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事件 平成 24年 (行ケ) 10361号 審決取消請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2013/09/30
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成25年9月30日判決言渡
平成24年(行ケ)第10361号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 平成25年9月25日

判 決



原 告 株式会社ユニバーサルトレジャー


訴 訟 代 理 人 弁 理 士 谷 山 守



被 告 特 許 庁 長 官


指 定 代 理 人 蓮 井 雅 之

同 中 島 庸 子

同 本 郷 徹

同 大 橋 信 彦
主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求の趣旨
1 特許庁が不服2011−27256号事件について平成24年9月7日にし

た審決を取り消す。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

第2 事案の概要

1 特許庁における手続の経緯等(証拠を摘示しない事実は,当事者間に争いが
ない。)
原告は,発明の名称を「制電性多機能カーペット」とする発明について,平
成21年8月11日に特許出願(特願2009−186390号)をした後(甲

1),平成23年2月23日にその一部を分割する分割出願(特願2011−

36862号。請求項の数は2である。以下「本願」という。)をしたが(甲

12),同年9月16日付けで拒絶査定を受けたので,同年12月16日,こ

れに対する不服の審判を請求するとともに,手続補正書を提出した(以下「本
件補正」という。)。

特許庁は,この審判を,不服2011−27256号事件として審理し,平

成24年9月7日,特許請求の範囲拡張するものであるとして本件補正を却

下した上,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,審決の謄本

を,同月20日,原告に送達した。
2 特許請求の範囲

本件補正前の本願の特許請求の範囲における請求項1の記載は次のとおりで

ある(この発明を,以下「本願発明」という。また,本件補正前の本願の明細

書を,以下「本願明細書」という。甲12,15)。
【請求項1】

アクリル繊維又はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維

からなる制電糸をパイル糸に含ませると共に,アンモニアやトリメチルアミン

をイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませ

てなるタフテッドカーペットにおいて,
該タフテッドカーペットのパイル糸に,アクリル繊維或はナイロン繊維の表面

に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を0.2%含ませると

共に,消臭糸を10%含ませたことを特徴とする制電性多機能カーペット。

3 審決の理由

(1) 別紙審決書写しのとおりであるが,要するに,本願発明は,下記各刊行物
に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたもの
であるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,
というものである。

ア 特開2002−10900号公報(甲19。以下「引用刊行物1」とい

い,これに記載された発明を,以下「引用発明1」という。)

イ 特開2001−271252号公報(甲20。以下「引用刊行物2」と

いい,これに記載された発明を,以下「引用発明2」という。)
ウ 特開平5−199931号公報(甲21。以下「引用刊行物3」といい,

これに記載された発明を,以下「引用発明3」という。)

エ 特開平9−262170号公報(甲22。以下「引用刊行物4」といい,

これに記載された発明を,以下「引用発明4」という。)

(2) 審決が,上記結論を導くに当たり認定した引用発明1の内容並びに本願発
明と引用発明1との一致点及び相違点は,以下のとおりである。

ア 引用発明1の内容

「アクリル繊維に硫化銅を導入して形成した導電性繊維からなる導電性ア

クリル繊維をパイル糸に含ませたタフテッドカーペットにおいて,
該タフテッドカーペットのパイル糸に,アクリル繊維に硫化銅を導入して

形成した導電性繊維からなる導電性アクリル繊維を含ませた制電性カーペ

ット。」

イ 本願発明と引用発明1の一致点

「アクリル繊維又はナイロン繊維に硫化銅を付与して形成した導電性繊維
からなる制電糸をパイル糸に含ませてなるタフテッドカーペットにおいて,

該タフテッドカーペットのパイル糸に,アクリル繊維或はナイロン繊維に

硫化銅を付与して形成した導電性繊維からなる制電糸を含ませた制電性カ

ーペット。」

ウ 本願発明と引用発明1の相違点(誤記訂正後のもの)
(ア) 相違点1
制電糸を構成する導電性繊維は,本願発明は,アクリル繊維又はナイ
ロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成しているのに対し,引用発明1

は,アクリル繊維に硫化銅を導入して形成する点。

(イ) 相違点2

本願発明は,アンモニアやトリメチルアミンをイオン結合で消臭する

カルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませた「多機能」制電
性カーペットであるのに対し,引用発明1は,そのような発明特定事項

を有さない点。

(ウ) 相違点3

本願発明は,制電糸を0.2%含ませると共に,消臭糸を10%含ま

せたとしているのに対し,引用発明1は,制電糸をどの程度含むかはっ
きりしない点。

第3 原告の主張

1 取消事由1(相違点1についての容易想到性の判断の誤り)

審決は,引用発明2を引用発明1に適用して,相違点1に係る本願発明の発
明特定事項のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことであると判断

した。

しかしながら,本願発明や引用発明1はタフテッドカーペットに関する発明

であるのに対し,引用発明2はタフテッドカーペットに関する発明ではない。

すなわち,一般にタフテッドカーペットとは,基布に刺繍のようにミシン針
でパイルを刺し込み(機械刺し),パイルの抜けを防ぐために,裏面に接着剤

(ラテックスなど)をコーティングしてパイルを裏面において固定してなる構

造のものをいうのに対し,引用発明2のパイル織物は,導電性繊維とアクリル

繊維及びポリエステル繊維を合糸してパイル糸を形成し,パイル糸の毛羽を生

地の表面に所定間隔で織り込んでなるものであり,生地の裏面に接着剤を施し
てパイル糸を固定する構造を有さず,タフテッドカーペットに該当しない。
カーペットには多種類のものがあり,素材,製造方法,用途などによって分
類され,それぞれ独自の製造方法が確立されているから,タフテッドカーペッ

トに関する技術である引用発明1に,タフテッドカーペットとは異なるパイル

織物に関する引用発明2を組み合わせることは技術的に不適切であり,引用発

明1に引用発明2を適用することの動機付けは何ら存在しないから,このよう

な組合せが容易想到であるとする審決の判断は妥当ではない。
2 取消事由2(相違点2についての容易想到性の判断の誤り)

(1) 審決は,相違点2について,引用発明3ないし引用発明4を引用発明1に

適用して,アンモニアをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消

臭糸をパイル糸に含ませて,消臭機能を兼備させカーペットを多機能化する

ことは,当業者が容易になし得たことにすぎないと判断した。
しかしながら,引用刊行物3には,「消臭繊維B6(亜鉛イオンをレーヨ

ン繊維に付着)」,「1)アンモニアの消臭(周辺の−COOHによる中和

除去・吸着) との記載はあるものの
」 (同刊行物【0017】 【0018】 ,
, )

それ以上の具体的な説明がなく,「周辺の−COOH」が何を意味するのか
不明である。また,同刊行物には,レーヨン繊維に亜鉛イオンを結合した消

臭繊維が開示されているのみであり,レーヨン繊維にカルボキシル基を導入

するとの記載はなく,「レーヨン繊維にカルボキシル基を導入した消臭繊維」

を開示するものではない。

被告は,引用刊行物3に「消臭繊維A5(コバルトフタロシアニン誘導体
をレーヨン繊維に付着)」との記載があると指摘するが,上記消臭繊維A5

は基布に含ませているのであって,パイル糸に含ませているものではないか

ら,仮にここにいう「コバルトフタロシアニン誘導体」が「コバルトフタロ

シアニン・ポリカルボン酸」であって,「周辺の−COOH」がコバルトフ

タロシアニン・ポリカルボン酸の「−COOH」を意味することを当業者が
理解できるとしても,カルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませ
ており,基布に含ませているのではない本願発明とは,構成を異にする。
そして,引用刊行物3の記載によれば,従来の消臭カーペットは有色のコ

バルトフタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維をパイルに使用しているが,そ

の場合,消臭繊維の色に合わせたカーペットデザインにしなければならない

という問題点があり,引用発明3は,この課題の解決手段として,有色の金

属フタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維をパイルに含ませずに基布に含ませ,
パイルには無色又は淡色の金属イオンをもつ消臭繊維を含ませるようにした

ものである。このような引用発明3を,本願発明の進歩性判断に当たって引

用発明として適用するには阻害要因があり,本願発明に対して動機付けを与

えるものではない。

被告は,カーペットに消臭繊維を付加する際,カーペットを構成するいか
なる部材に消臭繊維を適用するかは,カーペットの構造,用途,求められる

特性等に応じて当業者が適宜設定し得る事項であると主張する。しかし,本

願発明は,制電糸の有する消臭効果とあいまって,消臭糸が相乗的に消臭効

果を発揮することにより,室内に発生した臭いの原因を効率的に分解すると
いう効果及びカーペットがアルカリ性であると肌に対する刺激が強く,肌が

痛みやすいという問題点を解決し,特に乳幼児等のように敏感な肌で直接触

れるカーペットを弱酸性に保つようにコントロールすることができるという

効果を奏するものであり,このような効果を発揮するためには,アンモニア

やトリメチルアミンをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消臭
糸をパイル糸に含ませることが必須の条件となるものであるから,カーペッ

トを構成するいかなる部材に消臭繊維を適用するかは当業者が適宜設定し得

る事項であるとの被告の主張は失当である。

(2) 引用刊行物4には,基布にパイル繊維が植設,目止めされ,基布の裏面に

クッション材が貼り合わされてなるクッションカーペットにおいて,クッシ
ョン材が低融点繊維A及び消臭繊維Bを含む2種以上の繊維で構成されてな
るクッションカーペットの記載がある。消臭繊維はカーペット表面に露出し
ていないクッション材に含まれるのであってパイル繊維には含まれていない

から,引用刊行物4には,本願発明のように消臭糸(消臭繊維)をパイル糸

(パイル繊維)に含ませてなる構成は開示されていない。

(3) 引用発明3及び引用発明4は,いずれも本願発明との間に上記のような相

違点があるから,これらの発明を引用発明1に適用して,当業者が本願発明
のように構成する動機付けを与えるものではなく,このような組合せが容易

想到であるとする審決の判断は妥当ではない。

3 取消事由3(相違点3についての容易想到性の判断の誤り)

審決は,相違点3について,制電糸及び消臭糸をどの程度含ませるかは,当

業者が適宜決定できる事項にすぎず,かつ数値限定に臨界的意義は認められな
いので,引用発明1において相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように

することは,当業者が容易になし得たことであると判断した。

しかしながら,本願発明の実施例2によれば,パイル糸に制電糸を0.2%

含ませるとともに消臭糸を10%含ませることにより,制電性試験及び消臭試
験,pHコントロール試験において優れた効果が発揮されていることは,本願

明細書のとおりであり,また,引用刊行物1ないし4のいずれにも,本願発明

のごとき制電作用,消臭作用及びpHコントロール作用を有する制電性多機能

カーペットに関して何ら記載されておらず,上記各作用は本願発明に特有の作

用であるといえる。
したがって,制電糸及び消臭糸の含有率は当業者が適宜決定できる事項にす

ぎず,数値限定に臨界的意義は認められないとの審決の上記認定判断は誤りで

ある。

4 取消事由4(本願発明の効果の認定の誤り)

(1) 本願発明において,パイル糸に含まれる制電糸は優れた導電性を有し,金
属繊維や炭素繊維に比べて極めてしなやかで軽い風合いを保持した状態で,
コロナ放電又はアース放電による高い除電効果を発揮することができる。ま
た,制電糸それ自体が消臭機能をも有するから,パイル糸に含まれる消臭糸

による消臭作用と制電糸の併有する消臭作用とがあいまって,相乗的に消臭

効果を発揮することができ,室内に発生した臭いの原因を効果的に分解し,

シックハウス症候群等の様々なアレルゲンを抑制することが可能となる。

本願明細書記載の消臭試験の試験結果によれば,本願発明は,アンモニア
ガス,酢酸ガス,硫化水素ガス,トリメチルアミンガス,ピリジンガス,メ

チルメルカプタンガス,アセトアルデヒドガス,イソ吉草酸ガス,ノネナー

ルガス,インドールガスに対して優れた消臭性能を示しており,このような

試験結果に照らせば,本願発明は短時間に効率良く臭いの原因物質を分解し,

高い消臭能力を発揮することが理解できる。
(2) 本願発明のこれらの効果は,パイル糸に制電糸と消臭糸を含ませ,二つの

機能を併有させたことによる特有の効果であるから,「本願発明による効果

も,引用発明1,引用発明2,引用刊行物3に記載された発明及び引用刊行

物4に記載された発明から当業者が予測し得た程度のものであって,格別の
ものとはいえない。」とした審決の判断は,本願発明の効果の認定を誤って

いる。

5 取消事由5(本願請求項2の発明についての判断の遺漏)

審決は,本願の特許請求の範囲の請求項2の発明(以下「本願請求項2の発

明」という。)について特許要件に関する判断をしておらず,判断の遺漏があ
る。

審査基準は,新規性進歩性等の拒絶理由は請求項毎に示すべきであるとし

ており,これに従えば,仮に審決が本願発明のみならず本願請求項2の発明に

ついても進歩性の要件を備えていないと判断するのであれば,その理由を本願

発明についてのみならず,本願請求項2の発明についても示すべきである。
第4 被告の主張
1 取消事由1について
審決は,引用発明2を「制電糸を構成する導電性繊維は,アクリル繊維又は

ナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成しているパイル糸」の技術として

引用発明1に適用するとしたものである。引用発明1のパイル糸を構成する導

電性繊維に引用発明2の導電性繊維の構成を適用することは十分に動機付けら

れるから,審決の相違点1に係る判断に誤りはない。
2 取消事由2について

(1) 引用刊行物3の「消臭繊維A5(コバルトフタロシアニン誘導体をレーヨ

ン繊維に付着)」との記載(【0011】)に照らせば,引用発明3が繊維

に亜鉛イオンを結合して消臭繊維とするものであるとの原告の主張は誤りで

ある。
また,引用刊行物3の「周辺の−COOH」という記載に接した当業者で

あれば,それが,消臭糸に付着させた,カルボキシル基を導入したコバルト

フタロシアニン誘導体のカルボキシル基(−COOH)を意味すると理解で

きる。すなわち,引用刊行物4に消臭性を付与する方法の従来例として記載
されている特開昭62−6978号公報(以下「甲24文献」という。)に

は,「消臭性成分である金属フタロシアニン・ポリカルボン酸は,例えば下

記式金属フタロシアニン・テトラカルボン酸や下記式金属フタロシアニン・

オクタカルボン酸が用いられる。二種以上を同時に用いてもよい。上記各式

において,Mは,例えばFe,Co,Mn,Ti,V,Ni,Cu,Zn,
Mo,W等の金属が挙げられる。これら金属のうち消臭効果の点からは鉄,

コバルトが好ましい。また金属フタロシアニン・ポリカルボン酸は繊維に物

理的に接触して担持されたり,化学的に結合して担持されたりする。」との

記載とともに,末端に「−COOH」が結合した構造式が記載されていると

おり,繊維に消臭性能を付与するため,繊維にコバルトフタロシアニン・ポ
リカルボン酸を担持せしめることは,本願出願前,当業者に周知の事項であ
る。
そして,引用刊行物3には,「消臭繊維A5(コバルトフタロシアニン誘

導体をレーヨン繊維に付着)」との記載に続いて,「1)アンモニアの消臭

(周辺の−COOHによる中和除去・吸着)」と記載されており,そうする

と,引用刊行物3に記載されている「コバルトフタロシアニン誘導体」とは

「コバルトフタロシアニン・ポリカルボン酸」のことであって,「周辺の−
COOH」が,繊維に消臭性能を付与するために繊維に付着させたコバルト

フタロシアニン・ポリカルボン酸の「−COOH」を意味することは,当業

者が容易に理解することができる。

(2) 審決が引用刊行物3及び4を引用した趣旨は,カルボキシル基を導入した

消臭繊維を用いてアンモニアを消臭するメカニズム,並びにそのメカニズム
をカーペットに付加することが公知であることを示すためである。加えて,

カーペットの技術分野において,消臭効果が求められることは当業者にとっ

て自明の課題であるところ,引用刊行物3に従来技術として記載されている

特開平2−302212号公報には,「基布は,ほとんどパイルで覆われて
しまうので消臭繊維が室内の空気に触れる面積が少ない,また…パイルに染

み込んだ場合は臭いを除去しにくいと云う課題があり,基布に施した消臭繊

維の機能を効果的に発揮できなかった…上記課題を解決するために本発明の

カーペットは,パイルに消臭繊維を施し…たものである。」「パイルに金属

フタロシアニン誘導体を繊維に担持した消臭繊維を用いているので,…特に,
パイル糸に消臭繊維を混紡してあるので空気との接触がよく,高い消臭効果

が得られる。」との記載があることに照らせば,カーペットに消臭繊維を付

加する際,カーペットを構成するいかなる部材に消臭繊維を適用するかは,

カーペットの構造,用途,求められる特性等に応じて当業者が適宜設定し得

る事項であるといえるし,カーペットのパイル糸に公知の消臭繊維を用いる
ことも,周知の事項あるいは当業者が容易に想到し得ることであるといえる。
以上のとおりであり,審決が相違点2について引用刊行物3ないし4を引
用して容易想到とした点に誤りはない。

3 取消事由3について

本件発明においてパイル糸に含まれる制電糸及び消臭糸の含有率を上げれば,

制電性や消臭性の向上が期待されることは当業者に明らかであるといえる一方,

高機能化された糸を用いることによって製造コストが上昇することも,当業者
に明らかであるといえるから,パイル糸の制電糸及び消臭糸の含有率は,求め

られる制電性や消臭性,カーペットのグレード,販売価格,製造コスト等を考

慮して当業者が適宜選択できる事項である。

本願明細書にも,パイル糸の制電糸及び消臭糸の含有率は,製品のグレード

を考慮して選択される旨の記載がある。
そして,本願明細書には,パイル糸の制電糸や消臭糸の含有率に係る数値限

定による格別顕著な効果を検証した記載はなく,制電糸及び消臭糸の相互の含

有率にも格別の技術的意義を見出すことはできない。

さらに,原告が指摘するpHコントロール作用についても,金属フタロシア
ニン誘導体によって導入されたカルボキシル基がアンモニアと結合することは

当業者の技術常識であり,かかる結合の結果,pH上昇が小さくなるという意

味でpHコントロール作用が得られることは当業者が予測し得ることであって,

本願発明の格別の効果であるとはいえないし,本願明細書に制電糸や消臭糸の

含有率に係る数値限定による格別顕著な効果を検証した記載がないことは,p
Hコントロール作用についても同様である。

以上によれば,相違点3に関する審決の判断に誤りはない。

4 取消事由4について

繊維の表面に被覆された銅イオンが,導電性のみならず抗菌性,アンモニア

臭等に対する消臭性にも寄与することは,引用刊行物2に「また,前記銅金属
であるダイジェナイトを極薄の被膜層によりアクリルあるいはナイロン繊維の
表面に被膜した導電性繊維は,銅イオンにより黄色ブドウ球菌,肺炎桿菌,大
腸菌,緑膿菌あるいはMRSA等に対して抗菌効果があり,更に前記導電性繊

維はアルカリ臭(アンモニア,トリメチルアミン)や酸性臭(硫化水素,メチ

ルメルカプタン)に対して消臭効果がある。」と記載されているとおり,本願

出願前に公知の事項である。そして,この銅イオンによる消臭作用が,臭いの

原因物質を「分解」することによって生じる作用であることは技術的に明らか
である。

一方,本願明細書には,「制電糸の有する消臭効果に相俟って,消臭糸が相

乗的に消臭効果を発揮することにより,室内に発生した臭いの原因を効率的に

分解し,シックハウス症候群等の様々なアレルゲンを抑制することが可能とな

る。」との記載があるものの,制電糸と消臭糸が相互に関連し合って相乗的な
作用効果を奏する,すなわち,制電糸と消臭糸を兼備せしめることにより,そ

れぞれの糸が有する作用効果を加算した作用効果を越える格別顕著な効果を奏

していることを示す検証例,例えば,消臭糸のみを所定の含有率で含むカーペ

ットが発揮する消臭性能が,制電糸を含ませることによって格段に向上するこ
と,又は,制電糸を含ませることによって消臭糸の含有率を相当程度小さくし

ても,同様の消臭性能が得られること等を示す検証例,あるいは,制電糸と消

臭糸の互いの含有比率を変化させて,それぞれの糸の消臭性に対する寄与の程

度を検証する等の検証例が記載されているわけでもない。

そうすると,本願明細書の記載からは,制電糸がもともと具備している,臭
いの原因物質を分解する消臭効果と,消臭糸による消臭効果が相加的に発揮さ

れることを読み取ることができるものの,制電糸と消臭糸を併用することによ

り,制電糸が有する消臭作用と消臭糸による消臭作用とがあいまって,相乗的

に消臭効果を発揮するという格別顕著な作用効果を読み取ることはできない。

したがって,本願発明の作用効果は,当業者が予期し得るものであって,特
有のものではなく,審決が行った作用効果に関する判断にも誤りはない。
5 取消事由5について
特許法は,一の特許出願に対し,一つの行政処分としての特許査定又は特許

審決がされ,これに基づいて一つの特許が付与され,一つの特許権が発生する

という基本構造を前提としており,請求項毎に個別に特許が付与されるもので

はない。このような構造に基づき,複数の請求項に係る特許出願であっても,

特許出願の分割をしない限り,当該特許出願の前提を一体不可分のものとして
特許査定又は拒絶査定をするほかはなく,一部の請求項に係る特許出願につい

て特許査定をし,他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというよ

うな可分的な取扱いは予定されていない。このことは,特許法49条51条

の文言や特許出願分割制度の存在自体に照らして明らかである。

よって,審決が本願請求項2の発明について判断しなかった点について,判
断の遺漏はない。

第5 当裁判所の判断

当裁判所は,以下のとおり,原告の主張する取消事由はいずれも理由がなく,

審決に取り消されるべき違法はないと判断する。その理由は次のとおりである。
1 取消事由1について
原告は,カーペットは種類毎に独自の製造方法が確立されており,タフテッ

ドカーペットに関する技術である引用発明1に,タフテッドカーペットとは異

なるパイル織物に関する引用発明2を組み合わせることは技術的に不適切であ

り,このような組合せについての動機付けは存在しないと主張する。

確かに,引用発明1は,導電性繊維をパイル糸に含ませた制電性のタフテッ

ドカーペットに関するものであり,制電糸を構成する導電性繊維について,ア

クリル繊維に硫化銅を導入して形成するというものであるのに対し,引用発明

2は,硫化銅の一種であるダイジェナイトを極薄の被膜層によりアクリルある

いはナイロン繊維の表面に被膜して形成された導電性繊維に,アクリル繊維及

びポリエステル繊維を合糸してパイル糸を形成した,静電気防止効果及び抗
菌・消臭効果を有するパイル織物に関するものである(甲20)。

しかしながら,引用発明1に係るタフテッドカーペットと引用発明2に係る

パイル織物は,いずれも,パイル糸を用いて形成された繊維製品である点で共

通し,また,硫化銅を付与して形成した導電性繊維をパイル糸に用いることに

より制電性を得させた点においても共通する。

そうすると,制電性タフテッドカーペットに関する引用発明1において,制

電性を得させるためにパイル糸に含ませる導電性繊維として,アクリル繊維に

硫化銅を導入して形成したものに代えて,引用発明2のアクリル繊維あるいは

ナイロン繊維の表面に硫化銅の一種であるダイジェナイトを被膜して形成した

ものを用いることは,当業者が容易に想到し得るものということができる。

なお,原告が指摘するようにカーペットの種類毎に製造方法の違いがあると

しても,そのことが,カーペットを構成するパイル糸に制電性を得させるため

の導電性繊維をどのように形成するかとの問題を直接左右するものとは認めら

れず,パイル織物のパイル糸に用いる導電性繊維に関する技術をタフテッドカ

ーペットのパイル糸に適用することが技術的に不適切であるということはでき

ない。引用発明1のタフテッドカーペットと引用発明2のパイル織物は,いず

れもパイル糸を用いて形成された繊維製品である点で共通し,また,硫化銅を

付与して形成した導電性繊維をパイル糸に用いることにより導電性を得させた

点においても共通するものであるから,引用発明1の導電性繊維の構成に代え

て,引用発明2の導電性繊維の構成を採用する動機付けは十分に存在するとい

うべきである。

以上によれば,取消事由1についての原告の主張は理由がない。

2 取消事由2について

(1) 原告は,引用刊行物3に「アンモニアの消臭(周辺の−COOHによる中

和除去・吸着)」などの記載はあるものの具体的な説明はないから,「レー
ヨン繊維にカルボキシル基を導入した消臭繊維」についての開示がなく,ま
た仮に開示があるとしても,引用発明3は,カーペットのデザイン上の制約
を解決するため,有色のコバルトフタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維をパ

イルではなく基布に含ませたものであり,相違点2の関係で引用発明1に適

用するには阻害要因があると主張する。

ア 引用発明3の内容について

引用刊行物3(甲21)には,以下の記載がある。
【特許請求の範囲

【請求項1】有色の金属フタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維を含む基布

に,無色または淡色の金属イオンをもつ消臭繊維を含むパイルを織り込ん

でなる消臭カーペット。

発明の詳細な説明

【0003】従来の消臭カーペットは特開平2−302212号公報に示

すようなものであった。

【0004】以下,その構成について図2を参照しながら説明する。図に

示すように,防虫繊維7を含む基布8に有色の金属フタロシアニン誘導体

をもつ消臭繊維9を含むパイル10を織り込んでいる。なお,11はラテ

ックス層である。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の構成では有色

の金属フタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維9をパイル10に使用した場

合,消臭繊維9の色に合わせたカーペットデザインにしなければならない。

また,無色または淡色の金属イオンをもつ消臭繊維9をパイル10に使用

した場合は,自由に染色できるのでデザインに制約は受けないが,硫化水

素,アセトアルデヒド,メチルメルカプタン等の悪臭に対して金属イオン

共有結合するため,クリーニングしても消臭性能が回復しないという課

題があった。
【0008】

【作用】本発明は上記構成において,パイルに使用する無色または淡色の

金属イオンをもつ消臭繊維は,自由に着色することができるので,デザイ

ン性を損なわず,さらに,基布に有色の金属フタロシアニン誘導体をもつ

消臭繊維を用いることにより,硫化水素,アセトアルデヒド,メチルメル

カプタン等の悪臭に対しても,クリーニングすることにより消臭性能を回

復させることができ,いつまでも消臭効果を持続することとなる。

【0009】

実施例】以下本発明の一実施例について図1を参照しながら説明する。

図に示すように,コバルトフタロシアニン誘導体をレーヨン繊維に付着し

た青色の消臭繊維A5を含む不織布の基布1に,レーヨン繊維に亜鉛イオ

ンを結合した無色の消臭繊維B6を含むパイル2を織り込み,パイル2の

抜けやカーペットの引張強度を保つためのラテックス層3およびラテック

ス層3に張られる裏張り布4より構成されている。

【0010】消臭繊維A5,B6は,下記のメカニズムが提案され,アン

モニア,硫化水素等の悪臭を消臭することが確認されている。

【0011】消臭繊維A5(コバルトフタロシアニン誘導体をレーヨン繊

維に付着)

1)アンモニアの消臭(周辺の−COOHによる中和除去・吸着)

【0012】

【化1】




イ 引用刊行物3の上記記載によれば,引用刊行物3には,従来技術として,
有色の金属フタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維をパイル糸に含む消臭カ
ーペットの記載があるほか,引用発明3として,上記の消臭繊維を基布に
含む消臭カーペットが記載されていることが認められる。

そして,上記の有色の金属フタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維につい

て,実施例においては,「コバルトフタロシアニン誘導体をレーヨン繊維

に付着した青色の消臭繊維A5」と記載され,これに関して「1)アンモ

ニアの消臭(周辺の−COOHによる中和除去・吸着)」とあり,また,
アンモニアの消臭メカニズムに関する引用刊行物3における反応式(【0

012】【化1】)の内容に照らせば,上記の有色の金属フタロシアニン

誘導体をもつ消臭繊維は,カルボキシル基が導入されたものであり,この

カルボキシル基は,アンモニアをイオン結合で消臭するものであることは

明らかである(なお,引用刊行物4(甲22)及び同文献が引用する甲2
4文献(甲24)には,繊維に消臭性能を付与するため,繊維に金属フタ

ロシアニン・ポリカルボン酸を担持させる方法や,グラフト重合によりカ

ルボキシル基などの酸性基を導入する方法が記載されていることを併せて

見れば,上記の「周辺の−COOH」が繊維に導入されたカルボキシル基
であることは,当業者にとって明らかであると認められる。)。

ウ 引用発明1に係る制電性タフテッドカーペットと,引用刊行物3に記載

された消臭繊維をパイル糸に含む消臭カーペット及びこの消臭繊維を基布

に含む消臭カーペットは,いずれもパイル糸ないしパイル繊維を用いて形

成されたカーペットであるという点で共通する。
したがって,制電性タフテッドカーペットに関する引用発明1において,

さらに消臭機能を備えさせるために,引用刊行物3に記載された従来技術

の構成を採用してアンモニアをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導

入した消臭繊維をパイル糸に含ませた多機能カーペットとすることは,当

業者において容易に想到し得るものということができる。
また,引用刊行物3は,デザイン上の制約が存在するとしつつも,従来
技術として,有色の金属フタロシアニン誘導体をもつ消臭繊維をパイル糸
に含ませ,これを消臭カーペットとして用いるとの構成が開示されており,

この従来技術と異なり,有色の金属フタロシアニン誘導体を持つ消臭繊維

をパイル糸に含ませずに,基布に含ませることにより,パイル糸を自由に

着色することも記載されているけれども,当業者において,特にデザイン

上の制約について考慮する必要がないような場合には,かかる従来技術の
構成を引用発明1と組み合わせるについて阻害要因があるということはで

きない。さらに,消臭繊維をカーペットの基布に含ませるとの引用発明3

の構成から,かかる消臭繊維をカーペットのパイル糸に含ませることを想

到することにも格別の困難があるとも認められない。

(2) 以上によれば,引用発明1に引用発明3を組み合わせて相違点2に係る構
成に想到することが当業者にとって容易であるとの審決は,引用発明3のみ

ならず,引用刊行物3に記載された従来技術も考慮すれば,その結論におい

て誤りがないことは明らかであり,引用発明4に関する原告の主張について

判断するまでもなく,取消事由2についての原告の主張は理由がない。
3 取消事由3について

原告は,本願発明においては,パイル糸に制電糸を0.2%含ませるととも

に消臭糸を10%含ませることにより,制電作用,消臭作用及びpHコントロ

ール作用において優れた効果を発揮しており,制電糸及び消臭糸の上記含有率

は当業者が適宜選択できる事項であるとの審決の認定判断は誤りであると主張
する。

しかしながら,本願発明において一定の量の導電性繊維及び消臭繊維をパイ

ル糸に含ませることにより,一定程度の制電作用及び消臭作用が得られること

は当然のことであり,本願明細書において,上記のとおりの制電糸及び消臭糸

の含有率の特定により,制電作用及び消臭作用について際立って優れた効果が
奏されていることを裏付ける記載ないし開示はない。本願明細書に記載された
実施例2の試験結果についても,他の含有率との比較において制電作用及び消
臭作用の優劣を検証するものではなく(甲12),これをもってこれらの作用

について際立って優れた効果が奏されていることが裏付けられているとはいえ

ない。

また,pHコントロール作用については,本願明細書に,「人の肌は弱酸性

であり,カーペット等が中性やアルカリ性であると肌に対する刺激が強く,肌
が痛みやすいため,直接肌に触れるカーペットを弱酸性に保つようにPHコン

トロールすることが重要となる。…汗にはアンモニアが含まれているため,一

時的に皮膚の表面のPHを上昇させる」(【0010】)と記載され,本願発

明の実施例2に関して,「1.5cm×1.5cmの試料表面に…アンモニア

水溶液(PH10)を0.1mリットル滴下し,5分後の資料表面のPHを測
定した」(【0048】)との記載があり(甲12),これらの記載によれば,

pHコントロール作用とは,pH10のアンモニア水溶液を試料表面に滴下し

たとしても,試料表面のpHが上昇せず,弱酸性を保つことを意味するものと

解される。
しかしながら,引用発明1において,アンモニアをイオン結合で消臭するカ

ルボキシル基を導入した消臭繊維をパイル糸に含ませることにより,滴下した

アンモニア水溶液に含まれるアンモニアが上記カルボキシル基とイオン結合す

ることで,試料表面のpHを上昇させることなく弱酸性を保つことができるこ

とは,当業者が予測し得ることであり,pHコントロール作用についても,当
業者が予測できない格別顕著な効果ということはできない。したがって,本願

発明における制電糸及び消臭糸の含有率の特定により,pHコントロール作用

について際立って優れた効果が奏されているものということはできない。

以上によれば,本願発明における制電糸及び消臭糸の含有率の特定に臨界的

技術的意義は認められず,かかる特定は当業者が容易になし得た旨の審決の判
断に誤りはないから,取消事由3についての原告の主張は,理由がない。
4 取消事由4について
原告は,本願発明の高い除電効果及び消臭効果は,パイル糸に制電糸と消臭

糸を含ませ,二つの機能を併有させたことによる特有の効果であるから,本願

発明による効果が引用発明1ないし4から当業者が予測し得た程度のものであ

り格別のものとはいえない旨の審決の判断は誤りであると主張する。

しかるに,本願発明における除電効果は,パイル糸に制電糸を含ませたこと
による効果であって,パイル糸に制電糸と消臭糸を含ませたことによる特有の

効果ということはできないし,原告の主張を,本願発明は除電効果だけでなく

消臭効果をも併せ持つ点が特有であるとの主張と解したとしても,引用発明1

の制電性カーペットにさらに消臭機能を備えさせるために消臭繊維をパイル糸

に含ませることは,当業者において容易に想到し得るということができるのは
前述したとおりである。

また,本願発明における消臭効果については,引用刊行物2には「ダイジェ

ナイトを極薄の被膜層によりアクリルあるいはナイロン繊維の表面に被膜した

導電性繊維は…アルカリ臭(アンモニア,トリメチルアミン)や酸性臭(硫化
水素,メチルメルカプタン)に対して消臭効果がある。」(【0008】)と

記載されており,これによれば,引用発明2における導電性繊維は,除電効果

のほか,消臭効果をも有することが開示されている。このような導電性繊維を

引用発明1において用いた場合,少なくとも,導電性繊維による消臭効果に,

パイル糸に別途含ませた消臭繊維による消臭効果が加わるということはできる
ものの,本願明細書において,導電性繊維による消臭効果のみとの比較や,消

臭繊維による消臭効果のみとの比較がなされているわけではないから,単に両

者の消臭効果を加算した効果ではなく,相乗的な消臭効果を発揮するのかどう

かは明らかではなく,このような相乗的な消臭効果を発揮すると認めるに足り

る証拠もない。
よって,原告の主張する本願発明の効果は,当業者が予測できない格別顕著
な効果ということはできないから,これと同旨の審決の認定判断に誤りはなく,
取消事由4についての原告の主張は,理由がない。

5 取消事由5について

原告は,審決が本願請求項2の発明について特許要件に関する判断をしてお

らず,判断の遺漏があると主張する。

しかしながら,特許法49条及び51条の各規定の文言や特許出願分割制度
の存在に照らせば,特許法は,一つの特許出願について,その全体につき拒絶

査定か特許査定かのいずれかの行政処分を行うべきことを規定しているものと

解すべきであるから,審決が本願発明について特許法29条2項の規定により

特許を受けることができないと判断した以上,これによって本願の出願全体が

特許法49条2号に該当し,拒絶すべきものとなることは明らかである。かか
る結論は,本願請求項2の発明の特許要件の有無により左右されないから,審

決に判断の遺漏はない。

以上によれば,取消事由5についての原告の主張は,理由がない。

6 結論
以上のとおり,原告の主張は理由がない。よって,原告の請求を棄却するこ

ととし,主文のとおり判決する。



知的財産高等裁判所第3部




裁判長裁判官 設 樂 z 一
裁判官 田 中 正 哉




裁判官 神 谷 厚 毅

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