠償の一部として10億円及びこれに対する不法行為の日以降である平

成24年3月31日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求め

た事案である。

(2) 本件発明の内容

本件発明は,次のとおりである(原判決の付した略称に基づく分説後のもの)。

【A】HTTPを用いてHTMLで記述された初期フレームプログラム,カテゴリー

リストプログラム及びPLUリストプログラムを含むHTMLリソースを供給するサ

ーバ装置を備えた,

【B】販売時点情報管理を行うためのWeb−POSネットワーク・システムの制御

方法であって,

【C】該サーバ装置からクライアント装置に対して送信された,初期フレームプ

ログラムが,該クライアント装置において実行されることにより,




【D】少なくとも,

1)該クライアント装置から上記サーバ装置に対して,カテゴリーリストプログ

ラムのダウンロードを要求するHTTPメッセージが送信される過程,

2)該要求に基づき,Webサーバ・プログラムがHDDの記憶媒体からカテゴリ

ーリストプログラムを読み出し,上記サーバ装置から該クライアント装置に対して,

上記カテゴリーリストプログラムが送信される過程,

3)上記クライアント装置から上記サーバ装置に対して,PLUリストサーバプロ

グラムの実行を指示するHTTPメッセージが送信されると,上記サーバ装置が,PL

Uリストサーバプログラムを起動して,PLUリストプログラムを生成し,上記クラ

イアント装置に対して,PLUリストプログラムが送信される過程,

4)及び,商品情報の入力毎に,それに対応するPLU情報が上記サーバ装置に問

い合わされる過程,

からなり,

【E】前記サーバ装置のPLUマスタDB内のカテゴリー対応レコードリスト及び

同PLUマスタDB内の商品情報対応レコードリストが,それぞれ,前記クライアン

ト装置における商品カテゴリーが変更される毎に,また前記クライアント装置にお

ける商品識別情報が入力(選択)される毎に,前記サーバ装置から前記クライアン

ト装置にダウンロードされると共に,

【F】該クライアント装置においては,前記サーバ装置から受信した商品基礎情

報をタッチパネル,キーボード,またはマウスからなる入力手段を有する表示画面

に表示し,該入力手段により上記表示された商品を特定する商品に関する識別情報

である商品識別情報を入力(選択)し,前記サーバ装置から受信した商品基礎情報

から上記入力(選択)した商品識別情報に対応する商品基礎情報のレコードを取得

して,該商品基礎情報と上記入力(選択)した商品識別情報とに基づいて注文商品

明細情報を上記表示画面に出力する,

【G】汎用のコンピュータとインターネットを用い,HTTPに基づいて通信を行




うWebサーバ・クライアント・システム上でWebブラウザのみでPOS機能が実現さ

れるWeb−POSシステムにおいて,

【H】商品カテゴリー,メーカー,商品名及び価格からなる商品基礎情報が記憶

されている前記PLUマスタDBが前記サーバ装置のみに設けられて,

【I】前記すべての商品基礎情報が前記サーバ装置のみによって管理されると共

に,

【J】前記タッチパネル,キーボード,またはマウスからなる入力手段を有する

表示装置において,商品カテゴリーリストを表示する部分(第1フレーム)の表示

過程と,該カテゴリー内の商品名が表示される,商品PLUリストを表示する部分(第

2フレーム)の表示過程と,前記商品基礎情報と前記入力した商品識別情報とに基

づいて出力される入力結果の注文商品明細を表示する部分(第3フレーム)の表示

過程を経て,

【K】前記クライアント装置における上記注文商品明細情報が該クライアント装

置から前記サーバ装置に送信されることで,販売時点情報管理が行われることを特

徴とする

【L】Web−POSネットワーク・システムの制御方法。

(3) 被控訴人システムの概要

被控訴人システムにおける各画面の遷移の概要と,控訴人が主張した本件発明の

構成要素との対応関係の要旨は,次のとおりである。控訴人は,実施態様1につい

ては,第1(3)画面の赤枠部分を表示するブログラムを,実施態様2については,第

2(2)画面の赤枠部分を表示するプログラムを,それぞれ初期フレームプログラムと

主張している(図中の注釈は,後記原判決引用部分参照)。





実施態様1



【第1(3)画面抜粋】




・赤枠部分(第1フレーム)

・赤枠内部(商品カテゴリーリスト)

・青枠部分(第2フレーム)

・青枠内部(商品 PLU リスト)




【第1(4)画面抜粋】(第1(3)画面の青枠部分のリンクをクリック)





【第1(5)画面抜粋】(第1(4)画面の[買い物かごに入れる]ボタンをクリック)




・緑枠部分(第3フレーム)




実施態様2



【第2(2)画面抜粋】




・赤枠部分(第1フレーム)





【第2(3)画面抜粋】(第2(2)画面の赤枠内部のリンクをクリック)



・赤枠部分(第1フレーム)

・赤枠内部(商品カテゴリーリスト)




【第2(4)画面抜粋】(第2(3)画面の赤枠内部のリンクをクリック)




・青枠部分(第2フレーム)

・青枠内部(商品 PLU リスト)





【第2(5)画面抜粋】(第2(4)画面の青枠内部のリンクをクリック)




【第2(6)画面抜粋】(第2(5)画面の[買い物かごに入れる]ボタンをクリック)




・緑枠部分(第3フレーム)





(4) 原審の判断

原判決は,被控訴人システムは,本件発明の構成要件 A,C,D 及びJに記載さ

れたプログラムの実行手順及び実行内容とは異なる手順,内容で実行されているの

で,上記各構成要件を充足せず本件発明の技術的範囲に属しないとして,控訴人の

請求を棄却した。



2 前提となる事実

本件の前提となる事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」

欄の第2の1に記載のとおりである。

(1) 原判決2頁20行目から同21行目にかけての「登録を受けた(」の次に

「登録簿上の名称・『ジーピーシ― コリア インク.』」を加える。


(2) 原判決9頁23行目の「フレーム」を「表示領域」に改める。

(3) 原判決11頁14行目の「フレーム」を「表示領域」に改める。



第3 争点及び争点に関する当事者の主張

本件の争点及び争点に関する当事者の主張は,下記1のとおり当審における当事

者の補充主張を,同2のとおり当審における控訴人の新たな主張を,同3のとおり

当審における控訴人の新たな主張に対する被控訴人の反論をそれぞれ加えるほかは,

原判決の「事実及び理由」欄の第2の2及び同3に記載のとおりである。

1 当審における当事者の補充主張

(1) 控訴人

商品カテゴリーリスト及び商品PLUリストを表示する領域を確保するためには,

frameタグを用いなければならないものではない。tableタグを用いることにより,

背景を使ってページがフレームに分かれているように見せかけて領域を確保する方

法(甲23)や画面を表構成にして領域を確保する方法(甲19,23),又はスタ

イルシートを用いることにより,長方形のエリアを設定して領域を確保する方法(甲




25)を利用して,当該領域にコンテンツを表示することが,原出願日当時,周知

であり,これもまた,本件発明における領域確保といえる。

したがって,本件発明の「フレーム」とは,frameタグを用いた画面分割の方法

により表示されたものに限られず,何らかの表示装置又は何らかの表示部分の一定

の領域を意味するものである。

(2) 被控訴人

本件特許の出願当時,
「フレーム」といえは,frameタグによって実現される技法

といえる(乙11ないし13)。

もっとも,frameタグを使用しようが,tableタグやスタイルシートを使用しよう

が,本件発明のカテゴリーリストプログラムやPLUリストプログラムは初期フレ

ームプログラムによって確保された領域をターゲットとして実行されなければなら

ないものであり,どのようなコードが使用されたかは本件の結論を左右するもので

はない。



2 当審における控訴人の新たな主張(実施態様3)

下記(1)から(4)までのとおりの実施態様(実施態様3)によれば,被控訴人シス

テムは,本件発明の構成要件をすべて充足する。

(1) 初期フレームプログラム

被控訴人システムは,第1(2)画面の赤枠部分に表示されているカテゴリーのうち,

例えば「クラブ(メンズ)」のリンクを表示し,第1(3)画面を表示するためのHT

MLソースコードのダウンロードを要求するHTTPメッセージをWebサーバに送信

することに係る乙第2号証の2の5頁(
  • クラブ(メンズ)<

    /li>)のプログラム(初期フレームプログラム)を備える。





    (2) 第1フレーム及びカテゴリーリストプログラム

    利用者が,第1(2)画面の例えば「クラブ(メンズ) のリンクをクリックすると,


    利用者端末からWebサーバに対して,第1(3)画面ソースの紫色部分(本件プログ

    ラム1@)のHTMLソースコードのダウンロードを要求するHTTPメッセージが送

    信され,これに基づき,Webサーバが,上記のプログラムを含むHTMLソースコー

    ドを作成し,これが,Webサーバから利用者端末に送信されて実行されることで,

    第1(3)画面の赤枠部分の表示領域(第1フレーム)が表示される。また,第1(2)

    画面の例えば「クラブ(メンズ)」のリンクをクリックすると,利用者端末からWe

    bサーバに対して,第1(3)画面ソースの橙色表示部分のプログラム(本件プログラ

    ム1A〔カテゴリーリストプログラム〕)を含むHTMLソースコードのダウンロー




    ドを要求するHTTPメッセージが送信される。これに基づき,Webサーバが,上記

    のプログラムを含むHTMLソースコードを作成し,これが,Webサーバから利用者

    端末に送信されて実行されることで,第1(3)画面の赤枠部分の表示領域(第1フレ

    ーム)にカテゴリーリスト(商品カテゴリーリスト)が表示される。

    (3) 第2フレーム及びPLUリストプログラム

    利用者が,第1(2)画面の例えば「クラブ(メンズ) のリンクをクリックすると,


    利用者端末からWebサーバに対して,第1(3)画面ソースの50頁及び56頁の青

    色表示部分の冒頭及び末尾(
    )のHTMLソースコードの

    ダウンロードを要求するHTTPメッセージが送信され,これに基づき,Webサーバ

    において,上記のプログラムを含むHTMLソースコード(以下「本件プログラム1

    @α」という。)を生成し,これが,利用者端末に送信され,実行されることで,第

    1(3)画面の青枠部分の表示領域(第2フレーム)が確保される。また,第1(2)画

    面の例えば「クラブ(メンズ)」のリンクをクリックすると,利用者端末からWeb

    サーバに対して,第1(3)画面ソースの青色表示部分のプログラム(本件プログラム

    1B〔PLUリストプログラム〕)を含むHTMLソースコードのダウンロードを要求

    するHTTPメッセージが送信され,Webサーバにおいて,取扱商品の情報を蓄積し

    たデータベースに保存されている「クラブ(メンズ)」のページのHTMLソースコ

    ード作成の基礎となる情報に基づき,これをHTMLソースコードに変換するプログ

    ラム(PLUリストサーバプログラム)を起動して,上記のプログラム(PLUリスト

    プログラム)を含むHTMLソースコードを生成し,これが,利用者端末に送信され,

    実行されることで,第1(3)画面の青枠部分の表示領域(第2フレーム)に個別商品

    リスト(商品PLUリスト)が表示される。





    (4) 第3フレーム,注文商品明細及びPLU情報

    利用者が,第1(3)画面の青枠部分の例えば「※【送料無料】3000本突破!4




    /25付楽天デイリーランキング第9位!Larouge−HTフェアウェイウッド…」と

    いうリンクをクリックすると,利用者端末からWebサーバに対しその商品の詳細ペ

    ージの要求が送信され,利用者端末には第4画面(PLU情報)が表示される。

    さらに,利用者が,第1(4)画面で[買い物かごに入れる]ボタンをクリックすると,

    第1(5)画面の緑枠部分の表示領域(第3フレーム)に上記注文商品の明細情報(注

    文商品明細情報)が表示される。

    【第1(4)画面抜粋】




    【第1(5)画面抜粋】




    3 当審における控訴人の新たな主張に対する被控訴人の反論

    (1) 時機に後れた攻撃防御方法の主張




    控訴人の上記2の新たな主張は,第一審においてこれを提出するのが容易であっ

    たにもかかわらず控訴審に至ってから提出されたものであり,これにより生じた争

    点についての審理に長期間を要するものであるから,時機に後れた攻撃防御方法と

    して却下されるべきである。

    (2) 新たな主張に対する反論

    控訴人が初期フレームプログラムと主張するコードは,「クラブ(メンズ)」とい

    うテキストについて特定のページ(第1(3)画面)にリンクを張るものであり,画面

    上の一定の領域を確保するプログラムではない。領域確保を行っているのは,第1

    (3)画面ソースに含まれている本件プログラム1@又は本件プログラム1@αであ

    り,本件プログラム1A又は本件プログラム1Bは,上記初期フレームプログラム

    によって確保された領域をターゲットとして実行されてはいない。



    第4 当裁判所の判断

    当裁判所も,被控訴人システムは本件発明の技術的範囲に属さないと解するから,

    その余の点について判断するまでもなく,本件請求は理由がないものと判断する。

    その理由は,下記1のとおりに補正し,同2に補充の判断を,同3に当審におけ

    る控訴人の新たな主張に対する判断をそれぞれ加えるほかは,原判決の「事実及び

    理由」欄の第3の1に記載のとおりである。控訴人が当審でるる主張するところを

    考慮しても,この結論は左右されない。

    1 原判決の補正

    (1) 原判決22頁26行目から同23頁4行目までを次のとおり改め,同7行

    目の「併せ考慮すれば,」の次に「frameタグという特定のタグを使用するかどうか

    はともかくとして,」を加える。

    「 さらに,HTMLにおいて,『フレーム』は,一般的には,Webページを複

    数の領域に分割し,それぞれを独立した領域として別々の文字等の情報を表

    示させる機能をいうものであり,各フレームの中に文字等の情報を表示させ




    るためには,各フレームをターゲットとして,文字等の情報を表示するため

    のプログラムを実行する必要があることが認められる(甲20,当審乙11,

    乙12ないし15)」


    (2) 原判決98頁(別紙3)2行目の「ソースコード」を「HTML ソースコー

    ド」に改め,同5行目の「第1(3)画面」次に「の青枠部分」を加える。

    (3) 原判決101頁(別紙3)12行目から同13行目にかけての「ソースコ

    ード」を「HTML ソースコード」に改める。



    2 補充の判断

    控訴人の主張は,要するに,構成要件A,C,D及びJに記載された各プログラ

    ムの実行手順及び実行内容としての領域確保は,単なる画面表示上の表現によって

    他と区別できる部分が表示されることでも十分であるというものと整理される。

    しかしながら,前記認定判断(原判決引用部分)のとおり,本件発明は,初期フ

    レームプログラムがクライアント装置において実行されて,商品カテゴリーリスト

    の表示領域が表示装置に第1フレームとして表示された上で,引き続き,クライア

    ント装置からサーバ装置に対し,第1フレームをターゲットとして商品カテゴリー

    リストを表示するためのカテゴリーリストプログラムを送信するよう要求するHT

    TPメッセージが送信され,これを受けてサーバ装置が読み出したカテゴリーリス

    トプログラムがクライアント装置に送信され,これが実行された結果,商品カテゴ

    リーリストがWebブラウザに表示されるという過程を経るという構成をとった方

    法の発明なのである。また,前記認定判断(原判決引用部分)のとおり,本件発明

    は,初期フレームプログラムがクライアント装置において実行されて,商品PLUリ

    ストの表示領域が表示装置に第2フレームとして表示された上で,引き続き,クラ

    イアント装置からサーバ装置に対して,第2フレームをターゲットとしてPLUリス

    トサーバプログラムの実行を指示するHTTPメッセージが送信され,サーバ装置が

    PLUリストサーバプログラムを起動して生成したPLUリストプログラムがクラ




    イアント装置に対し送信され,これが実行された結果,商品PLUリストがWebブラ

    ウザに表示されるという過程を経るという構成をとった方法の発明なのである。

    したがって,構成要件の充足のためには,上記過程がその順序で順次実行されて

    いる必要があるところ,前記認定判断(原判決引用部分)のとおり,被控訴人シス

    テムにおいては,各画面は一つのHTML文書であって,サーバ装置からクライアン

    ト装置に対して一括して送受信されているものであり,各画面の各表示とその表示

    領域の確保とは同時にされているのであるから,本件発明の構成に従った過程が実

    行されているとみる余地はない。

    以上のとおりであるから,控訴人の上記主張は,採用することのできないもので

    ある。



    3 当審における控訴人の新たな主張に対する判断

    (1) 時機に後れた攻撃防御方法の主張について

    被控訴人は,控訴人の実施態様3に係る主張が時機に後れた攻撃防御方法に当た

    る旨を主張するが,既に提出済みの証拠関係に基づき判断可能なものであるから,

    訴訟の完結を遅延させるものとはいえない。

    したがって,上記主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下はしない。

    (2) 新たな主張について

    控訴人は,第1(2)画面の赤枠部分内の例えば「クラブ(メンズ)」を表示するプ

    ログラムが初期フレームプログラムであり,同部分のリンクによって第1(3)画面の

    赤枠部分及び青枠部分が表示されることをもって,上記2にいう本件発明の過程が

    実行されている趣旨の主張をする。

    しかしながら,上記第1(2)画面の赤枠部分内の例えば「クラブ(メンズ)」を表

    示するプログラムは,単に第1(2)画面から第1(3)画面への遷移を求めるものにす

    ぎず,第1(3)画面の表示を行っているのは第1(3)画面ソースであって,第1(2)

    画面の赤枠部分内の例えば「クラブ(メンズ)」を表示するプログラムが第1(3)画




    面内に表示領域の確保を行うことはないから,同プログラムは初期フレームプログ

    ラムにはなり得ない。

    よって,その余の点を判断するまでもなく,第3実施態様が,本件発明の構成要

    件をすべて充足するものではないことが明らかである。



    第5 結論

    よって,本件請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄

    却することとして,主文のとおり判決する。



    知的財産高等裁判所第2部




    裁判長裁判官
    清 水 節




    裁判官

    中 村 恭




    裁判官

    中 武 由 紀